祝福は来る

ジェフリー・R・ホランド長老が,自分が若い父親であったころを思い起こしながら,福音を頂く人には将来すばらしいことが起こると証しています。


だれでも,物事はうまくいくと確信する必要のあるときがあります。それこそまさに,わたしたちが困っているときにイエス・キリストの福音が与えてくれるものであることを,わたしは宣言します。

今から30年前の8月,ある小さな家族が全財産をいちばん小型のトレーラーに積み込んで,大陸横断の旅に出発しました。中古車1台で金はないうえ,ハイウェーをちょうど34マイル(約54キロ)走った地点で,車から水蒸気が吹き上げました。

その若い父親は,自らも怒りで湯気を立てながら車を点検し,信頼を寄せる妻と 下は3か月の無邪気な二人の子供を残して,南ユタのカナラビルの町へ3.5マイル(約5.6キロ)の道を歩いて行きました。当時のカナラビルの人口は確か65人だったと思います。町外れで水を確保し,帰りは親切な人が取り残された家族のもとに送ってくれました。車は付き添ってもらい,ゆっくりと,非常にゆっくりしたスピードで点検を受けるためにセントジョージに引き返しました。

2時間以上かけて徹底的に点検しましたが,特に故障は見つからなかったので,再度出発しました。ところが,まったく同じ時聞が経過したハイウェーのまったく同じ場所で,ボンネットの下からまったく同じ爆発音がして,再び車から蒸気が吹き上がったのです。悔しがる若い父親は,怒りよりむしろ愚かさを感じながら,助けを求めるために愛する家族を残してまたあの長い道のりを歩き始めました。水をくれた人はこう言いました。「前に君と似たやつが来たけど,どっちもラジエーターを交換しないとだめだね。」彼はその若い家族の窮状を見て,笑っていいのか泣いていいのか分からなかったことでしょう。

「どのぐらい走ったの?」彼は言いました。「34マイル(約54キロ)です。」わたしは答えました。「あとどのぐらい行くの?」「2,600マイル(約4,160キロ)です。」わたしは言いました。「君も行けるかもしれないし奥さんや二人の子供も行けるかもしれない。でも,その車じゃだめだ。」と,あらゆる点で予言的に彼は言いました。

ちょうど2週間前に,わたしはその同じ場所を通りました。ほんの一瞬ですが,道端に止めたおんぼろ車の中の献身的な妻と二人の幼子を見た思いがしました。そしてその先にはカナラビルに向かって歩いている若者。彼の足取りに,若き父親の不安が重くのしかかっているのがはっきりと見て取れました。

そのように想像していて,こう声をかけずにはいられませんでした。「やめちゃいけない。歩き続けるんだ。頑張り続けるんだ。助けも来るし幸せにもなれる。」祝福はすぐに来ることも,あとから来ることも,また天に召されるまで来ないこともありますが,イエス・キリストの福音を頂く人には必ず来ます。最後には必ずうまくいきます。神を信頼して,祝福が来ることを信じてください。