2017年ディボーショナル
固いつながり


固いつながり

デビッド・A・ベドナー長老との夕べ

2017年9月10日にノースカロライナ州エイペックスステークセンターで開催されたヤングアダルト対象のワールドワイド・ディボーショナル

世代の鎖

お伝えするメッセージは,スーザンとわたしが1999年9月に経験したことを基にしています。ゴードン・B・ヒンクレー大管長が,当時完成したスペンサー・W・キンボールビルを奉献するために,現在BYUアイダホ校になっているリックスカレッジに来ました。スーザンとわたしは,ヒンクレー大管長とヒンクレー姉妹の接待をする栄誉にあずかりました。すばらしく霊的で,忘れられない日でした。

ヒンクレー大管長はキャンパス滞在中に,ディボーショナルで学生と教職員を対象に話しました。大管長が話しているとき,わたしは檀上にいる,主の回復された教会の大管長からさほど離れていない席にいました。今日皆さんの顔を見て話しているこの瞬間ですら,ヒンクレー大管長がホールの説教台に立っている姿が鮮明によみがえります。大管長が教えた原則も,声の調子も顔の表情も,その話に耳を傾けながら聖霊の力によって学んだ事柄も,覚えています。

そのディボーショナルを,一部お見せしましょう。

「先週の土曜日と日曜日,わたしたちはオハイオ州コロンバスで,新しく美しい神殿を奉献しました。神殿と近くのワードの礼拝堂は,全部で6回のセッションに入る人でいっぱいでした。主の御霊があり,偉大なオハイオ州の歴史上2番目となる神殿が奉献されるのは,大いなるすばらしい出来事でした。

妻と娘もわたしとともに参列しており,娘は母親を助けていました。うれしいことに,孫娘が二人の子供,つまりわたしたちのひ孫を連れて,セントルイスから車で駆けつけてくれました。

先日,オハイオ州コロンバスの神殿で腰かけ,ひ孫たちを見ていると,特別なことが起こりました。なじみのある3世代の先祖と,3世代の子孫の真ん中に自分が立っていることに気づいたのです。わたしの心は文字どおり先祖に向かいました。子孫にも向かいました。世代の鎖を思い浮かべました。その鎖は,ほとんど分からない遠い昔にさかのぼり,わたしの後に来る3世代へと続きます。今日まで切れることなく輝く,強靭なその鎖を思い描きました。

そして,神殿で腰かけて考えたのです。自分は鎖を構成する一つの輪であり,過去のあらゆる世代と未来のあらゆる世代を結んでいるのだと。わたしの精神および,組織と手足関節,脳を含む肉体はすべて,先祖から受け継いでいます。そして,子孫の持つすべては,わたしを通して受け継がれて行きます。わたしはこの鎖を断ち切るわけにいきません。……わたしの子孫はこの鎖を断ち切るわけにいきません。……

わたしがもっと雄弁で,そのとき神殿で考えたことを今日,ここで若人の皆さんに伝えることができたらと思います。自分も子孫も,この一族の世代の鎖を決して断ち切ってはならないという願いを,とてつもなく強く感じたのです。

あらん限りの力を振り絞って皆さんに言います。世代の鎖の中の弱い輪にならないでください。皆さんは,驚くべき資質を受け継いでこの世に来ました。偉大な男女,勇気ある勇敢な男性,大いなることを成し遂げるとてつもない信仰を持つ女性としてこの世に来たのです。期待を裏切らないでください。最も重要な部分であるあなたという鎖の輪が弱くなるようなことを決してしてはなりません。」1

世代の鎖というイメージが,わたしの脳裏に鮮明に残りました。世代の鎖の弱い輪にならないようにという警告が,心に強く響きました。世代の鎖を弱くするようなことは決してしないようにという勧告が,わたしの心を貫いたのです。スーザンとわたしがその9月の午後に学んだ教訓はシンプルかつ大きな力を持ち,わたしたちの結婚生活と家族,生活のあらゆる側面に永遠に続く影響を与えてきました。

コール家

子供のころ,ワイオミング州アフトンで育ったスーザンは,同じワードに世代の鎖のすばらしい模範となる家族がいて,彼らにあこがれていました。

〔スーザン・K・ベドナー姉妹の言葉〕

子供時代に集っていたワードには,子供14人のすばらしい家族がいました。ベッシー・コールとエバン・コールという夫婦は,神殿で結婚し,交わした聖約を忠実に守っていました。回復された福音の教義を子供たちに教え,祝福されて義にかなった子供たちを育てていたのです。

数年前にわたしは,ある聖餐会で一人の美しい若い女性に出会いました。その女性は自己紹介すると,わたしがその女性の母親を知っていると言いました。彼女の母親はコール兄弟姉妹の娘で,わたしとは幼ななじみの大親友でした。聖餐会で出会ったこの若い女性は,コール夫妻の孫娘だったのです。いろいろ質問したところ,彼女はベッシー・コールとエバン・コールの96人の孫の44番目で,彼女の生まれたばかりの赤ちゃんは230番目のひ孫だということが分かりました。この数字に唖然としました。なんと膨大な子孫の数でしょうか。

その時以来,何度も考えました。コール兄弟姉妹が神殿で結婚していなかったり,交わした聖約を守っていなかったとしらどうなっていただろうか。前の世代の「とてつもない信仰」に忠実でなかったとしたら,どうなっていただろうか。模範と訓戒によって子供たちに福音を教えていなかっとしたら,どうなっていただろうか。世代の鎖の中の弱い輪だったとしたら,どうなっていたろうか。どれだけ多くの人がその影響をこうむっていただろうか。答えは明らかです。この夫婦の決意はすでに300人の子孫に影響を与えています。そして,ひ孫や玄孫(やしゃご)がこの一族のもとに生まれるたびにこの数は増えていきます。

これを,わたしが長年交流してきた,ある大切な友人と比べてみましょう。彼女は教会員ではありません。彼女がある日ふと,祖母がモルモンだと言ったのです。わたしの驚きを想像してください。言葉が出ませんでした。彼女は福音の教義と原則を知りませんでしたし,知ろうと思ったこともなかったからです。答えは分からないのに,「世代の鎖はどこで途切れたのだろうか」とよく考えました。はっきり言えるのは,彼女が前の世代の人々が下した決断のために,イエス・キリストの福音の祝福を生涯味わったことがないということです。

皆さんは世代の鎖を構成する輪として,自分が現在や将来下す決断に左右されるのは自分だけではないことを知っておくべきです。皆さんの下す決断は,皆さんの前の世代にも後の世代にも影響を与えます。福音の原則に従順に従う皆さんの模範と影響力,皆さん個人の義の力,良きも悪きも皆さんが下す決断の結果は,幾つもの世代に影響を与えるのです。どうか,世代の鎖の強い輪になってください。

わたしには,回復されたイエス・キリストの福音の証があります。男女の間の結婚は神によって定められたものであり,家族は神の子供たちの永遠の行く末の中心を成すものであることを証します。

わたしは証します。イエス・キリストは贖いの犠牲によってわたしたちを罪と愚かな選択から贖ってくださり,わたしたちが福音に従い,交わした聖約を守れるよう,人生で困難な経験をしているときは特に,わたしたちの力を超えた力をも与えてくださいます。

聖霊がわたしたちの思いと心に霊的な気持ちを与えて,世代の鎖を構成する忠実な輪になる方法を見つけ,それを実践できるよう助けてくださることをわたしは知っています。イエス・キリストの御名により,アーメン。

〔スーザン・K・ベドナー姉妹の言葉終わり〕

固いつながり

「世代の鎖」に関するヒンクレー大管長の教えを基に,これから話したいと思います。ヒンクレー大管長は,なるべきではないもの,つまり,世代の鎖の弱い輪について,はっきり力強く説明しました。わたしは,なるべきもの,つまり,世代の鎖の強い輪に的を絞って話します。

この場合、先祖と子孫の間にある事項について固いつながりがなければ、地はのろいをもって打たれるということを知るだけで十分です。 さて、その事項とは何でしょうか。それは死者のためのバプテスマです。彼らなしにはわたしたちが完全な者とされることはなく,またわたしたちなしには彼らが完全な者とされることはないのです。また,福音にあって死んだ者なしには,彼らもわたしたちも完全な者とされることはありません。 今や訪れようとしている時満ちる神権時代の到来に当たって,アダムの時代から現在に至るまでの,神権時代と鍵と力と栄光のすべての,ことごとくの,完全な和合と結合が起こり,示されることが必要だからです。」2

この聖句を読んで湧いてくる二つの基本的な疑問について考えてみましょう。

まず,「固いつながり」とは何かという疑問です。ジョセフ・F・スミス大管長はこう教えています。「親と子,子と親が一つとなって,神の家族の鎖のすべてが一本の鎖としてつながり,神とキリストの家族とならなければならないのです。」3

この最後の神権時代に神権の権能と鍵が回復されたことにより,個人の救いと家族の昇栄の両方のためにすべての人が儀式を受け,儀式を思い起こして尊ぶことができるようになりました。エリヤは約束どおり確かに来て,神権の鍵と,あらゆる世代に心を向け,世代間をつなぐ固いつながりを作る,結び固めの権能を授けました。この末日に,「あなた​が​地上​で​結ぶ​こと​は​何でも​天​で​結ばれ,また​わたし​の​名​に​よって,また​わたし​の​言葉​に​よって,あなた​が​地上​で​つなぐ​こと​は​何でも​天​で​永遠​に​つながれる」という救い主から受けた神聖な祝福を与える権能を持つ僕(しもべ)が,この地上に再び与えられているのです。4

ですから,「バプテスマをはじめとして神殿で行われる身代わりの儀式は世代間の永遠の結びつきを可能にし,それによって地球が創造された目的を成就します。」5

2番目の疑問は,固いつながりがあれば地がのろいをもって打たれることがないのはなぜか,という疑問です。ジョセフ・フィールディング・スミス大管長はこう宣言しました。「大切なのは死者のためのバプテスマだけではありません。両親の結び固めと,子供と両親の結び固めも重要なのです。それは,時の初めから終わりまで,『神権時代と鍵と力と栄光のすべての,ことごとくの,完全な和合と結合』が成し遂げられなければならないからなのです。もしこの結び固めの力が地上になければ,主が来られるとき,至る所に混乱が見られ,無秩序が秩序に取って代わることになるでしょう。もちろんそのようなことはあり得ません。なぜなら神の王国では万事が完全な律法によって統治され,制御されているからです。」6

なぜ地はのろわれるのでしょうか。「死者のための業が行われて,先祖と子孫の間に固いつながりがもたらされなければ,わたしたちは皆,退けられることになります。さらに神の業全体が頓挫し,ことごとく荒廃することでしょう。……この〔結び固めの〕権能の回復は,イエス・キリストの来臨の時に全地が荒廃することがないようにするためのパン種〔つまり,義の影響力〕として働くものです。」7

この基本的な福音の真理は,なぜ「男女の間の結婚は神によって定められたものであり,家族は神の子供たちの永遠の行く末に対する創造主の計画の中心を成すものである」のかを理解するために役立ちます。8

しかし,皆さんの中には,家族間の虐待や不和で大きな悲しみを経験している人がいます。そのために,そのような心の痛みや苦しみを負わせた人たちと結ばれたいという願いがほとんどない人やまったくない人もいるでしょう。

どうか聞いてください。家族が永遠に結ばれるのは,神権の権能と個人の義によってのみです。家族間でどんな嫌なことが起こったとしても,主イエス・キリストが源となって癒し,更新し,皆さんに必要なものを回復してくださることを証します。

逆境の中でよもすがら泣き悲しんだとしても,わたしたちの贖い主であり救い主であられる御方の力によって与えられた新たな人生の朝に喜びを味わうことができるのです。9

それだから,何なのですか?

十二使徒定員会で重要な事項について話し合っているときによく,ボイド・K・パッカー会長がよくこう問いかけたものです。「だから何なのですか。」わたしはこの問いをこういう意味に解釈しました。「それで,この考えまたは提案,一連の行動は,教会員の生活に霊的に重要などんな影響を与えますか。それは,わたしたちの奉仕を受ける人にとってほんとうに祝福になるのですか。」要するにパッカー会長は,話し合いのテーマが価値あるものか,どんな意味を持つのかを考えなさいと言っていたのです。「だから何なのですか」という問いかけは,問題に的を絞って考え,いちばん大切なことを見つけるのに非常に役立つことに,わたしは気がつきました。

そこで,皆さんはこう質問するかもしれません。「ベドナー長老,『だから何なのですか。』」その質問の答えは,今皆さんの何人かが抱いているかもしれない3つの疑問の中にあります。

このディボーショナルには,第一世代の末日聖徒イエス・キリスト教会の若い男女の会員がたくさん参加しています。その皆さんは,回復されたイエス・キリストの福音のメッセージを聞いて受け入れてバプテスマを受け,然るべき神権の権能によって確認されました。そして現在,キリストを固く信じて前進しています。改宗したのが最近であれ大分前のことであれ,皆さんは教会の活力の源であり,現在と将来の家族に救いをもたらす人たちです。皆さんは,世代の鎖の最初の輪です。

しかし,こんな疑問を持っているかもしれません。「自分は家族でただ一人の教会員だし,親兄弟や親族から強く反対されているのに,鎖を結びつける強い輪になどなれるだろうか。」

迫害を受け,物理的な困難に耐え,平原を踏破してソルトレーク盆地に定住した,この神権時代初期の開拓者の話を読んだり聞いたりすると,自分に同じことができるかと疑問に思うかもしれません。しかし,皆さんの多くは,彼らと同じことをしています。皆さんが今日直面する試練の内容と種類はその開拓者たちと異なるかもしれませんが,回復された真理に反対する動きがあることは今日も変わりませんし,その動きは強くなっています。

1986年4月,ガーナ,セントラル州で,ある部族の族長が亡くなりました。葬儀の準備を手伝っていた人たちの中に族長の異母兄弟のフレッド・アントウィがいました。彼はその1年前にバプテスマを受けて末日聖徒イエス・キリスト教会の会員に確認されていました。本人の知らないうちに,フレッドを新しい族長にする計画が族長の妹によって立てられていました。

埋葬の前夜,親族の一人がフレッドにそっと話しかけて,「親族がどんな計画を立てているか知っているか」と聞いてきました。「知らない」とフレッドは答えます。すると,その親族は言いました。「おまえは新しい族長になるんだ。」フレッドは驚いてきっぱりと言いました。「だめだ。わたしの信ずる宗教が許さない。」

族長を務めるのは栄誉あることでした。族長はその村全体の長で,言葉を発すれば,皆言われたとおりに動きます。族長は経済的にも恵まれ,必要と思うものは何でも与えらます。フレッドは,族長にされるかもしれないことが分かったときには支部会長を務めており,救い主の福音の原則に反する部族の儀式に,どうしても参加したくなかったのです。

ここで,フレッドの取った行動を,本人の言葉で紹介します。「同じ晩,車に乗ると,近くの村に住む同じ部族の長老の一人を訪ねました。その晩聞いた知らせについて話したかったのです。長老はこう言いました。『その計画があることは知っていた。おまえが族長になるのを避ける手立ては何もない。』」

フレッドは言いました。「御存じのとおりわたしはクリスチャンで,族長の責務の中には意に反することがたくさんあるため,宗教上,族長にはなれません。」その部族の長老は答えました。「ならば,長たちのもとに帰って,クリスチャンだから族長になれないと言うがよい。」フレッドは答えました。「わたしは戻って長たちに伝えましたが,無視されました。」

フレッドはこう続けます。「異母兄弟〔前の族長〕の埋葬は深夜に行われることになっていました。そこで,すべての親族の最後尾を自分の車で走ったのです。埋葬場所に行く手前の分かれ道に来ると,他の親族にならって左折することをせずに,右折してケープコーストに向かう道に乗り,スピードを上げました。」

その後6か月間,フレッドは親族との連絡を断ちました。後に分かったのは,埋葬に行っていたら彼は次の族長に任命されていて,難しい状況に置かれていただろうということでした。フレッドは結局,族長の妹の息子である甥が新しい族長に任命されたことを知りました。

フレッドは右折してケープコーストに向かったことで,世代の鎖の最初の輪を強固なものにしたのです。回復された福音の教義と原則に関する証に忠実に従ったため,フレッドの人生は奇跡的に変わりました。妻のアントウィ姉妹とともに西アフリカ初の専任宣教師となってガーナ神殿で奉仕したのです。現在,フレッドと奥さんはそれぞれ,ガーナ・アクラ神殿の神殿会長会顧問とメイトロン補佐として奉仕しています。

救い主の回復された教会の新しい改宗者として,フレッドは祝福され,力を与えられて,親族や友人,同僚からの強い反対を乗り越えました。そして,アントウィ兄弟姉妹は,子供たちにイエス・キリストの福音を教え,世代を越えて続く義の規範を家族の中に確立したのです。フレッド夫婦から始まったように,それは,皆さんからも始まります。

第一世代の教会員の皆さん,あなたから始まるのです。皆さんは先祖と子孫の双方にとって開拓者です。世代の鎖の中で,亡くなった先祖たちは皆さんの助けを求めて祈っていますし,皆さんの後に生まれる子孫たちは,皆さんの忠実さを頼りにするでしょう。皆さんには確かに,鎖を結びつける強い輪になる力があります。忘れないでください。それはあなたから始まるのです。そして,主の助けがあれば,それができます。

皆さんの中には,こんな疑問を持つ人がいるかもしれません。「強い末日聖徒の家庭で育ったわけではないのに,どうすれば永遠の家族が作れるのだろう。」わたし自身の経験から分かることを話すと,役に立つかもしれません。

わたし個人の「世代の鎖」は,母方の先祖と父方の先祖とでは大きく異なります。母方の鎖の中で,わたしは第5世代の教会員です。母方の先祖たちは,回復の初期の時期にイングランドとスイスで教会に入りました。そのため,母方の家系の中でわたしは,忠実な世代の長い鎖を構成する一つの輪です。

ところが,父方の鎖の中では,わたしは第一世代の教会員なのです。父が晩年になるまで教会に入らなかったため,ベドナー家で最初に神権を受けたのは兄とわたしでした。親族で初めて伝道に出たのはわたしでした。ですから,多くの皆さんと同様,わたしはベドナー家の世代の鎖の中では最初の輪なのです。

父は善良で献身的で,勤勉な人でした。わたしは父を愛していますし,父とともに働いて偉大な教訓を学び,そのおかげで今のわたしがあります。母は祈ることと,聖文を愛することを教えてくれました。わたしは母を愛していますし,母がわたしの心に信仰の炎をともしてくれたことに感謝しています。ところが興味深いことに,家族で祈ったり聖文研究をしたり,家庭の夕べをしたりした記憶がわたしにはないのです。お母さんと一緒に祈ったりモルモン書を読んだりしたことはありますが,そういうことを両親と子供で一緒にしたことは一度もありません。

たとえ『リアホナ』『エンサイン』の表紙に時々載るような末日聖徒の家庭で育ったのでなくとも,皆さんは,主の助けを受けて永遠の家族を作ることができます。常に忘れないでください。それは,あなたから始まるのです。

義にかなった家族の規範を少年時代に経験していないという事実が,かえって強い望みを生み出し,わたしは二人で一緒に作り上げた家庭にそのような規範が常にあるようスーザンと力を合わせて努力しました。夫婦で話し合い,夫婦の祈りで助けを求めるときに,わたしたちは霊感を受け,祝福されて,子供たちが回復された福音の原則を学べるよう助けることができました。わたしたちは確かに完全な親ではなかったかもしれませんが,必要な霊的な賜物を受け,「自分たちの力を超える助け」を見いだしました。10

皆さんもわたしも,過去の経験に囚われてはいけません。わたしたちは現在の状況の全面的な犠牲者でもなければ,環境に囚われた存在でもないのです。聖霊は,過去に経験したことのない家族の義の模範を含め,なすべきことをすべて教えてくださいます。それは,あなたから始まるのです。そして,主の助けがあれば,それができます。

皆さんの中には,家族や尊敬していた指導者が聖なる結婚の聖約を尊ばなかったことで落胆している人がいるかもしれません。こんな疑問を持つかもしれません。「両親や知人夫婦は神殿で結び固められたのに結婚生活がうまくいかなかったのだから,自分の結婚生活が永遠に続くことなど望めるだろうか。」

自分の家庭で離婚のつらさを味わった人や,信頼を裏切られて苦い思いをしたことのある人は,どうか,自分からまた始まることを忘れないでください。皆さんの世代の鎖の中に,壊れた輪が一つあるかもしれませんが,ほかの義にかなった輪と,残っている輪は永遠に大切なものです。皆さんは自分の鎖を強めることができますし,恐らく,壊れた輪を直す助けもできるでしょう。この鎖は一つずつ,つないでいくものなのです。

わたしたちは神の息子娘です。御父の永遠の幸福の計画によると,わたしたちは道徳的な選択の自由の賜物を与えられており,行動する能力のある,作用する者です。作用されるだけの存在ではありません。わたしたちは自ら選択して行動する者であり,多くの義を成し遂げる業に熱心に携わるべきです。11

実り多い幸福な結婚生活は,見つけるものではなく,聖約を守る男女が作り出すものなのです。存在しないものをいつまでも探し求めている人が皆さんの中にいるのではないかと心配しています。皆さんを心の痛みや霊の苦しみから守ることのできる完全な伴侶になれる人などいません。しかし,主の力をもってすれば,忠実で,作用する者として行動する男性と女性は,実りある結婚生活と,熱く望んでいる永遠の家族を作り上げることができます。

自分を中心に物事を考え,利己的に生きるよう容赦なく勧める世の中で,自分を顧みずに伴侶に仕えるには忍耐と粘り強さが必要です。しかしそれは,あなたが救い主を信じる信仰をもって行動し,前進し,常に天の助けを求め,道徳的な選択の自由を義に基づいて行使することから始まるのです。主の助けがあれば,それができます。

約束と祝福と証

愛する兄弟姉妹の皆さん,世代の鎖を構成する強い輪になるよう心の底からお願いします。

強い輪はあなたから始まります。聖なる聖約を尊び,回復されたイエス・キリストの福音に従いそれを愛するよう教えるためにコール兄弟姉妹が行った簡単なことをしてください。

強い輪はあなたから始まります。アントウィ兄弟のたように,勇気と,救い主を信じる信仰を持って,右折してください。

強い輪はあなたから始まります。どこに行くべきか,何をするべきか正確には分からなくとも,聖霊がすべてを教え,行く道を照らしてくださると信じてください。

強い輪はあなたから始まります。不断の努力と勇気をもって,暗闇をあなたがたの中から追い払い,12心をそそる末日の悪になびかない断固とした態度を取ってください。

わたしは使徒の権能により,皆さんに祝福を与えます。聖霊の力によって皆さんが,世代の鎖の中で自分が重要な場所にいることをさらによく理解できるよう祝福します。皆さんは強い輪になろうと努力することによって祝福され,力を得ます。そして,主の助けによってこれができることを約束します。

イエス・キリストが生ける神の生ける御子であられることを,喜びをもって証します。キリストは生きておられ,よみがえられ,わたしたち一人一人を御存じで愛しておられます。地で結ぶことを天でも結ぶ神権の権能と鍵がこの末日に地上に回復されたことを証します。そして,御父の永遠の計画に従うならばこの世で幸福になり,家族が永遠にともにいられるようになることを知っています。主イエス・キリストの神聖な御名によって証します,アーメン。

  1. Gordon B. Hinckley, “Chains” (Ricks College devotional, Sep. 7, 1999), video.byui.edu; see also “Ricks College Devotional, September 7, 1999,” Discourses of President Gordon B. Hinckley, Volume 1: 1995–1999 [2005], 471–77

  2. 教義と聖約128:18,強調付加

  3. 『歴代大管長の教え—ジョセフ・F・スミス』411

  4. 教義と聖約132:46

  5. D・トッド・クリストファーソン,「死者の贖いと,イエスへの証」『リアホナ』2001年1月号,11

  6. 『歴代大管長の教え—ジョセフ・フィールディング・スミス』202

  7. 『教え—ジョセフ・フィールディング・スミス』203

  8. 「家族—世界への宣言」『リアホナ』2010年11月号,129

  9. 詩篇30:5参照

  10. 「われ主を愛して」『賛美歌』134番

  11. 教義と聖約58:27-28参照

  12. 教義と聖約50:23-25参照