2010–2019
永遠のための決断
2013年10月


14:26

永遠のための決断

決断する自由を賢明に行使することは,現世と永遠にわたる皆さんの霊的な成長にとってきわめて重要です。

愛する兄弟姉妹の皆さん,毎日が決断の日です。トーマス・S・モンソン大管長は「決断は行く末を決める」と述べています。1 決断する自由を賢明に行使することは,現世と永遠にわたる皆さんの霊的な成長にとってきわめて重要です。皆さんが学ぶのに若すぎることはありません。皆さんが変わるのに年を取りすぎているということもありません。学んで変わりたいという強い気持ちは,神から与えられた永遠の進歩を目指す熱意から生じます。2 永遠のための決断を下す機会は毎日あります。

わたしたちは永遠の存在であり,天の両親の霊の子供です。聖書にこう記されています。「神は自分のかたちに人を創造された。すなわち……男と女とに創造された。」3 最近,わたしは人々に愛されている歌「神の子です」を歌う子供たちのコーラスを聴きました。4 そして考えました。「母親や信仰篤い父親がこの歌を歌うのをあまり聞いたことがないのは,なぜだろうか。」が神の子なのではないでしょうか。実際,だれ一人として神の子であることを決してやめられないのです。

神の子として,わたしたちは,この世の両親を愛する以上に,心と精神を尽くして神を愛さなければなりません。5 兄弟や姉妹のように隣人を愛さなければなりません。これらの戒めより大事な戒めはほかにありません。6 わたしたちは人の命の価値を,人生の様々な局面で常に尊ばなければなりません。

聖文では,体と霊が人を成すと教えられています。7 二つのものから成る存在として,皆さんはそれぞれ,体と霊という神の貴い賜物について神に感謝しなければなりません。

人の体

わたしは医師として長年働いているうちに,人の体を心から尊ぶ気持ちを抱くようになりました。あなたへの賜物として神によって創造された体は,実に驚くべきものです。あなたの周囲にあるすべてのすばらしいものを見る目,聞く耳,触れる指について考えてみてください。脳があるのであなたは学び,考え,推論できます。心臓は日夜休みなく働きますが,あなたがそれを意識することはほとんどありません。8

あなたの体には防御する力があります。どこか悪いところがあり,注意が必要な場合,警告として痛みを生じます。感染性の病気になることが時々あります。そうすると,抗体が形成され,その後の感染に対する抵抗力が増します。

あなたの体には自然治癒力があります。切り傷や打撲傷は治り,折れた骨はもう一度強くなります。これらは,あなたの体にある,神から与えられた多くの驚くべき特性のほんのわずかな実例です。

それでも,すべての人ではないとしても,すべての家族に,特別な世話を必要とする何らかの体の状態を抱えた人がいるようです。9 このような試練への対処法が主から与えられています。主はこう言われました。「わたしは人を謙遜にするために,人に弱さを与える。……もし彼らが……へりくだり,わたしを信じるならば,そのとき,わたしは彼らの弱さを強さに変えよう。」10

すばらしい霊たちがしばしば不完全な体に宿ります。11 特別な助けを必要とする体を持って生まれたその子供のために,親ときょうだいが進んで自分の生活を変えるとき,賜物としてそのような体を与えられていることで実際に家族が強められます。

年を取ることも神からの賜物であり,死もまた同様です。あなたの死すべき体がやがて死を迎えることは,神の偉大な幸福の計画に不可欠です。12 どうしてでしょうか。死によって霊は神のもとに帰ることができるからです。13 永遠の観点から見ると,神にお会いする用意をしていない人々にとって,死の訪れは早すぎるように思われます。

体がこのように神の永遠の計画にとってきわめて重要であることを思うと,使徒パウロがそれを「神の宮」と述べたのも驚くには当たりません。14 鏡で見る度に,あなたの体は宮であることを思い起こしてください。この真理を毎日感謝の気持ちで思い起こすなら,どのように体に気をつけ,どのように体を使うかについて決断するうえで良い影響がもたらされます。そして,その決断があなたの行く末を決めるのです。どうしてでしょうか。あなたの体はあなたの霊の宮だからです。そして,体の使い方が霊に影響を及ぼします。あなたの永遠の行く末を決める決断には,次のような事柄が含まれます。

  • どのように体に気をつけ,どのように体を使うか。

  • どのような霊的な特質を伸ばすか。

人の霊

あなたの霊は永遠の存在です。主は預言者アブラハムにこう言われました。「あなたは生まれる前に選ばれたのである。」15 主はエレミヤ16についても,その他多くの者17についても同様のことを言われました。さらに,あなた18についてもそうです。

天の御父は非常に長い期間あなたのことを御存じでした。御父の息子あるいは娘として,あなたはまさにこの時代にこの世に来て,地上における御父の偉大な業において指導者となるように御父によって選ばれました。19 あなたは身体的特性のために選ばれたのではなく,雄々しさ,勇気,心の誠実さ,真理に対する渇き,知恵に対する飢え,ほかの人々に仕えたいという望みなど,霊的な特質のために選ばれたのです。

あなたは前世でこれらの特質の一部を伸ばしました。ほかにもこの地上で伸ばせる特質があり,20 根気強くそれらを求めるときに伸ばすことができます。21

一つの重要な霊的特質は,自制,すなわち理性で欲求を抑える強さです。自制は強い良心を築きます。そして,あなたの良心は,困難や誘惑,試練の状況にあってあなたがどのように道徳的対応をするかを決めます。断食は,あなたの霊が肉体的な欲求を抑える力を増すのに助けとなります。また断食は天の助けを得る機会を増やします。それが祈りを強くするからです。なぜ自制が必要なのでしょうか。神は人類が永続するために必須の,食物と愛を欲する強い欲求をわたしたちの内に植え付けられました。22 わたしたちは自分の欲求を神の律法の範囲内で制御するとき,長寿と深い愛,そして無上の喜びを享受することができるのです。23

ですから,神の幸福の計画から逸脱する誘惑のほとんどが,神から与えられたこの基本的な欲求を誤用することから生じるというのは,うなずけます。自分の欲求をコントロールするのは容易ではありません。それを完全に御せる人はだれもいません。24 間違いが起こります。過ちを犯します。罪を犯します。そのときに何ができるでしょうか。わたしたちはそのことから学ぶことができます。そして,心から悔い改めることができます。25

わたしたちは自分の行動を変えられます。望みさえも変えられます。その方法は何でしょうか。方法はただ一つです。イエス・キリストの贖罪が持つ癒し,清め,また人に能力を与える力によってのみ,わたしたちはほんとうに永久に変われるのです。26 イエス・キリストは皆さん一人一人を愛しておられます。27 熱心に,誠実に,厳密に戒めを守るとき,あなたはイエス・キリストの力に近づくことができます。それは簡単で,確実です。イエス・キリストの福音はまさに変化を可能にする福音なのです。28

肉の欲を制する力を持つ,霊の力の強い人は,感情と熱情を治める主人であり,それらの奴隷ではありません。体に酸素が必要であるように,霊にはその種の自由が不可欠です。自分への隷属状態からの自由こそ,ほんとうの自由なのです。29

わたしたちは「自由と永遠の命を選ぶことも,……束縛と死を選ぶことも自由」です。30 自由と永遠の命に通じるより高い道を選ぶとき,その道には結婚があります。31 末日聖徒は,「男女の間の結婚は神によって定められたものであり,家族は神の子供たちの永遠の行く末に対する創造主の計画の中心を成すものである」と宣言しています。また,わたしたちは次のことも知っています。「性別は,人の前世,現世および永遠の状態と目的にとって必須の特性なのです。」32

男女の間の結婚は,主の教義の基本部分であり,神の永遠の計画にとってきわめて重要です。男女の間の結婚は,地上と天に生命を満たすための神の方式です。ほんとうの喜びを得たければ,神が定められた結婚の方式を誤用,誤解,あるいは曲解してはなりません。33 神が定められた結婚の方式は,生殖の神聖な力と合法的な結婚に伴う親密な交わりのもたらす喜びを保護してくれます。34 御存じのように,アダムとエバは神のもとで結婚した後に夫婦として結ばれる喜びを味わいました。35

現在,政府は結婚を保護することに常に関心を払っています。健康,教育,福祉,ならびに後の世代の繁栄をもたらす最善の方法を備えているのが強い家族だからです。36 しかしながら,法律を起草したり,修正したり,執行したりするとき,政府は社会の風潮やこの世的な考え方に非常に影響されます。どのような法律が制定されようと,結婚と道徳に関する主の教義は変わることがありません37 覚えておいてください。罪は,たとえ人によって合法化されたとしても,神の目には依然として罪なのです。

救い主の思いやりと哀れみに倣うならば,また,神のすべての子供たちの権利と気持ちを尊重するならば,神の教義を変えることはできません。わたしたちが行うのは変えることではありません。神の教義を研究し,理解し,支持することなのです。

人生に関する救い主の方法はすばらしいものです。結婚前の純潔と結婚後の完全な貞節は主の方法です。38 主の方法は,わたしたちが永続する幸せを味わう唯一の方法です。主の方法は,わたしたちの霊に持続する慰めを,またわたしたちの家庭に永続する平安をもたらします。とりわけ,主の道は,わたしたちを主と天の御父のもとに,すなわち永遠の命と昇栄に導きます。39 これが神の業と栄光の本質なのです。40

愛する兄弟姉妹の皆さん,毎日が決断の日です。そして,自分の決断が自分の行く末を決めます。いつの日か,わたしたち一人一人は主の前に立って裁きを受けます。41 各自がイエス・キリストから個人面接を受けます。42 わたしたちは自分の体,霊的な特質に関して行った決断について,また結婚と家族に関する神の方式をどのように尊んだかについて報告することになります。わたしたちが永遠のために毎日の決断を賢明に選択できるよう,イエス・キリストの神聖な御名により心からお祈りします,アーメン。

  1. トーマス・S・モンソン「決断は行く末を決める」(教会教育システムファイヤサイド,2005年11月6日),speeches.byu.edu

  2. 永遠の進歩の概念については,W・W・フェルプスが賛美歌 “If You Could Hie to Kolob”(Hymns, 284番)の歌詞の中に適切に表現しています。第4節にこうあります。「徳に終わりはなく,力に終わりはなく,知恵に終わりはなく,光に終わりはなく,一致に終わりはなく,若さに終わりはなく,神権に終わりはなく,真理に終わりはない。」第5節は次の言葉で結ばれています。「栄光に終わりはなく,愛に終わりはなく,存在に終わりはなく,天に死はない。」

  3. 創世1:27 。コロサイ3:10 ;アルマ18:34エテル3:15モーセ6:9も参照

  4. 「神の子です」『賛美歌』189番

  5. マタイ10:37 参照

  6. マルコ12:30-31 参照

  7. 教義と聖約88:15参照

  8. あなたの体には神から与えられた機能がほかにもあります。ナトリウムやカリウム,カルシウムのような元素と,水やブドウ糖,タンパク質のような化合物は,生きていくために不可欠です。体は酸素や二酸化炭素のようなガスを処理します。インシュリンやアドレナリン,チロキシンのようなホルモンを作ります。体の中のこれらやその他多くの成分はそれぞれ,ある範囲内で自動的に調整されます。体の分泌腺同士の関係も自動制御されています。例えば,脳の基部にある脳下垂体の分泌腺は,副腎皮質ホルモンを生成するために,副腎の皮質を刺激するホルモンを分泌します。副腎皮質ホルモンが過剰になると,脳下垂体からのこの刺激ホルモンの分泌が抑えられ,逆に少なければ分泌が促されます。あなたの体温は,あなたが赤道地域にいても北極にいても,摂氏37度(華氏98.6度)の正常な範囲に保たれます。

  9. 体の状態がよく分かることもあれば,表に出ないこともあります。遺伝によるものもあれば,そうでないものもあります。癌になりやすい人や,アレルギーのある人などがいます。わたしたちはそれぞれ,弱さが強さになるように,自分の弱い部分に気を配り,主が教えたいと思っておられることを謙遜に学ばなければなりません。

  10. エテル12:27

  11. 復活の時まで完全には正されない状態もあります。復活の時に「すべてのものが本来の完全な造りに回復される」のです(アルマ40:23)。

  12. アルマ42:8参照

  13. 詩篇作者はこう記しています。「主の聖徒の死はそのみ前において尊い。」(詩篇116:15 )死は貴いものです。聖徒にとってそれは主のもとに「帰る」ことだからです。

  14. 1コリント3:16 。 6:19 も参照

  15. アブラハム3:23

  16. エレミヤ1:5 参照

  17. アルマ13:2-3参照

  18. 教義と聖約138:55-56参照

  19. アルマ13:2-3教義と聖約138:38-57参照

  20. わたしたちが伸ばし,また授かることのできる霊的な賜物として,「信仰,徳,知識,節制,忍耐,兄弟愛,信心,慈愛,謙遜,勤勉」という特質があります(教義と聖約4:6)。感謝も,伸ばすことのできるもう一つの霊的な特質です。感謝は,人の雰囲気や能力に影響を及ぼします。あなたは霊的に「神から生まれ」るとき,次第にあなたの顔に神の面影を受けるようになります(アルマ5:14参照)。

  21. 1コリント12章 ;14:1-12 ;モロナイ10:8-19教義と聖約46:10-29参照

  22. 過食の誘惑を受ける人がいます。「肥満は世界規模で広まっており,太りすぎのために毎年少なくとも280万人が死亡している。」( “10 Facts on Obesity,” 世界保健機関,2013年3月,www.who.int/features/factfiles/obesity/en)ほんの少ししか食べないようにという誘惑を受ける人もいます。拒食症と過食症は多くの人の生活,結婚生活,家族を脅かしています。また,わたしたちの創造主によって禁じられているような性欲の誘惑を受ける人がいます。『手引き 第2部:教会の管理運営』では,次のように説明されています。「純潔に関する主の律法は,合法的な結婚関係によらない性的関係,ならびに夫婦の貞節を逸脱する性的関係を禁じている。……姦淫,私通,男性間または女性間の同性愛関係,その他のあらゆる汚れた不自然で不潔な行いは,罪深いものである。」さらに手引きにはこうあります。「同性愛行為は,神の戒めを破ることであり,人の持つ性の目的に反しており,家族生活の中に,また救いにかかわる福音の儀式の中に見いだすことのできる祝福を人々から奪うものである。……教会は,同性愛行為に反対する一方で,同性に魅力を感じてしまう人に理解と敬意をもって手を差し伸べている。」(〔2010年〕,21.4.5;21.4.6)

  23. 1コリント6:9-20 ;ヤコブの手紙1:25-27 ;教義と聖約130:20-21参照。わたしたちは,「人が存在するのは喜びを得るためである」という言葉を常に覚えておかなければなりません(2ニーファイ2:25)。

  24. 聖文に述べられているように,死すべき生涯は試しの時期です。「わたしたちはこれによって彼らを試し,何であろうと,主なる彼らの神が命じられるすべてのことを彼らがなすかどうかを見よう。」(アブラハム3:25

  25. モーサヤ4:10アルマ39:9ヒラマン15:7参照。『手引き 第2部』には次のような言葉があります。「同性愛行為は,心からの悔い改めによって赦しを得ることができる。」(21.4.6)

  26. イエス・キリストの贖罪によって,また福音の諸原則に従うことによって,全人類は救われます(教義と聖約138:4信仰箇条1:3参照)。

  27. エテル12:33-34モロナイ8:17参照

  28. モーサヤ5:2アルマ5:12-14参照

  29. ローマ8:13-17 ;ガラテヤ5:13-25 ;教義と聖約88:86参照

  30. 2ニーファイ2:27

  31. 教義と聖約131:1-4参照

  32. 「家族―世界への宣言」『リアホナ』2010年11月号,129

  33. マタイ19:4-6 ;モーサヤ29:26-27ヒラマン5:2参照

  34. 人はそれぞれ独自のアイデンティティー,染色体とDNA(デオキシリボ核酸)を持って生まれます。DNAとは,生きている細胞が成長し,機能を果たす際に用いられる遺伝的指令を持つコードを含む分子です。父親と母親からのDNAが結びついて新たな肉体のDNAが生成されます。すなわち,各人のDNAが生成されるとき,父母と子供のつながりができるのです。

  35. 創世2:24-25 ;3:20-21 ;4:1-2,25 参照

  36. パトリック・F・フェイガン博士は次のように述べています。「経済の繁栄に不可欠の基盤は結婚している親がいる家庭,特に毎週宗教活動に参加している子供たちがいる家庭です。……結婚すると新たな家庭,すなわち,収入と支出,貯蓄,投資を生み出す独立した経済単位が設けられます。」(“The Family GDP: How Marriage and Fertility Drive the Economy,” The Family in America, 第24巻,第2号〔2010年春〕,136)

  37. 出エジプト20:14 ;レビ18:22 ;20:13 ;申命5:18 ;マタイ5:27-28 ;マルコ10:19 ;ルカ18:20 ;ローマ1:26-27 ;13:9 ;モーサヤ13:223ニーファイ12:27-28教義と聖約42:2459:6参照

  38. ゴードン・B・ヒンクレー「それは,片すみで行われたのではない」『聖徒の道』1997年1月号,58

  39. 教義と聖約14:7参照

  40. モーセ1:39参照

  41. 2ニーファイ9:41,46モーサヤ16:10参照

  42. わたしたちは自分の行いと心の望みに応じて裁かれます(教義と聖約137:9参照。ヘブル4:12 ;アルマ18:32教義と聖約6:1688:109も参照)。