2010–2019
信仰箇条に含まれている教義と原則
2013年10月


14:30

信仰箇条に含まれている教義と原則

それぞれの信仰箇条がイエス・キリストの福音を理解するのに固有の価値ある情報を加えているのです。

わたしは総大会の神権部会で話す割り当てを与えられたとき,すばらしい初等協会教師のことをすぐに考えました。彼女の大きな望みは,神権を受けるにふさわしくなるようにわたしたちを備えることでした。彼女は初等協会の卒業要件に関連してわたしたちを厳しく試験しました。その卒業要件は,十二使徒定員会会員の名前と信仰箇条を覚えることでした。また,全員が13の信仰箇条を暗唱できたら,最後のレッスンとして,わたしたちの選んだ場所に出向いて活動をすると約束してくれました。

わたしたちは特別な場所を選びました。ユタ北部のローガン峡谷の入口で,最初のダムのすぐ上にある岩の斜面までハイキングに行きたかったのです。この岩のがけには狭い平坦な場所があり,そこに天然の野外炉があって,ホットドッグを調理したり,焼きマシュマロを作ったりできるのです。しかし,その場所を選ぶとき,教師のことは考えませんでした。彼女は年を取り,まったく運動のできるタイプではなかったのです。わたしたちがもっと慎重に考えていたら,彼女にとってそのハイキングは大変だと気づいたかもしれません。それでも彼女は約束を守ろうとして,意を決してついて来てくれました。

まず,わたしたちは小高い丘を登りました。当時は,登る妨げになる送電線はありませんでした。教師は多少の手助けを得ながら丘を登りました。頂上を越えると,わたしたちは岩の尾根に下り,「亀の甲羅」と呼んでいた場所に向かいました。

そこに到着した後,教師は呼吸を整えるためにしばらく休息しました。わたしたちが座る場所を見つけて食事の準備をしたときには,彼女は十分に回復して,最後のレッスンを教える備えができていました。彼女は,過去2年間初等協会で教えたことがどれほど楽しかったか語ってくれました。また,あなたたちは信仰箇条をほんとうによく覚えた,と褒めてくれました。彼女が信仰箇条のどれか一つの番号を言うと,わたしたちはそれを暗唱できました。それから彼女は,信仰箇条を暗記することは,それに含まれている教義と原則を理解しないかぎりただ単にたくさんの言葉にすぎないと告げました。信仰箇条の一つ一つで教えられている福音の教義を研究するようにわたしたちを励ましました。そして,信仰箇条の中に見られる教義は幾つかの項目に分けられると説明しました。

Ⅰ.神会とキリストの基本的教義

わたしたちは信仰箇条第1条から,神会が御三方により構成されていることを学びます。父なる神と,キリストなるイエスと,聖霊です。

第2条は,わたしたちは地上での自分の行動に対して責任を負うと教えています。

第3条は,天の御父の子供たちの救いに対する救い主の使命について述べています。

第4条は,基本的な原則と儀式が重要であることを教えています。

その教師が語った言葉の力は,わたしにとって霊感の源となっています。なぜなら,彼女は福音研究について強調したからです。聖文によって真理の基準を知るようになり,それによってわたしたちは,自分が得る知識は真実か,それとも偽りかを判断することができるのです。真実の教義は,すべての真理の源であり基であられる神から来ます。真実の教義の教えと概念は,主なる救い主の福音の中に見いだされます。偽りの教義は,あらゆる偽りの父であるサタンから来ます。サタンの望みは,啓示された真理を曲解し,また全体的にあるいは部分的にそれを変えることです。天の家に戻る旅路で道を見失う者が出るように,サタンはわたしたちを欺きたいと思っているのです。

聖文は偽りの教えを避ける方法を教えています。例えば,テモテにあてたパウロの手紙にはこう述べられています。

「聖書は,すべて神の霊感を受けて書かれたものであって,人を教え,戒め,正しくし、義に導くのに有益である。

それによって,神の人が,あらゆる良いわざに対して十分な準備ができて,完全にととのえられた者になるのである。」(2テモテ3:16-17)

携帯電話に電池が必要であるように,教会にはこの教義が必要です。携帯電話は電池を取り外すと役立たなくなります。同様に,真実の教義が教えられない教会は役立ちません。天の御父のみもとと永遠の家庭に帰るようにわたしたちを導くことができないのです。

Ⅱ.神権の組織と秩序

わたしたちは,キリストの基本的な教義を理解し始めた後,信仰箇条の第5条第6条から神権の組織と秩序について学びます。主の指示の下で,ジョセフ・スミスは神権の権能,すなわち神の力を用いて救い主の教会を組織しました。末日聖徒イエス・キリスト教会は,キリストが地上におられた間に設けて指導された組織と同じものです。

1829年5月,ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリは,実に輝かしい日を迎えました。その日,彼らは,モルモン書の翻訳中に読んだ罪の赦しのためのバプテスマの教義について祈るために,森に入りました。1800年代の初めには,バプテスマについて多くの教えがいろいろな教会によって教えられており,ジョセフとオリバーはそれらの異なった教えがすべて真実であるはずがない,と確信していました。二人はバプテスマの正しい方法と,まただれがバプテスマを施す権能を持っているかについて知りたいと思いました。

彼らの主への嘆願に応じて,天からの使者,バプテスマのヨハネが姿を現しました。そして,彼らの頭の上に手を置き,次の言葉を述べて二人にバプテスマを施す権能を授けました。「わたしと同じ僕であるあなたがたに,メシヤの御名によって,わたしはアロンの神権を授ける。」(教義と聖約13:1

世界の歴史における何とすばらしい日でしょう。神権が地上に回復されたのです。

わたしたちは神権を受けるとき,神の御名によって行動し,真理と義の道に導く権能を受けます。この権能は,地上にいる神の子供たちにとって義の力と影響力の極めて重要な源であり,幕の彼方まで続くのです。イエス・キリストのまことの教会が組織される前に,神権が回復されることが必要でした。これが,信仰箇条の第5条第6条から学ぶ基本的な教えです。

Ⅲ.死すべき世の旅路における永遠の拠り所

続く3つの信仰箇条,第789条は,死すべき世の旅路で教えを受けるために利用できるよりどころについて述べています。わたしたちには,主の教えに従うときにわたしたちを導く,また悪からわたしたちを守る,霊的な賜物が与えられます。もう一つのガイドは聖文です。わたしたちが神の言葉を注意深く読むならば,神は永遠の命に至る道を明らかにしてくださいます。

信仰箇条の第9条は,神は過去,現在,未来にわたって神の預言者,聖見者,啓示者に多くの偉大で重要な真理を啓示される,と教えています。御霊の静かな細い声に耳を傾けることと聖文を読むことに加えて,導きを受けるもう一つの源は,教会の指導者たち,すなわち,教えを述べることによってわたしたちの生活に祝福をもたらすように選ばれ,召され,任命された人々であることが分かります。

IV.会員宣教師

信仰箇条の第101112条は,多くの国と様々な法律がある世界で伝道活動を行い,福音を分かち合う方法に関して教えています。わたしたちは救い主の再臨に備えるイスラエルの集合について学びます。人は男女を問わず自ら選択し行動する者であること,また自分の良心に従って神の言葉を受け入れることも拒むこともできるということを教えられます。最後に,地の四方にイエス・キリストの福音を広めるときに,わたしたちが入るそれぞれの国の政府を尊ばなければならないことを学びます。実にわたしたちは,それぞれの国の法律を守り,尊び,支えるべきことを信じているのです。

V.身に付けるように努める特質

信仰箇条第13条は,わたしたちはどのように生活し,ほかの人々にどう接するべきかについて特別な洞察を与えてくれます。こう述べられています。「わたしたちは,正直,真実,純潔,慈善,徳高くあるべきこと,またすべての人に善を行うべきことを信じる。実に,わたしたちはパウロの勧告に従うと言ってもよい。わたしたちはすべてのことを信じ,すべてのことを望む。わたしたちはすでに多くのことを堪え忍んできており,またすべてのことを堪え忍べるようにと望んでいる。どのようなことでも,徳高いこと,好ましいこと,あるいは誉れあることや称賛に値することがあれば,わたしたちはこれらのことを尋ね求めるものである。」

わたしたちは皆,これらの特質を身に付け,その模範となる生活をするように努めなければなりません。携帯電話の部品が互いに作用し合っているように,信仰箇条で教えられている真理は互いに関連し合っています。 携帯電話に部品を組み込む精巧な製造工程のように,信仰箇条は回復の鍵となる教義をわたしたちに提供します。それぞれの信仰箇条がイエス・キリストの福音を理解するのに固有の価値ある情報を加えているのです。

わたしの初等協会の教師は,王国の教義を研究する決意をわたしに抱かせてくれました。これらの簡潔な信仰箇条に含まれている,深い意味を追い求めるように教えてくれました。そして,これらの神聖な真理を学ぶことに時間をかければ,自分が得た知識で人生はより良く変わると約束してくれました。そして実際にそうなったことをわたしは証します。

ローガン峡谷のあの山で教師のすばらしい教えを受けた後,わたしたちは,予定よりも少し長い時間そこにいたことに気づきました。日暮れが近づき,わたしたちは一つの問題があることを理解しました。

教師はわたしたちの特別な場所に来るのに苦労しましたが,帰りには大変な困難が待ち受けていました。これは,遠出をした場所の選択に当たってわたしたちが思慮に欠けていたことを重ねて示すものでした。丘をよじ登って帰るのはわたしたちにとって大変でしたが,彼女の年齢の人にはもっと大変でした。

彼女が丘を登るのをわたしたちが懸命に助けていたとき,二人の警察官がやって来ました。わたしたちが道に迷ったのではないかと心配して,初等協会会長が捜索を依頼したのです。その劇的な出来事と教えられたレッスンによって,それはわたしの生涯における忘れられない経験となりました。

若い男性の皆さん,わたしは皆さんに,明晰な頭脳を用いて信仰箇条とそれが教えている教義を研究し学ぶようにお勧めします。それらは教会における最も重要で,確かに最も簡明な教義の声明の一つです。イエス・キリストの福音の研究に方向づけを与えるガイドとしてこれらを用いるならば,回復された真理についての証を世に述べる備えができることでしょう。末日聖徒イエス・キリスト教会の会員として大切にしている基本的な信条を易しく,率直に,心を込めて宣言できるようになるでしょう。

13の信仰箇条が真実であることに,わたしの証を付け加えます。わたしたちの主であり救い主であられるイエス・キリストの御名により,アーメン。