総大会
主はわたしたちの前を行き
2020年4月総大会


14:52

主はわたしたちの前を行き

主が主の福音と主の教会の回復を導いておられます。主は将来のことをすべて御存じで,皆さんをこの業に招いておられます。

愛する兄弟姉妹,皆さんとともに末日聖徒イエス・キリスト教会の総大会に参加でき感謝します。ラッセル・М・ネルソン大管長は,最後の神権時代における主の教会の回復が自分と愛する人々にどんな祝福をもたらしてきたか深く考えるようにという勧めの中で,その経験は記念になるだけでなく記憶に残るものになると約束しました。

わたしの経験は記念となっていますし,皆さんの経験もそうでしょう。それが記憶に残る経験になるかどうかは,わたしたち次第です。わたしにとっては,この大会に備えるという経験によって自分が変わり,そのような変化が続くことを望んでいるので,記憶に残るということが重要なのです。どういう意味か説明しましょう。

この大会への備えとしてわたしは,ある回復の出来事についての記録を読みました。この出来事についてはそれまでに何度も読んだことがありましたが,それはわたしにとって常に,回復の預言者ジョセフ・スミスが関わる重要な集会の報告書でしかありませんでした。しかし今回は,主が弟子であるわたしたちを教会で導かれる方法がその記録から見て取れたのです。わたしたち人間が,過去,現在,未来のすべてを御存じである世の救い主,創造主に導かれるとはどういうことなのかが分かりました。主は段階を追って教え導いてくださり,決して強制されることはありません。

わたしが話そうとしているこの集会は,回復においてきわめて重要な瞬間でした。それは,1836年4月3日,奉献されて7日後のオハイオ州カートランド神殿で開かれた安息日の集会です。ジョセフ・スミスは,世界の歴史上重要なこの出来事を,平易な言葉で説明しました。このときジョセフが語った言葉の多くは,教義と聖約第110章に記録されています。

「午後,わたしは,この日に聖卓での務めを果たす特権を与えられた十二使徒から主の晩餐を受けた後,管長たちを手伝って,それを教会員に配った。わたしは兄弟たちのためにこの務めをなし終えた後,オリバー・カウドリとともに教壇に退いて,幕を下ろし,身をかがめて厳粛に無言の祈りをささげた。そして,祈りを終えて立ち上がると,わたしたち二人に次の示現が開かれた。」1

「わたしたちの心から幕が取り去られ,理解の目が開かれた。

わたしたちは,主がわたしたちに面して教壇の手すりの上に立っておられるのを見た。その足の下には,こはくのような色の純金の床があった。

その目は燃える炎のようであり,その頭髪は清らかな雪のように白く,その顔は太陽の輝きに勝って光り輝いていた。また,その声,すなわちエホバの声は大水の奔流のとどろきのようで,このように言われた。

『わたしは最初であり,最後である。わたしは生きている者であり,殺された者である。わたしは父に対するあなたがたの弁護者である。

見よ,あなたがたの罪は赦されており,あなたがたはわたしの前に清い。それゆえ,頭を上げて喜びなさい。

あなたがたの兄弟たちの心を喜ばせ,わたしのすべての民の心を喜ばせなさい。彼らは力を尽くしてわたしの名のためにこの家を建てた人々である。

見よ,わたしはこの家を受け入れた。そして,わたしの名はここにあるであろう。わたしは憐れみをもってこの家でわたしの民にわたし自身を現すであろう。

まことに,わたしの民がわたしの戒めを守り,この聖なる家を汚さなければ,わたしは僕たちに現れて,わたし自身の声をもって彼らに語るであろう。

まことに,幾千幾万の人の心が,注がれる数々の祝福と,この家で僕たちに授けられるエンダウメントのゆえに,大いに喜ぶであろう。

そして,この家の名声は諸外国に広まるであろう。 これはわたしの民の頭に注がれる祝福の初めである。まことにそのとおりである。アーメン。』

この示現が閉じた後,天が再びわたしたちに開かれた。そして,モーセがわたしたちの前に現れ,地の四方からのイスラエルの集合と北の地からの十部族の導きの鍵をわたしたちにゆだねた。

この後,エライアスが現れ,わたしたちと子孫によってわたしたちの後の時代のすべての者が祝福を受けるであろうと述べて,アブラハムの福音の神権時代をゆだねた。

この示現が閉じた後,もう一つの大いなる栄えある示現が突如わたしたちに開かれた。死を味わうことなく天に取り去られた預言者エリヤが,わたしたちの前に立って言った。

『見よ,マラキの口を通して語られた時がまさに来た。』マラキとは,主の大いなる恐るべき日が来る前に彼〔エリヤ〕が遣わされ,

先祖の心を子孫に,子孫の心を先祖に向けさせ,全地がのろいをもって打たれることのないようにする,と証した人である。

『それゆえ,この神権時代の鍵はあなたがたの手にゆだねられている。これによってあなたがたは,主の大いなる恐るべき日が近く,まさに戸口にあるのを知ることができる。』」2

さて,わたしはこの記録を過去に何度も読んでおり,その記述が真実であるという証を聖霊から受けていました。しかし,この大会の準備のために研究しているうちに,主の業において弟子たちを細部にわたって導かれる主の力が,さらにはっきりと理解できるようになったのです。

カートランド神殿でモーセがイスラエルの集合の鍵をジョセフにゆだねる7年前,「ジョセフは,その目的が『​イスラエル​の​家​の​残り​の​者​に,……彼ら​は​とこしえ​に​捨てられない​と​いう​主​の​聖約​を,彼ら​に​分かる​よう​に​示す』こと​で​あることを,モルモン書のタイトルページから知ります。1831年,主はジョセフに,イスラエルの集合はカートランドで始まり,『そして​そこ​〔カートランド〕から,わたし​の​望む​者​が​すべて​の​国民​の​中​に​出て​行く​で​あろう。……イスラエル​は​救われ,わたし​は​……​彼ら​を​導く』と言われました。」3

伝道活動はイスラエルの集合のために必要だったものの,主は指導者らに霊感をお与えになり,教会初期に宣教師となった十二使徒たちにこう教えられました。「自身のエンダウメントを受けるまで,あなたがたは他の国々に行ってはならないことを覚えておきなさい。」4

カートランド神殿は段階を追った主の計画にとって,少なくとも次の二つの理由で重要だったようです。第一の理由は,神殿が完成してイスラエルの集合の鍵が回復できるようになるまでモーセが待っていたことであり,第二の理由は,ジョセフ・フィールディング・スミス大管長による次の教えでした。「主は聖徒たちに神殿〔カートランド神殿〕を建てるように命じられた。それは神殿で権能の鍵を明らかにし,使徒たちにエンダウメントを与えて,ぶどう園の最後の刈り込みをする備えをさせるためであった。」5カートランド神殿では今日わたしたちが知る神殿のエンダウメントは行われていませんでしたが,預言の成就として,備えの神殿の儀式が導入され始めていました。それとともに,ほとばしるような霊的な現れがあり,伝道に召された者たちはエンダウメントに約束された「高い所から〔の〕力」6 を受けて武装しました。その結果,伝道活動を通して大いなる集合が行われたのです。

イスラエルの集合の鍵がジョセフにゆだねられた後,主は十二使徒の会員を伝道に送り出すよう預言者ジョセフに霊感をお与えになりました。わたしが研究を進める中で,十二使徒が海外で伝道する方法を,主が事細かに用意しておられたということが明確になりました。海外には,十二使徒を信じ支持する備えのできた人々がいたのです。やがて何千もの人々が,十二使徒を通して主の回復された教会に入って来るようになります。

教会の記録によると,2度にわたった十二使徒によるイギリス諸島での伝道で,推定7,500人から8,000人がバプテスマを受けています。これがヨーロッパでの伝道の基盤となったのです。19世紀末までにアメリカに集合した9万もの人々の大半が,イギリス諸島とスカンジナビアから来た人々でした。7主は,行って刈り入れを行うよう,ジョセフとこの忠実な宣教師たちに霊感を与えられました。当時この刈り入れは途方もないことに思えたはずです。しかし,将来を完全に見通して準備しておられた主が,それを可能にされました。

皆さんは,教義と聖約第110章にある,一見簡潔で,まるで詩のような言葉を覚えているでしょう。

「『見よ,マラキの口を通して語られた時がまさに来た。』マラキとは,主の大いなる恐るべき日が来る前に彼〔エリヤ〕が遣わされ,

先祖の心を子孫に,子孫の心を先祖に向けさせ,全地がのろいをもって打たれることのないようにする,と証した人である。

『それゆえ,この神権時代の鍵はあなたがたの手にゆだねられている。これによってあなたがたは,主の大いなる恐るべき日が近く,まさに戸口にあるのを知ることができる。』」8

主がはるか先の未来を見通され,末日に主の目的を成し遂げる助けをさせるためにわたしたちをどう導けばよいのか御存じだったことを,わたしは証します。

以前わたしは,管理ビショップリックで奉仕していたときに,ファミリーサーチと名付けたものを構築する設計・開発グループを監督する責任を受けました。わたしは,その構築を「指示した」とは言わず「監督した」とあえて言うように気をつけています。多くの優秀な人たちが,自分の仕事を離れて,主の望まれたものを築くために集まりました。

大管長会は,儀式の重複を減らすという目標を掲げていました。ある人の儀式がすでに行われているかどうかをわたしたちが確認できないというのが大きな懸案事項だったのです。「いつになったら終わりますか」と,大管長会から長年,または長い年月に思える期間,聞かれました。

高い能力を持つ人たちの祈りと努力と個人的な犠牲のおかげで,この目標は達成されました。作業は段階を追って進んでいったのです。最初に行ったのは,ファミリーサーチをコンピューターの苦手な人にとって使いやすいものにすることでした。様々な変更がありましたし,今後もあることでしょう。というのは,霊感を受けて問題が一つ解決する度に,次の扉が開いてさらに啓示が降り,同等かそれ以上に重要でありながらこれまでは見えていなかった進歩への道が示されるからです。今日でもファミリーサーチは,重複を避けるという目的以外でも,回復の業の一部として主が必要としておられるものとなっています。

主がこの改善をわたしたちにさせられた目的は,人々が先祖に親しみを感じ,さらには愛を持てるようになり,先祖のために神殿の儀式を行うようにさせるためでした。さて,主が間違いなく御存じだったように,今や若者たちが親やワードの会員たちのコンピューターの相談に乗ってくれるようになっています。この奉仕に,皆が喜びを感じています。

エリヤの霊が,若い者や年老いた者,子供や親,孫や祖父母の心を変えています。神殿は間もなく再び,喜んでバプテスマやその他の神聖な儀式のスケジュールを組むようになるでしょう。自分の先祖に仕えたいという望みと,親子の結びつきは強くなっています。

こうなることを,主はすべて御存じでした。主は,教会のその他の変更と同じく,この変化のために計画を立て,段階を追って準備されたのです。難しいことを自ら進んで首尾よく成し遂げる忠実な人々を育て,備えておられます。主はわたしたちが「教え​に​教え,​訓戒​に​訓戒​を​加えて」学べるよう,9常に愛をもって忍耐強く助けてくださいます。主は確かに御心をなし遂げられるタイミングと順序をお持ちであり,しばしば犠牲から思わぬ祝福が継続してもたらされるようにしてくださいます。

主への感謝を述べてこの話を閉じます。主はネルソン大管長に霊感をお与えになり,大管長は犠牲を払ってこの大会に備えるようにと勧めました。わたしは準備する間,どんなときでも,祈る度に祝福を頂きました。

このメッセージを聞くすべての人,読むすべての人にお勧めします。主の福音と主の教会の回復を主が導いておられることを信じてください。主はわたしたちの前を行き,将来のことをすべて御存じで,皆さんをこの業に招き,この業において皆さんとともに働き,皆さんが行う奉仕の計画を整えておられます。そして,人々が立ち上がり主の再臨に備えるのを助けるとき,たとえ犠牲を払おうとも,皆さんは喜びを感じることでしょう。

天の御父が生きておられることを証します。イエスはキリストであられます。この教会はキリストの教会です。主は皆さんを御存じで,愛してくださっています。皆さんを導き,皆さんのために道を備えてくださったのです。イエス・キリストの聖なる御名により,アーメン。