総大会
メルキゼデク神権とその鍵
2020年4月総大会


14:21

メルキゼデク神権とその鍵

教会では,神権の権能はその神権の鍵を持つ神権指導者の指示の下に行使されます。

神の神権についてさらにお話しすることにします。すでに3人の話者がこのテーマについてお話しし,神権がどのように女性や若い女性,そして若い男性の生活に祝福をもたらすかについて教えてくださいました。

神権は,すべての神の子供たちの益となるよう神の御業のために用いられるという信頼の下保持されている神の力と権能です。神権とは,神権の職に聖任された人や,その権能を行使する人のことではありません。神権を保持する男性は神権ではありません。聖任された男性を神権と呼ぶべきではありませんが,神権を保持する人,すなわち神権者と呼ぶことは適切です。

神権の力は,教会と家族という組織のどちらにも存在します。しかし,教会における神権の力と神権の権能は,家族の中とは異なる方法で機能します。これらはすべて,主が定められた原則にのっとっています。神の計画の目的は,神の子供たちを永遠の命へ導くことです。現世の家族は,この計画に不可欠です。教会が存在する目的は,家族関係を永続させるために必要な教義と権能と儀式を提供することです。このように,家族という組織とイエス・キリストの教会は,互いに強め合う関係にあります。神権の祝福は,男性にも女性にも同様に授けられます。例えば,完全な福音,バプテスマと確認,聖霊の賜物を受けること,神殿のエンダウメント,永遠の結婚などがそうです。1

ここで述べる神権とは,福音の回復の初期に回復されたメルキゼデク神権のことです。ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリは,ペテロ,ヤコブ,ヨハネにより聖任されました。3人は「王国の鍵と時満ちる神権時代の鍵を持っている」と自ら宣言しました(教義と聖約128:20)。この先任使徒たちは救い主御自身からこの権能を授かりました。そのほかすべての神権の権能や職は,メルキゼデク神権に付属するものです(教義と聖約107:5参照)。なぜなら,それは「管理する権利を有し,この世のあらゆる時代に,教会におけるすべての職を管理〔する〕……力と権能を持つ」からです(教義と聖約107:8)。

教会において,大神権,すなわちメルキゼデク神権の権能,および小神権,すなわちアロン神権の権能は,ビショップや会長といった,その神権の鍵を持つ神権指導者の指示の下に行使されます。教会における神権の権能の行使について理解するには,神権の鍵の原則を理解しなければなりません。

王国のメルキゼデク神権の鍵は,ペテロ,ヤコブ,ヨハネによって授けられましたが,それによって神権の鍵の回復が完了したのではありませんでした。神権の鍵の幾つかは後に授けられました。先ほどアイリング管長が見事に説明したように,オハイオ州カートランドに建てられた,この神権時代の最初の神殿の奉献の後に,3人の預言者,モーセ,エライアス,エリヤが「この神権時代の鍵」を回復しました。それには,イスラエルの集合と主の神殿の業に関する鍵が含まれていました(教義と聖約110章参照)。

最もなじみのある鍵の機能の例は,神権の儀式の執行です。儀式とは,聖約を交わし,祝福を約束することを示す厳粛な行為です。教会において,すべての儀式はその儀式の鍵を持つ神権指導者の権能の下に執行されます。

儀式は,最も一般的には,神権の鍵を持つ人の指示の下に,神権の職に聖任されている人によって執行されます。例えば,アロン神権の様々な職を保持する人々は,アロン神権の鍵を持つビショップの鍵と指示の下に聖餐を執り行います。同じ原則が,神殿で女性が執り行う神権の儀式にも適用されます。女性は神権の職に就いてはいませんが,神殿儀式の鍵を持つ神殿会長の権能の下に神聖な神殿儀式を執行します。

鍵を持つ人の指示の下で神権の権能を行使するもう一つの例は,福音を教えるよう召された男女が,ホームワードや伝道地でクラスを教えることです。その他の例としては,ワードで指導的立場にある人々です。彼らはワードやステークで鍵を保持する神権指導者の按手任命と指示の下,召しを受けた指導者として神権の権能を行使します。末日聖徒イエス・キリスト教会では,神権の権能と力はこのように行使され,享受されています。2

神権の権能は末日聖徒の家族の中でも行使され,その祝福が現実のものとなっています。ここで言う家族とは,神権を持つ男性と結婚している女性,そしてその子供たちのことです。死別や離婚により理想的な家族関係が変化した形態も含まれます。

神権の権能はその働きの鍵を持つ者の指示の下でしか行使できないという原則は,教会において基礎となるものですが,これは家族については当てはまりません。例えば父親は,その人が持つ神権の権能により家族の中で管理し,神権を行使します。父親は,家族における様々な父親としての役割を果たすために,神権の鍵を持つ人の指示や承認を必要としません。例えば,家族に助言し,家族の集まりを持ち,妻や子供に神権の祝福を授け,家族やほかの人に癒しの祝福を施すことなどがこれに含まれます。3教会の指導者は家族を教えますが,家族における神権の権能の行使を指示することはありません。

同様の原則は,父親がおらず母親が家族の導き手である場合にも当てはまります。母親は家庭を管理し,神殿のエンダウメントと結び固めを通して神権の力と祝福を家族にもたらす担い手となります。母親は,神権の特定の職にある人にしか授けることのできない神権の祝福を授ける権能は持っていませんが,家族の導き手としてそのほかすべての機能を果たすことができます。そうすることにより,家族の導き手という立場で管理する子供たちの益となるよう,神権の力を行使するのです。4

父親たちが自分の家族の中で神権を尊んで大いなるものとするならば,ほかに行うことと同様に教会の使命に貢献していることになります。メルキゼデク神権を持つ父親は,「説得により,寛容により,温厚と柔和により,また偽りのない愛により」権能を行使するべきです(教義と聖約121:41)。あらゆる神権の権能の行使に関するこの高い標準は,家族の中で最も大切です。神権者は戒めを守る必要もあります。そうすることで,家族に祝福を授けるために必要な神権の力を持つようになるのです。また,家族が父親に祝福を求めて来るようになるために,愛に満ちた家族関係を培う必要があります。両親は家族がさらに神権の祝福を受けられるよう励ますべきです。5

この大会を構成する集会において,衝撃的なパンデミックに対するこの世の不安からの避け所を求めるときに,永遠の大いなる原則が教えられてきています。わたしたちの目が「正しく」見えるようにし永遠の真理を受け入れるよう,皆さん一人一人にお勧めします。そうするならば,わたしたちの体に「光が満ちる」でしょう(3ニーファイ13:22)。

聖書とモルモン書に記録されている群衆への説教の中で,救い主は死すべき体が光に満たされることも,暗闇に満ちることもあると教えられました。もちろん,わたしたちは光に満たされたいと望んでいます。救い主はそれを実現させる方法を教えられました。わたしたちは,永遠の真理に関するメッセージに耳を傾けるべきです。救い主は目を例に取って,目を通して光を肉体に取り入れることを教えられました。「目​が​正しく​見て​いれ​ば」,つまり,光と理解を得ることに集中するならば,「全身に光が満ちる」と主は説明されました(3 ニーファイ13:22マタイ6:22も参照)。しかし,「目が悪を見ていれば」,つまり悪に目を向けてそれを体に取り入れるならば,「全身に暗闇が及ぶ」と主は警告されました(3ニーファイ13:23)。言い換えると,体内に光があるか暗闇があるかは,教えられる永遠の真理にどのように目を向けるか,また受け入れるかによるのです。

わたしたちは,永遠の真理を理解するために探し求めるようにという救い主の招きに従うべきです。天の御父はすべての人に,彼らが求める真理を惜しみなく教えてくださると,主は約束しておられるのです(3ニーファイ14:8参照)。もしもそれを望み,真理を受けるためわたしたちの目が正しく見えるようにするならば,永遠の真理は「開かれるであろう」と約束しておられます(3ニーファイ14:7-8参照)。

対照的に,サタンはわたしたちの考えを混乱させ,神の神権の働きといった重要な事柄についてわたしたちを迷わせようと躍起になっています。救い主は,そのような「偽預言者に気をつけなさい。彼らは羊の衣を着てあなたがたのところに来るが,その内側は強欲なおおかみである」と警告されました。(3ニーファイ14:15)。主は,わたしたちが,混乱をもたらす様々な教えの中から真理を選び取ることができるよう,この試しを与えられました。「あなたがたは,その実によって彼らを見分けるであろう」と教えておられます(3ニーファイ14:16)。「良い木が悪い実を結ぶことはないし,悪い木が良い実を結ぶこともあり得ない。」(18節)したがって,わたしたちは,教えられている原則と,それらを教えている人の結果,すなわち「実」に目を向けなければなりません。それは,教会やその教義,方針,指導者に対する多くの反対への最良の答えです。救い主が教えられた試しに従いましょう。実,すなわち結果に目を向けましょう。

福音と回復されたイエス・キリストの教会の実について考えてみると,現在の会員が生きている間に,アメリカ西部の山岳部に位置する地域の教会から,1,600万人を超える会員の半数以上がアメリカ国外に住む教会へと拡大したことに喜びを覚えます。その成長により,会員を支援するという教会の能力が増していることを実感しています。わたしたちは,戒めを守り,回復された福音を宣べ伝える責任を全うし,イスラエルを集合させ,世界中に神殿を建てるということを支援しています。

わたしたちは預言者であるラッセル・M・ネルソン大管長に導かれています。主は預言者の指導力をお使いになり,わたしたちが実感してきたこの進歩を2年を超える大管長の在任期間で成し遂げられました。今晩わたしたちは,このチャレンジに満ちた時代に,この回復されたイエス・キリストの教会でわたしたちがさらに進歩する方法を教えるネルソン大管長に耳を傾ける機会に恵まれています。

これらのことが真実であることを証します。また,これから話をする預言者のために皆さんとともに祈ります。イエス・キリストの御名により,アーメン。