2023
栄光の王国
2023年11月号


16:13

栄光の王国

わたしたちには,わたしたちの個々の望みや選択の範囲の中で,あらゆる祝福や利益を受けられるよう取り計らってくださる,愛にあふれる天の御父がおられます。

末日聖徒イエス・キリスト教会の会員は,「あなたの教会は,ほかのキリスト教の教会とどのように違うのですか」と尋ねられることが頻繁にあります。その答えとして,「イエス・キリストの完全な教義がある」と伝えることがあります。その教義で何よりも重要なのは,わたしたちの天の御父が御自分のすべての子供たちを心から愛しておられるため,わたしたち全員が永遠に栄光の王国で暮らすよう望んでおられるという事実です。さらに御父は,わたしたちが御自身や御子イエス・キリストとともに永遠に暮らすよう望んでおられます。御父の計画はわたしたちに教えと選択する機会を与えてくださり,わたしたちが選ぶ行く末と人生を確かなものとしてくださいました。

Ⅰ.

現代の啓示から,わたしたちは地上で暮らすあらゆる人の最終的な行く末は,義人は天国へ,それ以外の人は地獄で永遠に苦しむという不十分な思想とは異なるものであると知っています。神による子供たちのための愛に満ちた計画には,「わたしの父の家には,すまいがたくさんある」1という救い主イエス・キリストが教えられた事実が含まれています。

回復された末日聖徒イエス・キリスト教会に明らかにされた教義では,すべての神の子供たちは(非常にまれなためここで取り上げない例外を除き),最終的に3つの栄光の王国のうちの一つを受け継ぎ,その最も低い王国でさえ「人知ではとうてい計り知れないもの」2だと教えられています。不従順な人々がその罪のために苦しむ期間があり,その苦しみは後に続く出来事への備えとなります。その後,皆が復活し,主イエス・キリストの最後の裁きへと進むことになります。そこで,愛に満ちた救い主であり,「御父の栄光を現し,……その御手によって造られたすべての者を救われる」3と教えられているこの御方が,神の子供たち全員を,個々の選択によって示した望みに応じて,これらの栄光の王国のいずれかに送られます。

この回復された教会特有のもう一つの教義と慣行は,啓示により明らかにされた戒めと聖約です。それらにより,神のすべての子供たちに,日の栄えの王国で最高の栄光を受けるにふさわしくなるという神聖な特権が与えられます。その至高の行く末,すなわち日の栄えの王国における昇栄こそが,末日聖徒イエス・キリスト教会が重点を置いていることなのです。

現代の啓示により,末日聖徒は神が御自分の子供たちに用意された幸福の計画について特有の理解を得ています。その計画は,わたしたちが生まれる前に霊として生きていたことから始まり,わたしたちが選んだ現世での旅の目的と条件,望みに応じたその後の行く末について明らかにしています。

Ⅱ.

わたしたちは現代の啓示から,「すべての王国には律法が与えられて〔おり〕」,4最後の裁きで受ける栄光の王国は,この現世での旅で自らが従うことを選んだ律法によって決まることを知っています。その愛に満ちた計画の下,複数の王国(多くの住まい)が存在し,すべての神の子供たちが,その律法に無理なく「従う」ことのできる栄光の王国を受け継ぐことになります。

御父の計画における3つの王国の特性と条件について説明するに当たり,まずは神が末日聖徒イエス・キリスト教会を通して明らかにされた神聖な戒めと儀式の中心である,最高の王国から説明することにしましょう。「日の栄え」の栄光5には3つの階級があり,6そのうち最も高い階級が日の栄えの王国における昇栄です。ここは,「御父の完全と御父の栄光を受けた」人々の住まいであり,「彼らは神々,すなわち神の〔息子娘〕」7であって,「とこしえにいつまでも神とそのキリストの前に住む」8人々です。神は啓示を通して,神から授かったこの可能性を発揮するうえで必要となる,神性の特質を伸ばすために守らなければならない永遠の律法と儀式,聖約を明らかにされています。末日聖徒イエス・キリスト教会は,それらのことに重点を置いています。なぜなら,この回復された教会の目的は,神の子供たちが日の栄えの栄光において救われるよう備えること,特に最高の階級である昇栄を得られるよう備えることだからです。

永遠の真理に基づく神の計画において,昇栄は,聖なる神殿で行われる男女間の永遠の結婚の聖約に忠実であることによってのみ得られるものと定められています。9この結婚の機会は,最終的にはあらゆる忠実な人々にもたらされます。だからこそわたしたちは,「性別は,人の前世,現世および永遠の状態と目的にとって必須の特性」10だと教えているのです。

昇栄に備える助けとなる,ほかにはない貴重な教えが,1995年に表明された,家族に関する宣言11です。この宣言では,父なる神と御子イエス・キリストとともに暮らす備えとなる要件が明確にされています。御父が子供たちのために備えられた,愛に満ちた計画を十分に理解していない人々にとっては,この家族の宣言は単に,変更可能な方針の声明にしか思えないかもしれません。対照的に,わたしたちはこの家族の宣言が,変更されることのない教義にのっとったものであり,わたしたちが永遠の進歩をするうえで最も重要な場である,この世の家族関係とはどのようなものかを定義していることを確信しています。

使徒パウロは,3つの栄光の階級を,日と月と星の栄光にたとえて説明しています。12そして,最高の階級を「天に属するものの栄光」(「日の栄光」)と呼び,2番目の階級を「地に属するものの栄光」(「月の栄光」)と呼んでいます。13パウロは最も低い階級の名前は挙げておらず,ジョセフ・スミスが啓示によって「星の栄え」という名前を加えました。14別の啓示では,栄光の王国の各階級に割り当てられる人々の性質についても述べられています。「日の栄えの王国の律法に従〔う〕」15ことを選ばない人々は,別の栄光の王国,日の栄えの王国よりも劣るものの,自分が選んだ律法に適した,無理なく「従う」ことのできる王国を受け継ぐことになります。聖文によく出てくる,abideという英単語は,安心できる場に配置するという意味があります。16例えば,月の栄えの王国(一般的な「天国」という概念に当たる)に住む人々は,「御子の臨在は受けるが,御父の完全は受けない」17人々です。この人々は,「世の高潔な人々でありながら,人間の悪巧みによって目をくらまされ」,18「イエスの証に雄々しくない」19人々です。

最も低い栄光の王国である星の栄えの王国に割り当てられる人々について明らかにされている説明によれば,この人々は,「月の栄えの栄光に堪えられない」20人々です。これは,救い主を拒み,自分の行動において神が定められた限度を守らなかった人々を指しています。ここは,悪人が自らの罪のために苦しんだ後に住む王国です。現代の啓示では,この人々は次のように描写されています。「これらは,キリストの福音を受け入れず,イエスの証も受け入れなかった者である。……

これらは,偽りを言う者,魔術を使う者,姦淫を行う者,みだらな行いをする者,また偽りを好んで行う者である。」21

3つの栄光の王国について,預言者としての視点から,ラッセル・M・ネルソン大管長は最近次のように記しています。「現世での生涯は,永遠に比べればほんの一瞬に過ぎません。しかし,何と重要な一瞬なのでしょう。どんな仕組みなのかよく考えてみましょう。皆さんは現世にいる間に,日の栄え,月の栄え,星の栄えの王国のどの律法に従うのかを自分で選ぶことができます。つまり,どの栄光の王国で永遠に生きるかを自分で選ぶのです。何という計画なのでしょう!皆さんの選択の自由を全面的に尊重する計画なのです。」22

Ⅲ.

使徒パウロは,主の教えや戒めが与えられたのは,わたしたち皆が「キリストの満ちみちた徳の高さ」23まで至るためだと教えています。その過程には,単に知識を得ること以上のことが求められます。福音に対して確信を得るだけでは不十分です。福音によって改心するように行動しなければなりません。何かを知るようにと説くほかの教えとは対照的に,イエス・キリストの福音は,何かになるよう求めます。

わたしたちはそうした教えから,最後の裁きとは,単に善い行いと悪い行いの総計,つまり自分が何を行ったかを評価するものではないという結論にたどり着きます。これは,自分の行いと思いがもたらす最終的な結果,つまり自分がどのような人物になったかによるものなのです。わたしたちは改心という過程を経て,永遠の命にあずかる資格を得ます。ここで使われているように,様々な意味を持つ「改心」という言葉は,性質の本質的な変化を意味します。だれであっても,形だけ行っているだけでは不十分です。福音の戒めと儀式,聖約は,天の口座に預け入れなければならない項目のリストではありません。イエス・キリストの福音は,天の御父がわたしたちに望んでおられる人になるための方法を示す設計図なのです。24

IV.

イエス・キリストと主の贖罪のおかげで,この世で至らない点があっても,悔い改めて,天の御父がわたしたちに望まれる人へと至る聖約の道に再び戻ることができます。

モルモン書は,「現世は〔わたしたち〕が神にお会いする用意をする時期である」25と教えています。しかし,現在教義と聖約138章に記されている,主がジョセフ・F・スミス大管長に明らかにされた啓示により,そうした「現世」における困難な制約に対し,(少なくとも一部の人にとってある程度)希望に満ちた展望が与えられています。この預言者は次のように記しています。「わたしは,この神権時代の忠実な長老たちが,死すべき世を去っても彼らの働きを続け,死者の霊たちの大いなる世界において暗闇と罪の束縛の下にいる者たちの間で,悔い改めと神の独り子の犠牲による贖いの福音を宣べ伝えているのを見た。

悔い改める死者は,神の宮の儀式に従うことによって贖われるであろう。

彼らは自分の背きの代価を支払い,洗われて清くなった後,その行いに応じて報いを受けるであろう。彼らは救いを受け継ぐ者だからである。」26

さらに,わたしたちは,福千年と呼ばれる,救い主の再臨の後に続く千年間が,現世で儀式を受けていない人々のために必要な儀式を行う時となることも知っています。27

救いの計画における(1)前世,(2)現世,(3)来世という3つの主要な期間について,またそれらの相互関係について,まだわたしたちが知らないことはたくさんあります。しかしわたしたちは,「救いは個人の問題〔だ〕が,昇栄は家族の問題」28だという永遠の真理を確かに知っています。わたしたちには,わたしたちの個々の望みや選択の範囲の中で,あらゆる祝福や利益を受けられるよう取り計らってくださる,愛にあふれる天の御父がおられます。わたしたちは,御父がだれにも,本人の意思に反して結び固めの関係を結ぶよう強いられることはないことも知っています。結び固められた関係による祝福は,聖約を守る人すべてに保証されますが,ふさわしくない人や望まない人に,結び固めの関係を強いることは決してありません。

愛する兄弟姉妹の皆さん,これらのことが真実だと証します。わたしたちの「信仰の導き手であり,またその完成者である」29主イエス・キリストの贖罪が,天の御父の計画の下ですべてを可能にすることを証します。イエス・キリストの御名により,アーメン。