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第14課-1ニーファイ12-13章


第14課

1ニーファイ12-13章

はじめに

ニーファイは地上における救い主の業とあがないを示現で見た後,義にかなった世代が4代続いた後に彼の子孫が高慢になり,悪魔の誘惑に屈し,滅亡するのを見た。また,大きな忌まわしい教会の中でサタンに従う者たちの邪悪な行いを見た。彼らは聖書から分かりやすくて貴い真理を取り去り,それによって多くの人々を霊的につまずかせた。これらの悲惨な光景を見せられたにもかかわらず,ニーファイは示現の中に大きな希望を見いだした。終わりの時に神が福音を回復する方法を用意しておられるのを見たからである。また,自分の民の記録(モルモン書)が終わりの時に現れて,世から失われていた分かりやすくて貴い真理が回復されるのをの当たりにした。

注意-このレッスンの内容すべてを教えるだけの時間がないかもしれない。準備に当たって,レッスンのどの部分が生徒にとって最も重要であり,関連が深いかを知るために聖なるたまの導きを求める。最も大切な教義と原則を教える時間を十分に取るために,一部を要約して教える必要があるかもしれない。

教え方の提案

1ニーファイ12章

ニーファイ,ニーファイ人とレーマン人の将来を見る

1ニーファイ12章の要約として,この章はニーファイの示現の続きであることを説明する。ニーファイはここで,命の木の示現の象徴は自分の子孫にどのように当てはまるかを天使から示された。一部の子孫は贖いのすべての祝福を受けることを教わった。しかし,最終的に彼の子孫は兄たちの子孫(レーマン人)によって滅ぼされることを知った。生徒に1ニーファイ12:16-19を読んでもらう。そして,ニーファイ人が滅ぼされる理由を探すように言う(1ニーファイ12:19参照)。イエス・キリストを信じる信仰を働かせるならば,高慢と誘惑に打ち勝つことができるということを生徒に思い起こさせる。

1ニーファイ13:1-9

ニーファイ,大きな忌まわしい教会を見る

スポーツをしている生徒に手を挙げてもらう。何人かにどのようなスポーツをしているのかを尋ねる。団体競技では相手チームの過去の試合や戦略を研究することがしばしばあることを説明する。

  • 試合の前に相手の戦略を研究することはなぜ有益なのでしょうか。

ニーファイは終わりの時にイエス・キリストの教会に敵対する人々の望みと戦略を示現の中で見たことを説明する。本章の研究を通じてそれらの戦略を探し,それらに気づいて,欺かれないようにするよう生徒に勧める。

何人かの生徒に,1ニーファイ13:1-4,6を順に読んでもらう。一人の生徒に,ニーファイが見た,末日の異邦人の間にどのようなグループが形成されるかを見つけるように言う。

生徒がこれらの節の内容を理解するよう助けるために,十二使徒定員会のブルース・R・マッコンキー長老の次の解説を紹介する。注意して耳を傾け,大きな忌まわしい教会の定義を確認するよう生徒に言う。

悪魔の教会および大きな忌まわしい教会という名称は,名称や種類にかかわらず,政治,哲学,教育,経済,社会,友愛,社会習慣あるいはどのような宗教上の名称や実体であろうと,神と神の律法から人々を引き離し,それによって神の王国における救いから遠ざけることを目的とするすべての組織の総称である。」(Mormon Doctrine, 第2版〔1966年〕,137-138)

「大きな忌まわしい教会」は特定の宗派や教会を指すものではないことを明確にする。それは,人々を神と神の律法から引き離すことを目的としているあらゆる組織を指す。

各自の聖典の1ニーファイ13:6に近い余白に,次の言葉を記入するよう生徒に勧めるとよい。「人々を神と神の律法から引き離すことを目的としているすべての組織。」

  • サタンはわたしたちを神と神の律法から引き離すために自分の軍勢を組織しています。このことを知っておくことが重要なのはなぜでしょうか。

ニーファイは大きな忌まわしい教会について述べていることを説明する。一人の生徒に,1ニーファイ13:5-9を読んでもらう。

  • 大きな忌まわしい教会に属する人々は,どのようなことを望んでいるのでしょうか。(1ニーファイ13:7-8参照)

  • 1ニーファイ13:5,9によれば,大きな忌まわしい教会に属する人々は何を成し遂げようとしているのでしょうか。それはなぜですか。(次の真理をホワイトボードに書くとよい。「サタンとその軍勢は神の聖徒たちを殺し,彼らを囚われの身に陥れることを求めている。」

  • サタンとその軍勢の望みと意図を知ることは,彼らと戦ううえでどのように助けとなるでしょうか。

本章の後の部分で,大きな忌まわしい教会が神を求める人々を滅ぼそうとする一つの方法について学ぶことを生徒に伝える。

1ニーファイ13:10-19

ニーファイ,福音が回復される自由の地が神の手によって確立されるのを見る

大きな忌まわしい教会が人々を霊的につまずかせようとしても,神の業が前進することを主が約束しておられることを証する。その約束を果たすため,主は御自身の福音の回復の道を備えられた。

次の文章はニーファイが示現で見た重要な出来事を要約したものである。1ニーファイ13:10-19を読んで,参照箇所とそこで述べられている出来事を線で結ぶように生徒に言う。(クラスが始まる前に,参照箇所とそこで述べられている出来事をホワイトボードに掲示しておくか,配付資料を作成しておくとよい。以下の参照箇所と文章は正しく並べられている。この活動を実施するには,ホワイトボードに掲示したり配付資料を用意する際に,聖句と文章の順番を変える必要がある。)

1ニーファイ13:12コロンブスがアメリカ大陸へ渡る

1ニーファイ13:13ピルグリム(イギリスの清教徒)が,宗教の自由を求めてアメリカ大陸へ渡る

1ニーファイ13:14アメリカ先住民は自分たちの地から追い出される

1ニーファイ13:15異邦人はアメリカ大陸で栄える

1ニーファイ13:16-19アメリカ革命軍は数において劣るが,勝利する

生徒の答えを聞いたら,聖典の各節に近い余白にキーワードを記入するよう生徒に勧めるとよい。例えば,1ニーファイ13:12の付近に「コロンブス」と書く。

  • 1ニーファイ13:12によれば,コロンブスはなぜアメリカ大陸へ航海したのでしょうか。

  • 1ニーファイ13:13によれば,ピルグリムはなぜアメリカへ移民したのでしょうか。

  • 1ニーファイ13:15-19によれば,異邦人はなぜ繁栄し,「ほかのすべての国民から」独立を勝ち得たのでしょうか。

一人の生徒に,ジョセフ・F・スミス大管長の次の言葉を読んでもらう。

「全能者の万能の手により興されたこの大いなる国アメリカは,終わりの時に,神の王国を地上に設立することが可能な国であった。この輝ける国の基を置き道を備えるということを,もし主がなさらなかったとしたら,(世の君主政体の厳格な法律と偏見の中で)主の大いなる王国の基を置くことは不可能であったろう。主はこれを成し遂げられた。」(Gospel Doctrine, 第5版〔1939年〕,409)

次のことをあかしする。宗教の自由を持つ国が確立し,御自身の教会を回復することによって,「主は回復への道を備えられた。」回復された福音をあらゆる国に届ける方法を主が備えてこられたことと,今後も備えていかれることを証する。

アメリカ合衆国以外の国でこのレッスンを教える場合は,次の質問をする。

  • 回復された福音をわたしたちの国にべ伝えるために,主はどのような方法を備えられたでしょうか。

1ニーファイ13:20-42

ニーファイ,異邦人が将来,聖書,モルモン書,末日の聖典を持つのを見る

一人の生徒に,1ニーファイ13:20-24を読んでもらい,その生徒に尋ねる。「ニーファイはアメリカの初期の移住者が携えていたある物が『彼らの中で広まる』のを見ました。そのある物とは何でしょう。」聖書をかざして,ニーファイが示現で見たのはこの書物であることを説明する。1ニーファイ13:20に近い余白に「聖書」と記入するように勧めるとよい。

天使はニーファイに,聖書は「大いに価値のある」記録であると教えたことを説明する(1ニーファイ13:23)。聖書の啓示が最初に記録されたとき,そこには「主の完全な福音が載って」いました(1ニーファイ13:24)。一人の生徒に,1ニーファイ13:26-27を読んでもらう。

  • 大きな忌まわしい教会は聖書から何を取り去ったのでしょうか。それらはなぜ取り去られたのですか。

もう一人の生徒に,1ニーファイ13:29を読んでもらう。

  • 分かりやすくて貴い部分と主の聖約の多くが聖書から取り去られた結果,何が起きたでしょうか。

4人の生徒に,1ニーファイ13:34-36,39を順に読んでもらう。大きな忌まわしい教会からの影響力に打ち勝つよう民を助けるために,主が行われることを見つけるようクラス全体に言う。

  • 1ニーファイ13:34によれば,主はそのあわれみにより何をもたらしてくださるのでしょうか。

  • 1ニーファイ13:35-36によれば,異邦人にもたらすために何が「隠される」のでしょうか。(「これらのこと」とはモルモン書を指すことを1ニーファイ13:35に近い余白に記入するよう勧めるとよい。)

  • 1ニーファイ13:39によれば,主は終わりの時にモルモン書以外に何を明らかにされるでしょうか。回復にあたって主はどのような「ほかにも幾つかの書物」を授けられたでしょうか。(教義と聖約,高価な真珠,聖書のジョセフ・スミス訳)

生徒に1ニーファイ13:40-41を読んでもらう。回復の聖典が何をあらゆる人に知らせると述べているか探すよう生徒に言う。生徒が見つけたら,モルモン書をかざして,この書物が真実であることについてあなたの証を述べる。また,モルモン書を聖書とともにかざして見せる。次のことについて証する。「モルモン書と末日の聖典は,分かりやすくて貴い真理を回復し,イエス・キリストが神の御子であることを教え,神のもとへ行く方法を知らせてくれる。」

1ニーファイ13:41の最後の部分から,ユダヤ人の記録(聖書)とニーファイの子孫の記録(モルモン書)を主がどうされるかについて述べている箇所を生徒に探すように言う。これらの記録は救い主のもとへ行く方法をはっきりと教えるため「一つに合わせられ」(1ニーファイ13:412ニーファイ3:12)ることを証する。

分かりやすくて貴い真理の回復がどれほど生活に影響を及ぼしているかを生徒に理解させるため,次の質問について考えてもらう。

  • モルモン書はこれまでどのように,イエス・キリストに対するあなたの証に影響を与え,あなたがキリストに近づけるように助けてきたでしょうか。

生徒に考える時間を与えてから,何人かの生徒に答えを発表してもらう。モルモン書に対するあなたの証を分かち合い,モルモン書がイエス・キリストに対する証をどのように強め,キリストに近づく方法を教えているかについて証を述べるとよい。クラスを終えるときに,年間を通じてモルモン書を研究し,イエス・キリストに対する証を強め,キリストに近づく方法を教えてくれる教えと出来事に目を向けるよう生徒に奨励する。

注釈と背景情報

1ニーファイ12-14章。概要

以下の表は神の王国が地上に確立される過程で起きた重要な出来事を示している。

歴史的な出来事

1ニーファイ13章。モルモン書中の「異邦人」という言葉は何を意味しているでしょうか。

「異邦人」とは「民」を意味する。(1)イスラエルの家に属さない人々,(2)血統にかかわりなくイスラエルの神を信じない人々,福音をもっていない人々,(3)ユダの地出身でない人々またはユダに住んでいない人々。例えば,アメリカ大陸への移住者または移民者は1ニーファイ13:3-13で異邦人と呼ばれている。モルモン書を世に現わした人々は1ニーファイ13:3-13で異邦人と呼ばれている。モルモン書を世に現わした人々は,1ニーファイ13:34で異邦人と呼ばれている。教義と聖約および高価な真珠も異邦人によって世に現わされた(1ニーファイ13:39参照)。アメリカ合衆国は,1ニーファイ13:34,39で異邦人の国と呼ばれている。

1ニーファイ13:20-29。分かりやすくて貴い真理が聖書から取り去られる

十二使徒定員会のジェフリー・R・ホランド長老はこのように教えた。「聖書から失われた……部分は『分かりやすくて貴いもの』であった。それらはその単純さと明快さにおいて分かりやすく,『人々……の理解』しやすいものであった。それらはその純粋さにおいて貴いものであり,神の子供たちの救いに関わる重要性と永遠の意義という深遠な価値を持っていた。」(Christ and the New Covenant: The Messianic Message of the Book of Mormon〔1997年〕,5)

ジョセフ・スミスは「人の救いに関する多くの重要な事柄が,聖書から抜き取られた,あるいは聖書が編さんされる前に失われた」と教えた(『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』,217)。ジョセフ・スミスはまた,「原著者の筆によって書き記されたままの聖書を信じています。無知な翻訳者や不注意な転写者,あるいは腹黒く腐敗した聖職者たちが多くの間違いを犯してきました」と述べた(『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』,207)。

1ニーファイ13:32-40。分かりやすくて貴いものは回復される

ジェームズ・E・ファウスト管長は教会の標準聖典が,失われた真理を回復するおもな手段となっていることについて述べた。

「モルモン書がイエス・キリストについてのもう一つの証だということです。この書物を通して,堕落や贖罪,復活や死後の世界について貴い真理が回復されました。

回復以前は,何世紀にもわたって天が閉じられていました。しかし,地上に再び預言者と使徒が与えられ,示現と啓示により天が開かれました。預言者ジョセフ・スミスに与えられた啓示の多くが書き記されて,教義と聖約としてまとめられました。ここには,原則と儀式についてさらに深い教えが記録されており,神権組織についても貴重な情報が含まれています。さらに,わたしたちには高価な真珠というもう一つの聖典が与えられています。預言者ジョセフ・スミスに啓示されたモーセ書,そしてジョセフが購入したエジプトの巻き物を翻訳したアブラハム書から構成されています。これらの記録から,モーセやアブラハム,エノクなどの預言者について多くのことを学べますが,それだけではなく,創造についてもさらに詳しく知ることができます。イエス・キリストの福音は最初から,つまりアダムの時代から,すべての預言者に教えられてきたことが分かります。」(「万物の回復」『リアホナ』2006年5月号,67-68)

聖書のジョセフ・スミス訳も多くの分かりやすくて貴い真理の回復を助けている。ジョセフ・スミス訳とは「預言者ジョセフ・スミスが1830年6月に始めた『欽定訳聖書』の改訂あるいは翻訳をいう。ジョセフ・スミスは神からそれを翻訳するよう命じられ,それを預言者としての自分の召しの一部と考えた。……

「ジョセフ・スミス訳は,『聖書』から抜き取られた分かりやすく貴い部分を回復した(1ニーファイ13章)。ジョセフ・スミス訳は,末日聖徒イエス・キリスト教会公認の『聖書』ではないが,多くの興味深い洞察を与え,『聖書』を理解するうえで非常に有益である。また,預言者ジョセフ・スミスの神聖な召しと務めを証するものである。」(『聖句ガイド』「ジョセフ・スミス訳」の項。2ニーファイ3:11History of the Church,第1巻,238も参照)

主の教会において継続して与えられる啓示により,分かりやすくて貴い福音の教義と原則を世界中の人々にもたらす過程は現在も続いている。主の預言者と使徒の霊感あふれる教えは福音の分かりやすくて貴い真理を理解するうえで重要である。

1ニーファイ10-14章。ニーファイの示現の概要

ニーファイの示現