「第7課 クラス用準備資料:性別の永遠の性質と目的」『永遠の家族 教師用資料』
「第7課 クラス用準備資料」『永遠の家族 教師用資料』
第7課 クラス用準備資料
性別の永遠性と目的
十二使徒定員会のデビッド・A・ベドナー長老は,わたしたちの性別(特に記載がない限り,本課とそれ以降の課で用いている「性別」という言葉は,出生時の生物学的な性別を意味している)は,「おおよそ,自分が何者で,何のために地上にいて,将来何をし,何になるかを定めています」と教えています(「結婚—神の永遠の計画に不可欠なもの」『リアホナ』2006年6月号,51参照)。このレッスンの資料を研究する際,天の御父の救いの計画が,天の両親の息子娘としての永遠の状態と目的の重要性をよりよく理解するうえで,どのように助けとなるかを考えてください。
注:性別は多くの人にとって慎重に扱うべき問題です。これらの資料は,性別に関する天の御父の教義を理解し,その教義が今日の世界の様々な状況にどのように当てはまるかを探求するうえで助けとなるように用意されています。研究する際,神があなたに向けて意図しておられるメッセージを理解できるよう御霊の助けを求めてください。
セクション1
天の御父の計画をよりよく理解することで,性別に対する理解はどのように強められるでしょうか。
家族の宣言には次のように宣べられています。「すべての人は,男性も女性も,神の形に創造されています。人は皆,天の両親から愛されている霊の息子,娘です。したがって,人は皆,神の属性と神聖な行く末とを受け継いでいます。そして性別は,人の前世,現世および永遠の状態と目的にとって必須の特性なのです。」(「家族—世界への宣言」ChurchofJesusChrist.org)
「性別」という言葉は,人によって異なる意味を持つ場合があります。教会の手引きの説明にあるように,「家族の宣言における『性別』とは,『出生時の生物学的な性別』を指しています。」(『総合手引き—末日聖徒イエス・キリスト教会における奉仕』38.6.23)
十二使徒定員会のリチャード・G・スコット長老は,わたしたちの創造について次のように述べています。
この〔男性と女性の創造〕は,あなたが天の御父のみもと生活していた前世で,霊的に行われたことです。地上に来る前にあなたの性別は決まっていました。(「偉大な幸福の計画を実践する」『聖徒の道』1997年1月号,84)
大管長会のダリン・H・オークス管長は,さらに,「〔男性と女性の〕創造は救いの計画に不可欠である」と教えています(in “General Conference Leadership Meetings Begin,” Oct. 2, 2019, newsroom.ChurchofJesusChrist.org)。
天の両親のことを理解することは,わたしたちのための神の計画をよりよく理解し,その計画における性別の重要性をよりよく理解する助けとなります。
天の御父の計画において性別がなぜ不可欠であるかを考えてください。以下の真理について,深く考えるとよいでしょう。
男女の永遠の結婚は,天の両親のようになるために不可欠です。永遠の命の本質,すなわち昇栄とは,家族が永遠に続くことです。これは,「永遠の結婚で結ばれた男女の組み合わせに内在する創造の力を通して」のみ可能となります(教義と聖約132:19参照)(Dallin H. Oaks, in “General Conference Leadership Meetings Begin”)。
「神の計画により,死すべきこの世に子供をもたらし,最良の環境の下で養い育てるには,男性と女性の両方が必要で〔す〕。」(「結婚—神の永遠の計画に不可欠なもの」『リアホナ』2006年6月号,52。創世1:28も参照)
天の御父は男性と女性に,御自分の計画におけるこれらの責任やそのほかの神聖な責任を果たす助けとなる異なる能力を授けておられます。男性と女性は進歩し,永遠の可能性を最大限に発揮するために互いを必要としています。それを,ベドナー長老は次のように教えています。
男性の霊と女性の霊は,互いを完成し合う性質を持ってい〔ます〕。だからこそ,男女は,昇栄に向かって一緒に進歩するように意図されているので〔す〕。……
神の目的のため,男女は異なり,固有の特徴を備え,補い合っています。
……つまり,幸福の計画を推し進めるには,霊的,肉体的,精神的,感情的に,男女が力を合わせて一つになることが必要だったのです。男性であれ女性であれ,単独で創造の目的を達成することはできませんでした。……
……男女の異なった特徴が夫婦関係を完成させるのと同じように,男女それぞれの特徴は,子供を育て,養い,教えるうえでも欠かせません。(「結婚—神の永遠の計画に不可欠なもの」51-52)
また,十二使徒定員会のデール・G・レンランド長老とルース・L・レンランド姉妹は次のように教えています。
互いに補い合うために,男性の霊と女性の霊が創造されました。これが,性別が永遠の世界で流動的ではない理由です。なぜなら性別は,神のような者になるという,天の御父の与えることのできる究極の賜物の基盤になるからです。(「性的な親密さの神聖な目的」『リアホナ』2020年8月号,14)
セクション2
性別に関する疑問をよりよく理解するにはどうすればよいでしょうか。
皆さんは,現代において,性別やアイデンティティーについて様々な考えがあることに気づいていることでしょう。「性別」という言葉を「生物学的な性別」と区別する人もいます。そうした人は自身の性自認について述べている場合があり,自分の生物学的な性別とは異なっていても,その人が自分で感じている性別のことを指していることがあります。(これは,ほかの人に対して肉体的,情緒的,性的にひかれる気持ちを伴う性的志向とは異なることに留意してください。性的志向については,次のレッスンで説明します。)
男性または女性であるという人の理解は,文化,社会規範,育ち方によって影響を受ける可能性があります。こうした理由やそのほかの理由から,性別に関する厳格な固定観念は,一部の人にとっては混乱を生じたり,害を及ぼすことさえあります。例えば,自分の興味や能力が,生物学的な性別に対する文化的,社会的な期待と一致しないのではないかと心配する人がいるかもしれません。それは必ずしも,生物学的な性別と自分で認識している性別に不合があることを意味しているわけではありません。神から受け継いだ特質,生物学的な性別,賜物,才能,適性,望み,選択など,多くの要素がわたしたち個人の完全なアイデンティティーを形成していることを覚えておくことが大切です。
わたしたちが性別に関する永遠の真理を理解していても,わたしたちの生活における複雑な現実により,困難な疑問や状況を生み出す可能性があります。次の点について考えてください。
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理由は定かではありませんが,人生のある時点で,「生物学的な性別と自認している性別との間に違和感を覚える人もいます。その結果,自らをトランスジェンダーと自認する場合があります。教会は,人々がトランスジェンダーを自認する原因について見解を表明していません。」(『総合手引き』38.6.23)
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人によっては,生物学的な性別に関する文化的,社会的な期待に違和感を感じたり,もどかしさを感じたりすることもあるかもしれません。
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『総合手引き』に書かれているように,「ごくまれに,男性器か女性器かはっきりしない性器……を持って生まれてくる子供がいます。」(38.7.7)これは性分化疾患と呼ばれることがよくあります。このような状況や,両親や医療アドバイザーによる扱いが,本人の性自認に影響を与える場合もあれば,影響がない場合もあります。
トランスジェンダーのテーマに関する教会のリソースに説明されているように,トランスジェンダーと自認する人は「複雑な試練に直面してい〔ます〕。」そのような人々は「あらゆる神の子供たちと同じように,……細やかな心遣い,優しさ,思いやりをもって接せられるべきです。」(「トランスジェンダー:わたしは教会の一員でしょうか」ChurchofJesusChrist.org)理解力の欠如や不義な判断によって人々への接し方を決めるのではなく,わたしたちは「ほかの人々をキリストのような目を通して見るように努力する」ことができます(「トランスジェンダー:どうしたらキリストのような愛を示すことができるでしょうか」ChurchofJesusChrist.org)。
セクション3
自分の性別に関して疑問がある場合はどうすればよいでしょうか。
自分の性別について疑問がある場合や,自分の性別に違和感を抱いている場合,あなたは天の御父と救い主から愛されていることを知ってください。御二方はいつもあなたのそばにいてくださいます。イエス・キリストとその福音がどのようにあなたを助け,強めてくれるかを考えてください。教会が公開している,「トランスジェンダー」のリソースには,以下の重要な真理とリマインダーが含まれています。
救い主はわたしたちの個々の状況を完全に理解しておられます。死すべき存在であるわたしたちの理解力は限られています。わたしたちはニーファイとともに,わたしたちは「神がその子供たちを愛しておられることは知っていますが,すべてのことの意味を知っているわけではありません」と宣言することができます(1ニーファイ11:17)。(「トランスジェンダー:救い主はわたしが経験していることをほんとうに理解しておられるのでしょうか」ChurchofJesusChrist.org)
あなたの周りにいるすべての人が,愛や思いやり,細やかな心遣いを完璧に示してくれるわけではありません。今日の世の中では,不快に思ったり,不快に思わせてしまったりする状況が容易に発生します。わたしたちは大きな問題を抱えていると,意図的ではない不適切な言葉や見当違いの発言に傷つきやすくなることがあります。教会員として,わたしたちは皆,学び,成長している過程にあります。(「トランスジェンダー:わたしは教会の一員でしょうか」ChurchofJesusChrist.org)
中央若い女性会長会第一顧問のミッシェル・D・クレーグ姉妹も次のように教えています。
末日聖徒には様々な人がいますが……「すべての人が神にとって等しい存在」〔2ニーファイ26:33〕です。どのような人物であろうと,どんなことに直面していようと,皆さんは主の食卓に招かれているのです。(「霊的な能力」『リアホナ』2019年11月号,21)
神の戒めに従うことを選ぶ人はだれでも,福音のあらゆる祝福を受けられることを再確認してください。性別に違和感を抱いているかどうかにかかわらず,あなたは「神と約束を交わし,約束を守ることができます」し,また,「主の光の中を歩み,主の教会に参加することができます。」(「トランスジェンダー:わたしは主の王国にどのように貢献できるでしょうか」ChurchofJesusChrist.org)
教会の手引きには次のように記されています。「トランスジェンダーの人で,医療的,外科的,社会的に別の性に転換することを求めていない,ふさわしい人は,教会の召しや神殿推薦状,神殿の儀式を受けることができます。」(『総合手引き』38.6.23)(注:「社会的転換には,自分が出生時の生物学的性別とは異なる性別であることを示すために,服装や身だしなみを変えたり,名前や代名詞を変えたりすることが含まれます。」〔『総合手引き』38.6.23〕)もっと詳しく理解したい場合は,ビショップまたは支部会長と話してください。
教会の方針や教義に反するわけではありませんが,自らがトランスジェンダーであることを公言すると,永遠の目標に至る能力が制限される可能性があります。オークス管長は次のように忠告しています。
自分自身をどのように見なすかに注意してください。……わたしたちを特徴付けるただ一つの特質は,神の息子や娘であるということです。その事実は,ほかのすべての特質を超越しています。(“How to Define Yourself,” New Era, June 2013, 48)
わたしたち一人一人は神の子供であって永遠の命を得る可能性を秘めているということです。そのほかの肩書は,……永遠の観点から見ればささいなものです。目指す目標を狭めてしまうような見方や考え方で,自分にレッテルを貼ったり,自分を決めつけたりしないでください。(「その先に何があるだろうか」『リアホナ』2019年5月号,61-62)
十二使徒定員会のD・トッド・クリストファーソン長老もまた,次のような確証を与えています。
すべての人には才能があり,それぞれの世代にあって,だれもが神の計画を進めるうえで貢献することができるのです。……ですから皆さんの多くは自分にできる最善を尽くしていると思います。現世で最も重い荷を背負っていても,子供たちを昇栄に導くという神の計画を擁護してください。わたしたちはそのような人をいつでも支える覚悟でいます。イエス・キリストの贖罪は,イエス・キリストを頼るすべての人々の喪失や損失を予測し,最終的に,それらすべてを補うために成し遂げられたことを,確信をもって証します。御父が子供たちのために準備しておられるすべてのうちの一部にしかあずかれない運命にある人はだれ一人としていないのです。(「なぜ結婚,なぜ家族か」『リアホナ』2015年5月号,52)