1 さて,民の中に不一致が生じたため,彼らはあちらこちらに分かれて,それぞれ去って行った。そしてニーファイは,彼らの真ん中に立っていて,ただ一人残された。
2 そこでニーファイも,主が自分に示してくださったいろいろなことを深く考えながら,家路に就いた。
3 そして,彼は深く考え,ニーファイの民の悪事と,彼らの隠れた闇の業と,殺人と,略奪と,あらゆる罪悪のことでひどく沈んでいた。そして,彼がこのように心の中で深く考えていたとき,まことに一つの声が彼に聞こえて,こう言われた。
4 「ニーファイ,あなたはこれまで行ってきたことのために幸いである。わたしがあなたに授けた言葉を,あなたが根気よくこの民に告げ知らせたことを,わたしは見たからである。あなたは彼らを恐れることなく,また自分の命を得ようとせず,わたしの思いを求め,わたしの戒めを守ろうとしてきた。
5 さて,あなたがこのように根気よくこのことを行ってきたので,見よ,わたしはとこしえにあなたを祝福しよう。また,わたしはあなたを言葉にも行いにも,信仰にも働きにも,力のある者にしよう。あなたはわたしの思いに反することを求めないので,まことに,すべてのことがあなたの言葉のとおりに行われるであろう。
6 見よ,あなたはニーファイであり,わたしは神である。見よ,わたしは天使たちの前であなたに宣言する。あなたはこの民に対して力を持ち,またこの民の悪に応じて飢饉,疫病,破壊で地を打つであろう。
7 見よ,あなたが地上で結ぶことは何でも天で結ばれ,あなたが地上で解くことは何でも天で解かれるように,わたしはあなたに力を授ける。したがって,あなたはこの民の中で力を持つであろう。
8 したがって,もしあなたがこの神殿に向かって二つに裂けるように言えば,そのとおりになるであろう。
9 もしあなたがこの山に向かって,『崩れて平らになれ』と言えば,そのとおりになるであろう。
10 また見よ,もしあなたが神はこの民を打たれると言えば,そのようになるであろう。
11 さて見よ,今わたしはあなたに命じる。あなたは行ってこの民に,『全能者である主なる神は,「あなたがたは悔い改めなければ滅びるまで打たれる」と言われる』と告げ知らせなさい。」
12 さて見よ,主がこれらの御言葉をニーファイに言われると,ニーファイは立ち止まり,自分の家に帰らず,地の面の方々に散っている群衆のもとへ戻って行った。そして,彼らは悔い改めなければ滅びるという,自分に告げられた主の言葉を彼らに告げた。
13 さて見よ,ニーファイが大さばきつかさの死について彼らに告げて行った,あの大きな奇跡があったにもかかわらず,彼らは心をかたくなにし,主の言葉に聞き従わなかった。
14 そこでニーファイは,彼らに主の言葉を告げ,「『あなたがたは悔い改めなければ滅びるまで打たれる』と主が言われる」と語った。
15 さて,ニーファイが彼らにその御言葉を告げても,見よ,彼らはなおも心をかたくなにし,彼の言葉に聞き従おうとしなかった。そして彼らは,ニーファイをののしり,また牢に入れるために彼を捕らえようとした。
16 しかし見よ,神の力がニーファイとともにあったので,彼らはニーファイを捕らえて牢に入れることができなかった。彼は御霊によって取り上げられ,彼らの中から連れ去られてしまったからである。
17 そして,彼は御霊の内にあって群衆から群衆へと巡り,神の言葉を告げ知らせた。そして,ついに彼はすべての者に神の言葉を告げ終え,すべての民の中に神の言葉を伝え終えた。
18 さて,彼らはニーファイの言葉を聴こうとしなかった。そして,争いが起こったため,彼らは分かれて互いに剣で殺し合うようになった。
19 このようにして,ニーファイの民のさばきつかさの統治第七十一年が終わった。