1 さて,第三百六十三年に,ニーファイ人はレーマン人と戦うために,デソレションの地から彼らの軍隊とともに上って行った。
2 さて,ニーファイ人の軍隊はデソレションの地に追い返された。そして,彼らがまだ疲れているうちに,レーマン人の新手の軍隊が彼らを攻めた。そして,激しい戦いがあって,レーマン人がデソレションの町を占領し,多くのニーファイ人を殺し,多くの者を捕虜にした。
3 残りの者は逃げて,テアンクムの町に住む者たちに合流した。テアンクムの町は海岸に近い境の地にあり,デソレションの町にも近かった。
4 ニーファイ人が討たれ始めたのは,彼らの軍隊がレーマン人のところに上って行ったためである。もしそのようにしなければ,レーマン人はニーファイ人を支配する権力を持てなかったであろう。
5 しかし見よ,神の裁きは悪人に下る。そして,悪人によって悪人が罰せられる。人の子らの心をあおり立てて流血を生じさせるのは悪人だからである。
6 さて,レーマン人はテアンクムの町を攻める準備を整え,
7 そして,第三百六十四年に,テアンクムの町も占領しようとして,テアンクムの町を攻めた。
8 さて,彼らはニーファイ人によって撃退され,追い返された。するとニーファイ人は,自分たちがレーマン人を追い払ったのを見て,またもや自分たちの力を誇った。そして彼らは,自分の力だけに頼って出て行き,デソレションの町をもう一度取り返した。
9 さて,このようなことが終わってみると,双方で,すなわち,ニーファイ人とレーマン人の両方で何千もの人々が戦死していた。
10 さて,第三百六十六年が過ぎ去り,レーマン人がまたニーファイ人と戦うためにやって来た。それでもニーファイ人は,自分たちの行ってきた悪事を悔い改めず,絶えず悪事を続けていた。
11 ニーファイ人とレーマン人の双方の民の中に見られた,流血と虐殺のすさまじい有様は,口で述べることができず,人がそれを完全に描写して書き記すことも不可能である。彼らは一人残らず心をかたくなにし,血を流すことを絶えず喜びとした。
12 この民の中にあったようなひどい悪事は,リーハイのすべての子孫の中に,また主の言葉によれば,イスラエルの家に属するすべての者の中にも,これまで決してなかった。
13 そして,レーマン人はデソレションの町を占領した。これができたのは,彼らの人数がニーファイ人の人数よりも多かったからである。
14 そして彼らは,さらにテアンクムの町に向かって進軍し,その町から民を追い払い,女子供を大勢捕虜にし,自分たちの偶像の神にいけにえとしてささげた。
15 さて,第三百六十七年に,ニーファイ人はレーマン人が自分たちの女子供をいけにえにしたことに腹を立て,非常に激怒してレーマン人に向かって行ったので,またもやレーマン人を打ち負かし,彼らを自分たちの土地から追い出した。
16 その後,第三百七十五年まで,レーマン人は再びニーファイ人を攻めて来ることはなかった。
17 しかしこの年に,彼らは全軍でニーファイ人に向かって攻め下って来た。彼らの人数はあまりにも多くて,数えられなかった。
18 このとき以来,ニーファイ人はレーマン人に勝つ力を得られず,朝日に露が消えるようにレーマン人によって一掃され始めた。
19 そしてレーマン人は,デソレションの町に攻め下って来た。そして,デソレションの地で非常に激しい戦いがあり,その戦いでレーマン人がニーファイ人を打ち負かした。
20 そこでニーファイ人は,レーマン人の前からまた逃げ出し,ボアズの町に至った。そして,彼らはそこで非常に勇ましくレーマン人に立ち向かったので,レーマン人は二度目の攻撃をかけるまでニーファイ人を打ち負かせなかった。
21 そして,レーマン人が二度目に攻め寄せたとき,ニーファイ人は追い払われ,非常に大勢の者が殺された。さらにニーファイ人の女子供が,また偶像のいけにえにされた。
22 そこでニーファイ人は,彼らの前からまた逃げ,方々の町や村のすべての民を一緒に伴って行った。
23 わたしモルモンは,レーマン人がまさに全土を征服しようとしているのを見て,シムの丘へ行き,アマロンが主に託して隠しておいたすべての記録を取り出した。