1 「まことにイザヤは次のように述べているではないか。『だれがわたしたちの告げたことを信じたか。主の腕はだれに現されたか。
2 彼は主の前に,か弱い苗木のように,また乾いた土から出る根のように育つ。彼には見目の良さもなく,華麗さもない。わたしたちが彼を見るときに,彼を慕うような美しさも彼にはない。
3 人々から侮られて捨てられている彼は悲しみの人で,悲哀を知っている。そこでわたしたちは,彼から顔を背けるかのように振る舞った。彼は侮られ,わたしたちは彼を尊ばなかった。
4 まことに彼はわたしたちの悲哀を負い,わたしたちの悲しみを担った。ところがわたしたちは彼のことを,打たれ,神に罰せられ,苦しめられているのだと受け止めた。
5 しかし彼は,わたしたちの背きのために刺し貫かれ,わたしたちの罪悪のために傷つけられた。わたしたちの平安のために,懲らしめが彼に及んだ。彼の鞭の打ち傷によって,わたしたちは癒されている。
6 わたしたちは皆,羊のように迷って,各々自分の道に向かって行った。主はわたしたちすべての者の罪悪を彼に負わせられた。
7 彼は虐げられ,苦しめられたが,口を開かなかった。彼は小羊のようにほふり場に引かれて行く。毛を刈る者の前の物を言わない羊のように,彼は口を開かなかった。
8 彼は獄から連れ去られ,裁きから取り去られたが,だれが彼の子孫であると名乗るだろうか。なぜなら,彼は生きている者の地から絶たれたからである。また,わたしの民の背きのために,彼は打たれたからである。
9 また彼は,悪人とともにその墓を設け,死んでは富裕な者とともにあった。なぜなら,彼は決して悪を行わず,その口には少しの欺きもなかったからである。
10 それでも,彼を傷つけることは主の御心にかなっていた。主は彼に苦痛を受けさせられた。あなたが彼を罪のささげ物とするとき,彼は自分の子孫を見てその命を延ばし,主の御心は彼の手によって栄える。
11 彼は自分自身の苦しみを知り,それに満足する。彼の知識により,わたしの義にかなった僕は多くの者を義とするが,それは,彼が彼らの罪悪を身に負うからである。
12 それゆえ,わたしは彼に大いなる者とともに物を分かち取らせ,得たものを強い者に分け与えよう。彼が自分の魂を死に至るまで注いだからである。彼は背く者たちとともに数えられ,多くの者の罪を負い,背く者たちのために執り成しをした。』」