1 さて,シェムロンには,レーマン人の娘たちが集まって歌い,踊り,そして楽しむ場所があった。
2 そしてある日のこと,少数のレーマン人の娘たちが,歌ったり踊ったりするためにそこに集まった。
3 ノア王の祭司たちはニーファイの町へ帰ることを恥じ,また民に殺されることを恐れたので,妻子のところへ帰る勇気がなかった。
4 そして,荒れ野にとどまっていたときにレーマン人の娘たちを見つけたので,彼らは身を伏せて娘たちを見ていた。
5 そして,踊るために集まった娘たちが少ないときに,彼らは隠れている所から飛び出して娘たちを捕まえ,荒れ野へ連れ去った。まことに,レーマン人の娘たちを二十四人,荒れ野へ連れ去ってしまった。
6 さて,レーマン人は娘たちがいなくなったことを知ると,リムハイの民の仕業であると思って,リムハイの民のことを怒った。
7 それで彼らは軍隊を出した。まことに,王自身が民を率いて,リムハイの民を滅ぼすためにニーファイの地へ向かった。
8 しかしながら,リムハイはすでに塔の上から彼らを見ていた。まことに,彼らが戦いの準備をすべて整えているのを見た。そこで彼は,自分の民を召集し,畑でも森でもレーマン人を待ち伏せた。
9 そして,レーマン人がやって来ると,リムハイの民は待ち伏せていた場所から襲いかかり,彼らを殺し始めた。
10 そして,彼らは獲物を襲うライオンのように戦ったので,その戦闘は非常に激しいものになった。
11 そして,リムハイの民は,レーマン人を追い散らし始めた。彼らはレーマン人の半数にも満たなかったが,自分たちの命のため,また妻子たちのために戦っていたので,力を尽くし,龍のように戦った。
12 そして彼らは,レーマン人の死体の間にレーマン人の王を見つけた。しかし,王は傷を負っていただけで死んではいなかった。兵の逃げ足が速かったために,その場に置き去りにされたのであった。
13 そこでリムハイの民は,王を捕らえて傷口に包帯を巻き,リムハイのもとへ連れて来て言った。「御覧ください,ここにいるのはレーマン人の王です。王は負傷してレーマン人の死体の間に倒れ,置き去りにされていました。御覧ください,わたしたちは,この王を御前に連れてまいりました。殺してしまいましょう。」
14 しかし,リムハイは彼らに,「殺してはならない。わたしが会えるように,ここに連れて来なさい」と言った。そこで,彼らはレーマン人の王を連れて来た。そして,リムハイは彼に尋ねた。「あなたがたはどのような理由で,わたしの民と戦うために攻めて来たのですか。まことに,わたしの民は,わたしがあなたに立てた誓いを破ってはいません。それなのに,なぜあなたはわたしの民に立てた誓いを破ったのですか。」
15 すると,レーマン人の王は言った。「わたしが誓いを破ったのは,おまえの民がわたしの民の娘たちを連れ去ったからだ。だから,わたしは怒って,おまえの民と戦うためにわたしの民に攻めさせたのだ。」
16 さて,リムハイはこのことについて何も聞いていなかったので,「わたしは民の中を捜し,そのようなことをした者はだれであろうと殺す」と言った。そして,彼は民の中を捜索させた。
17 さて,ギデオンはこれらのことを聞くと,彼はリムハイ王の軍隊の長であったので,王のもとへ行って,言った。「どうか思いとどまり,この民を調べることなく,またこのことを彼らの責任とすることのないようにしてください。
18 父君の祭司であって,この民が殺そうとした者たちのことを王は覚えておられませんか。彼らは今,荒れ野にいるではありませんか。レーマン人の娘たちをさらったのは,彼らではないでしょうか。
19 どうかレーマン人の王にこれらのことをお話しください。そうすれば,王は彼の民に話し,彼らはわたしたちに対して心を和らげることでしょう。まことに,彼らはわたしたちを攻めようと,すでに準備を進めています。まことに,また,わたしたちの人数はわずかです。
20 そしてまことに,彼らは大軍でやって来ます。ですから,もしこの王がわたしたちに対して彼らの心を和らげてくれなければ,わたしたちは滅びてしまうに違いないのです。
21 わたしたちについてアビナダイが預言した言葉は,わたしたちが主の御言葉に聞き従って自分たちの罪悪から離れようとしなかったので,すべて成就しているではありませんか。
22 ですから,王の心を和らげましょう。わたしたちは王に立てた誓いを守ります。わたしたちは,命を失うよりも奴隷の状態にある方がよいからです。ですから,このように多くの血を流すことはやめましょう。」
23 そこでリムハイはレーマン人の王に,自分の父のことと,荒れ野へ逃げ込んだ祭司たちのことをすべて話し,レーマン人の娘たちを連れ去ったのはその祭司たちの仕業であると告げた。
24 そこでレーマン人の王は,リムハイの民に対して心を和らげ,彼らに言った。「武器を持たないで,わたしの民に会いに行こう。そうすれば,わたしの民がおまえの民を殺さないことを誓って約束する。」
25 そして彼らはレーマン人の王に従い,武器を持たずにレーマン人に会いに出かけた。そして,彼らはレーマン人に会った。するとレーマン人の王は,自分の民の前に伏して,リムハイの民のために執り成してくれた。
26 そこでレーマン人は,リムハイの民が武器を持っていないのを見て,彼らを哀れに思い,心を和らげ,王とともに安らかに自分の国へ帰って行った。