年次放送
パネルディスカッション


37:2

パネルディスカッション

&2021年宗教教育セミナリー・インスティテュート年次訓練放送

2021年1月19日(火)

チャド・H・ウェッブ兄弟:ご視聴ありがとうございます。ローリー・ビゲロー兄弟です。彼は教育長補佐であり,教会オフィスの中で行われる人事や財政,施設にかかわることを担当しています。こちらはアダム・スミスです。教育長補佐であり,わたしたちの部門で,訓練やカリキュラム,生徒サービスやそのほかのことを担当しています。

始めるに当たって,今日の流れとビジョンについてお話したいと思います。現在,セミナリーとインスティテュート(S&I)で,生徒たちの必要満たすことにおいて素晴らしい働きをしています。ですが,出席をしている生徒は積極的に参加している献身的な教会員というのが現状です。そのほかの人はあまり影響を受けることができていません。実際には世界的にS&Iのプログラムへの登録数は減少しています。

それを変えることを心から願っています。青少年とヤング・アダルト全体の「集合」という緊急性を要することにおいて,S&Iはより重要な役割を担うことができることを願っています。覚えていると思いますが,ネルソン大管長はイスラエルの集合は世界で最も大切な業であると教えました。もちろん,伝道活動と,神殿家族歴史活動の業も含みます。ですがネルソン大管長は,わたしたちが仕える人たちの信仰と証を築くことも含まれると言いました。いつだれに何をしようと,神と聖約を交わし守るよう人を助けるときに,わたしたちはイスラエルを集めていることになります。

いくらか青少年とヤング・アダルトを失っているのではないかと恐れています。聖文では失なわれる,見つけられるという言い方よりも,散らされる,集められるという言い方がより使われます。信仰で苦労している人もいます。ですが,わたしたちは彼らがどこにいるか知っており,わたしたちにとって彼らは失われていません,彼らは世の影響を受けて散らされており,わたしたちに加わらないようにしているかもしれません。わたしたちには,イスラエルのこの部分の「集合」に対して素晴らしい機会が与えられており,これはわたしたちの緊急性を持った助けを必要とすることです。

これを達成する方法は,彼らが改心し,関わりを持ち,わたしたちに加わりたいと思うよう導かれるような経験を作り出し,なるべく多くの人がそのような経験をすることができるよう助けることです。わたしたちがどこから来たのか,その事実に忠実になることを通して達成します。わたしたちは,ただ変えるために変化することをしません。聖文に書かれている通り聖霊の力を通して福音を教え続けます。ですが,このような経験を作り出すためにはいくらか調整しなければなりません。

わたしたちは次のことを変える必要があります。

  • ただ話して伝えるのではなく,ともに取り組み招くことに。

  • 生徒にどこに行くべきか伝えるのではなく,生徒たちのところにわたしたちが行くこと。

  • 理想だけをたたえるのではなく,うまくいかないところも受け入れること。

  • 社会的活動をするだけではなく,有意義な社会的交わりを持つこと。

  • コースの単位と卒業に焦点を当てるのではなく,霊的な成長と新たな人物になることに焦点を当てる。

  • 消極的に作用されて学ぶのではなく,積極的に参加し聖霊の器となること。

訓練,メンタリング,自分たちが成功しているのか分かるような指針を提供することにより,プログラム管理者,セミナリー校長,インスティテュートディレクター,コーディネーターが教えることと学ぶことに対する経験と期待値をより明確に定義することができるよう,彼らに会い助けます。

皆さんが受ける訓練や与えられるリソースに加えられる変化は,イスラエルの集合を目標として変えられれます。それは青少年とヤング・アダルトの必要を満たせるような経験を作り出し,彼らがより幅広く経験することができるようにすることです。少なくともここ3年間はこの目標に焦点を当てます。またその時には自分たちの進歩を評価し,さらなる調整を加えます。

ネルソン大管長とともにこの世の中で行われている最高の業に加わるよう招きます。イスラエルの集合は緊急性を要するもので,自分の人生の中で神に勝利を得ていただく人を集めます。驚くべきこと,奇跡ですら起こります。これに携われることはなんという祝福でしょうか。

では,セミナリーとインスティテュートの変更について質問する前に,ちょっと質問です。「決して変わらないものは何ですか。」

ロリー・ビゲロー兄弟:全般的な目標です。わたしたちがいるのは,青少年とヤングアダルトにイエス・キリストの教えと贖罪を理解してそれに頼るようになってもらうためです。祝福を受ける資格と備えができるよう助けたいと思っています。これは変わりません。全般的な目的は彼らであり,彼らを愛することです。大切な人たちです。一人残らず,セミナリーとインスティテュートでいい経験をしてほしいと思います。

アダム・スミス兄弟:付け加えて言いますと,生徒に何が必要なのかを常に考えます。生徒が教室でどんな経験をする必要があるのかが分かっていなければなりません。そういう経験をしてもらうには聖文が中心になりますし,救い主がすべての中心です。

変わらないものはほかに二つあると思います。一つは預言者が掲げる優先順位と預言者や使徒が与える指示に従うことであり,もう一つは,個人の生活でも準備するときでも聖霊を伴侶にすることです。教室で生徒とともにいるときは特にそうです。

ウェッブ兄弟:ありがとうございます。ほんとうに大切なことだと思います。話してくださったことは決して変わらない大切なことです。このプログラムの本質も変わりません。

変わったものと言えば,この放送も変わりました。毎年この時期には中央幹部との夕べを放送するのに,訓練放送に変わりました。この変更の理由を,どちらか話していただけますか。

ビゲロー兄弟:理由はたくさんありますが,大きな理由は二つだと思います。その第一は,ずっと昔,1912年にグラナイトでセミナリーが始まったときから,訓練のスケジュールがアメリカ合衆国の学校に合わせて組まれていたことです。1991年に少し変わってきました。アメリカ合衆国以外の生徒の登録数がアメリカ合衆国内の登録数を越えたのてす。

全世界に広げていくためにはアメリカ合衆国の学校に合わせるのが合理的ではなくなったのです。スケジュールについてはアメリカの学校に合わせるのではなくカレンダー通りにしてほしいという要望が出てきました。

もう一つの理由は,考え方の変化です。訓練に対する考え方ですね。長い間,わたしたちはバトンを持ってリレーをしていました。訓練内容と優先事項を中央で用意すると,地域ディレクター会議で地域ディレクターにそのバトンを渡します。地域ディレクターは,地域訓練でそのバトンを渡します。

今はもっと地域ディレクターの立場から見ていますし,訓練も,話し合って皆で方向を決めていくようになっています。それに今では地域ディレクター会議が4月から10月に移っています。10月に会議を開いて準備するので,1月に全世界に向けた訓練放送ができるのです。

ウェッブ兄弟:ほかの変更の話も出てきます。現在,地域ディレクターの数はかつての半分になっています。そのため彼らは,わたしたちの開く評議会に前よりもずっとよく出ています。評議会で話を聞いているので全世界の各地域で何が必要なのかがよく分かります。評議会を通して情報の共有がうまくできるようになりました。それは大切なことだと思います。

では,よく質問が来るもう一つの変更について話しましょう。皆さんがこの変更に喜んで従ってくださったことに感謝しています。教科課程のカレンダーではなく『わたしに従ってきなさい』の年間カレンダーに従うという変更です。アダム,この変更について話してもらえますか。

スミス兄弟:いいですよ。2019年の3月ころですが,『わたしに従ってきなさい』の聖文とセミナリーとインスティテュートの聖文を同じにするための第一歩を踏み出すことに決めました。クラーク長老の言葉を印刷して持ってきました。一字一句違えずに読みたかったからです。

この発表が全世界にされたとき,クラーク長老は言いました。「『家庭中心,教会サポートの福音学習が必要です』と主の預言者が言ったのです。1この言葉がすべてを変えました。」

そこでわたしたちは,2019年秋に新約聖書に,2020年1月にはモルモン書に移行することに決めました。そして2019年の秋でしたか,リリーストタイムセミナリーの人たちが来て,試験的にやってみたいことがあるのだが,と問い合わせてきました。『わたしに従ってきなさい』とほぼ同じ聖文をセミナリーを教えてみたいと言うのです。興味深いことが分かるかもしれないと考えて許可しました。

そして『わたしに従ってきなさい』で読む聖文を,従来のセミナリー教育課程の教材で教えてもらい,調査チームを派遣して生徒と親,セミナリー教師,教育長に聞き取り調査をして,従来の9か月の教科課程と成果を比較したのです。

調査の結果は感動的でしたし,少し驚きました。生徒が繰り返しを嫌っているわけではないことが分かったのです。また,どちらの場合も聖文の理解度に差がないことが分かりました。

心配したのは,『わたしに従ってきなさい』のスケジュールに従った場合,夏休みや春休み,秋休みなど,セミナリーで学べない期間があるということでした。しかし,生徒の聖文の理解度には差がないことが分かりました。

でも,わたしたちの注意を引き付けたのは,違いです。その日のレッスンの予習をしてくる生徒が非常に増えたのです。統計的に有意差が出ました。良い意見を言う生徒,意欲的にクラスに参加する生徒も増えました。

そしてわたしがいちばんうれしかったのは,セミナリーのクラス以外の時間に家で聖文を読む生徒が非常に増えたことです。ですから,この調査結果を見て,この移行をすると生徒に祝福があり,家族にも祝福が及ぶだろうと思いました。それにこれは,クラーク長老が教育委員長だったときによく教えていた別のことも浮き彫りにしていました。

クラーク長老は,生徒たちに深い学習と改心の経験をさせるようにと教えたのです。しかも,『わたしに従ってきなさい』と同じ聖文を学べば聖文をすべて学ばせるという重荷が少し軽くなると思います。わたしたちは常に聖文に従い,聖文を中心にします。『わたしに従ってきなさい』をやれば最初から最後まで聖文を読むことができます。でもレッスンですべてを扱うことができないので,聖文を読み,聖霊の助けを受けながら,生徒に必要なことを取り上げ,救い主と結びつけます。

でも看過できないのは,どこの国でも必ず,学校のない期間があるということでした。通常これは,2,3か月です。ということは,生徒がセミナリーで聖文を学ばない期間が2,3か月あるということです。聖文を教える教師であるわたしたちは悩みます。

そこで,マスター教義です。導入されて以来常に重要でしたが,重要性がますます光ります。全世界の学校の長期休暇に関係なく毎週教師がマスター教義のレッスンを教えるならば,最も大切な要素が生徒たちに伝わります。時々思うのですが,教師は非常に優秀で聖句ブロックを徹底的に教えようとするために,マスター教義が後回しになり,結局はやる時間がなくなってしまうことになりかねません。教えることがたくさんありますからね。

それに,マスター教義はセミナリーのおまけのように見られていますし。でもほんとうは,マスター教義は基本なのです。わたしたちの目的,預言者が命じていることを成し遂げるのに実に役に立ちます。ですからマスター教義に重点を置けば学校の休暇中にできなかったところがカバーできますし,生徒と家族にとって祝福になる方法で『わたしに従ってきなさい』と進度を合わせることができます。

ウェッブ兄弟:この調査結果をジョンソン長老に見せて,その可能性について話したときのことを思い出しました。ジョンソン長老は『わたしに従ってきなさい』と同期させることに最初から乗り気でした。その方が家族に祝福があり,家庭での学習につながるからです。でもやはり,学校の長期休暇が入るためにセミナリーで学べないテーマが出てくることも,非常に心配していました。救い主の最後の1週間とか,最初の示現とか,重要な出来事や福音の大切な原則が学べなくなってしまうのですから。

そこで,マスター教義のレッスンを重視して,学校の長期休暇でできなくてもまとめのレッスンをすることはできないだろうかと話し合いました。休み明けには『わたしに従ってきなさい』にいきなり入るのではなく,抜けた部分を補う「橋渡しのレッスン」をするのです。そのうえで『わたしに従ってきなさい』の聖文スケジュールに戻ります。こうすると,『わたしに従ってきなさい』と進度を合わせることによる利点が得られるだけでなく,学び損ねる心配がなくなります。ただし,このようにした場合,セミナリーがない期間に,抜けてしまう部分を家庭や個人で,聖霊の助けを受けながら学んでもらえるものと信じる必要があります。とにかく,すばらしい説明でした。ありがとうございます。

読書課題の変化について尋ねる人が多くいます。必須箇所の文章を読まなければならないということから,聖文を毎日読む習慣を身に着けることに代わりました。これについてはどう説明しますか。

スミス兄弟:わたしたちは皆セミナリーの証書の要件を意識していて,出欠を付け,コースの聖典を読むよう勧めています。学習理解度調査もあります。しかも,読書課題を少し変更して,セミナリーの間に四大聖典を読むという課題から,日々習慣的に聖文を学ぶという課題に変えました。

セミナリーとインスティテュートが生徒の人生と精神と心にどんな影響を与えるようになってほしいか,全世界の地域ディレクターと時間をかけて話し合いました。大変な数の地区ディレクターとも話し合いました。

セミナリーで行うことと生徒たちの人生に望むことについて話していると,聖文読書課題に話が戻るのです。しかし,わたしたちが重点を置きたいこと,いちばん大切なことは,生涯続ける習慣を生徒につけさせることだということに気がついたのです。

別の言葉も引用したくて持ってきました。『福音を教え学ぶ』からの引用です。この辺のことをうまくまとめています。「生徒が聖文を大切にして日々研究するようになるのを助けること以上に,教師が生徒の生活により力強く永続的な良い影響を及ぼせることはほとんどない。」3セミナリーの卒業証書を4年間の意義ある深い改心の象徴にしたいならば,聖文研究は外せません。

聖文に対する生徒の熱意を測る尺度はたくさんありますが,いちばん大切なことを測りたいと思いました。それは,日々の聖文個人学習の習慣です。非常に良い現職指導者用リソースもありますので,教師と現職指導者に活用してほしいと思います。これは読書課題の達成に非常に役に立ちます。生徒たちにスキルを身に着け,目標を立てて,聖文を読みながら天の御父と救い主にほんとうの意味でつながれるようになってもらうために役立つのです。この読書課題はほんとうに大切なことを身に着けて卒業証書に意味を持たせてくれると思います。

ウェッブ兄弟:そして,その年に学ぶ聖典は,今後も読むことを勧めます。実際に,毎日の読書課題要件は,コースでの学習に必要です。

セミナリーの生徒は全員,その年に学ぶ聖典を読んでもらいたいと思います。今後も目標を立てて意味のある学習をしてほしいと思います。しかし,コース履修の認定を受ける条件は,そのセメスターの75%に当たる日数読むことです「毎日読む」という言葉の定義をわたしたちは提示していません。しかし,その年に学ぶ聖典を75%を目指してとにかく毎日読む努力をするならば,生徒はそれも含めてセミナリーを頑張ろうという気持ちになるでしょう。

ビゲロー兄弟:目標は違っても,生徒たちが毎日聖文を読むのは変わらないことが分かってうれしいです。世界には,セミナリーはあるけれども印刷された聖典がない地域もあります。ですから,全世界の状況に合わせた標準にする必要があります。「皆さんが言葉を通して天の御父との関係を良くしていければ幸いです」と言うことができます。神の言葉を毎日学ぶ習慣をつけることによって,それができるようになります。

ウェッブ兄弟:毎日主の言葉を聞く機会を作るということですね。

ビゲロー兄弟:その通りです。

ウェッブ兄弟:教師も信頼することになりますよね。生徒を個別に指導して,本人に必要なことと本人の能力に応じて行うことを決めていきます。そして,わたしたちは皆さんを信頼しています。これが意味するところを定義しないのは,そのためです。

ビゲロー兄弟:その通りです。

ウェッブ兄弟:ありがとうございます。コースに関するこの変更はすでに発表されていますし,実施されています。皆さんが生徒にとっていちばん祝福となる方法で実施してくださっていることに感謝します。話さなければならないもう一つの変化として,ここ数か月,セミナリークラスでは中断や変更が多々ありましたね。オンライン学習への移行その他,パンデミックのせいでどんな工夫をしましたか。ロリー,パンデミックから何を学びましたか。この先どんな変化があるでしょうか。

ビゲロー兄弟:まず何よりも,ウェッブ兄弟が冒頭で話したように,一緒に働く人たちがすばらしいということです。しかも,教会が運営する学校や教師の召しを受けている人,専任およびパートタイムの職員を全部加えると6,000人以上もの人が全世界で働いています。しかも,非常に優秀な人たちです。しかし,パンデミックで痛感したのは,わたしたちにはなかったスキルが必要だということでした。

自分の例を挙げて恐縮ですが,7年ほど前,妻とわたしはブラジルの伝道部で伝道部の指導者として奉仕する依頼を受けました。つまりポルトガル語を勉強しなければなりませんでした。若いころの伝道はスペイン語圏でしたから,新しい言語だったわけです。勉強してある程度話せるようになったと思っていました。

ところが第一日目に伝道部に着くと,社交的な伝道部会長はわたしたちを家に招待したのです。施設管理マネージャーがいて,わたしたちが台所に行くと,「水を注文してください」と言います。彼は水の入った水差しに手を置き,「じゃあ,ボトルに入った水を注文してください」と言いました。わたしはひどく焦りました。水差しをポルトガル語で何と言うのか分からなかったからです。そういう言葉は勉強していません。勉強したのだから分かると思っていました。わたしは言いました。「水をいただけますか。水をついでいただけますか。」「もちろんです」と言ってもらえました。

彼が電話をしているときに,こっそりと単語カードを取り出してポルトガル語で水の頼むときの言い方を書き写したのです。水が飲めなかったら2週間で一家全滅だと,わたしは思いました。

分かっていると思っていたことが分かっていなかったことを思い知らされましたよ。パンデミックも同じだと思います。オンラインレッスンの技術は必要なレベルに届いていません。もともとその分野の技術がある人はすぐに対応できましたが,そうでない人もいます。

わたしたちが学び,これからも学び続ける必要があるのは,技術力をつけることだと思うのです。技術力をつける方法を見つける必要があります。

ウェッブ兄弟は冒頭の話で大切なことを言いました。繰り返します。とても大切だからです。クラーク長老の言葉です。「従順や希望や慈愛がどの程度であろうと,専門的技能や能力がどのレベルであろうと,前途にある業を果たすのには十分ではありません。」4

そして,パンデミックで感じたのは,もっと力を付けたいという強い意欲でした。変わってしまったこの現在の世界でさらにいろいろなことを求めてこられる主の期待にこたえたいのです。では,オンラインで何をするのでしょうか。分かりません。アダム,オンラインに関する指示はどうなっていますか。この質問にはアダムの方がうまく答えられると思いますが。

スミス兄弟:おっしゃる通りです。わたしたちはこのパンデミックで非常に大切なことを二つ学んだと思います。これからそれを生かしていきます。一つは,ウェッブ兄弟が言ったように,最高の人材があるということです。常勤の教師とボランティアは非常に意欲があり,献身的です。難しい問題に入り込んで見事に解決しています。

力を付ける機会があることも知りました。知りたい答えを引き出すにはどんな質問をしたらいいかも分かってきました。

教会本部ビルでは,デジタル学習管理部門を設けました。専門家を集めて,セミナリーとインスティテュートをオンラインでうまく提供できるようにしたのです。「デジタル学習管理」というネーミングにしたのは,オンラインという言葉には別の意味がたくさんあるからです。しかも,ビデオ会議や非同期など,テクノロジーを使ってリモートで提供するものをすべて扱います。

しかし,分かったのは,どんな質問をすればいいのか,ということでした。わたしたちはそのような質問をして,今後ますますデジタルで行われることが多くなるセミナリーとインスティテュートで役立つリソースやインフラ,プログラムを作れるようにしました。

もちろんコロナがなくなれば需要は低くなりますが,以前よりは高くなるでしょう。というのは,以前には手が届かなかった生徒たちと連絡が取れるようになったという事実があるからです。デジタルにせざるを得なかったために,以前は接触できなかった人や家族に祝福を与えられるようになりました。収穫もあったのです。改善のための質問が分かったところで,答えを出せるように一致協力して努力しています。ですから,いい結果が出ると思いますよ。

ウェッブ兄弟:「いつになったらオンライン専門の職員が配属されるのですか」という質問を受けることがあります。これについては奮闘中です。オンラインでのみ教える専任セミナリー教師が出てくる日が来る可能性は非常に高いのですが,オンラインでうまく教えるための基本をわたしたち全員が理解する必要があるというのも,また事実です。わたしたちは皆,どこかでデジタルによる奉仕をお願いされるかもしれないのですから。お願いされたら,もちろん全力を尽くします。目を見張るほどうまくできる人もいます。秀逸なオンライン授業でインスティテュートの登録人数を4倍に増やした教師を,わたしは見たことがあります。一体わたしたちは,オンラインによる教育をうまく行って人々に実際に祝福を与える技術を身につけることができるのでしょうか。これは,組織の枠組みよりも大切な問題です。

そして,その技術が身についてきたら,ほかの人を訓練して,最高に良い福音のレッスンがオンラインで提供できるようになってもらいます。すばらしい意見だと思います。ありがとうございます。

ビゲロー兄弟:オンラインに変わるからといってこれまでしていたことを全部捨てるわけではありませんが,パートタイムのセミナリーやインスティテュートの教師を増やしてでも,この変更を行う必要があります。オンラインですと,大きな負担をかけずに教えることができます。

ウェッブ兄弟:でも,無理にオンラインにしなくてもいいのです。レッスンをするうえで技術的に可能だったのでオンラインに切り替えただけです。先ほども言いましたが,女性の職員が増えていて,良い働きに感謝しています。家庭その他の事情でパートタイムやオンラインで教えることを選ぶ人もいます。

それに,女性の増加に伴い,指導する立場に女性が就く機会が増えてきているのも事実です。教会本部ビルには部門ディレクターが10人いますが,そのうち3人が女性です。しかも,女性だからという理由からではなく,ふさわしいからその地位に就いたのであって,すばらしい働きをしています。

これは一例に過ぎません。組織が大きくなると,地区ディレクターや教職員,プログラム管理者にも女性が進出してきます。それに,これは教育部の職員層の変化であり,知っておく必要があります。しかも,プログラム管理者は特に,いろいろな見方があることを把握して話し合い,人々の経験を生かし,彼らの考えから学ぶ必要があります。

職員の多様化に目を留めて,それを活用する必要があると思うのです。職員について言いましたが,全世界的に見てもそうです。様々な背景を持つ男女が教師に召されていて,彼らから得るものはたくさんあります。彼らの言葉に耳を傾けて理解し,彼らの考え方と経験から学んでください。そうすれば,生徒に祝福を与えることができるようになります。

ビゲロー兄弟:知らない方も多いと思いますが,わたしたちはフィールドチームを作り始めています。教科課程の作成者と訓練の提供者,訓練チームを世界中から集めるのです。偏狭な見方ではなく,全世界の様子をもっとよく把握できるようになります。

ウェッブ兄弟:ありがとうございます。アダム,また話してもらえますか。新しいインスティテュートではいろいろなことが起こっていて,多くの人が興味を持ち,貢献しています。新しいインスティテュートについて説明していただけますか。

スミス兄弟:かなりの時間と資源をつぎ込んできました。すばらしいディレクターや教師がたくさんいて,物理的な環境を変えたり,新しいコースを提供したり,コースの名称を変えたりしています。どれもすばらしい働きです。いちばん大切なのは,インスティテュートの生徒の声によく耳を傾けていることではないでしょうか。特に,一度顔を出して二度と来なかった人や,一度もインスティテュートに来たことがない人の話をよく聞いています。そういう人たちの話をよく聞いているのです。

でも,わたしたちにできるいちばん大事な変更は,教え方を少し変えることだと思うのです。ロリーが言ったように,全面的に変えるのではなく,小さな変更です。何度も行うことを少し変えるのです。それに,ウェッブ兄弟,改心のクラス,意味のあるクラス,仲間意識が持てるクラスを作るという話を去年の6月にしていましたが,これは,実にインスティテュートを革新的に変える方法ですね。

実は,インスティテュート教師の地域ディレクターがわたしに言った話を伝えたいと思うのです。彼は「永遠の家族」コース初のズームレッスンの準備をしていました。そして,短い自己紹介ビデオを送るよう各生徒にお願いしたのです。

すると,一人の男子生徒が自分はゲイであって教会の家族や結婚に対する教会の方針にはついていけない気がすると,クラスで自己紹介するビデオを送ってきたのです。この教師は家族の教義と原則を教える準備に取りかかるところでしたが,よく考えて祈ることにしました。そして,この若者に話しかけました。インスティテュートのクラスは教義を分かりやすく教えたり,預言者と使徒の教えを教えたりすることができる場であるだけでなく,生徒が不安や悩みや疑問を気兼ねなく話すことのできる場なのだということを知ってほしいと,誠実に伝えたのです。

こんな風に切り出されたので,この若者は,レッスンの間黙ってただ座っているつもりだったと言いました。いつもそうしているそうです。教会で家族の話が出たら,聞き流して何も言わないことにしていました。でもこの教師がそんな風に言ってくれたので,クラスに積極的に参加しようと決めました。この若い男性のおかげでクラス全体が素晴らしい経験をできました。彼の気になっていることと質問により有意義なディスカッションになりました。これは信仰あふれる環境となり,真理が教えられ,心からの誠実な質問をすることができました。

このクラスに出た後で,この生徒は手紙を書いてきました。その手紙をわたしは紹介されたのです。これは,インスティテュートの変革のためにわたしが心からやりたいことを伝えている話だと思います。こんな手紙です。

「あのレッスンには,ただただ感謝します。わたしは怖くて何も言いたくなかったのですが,最後には『ありがとう』と思わず叫びそうになりました。すごいレッスンでした。わたしはこのレッスンを,高校生のときにセミナリー教師に自分がゲイだと告白した後で受けたレッスンと比べました。別のクラスで経験したことを話すと,この教師はわたしを守ってくれました。そのときのレッスンも先生のレッスンも愛にあふれていて,わたしの人生を根底から変えてくれました。福音に従いたいという思いが何度もこみ上げてきました。全力で福音に従おうと決めました。人生が変わりました。ありがとうございます。質問に答えてくれてありがとうございました。わたしに近づいて助けてくださり,ありがとうございました。感じていることを全部書いています。すごく御霊を感じるからです。感謝しているし,うれしい,と聖文日記に書きました。うれし涙を流しています。ありがとうございました。」

この教師が生徒と心を通じ合わせたことが分かります。そのおかげで生徒は救い主のもとに来て聖約の道を歩み続ける希望と勇気を得ました。そしてこれは,この教師のクラスが改心のクラス,意味のあるクラス,仲間意識が持てるクラスになっていたからです。

ウェッブ兄弟:こんな風に質問に答えてくれて,ありがとうございます。環境を変えたり,コースの概要を作ったり,すべてのことに取り組んでいきましょう。今来ていない生徒がクラスに来るようになるために,新しい実用的な方法を見つけてインスティテュートを変えていきましょう。そして,そういう人が来たら,今の話のような経験ができて天の御父とつながれるようにするのです。すばらしい目的です。ありがとうございます。

では,最後の質問です。お二人に答えてもらいます。皆が知っていることを今までたくさん話してきましたが,手引き『福音を教え学ぶ』が変わります。新しい手引きに関連する訓練その他については知らない人が多いかもしれません。それについて話しましょう。訓練に関連して新しくなったことについて,話していただけますか。

スミス兄弟:わたしたちは,目標を絞ってシンプルにまとめる努力をしています。そしてとてもうれしいのは,神権・家族部で中央日曜学校会長会とコラボして,教会の教師のテキストを一つにしたことです。『救い主の方法で教える』『福音を教え学ぶ』を一つにして,簡単で分かりやすいテキストにしました。これを読むと,教えることの定義がはっきりと分かり,何をクラスで行い,生徒が教師とともに何を経験するのかが分かります。召された教師も,セミナリーとインスティテュートの教師も,一律にこの手引きを使うようになります。

これをサポートするために,「訓練リソースライブラリー」というものを作り始めています。教師があるスキルの定義を読むとそのスキルが表示されて説明が受けられるサイトがあることが分かります。そのサイトでそのスキルの訓練を受けることができ,練習したり,実際に使ったりします。教師たちに身につけたいスキルがあったらリソースを見つけてそのスキルを伸ばせるようにしたいとと,わたしたちは思っています。それと合わせて,わたしたちの望んでいることが実行できているかどうかを知る方法も欲しいと思います。若者たちの生活が目標通りに変わっているかどうかを調べたいのです。

教師が自分の力量をうまく自己評価できるようにす方法をわたしたちは調べています。教師がさらに役立つ助けをスーパーバイザーから受けて成長できるようにするためです。また,生徒たちに感想や生活の変化を聞いたりもしています。そして,これらがすべて励みとなって教師が成長してくれれば幸いです。教師の成長のためならどんなリソースでも使いたいと思っています。

わたしたちが救い主の再臨を目前にした時代にいることは,皆知っています。そして,クラスに来る若者たちは,かつて見たことがないほど優れた人たちです。彼らが優秀なのですから,わたしたちも優秀になる必要があります。成長したいと思います。

ビゲロー兄弟:アダムの説明は面白いと思いました。自分の目標をはっきりさせられるかということですね。訓練すれば,期待にこたえられるようになるのでしょうか。そうなると,成長の度合いを測る尺度が必要です。わたしたちはその尺度の表示方法まで話し合いました。それから,現状を基に目標を立て,どうなりたいかを決めました。

ウェッブ兄弟:業績管理という専門用語を使うと,「福音を教えているのに緊張する」と思われてしまいます。皆生徒を愛しています。生徒に祝福を与えたいのです。そばにいて成長を助けてくれる人がいれば,生徒にもっと祝福を与えることができるようになります。クラスの状況を顧みることができます。これは完璧な教師になりたいからではなく,生徒に最高の経験をしてほしいからです。

ほんとうにうれしいことだと思うんです。手引きや訓練リソースライブラリー,今話した尺度。これが使えるようになるのです。すべてすばらしいもので役に立ちます。見るとうれしくなりますよ。少なくとも,そう願っています。そうですよね。

ウェッブ兄弟:ええ。

ウェッブ兄弟:この会を閉じる前に何か。

ビゲロー兄弟:大切なことがもう一つあります。わたしたちはともすると,教え方や教え方の改善に夢中になるあまり,指導力や管理能力をおろそかにしがちです。セミナリー校長であれ,コーディネーターや地区ディレクター,地域ディレクターであれ,そうです。今は,それをおろそかにするまいと努力しています。目標ということでは,役割を紙に書いて,校長が自分の義務を理解できるようにするのもいいかもしれません。尺度と言っても,教え方ではなく,指導力を測る尺度です。わたしは数年前に校長を務めましたが,この話を聞いたら受け入れていたと思います。

教職員や管理補佐にはこう言いたいと思います。「わたしがきちんと役割を果たしているかどうか教えてください。どうやったらもっとよく果たせるようになるか教えてください。」わたしはできる限りいい指導者になりたいのです。そうなるための方法はたった一つ,今の自分を知り,どうなりたいのかを決め,どうすればそうなれるのかを知ることです。これまで話してきたことはすべて,青少年とヤングアダルトにすばらしい経験をしてもらうことであり,わたしの指導力を高めることでもありました。

ウェッブ兄弟:知っておいてほしいのですが,今日話した変更の中にはすぐに実施されるものもあれば,時間がかかるものもあります。

宜しくお願いします。放送のこの部分を閉じるに当たり,全般的な変更について,もう一つ付け加えます。どんなプログラムでもリソースでも,作って全世界で使ってもらうことができます。しかし,わたしたちが一致して天の御父の御心に従わない限り,何の役にも立ちません。できる限りのことをしなければなりません。わたしたちの生活の中で,神に勝利を得ていただかなければなりません。変更を受け入れて,喜んで実施しなければなりません。生活を変えるには,心を入れ替えて教え,証しなければなりません。

心を一つにしてキリストの大義に一生懸命励みましょう。もっと主に頼りましょう。そうするならば,どんな変更にも対応できるようになります。個人の生活や教え方の中で変える必要のあることを見つけて,それを変えられるよう,聖霊が助けてくださいます。そしてわたしたちは,神が奇跡の神であられることを,身をもって知るのです。イエス・キリストの御名により,アーメン。

  1. ラッセル・M・ネルソン「はじめに『リアホナ』2018年11月号,6

  2. 『福音を教え学ぶ—宗教教育セミナリー・インスティテュートの教師ならびに指導者用手引き』20

  3. キム・B・クラーク「火に包まれ」(宗教教育セミナリー・インスティテュート衛星放送,2015年8月4日)ChurchofJesusChrist.org