家族の大切さ
この1年を通して,福音を中心とした家庭を築くことを決意することができるよう願っています。逆境という嵐からの避け所となるような家庭を築いてください。
混乱と不安の世の中にあって、家族を生活する中心とし、最優先させる必要性がいままでになく増しています。家族は御父の計画の中心を成すものです。『家族—世界への宣言』には,家族における両親の責任について次のように宣言されています。
「夫婦は,互いに愛と関心を示し合うとともに,子供たちに対しても愛と関心を示すという厳粛な責任を負っています。『子供たちは神から賜わった嗣業であり』(詩編127:3)とあります。両親には,愛と義をもって子供たちを育て,物質的にも霊的にも必要なものを与え,また互いに愛し合い仕え合い,神の戒めを守り,どこにいても法律を守る市民となるように教えるという神聖な義務があります。夫と妻,すなわち父親と母親は,これらの責務の遂行について,将来神の御前で報告することになります。」1
最近行われた大管長会との幾つかの集会の中で,大管長会は家族が衰退していることを心配しました。そこで大管長会は,神権役員評議会に,様々な割り当ての中で家族に焦点を当てなければならないと指示しました。〔訳注——神権役員評」議会は,十二使徒定員会,七十人会長会,管理監督会の代表が構成する。聖徒を完全な者にするための働きに主眼を置いている。〕
大管長会の要請にこたえるために,すでに多くの計画と働きが実行に移されています。わたしたちはあらゆる手段を使って,主が特別に定められた単位である「家族」が,よりいっそう調和し,愛に満たされ,ともに感化し合えるようにしたいと願っています。
家庭を嵐からの避け所とする必要があるのです。この嵐は至る所で激しさを増してきており,たとえわずかばかりの透き間であっても,そのまま放置していれば,悪の力が家庭の中に進入して来ます。一つの例をご紹介しましょう。
数年前,娘家族と夕食を共にしました。それは多くの家庭に見られる光景で,小さな子供たちも一緒でした。娘は3歳になる自分の息子に,好き嫌いなく食べさせようとしていました。孫は好きなものばかり食べていて,小さく盛られたサヤインゲンは残していました。あまり好きではなかったのです。万策尽きた母親はフォークを手に取ってサヤインゲンを食べさせようとしましたが,息子は決して口を開こうとしませんでした。そしてこう大声で言ったのです。「ママ,友達は大切にしないといけないよ。」
それは,その子が数日前にテレビコマーシャルで耳にした言葉でした。宣伝広告やテレビ番組,インターネット,そのほかのメディアは個々の家族にどれほど影響を及ぼしていることでしょうか。
両親である皆さんは,家族を導く必要があることを忘れないでください。
家族の責任を果たせるように,神権指導者や補助組織指導者からだけでなく,教会公式ホームページやテレビ番組からも様々な援助手段が提供されています。
世界の幾つかの地域では,民放テレビ局が放送している家族にとって好ましくない番組の代わりになるものがあります。BYUテレビという放送局があり,家族向けの番組を放映しているのです。福音を教える番組もありますし,親の務めについて教える番組や,家族で楽しめる番組もあります。家族をテーマに構成しているテレビ広告「ホーム・フロント」についても,より質の高いものをもっと頻繁に流していきたいと考えています。
このほかにも,テレビより広い地域を網羅するために教会公式ホームペーシ,lds.orgがあります。このサイトでは最近,「家庭と家族」のページを新たに加えました〔訳注——このページは英語で掲載されています〕。家族を強めるための聖句に基ついたメノセージや指導者の言葉,また,家族の活動に関するアイデアも載せています。「家庭と家族」の新しいセクションには以下の事柄が掲載されています。
●家族に焦点を当てた教会指導者の教え
●家族の活動に関するアイデア
●有意義で楽しい家庭の夕べを行うためにすぐに役立つヒント。
●家庭の夕べをより充実させる,夫婦関係を強める,家族をより身近に感じるためのアイデアなどのテーマに関する記事
ホームページが更新される度に,家庭の夕べを計画するための新しいアイデアが掲載されます。この中には「神への信仰」〔訳注——日本語版はありません〕や「神への務め」「成長するわたし」プログラムて行う活動のための提案もあります。
すべての教会員のもとに情報を届ける手段として,教会機関誌があります。教会機関誌は家庭に定期的に届きます。機関誌は家族を強めるための情報を伝えるもう一つの重要な手段だと言えます。『エンサイン』(Ensign)と国際機関誌『リアホナ』3月号に,ゴードン・B・ヒンクレー大管長の家庭の夕べに関するメノセージがあることは,たぶん皆さん気づいていらっしゃるでしょう。
「『わたしたちは,週に1度〔月曜日の夜に〕教会全体で家庭の夕べというプログラムを行っており,両親が子供たちと一緒に時間を過ごします。この時間には,家族で聖文を研究し,家族の問題について話し合い,家族の活動などを計画します。わたしは躊躇せずに申しますが,世界中のすべての家族がこの一つのことを実行するならば,世界中の家族の結束に大きな違いが生まれることでしょう。』(インタビュー,Boston Glober,2000年8月14日付)」2
家庭の夕べを奨励するヒンクレー大管長の言葉に続いて,「召されていると気づかなかった召し」という題の次のような記事が紹介されています〔訳注——この記事は『エンサイン』にだけ掲載されています〕。
「子供がまだ幼かったとき,家庭の夕べはなかなか骨が折れました。夫とわたしは,家庭の夕べを定期的に開くようにとの末日の預言者の勧告を真剣に受け止めました。しかし教会の召しやほかの責任を抱えていたわたしたちは,月曜の夜になるとたいてい,実りある愛にあふれた家庭のタベを計画するだけの時間と気力がないことに気づくのでした。
ある日曜日に初等協会を訪問しました。分かち合いの時聞や音楽の時間では,物語や視覚教材,そして短いながらも効果的な活動がたくさん用意されていました。そして,子供たちがその一つ一つに目を輝かせている様子に気づいたのです。また,召しのためによく準備している初等協会の指導者や音楽指導者の様子を見ながら夢中になって学びました。わたしはこう思いました。『この指導者たちが十分時間を取って愛をいっぱい込めながら準備したことは間違いないわ。与えられた召しの中で,何てすばらしい働きをしているんでしょう。』
そのとき,次のような思いが頭をよぎりました。『家庭のタベはあなたの召しの一つです。それどころか,あなたにとって最も重要な召し,つまり母親の務めの一部分です。』わたしはその思いについて深く考えました。『会報の校正や訪問教師の召しを尊んで大いなるものとする時問を割けるのなら,家庭の夕べの召しを尊んで大いなるものとすることも当然できるはずだわ。』」3
これを書いた姉妹は,非常にすばらしい考えを紹介してくれました。家族のために設けられたこの特別な夜のために,もっと効果的な計画を立てるよう励ましてくれます。
また,教会機関誌の6月号は,家族をテーマにしたものであることもお知らせしておきます。さらに,1年を通して『リアホナ』『エンサイン』『ニュー・エラ』(New Era)『フレンド』(Friend)に家庭で教えるための資料を掲載する予定です。また,家庭の夕べのための提案や,日常の教える機会に活用できるアイデアが盛り込まれることになっています。これらの記事は,家族で教える際に利用しやすいように書かれています。
こうした機関誌を通して,子供や青少年は,預言者の言葉や人々の模範を通して,両親を愛し敬うことの大切さを教わることができます。両親は,喜びのときにも困難なときにも家族のきずなを強め,維持する方法を学びます。教会機関誌にあるすばらしい御霊は,福音のぬくもりと愛と力強さで家庭を満たしてくれます。
『チャーチニューズ』(Church News)も家族に関するメッセージを広く伝えてくれます。「チャーチニューズ』には,家庭を愛と尊敬の念で満たし,福音を実践し,健全な娯楽活動を計画するのに参考になるような記事が盛り込まれています。
教会全体を家族に焦点を当てた資料で満たすなら,もっと堅固ですばらしい家族を築こうとする教会員の支えと励ましとなることでしょう。このことが,永遠の家族を築くための意識的でたゆまぬ努力のきっかけになるようにと望んでいます。豊富にある教会書籍の中からは,効果的なアイデァを選ぶことができます。少なくとも,家族に関する記事を何度も目にすることにより,主がこの地上に設立された最も大切な組織に焦点を当てなければならないことを思い起こすことができるでしょう。
主は,時の初めから,家族という組織の重要性を確立してこられました。アダムとエバがエデンの園を追い出されて間もなく,主は二人に次のように語られました。「聖霊がアダムに降り,〔御父と御子のことを証された。〕
その日、アダムは神をたたえ,満たされて,地のすべでの氏族について預言し始めて言った。『神の御名がたたえられるように。わたしの背きのゆえに,わたしの目は開かれた。わたしはこの世で喜びを受け,再び肉体にあって神にまみえるであろう。』
彼の妻エバは,これらすべてのことを聞き,喜びながら言った。『わたしたちの背きがなかったならば,わたしたちは決して子孫を持つことはなく,また善悪も,贖いの喜びも,神がすべての従順な者に与えてくださる永遠の命も,決して知ることはなかったでしょう。』
アダムとエバは神の名をたたえ,息子,娘たちにすべてのことを知らせた。」4
「ブリガム・ヤング大管長は,わたしたちの家族はまだわたしたちのものではないと述べた。主がわたしたちに家族を託されたのは,家族をどのように扱うかを見るためである。わたしたちが忠実であって初めて家族が永遠に与えられるのである。つまり,この世での行いが,天でも父母になるにふさわしいか否かを決定するのである。」5
教会では、家族がともに過ごせるよう二つの時間を定めてきました。一つ目は安息日をふさわしく過ごすことに基づいています。安息日には通常の集会にともに集い,救い主と預言者の生涯と教えについて学びます。「日曜日には次のような活動も適切と言えます。(1)個人や家族の記録をつける。(2)家族評議会を開く。(3)家族や親戚との関係を培い,維持する。(4)両親と子供との個人面接を行う。(5)親戚や宣教師に手紙を書く。(6)系図作業を行う。(7)親戚や病気の人,孤独な人を訪れる。(8)伝道活動を行う。(9)子供たちに物語を読み聞かせる。(10)教会の賛美歌を歌う。」6
二つ目は,月曜の夜です。わたしたちは,よく計画した家庭の夕べで子供たちを毎週教える必要があります。月曜の夜には,家族全員,ほかのどのような活動にも参加すべきではありません。このあらかじめ齪された時聞は,家族が一緒に過ごすためにあるのです。
大管長会が,家庭のタベに特に重点を置いていることは,皆さんご承知のことと思います。1999年10月4日付けの大管長会のメッセージが,最近教会機関誌で繰り返されました。
「全世界の教会員各位
拝啓
月曜の夜は,教会全体で,家庭の夕べの時間として指定されています。会員の,皆さんがこの時間を,家族のきずなを強め,家庭で福音を教えるために用いてくださるようお勧めします。
わたしたち大管長会は今年の初め,親である皆さんにこう呼びかけました。子供たちを福音の原則の中で教え育てることに全力を尽くしてくださるようお願いいたします。そのことによって子供たちは教会に活発であり続けるでしょう。また,親である皆さんと子供たちに,家族の祈り,家庭の夕べ,福音の研究と指導,そして健全な家族活動を最優先するようにともお勧めしました。
可能ならば,月曜日の夜に結婚披露宴やほかの同様の活動を催さないよう,会員の皆さんに切にお願いします。また実行可能な地域では,会員たちが地域社会や学校の指導者に対して,月曜日の夜に子供や親が外出しなければならない活動をしないよう要請するのもよいでしょう。
月曜の夜は,教会の建物や施設を閉鎖してください。ステークやワードの活動も計画しないでください。このほかにも家庭のタベを妨げるようなことは避けてください。」7
この1年を通して,福音を中心とした家庭を築くことを決意することができるよう願っています。逆境という嵐からの避け所となるような家庭を築いてください。主が御自身の子供たちに向けられた約束と教えをもう一度思い起こしましょう。
「神の栄光は英知である。言い換えれば,光と真理である。
光と真理はあの悪しき者を捨てる。……そして,あの邪悪な者が来て,人め子らから,不従順によって,また先祖の言い伝えによって,光と真理を取り去る。しかし,わたしはあなたがたに,あなたがたの子供たちを光と真理み中で育てるようにと命じた。」8
この1年,わたしたちが家庭において福音の光と真理を享受できるように願っています。家庭が確かにこの世からの避け所となりますように。イエス・キリストの御名によってへりくだりお祈りします。アーメン。