2010–2019
信仰を行使することを最優先とする
2014年10月


15:5

信仰を行使することを最優先とする

人生でどのような困難な問題に直面しようと,時間を取って積極的に信仰を行使しなければなりません。

アダムとエバがエデンの園にいたとき,日々の生活に必要なものは全て十分に与えられていました。困難な状態や難しい問題はなく,苦しみもありませんでした。不幸な思いをしたことがまったくなかったので,幸せになれることを知りませんでした。動揺したことが一度もなかったため,平安を感じることができませんでした。

後にアダムとエバは,善悪を知る木の実を食べてはならないという命令に背いたため,罪のない状態ではなくなりました。事物には反対のものがあるという原則を,身をもって知るようになったのです。健康を損なう病を経験し,喜びとともに悲しみも味わうようになりました。

アダムとエバが禁断の実を食べたために,善悪の知識が世にもたらされました。彼らがこの選択をしたことで,人はこの地上に来て試されるようになりました。1わたしたちには選択の自由という祝福が与えられました。物事を自分で決めることができるようになり,決めたことに対して責任を負うようになったのです。この「堕落」の結果,人は人生で幸せと悲しみの両方を味わうことができるようになりました。動揺を感じるようになったので,平安を理解することができるようになりました。2

天の御父は,このような変化が人に起こることを御存じでした。これは全て,御父の完全な幸福の計画に含まれているのです。御父は,完全に従順な御子であり救い主であられるイエス・キリストの生命と,主の贖罪によって,人が死すべき世で経験するあらゆる困難を克服する道を備えてくださいました。

わたしたちは困難な時代に生きています。この世にある悪の根源を全て列挙する必要はないでしょう。この死すべき世の一部として経験する困難な問題や苦悩を全て説明する必要はありません。人は誰でも,誘惑に立ち向かおうとする自分自身の戦いや苦しみ,そして悲しみがあることをよく知っています。

わたしたちがこの世に来る目的は,試しを受けて成長することであると前世で教わりました。3敵対する者の悪に直面することを知っていました。わたしたちはときどき,死すべき世に関する積極的な面よりも消極的な面に気づきやすいと感じるかもしれません。預言者リーハイはこう教えています。「それは,すべての事物には反対のものがなければならないからである。」4人生でどのような困難な問題に直面しようと,時間を取って積極的に信仰を行使しなければなりません。そのように信仰を行使すると,イエス・キリストの贖罪の力という完全で信仰に満ちた力を生活に招き入れることができます。

天の御父は,わたしたちがキリストのもとに来て,主の贖罪に対する信仰を働かせる助けとなる手段を与えてくださいました。その手段が基本的な習慣になると,死すべき世の困難な問題に遭って平安を見いだすための最も容易な方法となります。今日わたしは,そのような手段を4つ選びました。これから話すことに従って,それぞれの手段を自分がどのくらい活用しているかをよく考え,さらに有効に活用するにはどうしたらよいかが分かるように主に導きを求めてください。

祈り

第1の手段は祈りです。天の御父と頻繁に話すようにしてください。毎日時間を作って,考えていることや感じていることを御父にお伝えするのです。心配していることを全て話してください。御父はあなたの生活のまったくありふれたことにも,とても大切なことにも,関心を持っておられます。感じていることや経験していることを何でも話してください。

天の御父は選択の自由を尊重しておられるので,御父に祈ることを強制されません。でも,その選択の自由を行使し,生活のあらゆる局面で御父の導きを求めるなら,あなたは心地よい平安に満たされ始めるでしょう。そのような平安があると,悩みを永遠の観点から見るようになり,その観点から困難な問題に対処できるようになるのです。

親である皆さん,朝と夜に家族の祈りの力で子供たちに武具を身に着けさせ,彼らを守る手助けをしてください。子供たちは毎日,情欲,物欲,高慢,その他多くの罪深い行いなどの悪の攻撃にさらされています。家族で祈ることを通して注がれる力強い祝福によって,日々の世の影響力から子供たちを守ってください。家族の祈りは,日々の生活の中で妥協する余地のない最優先事項とするべきです。

聖文研究

第2の手段は,聖文にある神の言葉と,生ける預言者の言葉を研究することです。わたしたちは祈りを通して神に話し掛けます。ほとんどの場合,神は書き記された御自身の言葉を通してこたえてくださいます。神の声がどのように聞こえ,どのように感じるかを知るために,聖文を研究し,聖文について深く考えてください。5聖文研究を毎日の生活の中でなくてはならないものとしてください。子供たちが御霊の促しに気づき,それを理解し,その促しに従って行動するようになってほしいと願うなら,親は子供と一緒に聖文を研究しなければなりません。

聖文を研究する時間がないなどというサタンの欺きに屈してはなりません。聖文を研究するための時間を取ってください。神の言葉を毎日よく味わうことは,睡眠や学校,仕事,テレビ番組,コンピューターゲーム,ソーシャルメディアよりも大切です。神の言葉を研究する時間を取るために優先順位を見直す必要があるかもしれません。もしその必要があれば,見直してください!

日々の聖文研究に伴う祝福について,多くの預言者が約束しています。6

この約束に,わたしの証を付け加えましょう。毎日時間を取って個人でも家族でも神の言葉を研究するなら,皆さんの生活に平安が満ちるでしょう。平安は,外の世界から来るのではありません。それは,皆さんの家庭から,皆さんの家族から,皆さん自身の心から来るのです。これは,御霊の賜物です。その平安は皆さんから発散し,周囲の人々に影響を与えます。皆さんは,世に平安を増し加えるという,非常に大切なことを行っているのです。

皆さんの生活から困難な問題がなくなると言っているのではありません。思い出してください。アダムとエバが園にいたとき,困難な問題はありませんでしたが,幸せも喜びも平安も経験することができませんでした。7困難な問題は死すべき世の大切な部分です。日々たゆまず聖文を研究することによって,皆さんは不安な状況の中で平安を見いだし,誘惑に対抗する強さを見いだします。神の恵みに対する強い信仰を育み,イエス・キリストの贖罪によって,神の定められたときに,全ての事物が正されることを知るでしょう。

家庭の夕べ

家族を強め,家庭に平安を増し加えようと努力する際に,第3の手段である,毎週の家庭の夕べを忘れてはなりません。家庭の夕べを忙しい1日の単なる付け足しにしないように注意してください。月曜の夜は,その夕べのために家族全員が皆家庭に戻る決心をしてください。家庭で家族が一緒に過ごす時間よりも大切になるような仕事,スポーツ,クラブ活動,宿題,その他の予定を入れないようにしましょう。

家庭の夕べの内容はともかく,家族で時間を共にすること,それこそが大切なのです。福音は改まった状況でも,打ち解けた状況でも教えるべきです。家族の誰にとっても有意義な経験となるようにしてください。家庭の夕べは安心して証を述べることのできる貴重な時間です。そこでわたしたちは教えること,計画すること,組織的に行動する技術を学びます。家族のきずなを強めます。家族の伝統を育みます。家庭内でお互いに話し合います。そして何よりも大切なのは,すばらしい時間を一緒に過ごすことです!

今年4月の大会でリンダ・S・リーブズ姉妹はこう断言しました。「わたしは毎日の聖文研究と祈り,それに毎週の家庭の夕べから受ける祝福を自分と夫の経験から知っているので,証しなければなりません。これらを実行することによってストレスから解放され, 家庭に導きを受け,家庭に一層の守りをもたらすことができます。」8リーブズ姉妹は非常に聡明な女性です。これまで述べた3つの非常に重要な習慣について自分自身の証を得るように皆さんに強く勧めます。

神殿参入

第4の手段は神殿参入です。この地上における神の神殿ほど平安を感じることのできる場所は他にないことをわたしたちは皆知っています。神殿推薦状を所持していない人は,ふさわしさを身につけて,神殿推薦状を取得してください。推薦状を取得したら,度々それを使ってください。9定期的に神殿に参入するように予定を立ててください。誰にも,そして何事にも神殿に行くことを妨げさせてはなりません。

神殿にいる間,儀式の言葉に耳を傾け,それについて深く考え,祈り,その意味を理解するように努めてください。神殿は,イエス・キリストの贖罪の力を理解するのに最適な場所の一つです。神殿でを求めてください。自分の先祖の名前を携えて神殿に行くと,さらに多くの祝福が注がれることを忘れないでください。

この4つの手段は,イエス・キリストの贖罪の力の中で生活を守るために必要な基本的な習慣です。救い主が平和の君であられることを忘れないでください。この死すべき人生における平安は,救い主の贖いの犠牲によってもたらされます。たゆまず朝晩祈り,日々聖文を研究し,毎週家庭の夕べを開き,定期的に神殿に参入するとき,わたしたちは「わたしのもとに来なさい」という主の招きに積極的に応じていることになります。わたしたちがこれらの習慣を育めば育むほど,サタンはわたしたちを損なおうとますます躍起になりますが,その力は次第に弱まります。これらの手段を使うことによって,わたしたちは選択の自由を行使し,主の贖いの犠牲のあらゆる賜物を受けることができるようになるのです。

これらのことを行うことによって,人生の悩みが全て解決すると言っているのではありません。わたしたちがこの死すべき世に来たのは,試されることによって成長するためです。困難な問題を通してわたしたちは天の御父に似た者になることができ,イエス・キリストの贖罪のおかげで,人は困難な問題を堪え忍ぶことができます。10積極的に主のもとに行くなら,わたしたちはあらゆる誘惑と苦悩,そして直面するあらゆる困難な問題を堪え忍ぶことができます。そのことをイエス・キリストの御名によって証します,アーメン。

  1. モーセ5:11参照

  2. モーセ4-5章参照

  3. アブラハム3:25参照

  4. 2ニーファイ2:11

  5. 教義と聖約18:36参照。34-35節も参照

  6. 例えば,以下のような約束がある。トーマス・S・モンソン大管長は次のように述べている。「聖文を読んで深く考えるとき,御霊が優しくささやきかけてくださるのを経験します。疑問に対する答えを見つけることができます。神の戒めを守ることからもたらされる祝福について学びます。天の御父と救い主イエス・キリストについて,そして御二方がわたしたちに寄せられる愛について確かな証を得ることができます。さらに祈りが加われば,イエス・キリストの福音が真実であることを確かに知ることができます。……祈りを忘れず,時間を取って聖文を調べるなら,わたしたちの生活ははるかに祝福され,重荷は軽くされます。」(「決して独りで歩いているのではない」『リアホナ』2013年11月号,122)ゴードン・B・ヒンクレー大管長は次のように述べている。「わたしは皆さんに,何のためらいもなくはっきりと約束します。これまでに何度読んだかに関係なく,皆さん一人一人がこの簡単なチャレンジを実行するなら,皆さんの生活や家庭の中に,さらに豊かに主の御霊が注がれるようになるでしょう。そして,主の戒めに従って歩もうとする決意が強められ,神の御子が確かに生きておられることがさらにはっきりと分かるようになることでしょう。」(「力強い,真実の証」『リアホナ』2005年8月号,6)ハワード・W・ハンター大管長は次のように述べている。「賢い父,母が子供たちを集め,ともに聖典を読み,その物語や思想をそれぞれの理解力に応じて自由に話し合うとき,家族は大きな祝福を受けます。しばしば青少年や小さな子供たちが宗教の基本的な教えに関してはっとするような理解や洞察を示すことがあるのです。」(「聖典を読む」『聖徒の道』1980年3月号,88)エズラ・タフト・ベンソン大管長は次のように述べている。「わたしたちはよくステークでの活動のレベルを高めようと,大変な努力をします。また聖餐会の出席率を上げるために一生懸命働きかけます。さらに宣教師の数や神殿結婚の数を増やそうと努力します。もちろんこうした努力は立派なことですし,王国の発展のために大切なことです。けれども,もし各個人や家族が定期的に続けて熱心に聖典を読むならば,これらのさまざまな領域の活動は自動的に成し遂げられます。もっと証が深まり,人々はさらに熱心に参加するようになるでしょう。家族が強められ,個人のうえに啓示が注がれることでしょう。」(「み言葉の力」『聖徒の道』1986年7月号,81)スペンサー・W・キンボール大管長は次のように述べている。「神との関係をなおざりにしているとき,また神がわたしの祈りに耳を傾けられず,わたしに話し掛けてくださらないと思えるとき,神からかなり遠くに離れていることが分かります。そのようなとき,もし聖文に没頭するなら,神との距離は縮まり,霊性が戻って来ます。心と思いと力を尽くして愛さなければならない御方をさらに強く愛するようになります。そして聖文を愛すれば愛するほど,聖文の勧告に従うのがさらに容易になります。」(『歴代大管長の教え―スペンサー・W・キンボール』66-67)マリオン・G・ロムニー管長は次のように述べている。「家庭にあって両親が,夫婦として,また子供を交えて家族として,ともに祈りをもって定期的にモルモン書を読むようにするならば,家庭の中はこの偉大な書物から湧き出る特別な力で包まれ,家族一人一人がその力強い影響を受けることでしょう。家庭の中はこれまで以上に敬虔な雰囲気に包まれ, 一人一人が互いに尊敬し合い,関心を持つようになると思います。そしていがみ合うようなことがまったくなくなります。また両親は愛と知恵の中で子供たちを諭すようになり,子供たちは以前にも増して両親の勧めに快く従うようになります。義は増し加えられ, 信仰と希望,キリストの純粋な愛が家庭や日常生活に満ちて,平和と喜びと幸福がもたらされることでしょう。」(「モルモン経」『聖徒の道』1980年9月号,102)ボイド・K・パッカー会長は次のように述べている。「真実の教義を理解するならば,態度と行動が変わります。人の行いは,行動について研究するよりも,福音の教義を研究した方が早く改善されるのです。」(「恐れてはならない」『リアホナ』2004年5月号,79)デビッド・A・ベドナー長老は次のように述べている。「1回1回の家族の祈り,1回1回の家族の聖文学習,1回1回の家庭の夕べが,心のキャンバスに描かれた1本の線なのです。心を打ち記憶に残る出来事などないように思えるかもしれませんが,黄色や,金色や,茶色の絵の具で描いた1本1本が補い合って印象的な傑作を生み出すように,一見取るに足りないことを一貫して行うことで,意義深い霊的な実が得られるのです。」(「家庭でもっと勤勉に家庭のことに携わる」『リアホナ』2009年11月号,19)

  7. 2ニーファイ2:13参照

  8. リンダ・S・リーブズ「ポルノグラフィーからの保護─キリストを中心とする家庭」『リアホナ』2014年5月号,16

  9. ハワード・W・ハンター大管長は,次のように述べている。「この精神の下に,末日聖徒の皆さんが主の神殿を教会員であることの崇高な象徴とするようにお勧めします。わたしの心からの願いは,全ての教会員が神殿に参入するふさわしさを身につけることです。全ての成人教会員が有効な神殿推薦状を受けるにふさわしくあり, しかもそれを所持するなら,主は喜ばれることでしょう。神殿推薦状を得るためにすべきこととすべきでないことは,わたしたちが個人として,また家族として,幸福になるのを約束する事柄でもあるのです。」(「尊く,大いなる約束」『聖徒の道』1995年1月号,9-10)

  10. 2ニーファイ2:2参照