総大会
わたしたちにモルモン書があるのは主の知恵である
2024年4月総大会


11:13

わたしたちにモルモン書があるのは主の知恵である

今年,モルモン書を読むことで一人一人が喜びと祝福を得られるように祈っています。

愛する兄弟姉妹の皆さん,『わたしに従ってきなさい』を用いて聖文を読んでくださることに感謝します。皆さんのすべての努力に感謝しています。日々神と神の言葉につながることにより,すばらしい結果がもたらされます。「あなたがたは一つの大いなる業の基を据えつつあるからである。そして,小さなことから大いなることが生じるのである。」1

聖文から救い主の教えを読むことは,家庭を信仰の聖なる場所に,そして福音学習の中心に変える助けになります。2また,家庭に御霊を招きます。聖霊はわたしたちの霊を喜びで満たし,3わたしたちを生涯にわたる,イエス・キリストの弟子に変えてくださいます。

この数年間,わたしたちは聖文を読みながら,すべての福音のおもな神権時代で,神がその子供たちに教えられたことをパノラマ写真のように見てきました。4

どの神権時代にも,よく知られたパターンがあります。神は預言者を通して,イエス・キリストの福音を回復するか,明らかにされます。預言者に従う人々は,大きな祝福を受けます。しかし,時間がたつと,一部の人は預言者の言葉に耳をかさなくなり,主とその福音から霊的に離れていきます。これを背教と呼びます。福音は最初にアダムに与えられましたが,アダムとエバの子供の中には,主を拒んで背教する人がいました。5この回復と背教のパターンは,エノク,ノア,アブラハム,モーセ,その他の神権時代に繰り返されてきました。

わたしたちは今,「時満ちる神権時代」に生きています。6背教で終わることのない唯一の神権時代です。7この神権時代は,救い主イエス・キリストの再臨と福千年の統治の先駆けとなる時代です。

では,この神権時代は,何が違うのでしょうか。主は今日,特に今の時代のために,わたしたちが救い主に近づき,主から決して離れないように,何を与えてくださったのでしょうか。

わたしの心に浮かぶ答えの一つは聖文,特に,イエス・キリストのもう一つの証であるモルモン書です。

神は二度とすべての人が背く背教は起こらないと約束されましたが,わたしたちは個人的な背教を避けるように気を付け,注意深くある必要があります。ラッセル・M・ネルソン大管長が教えているように,「個人の霊的成長の責任は,各自にあ〔る〕」8ことを忘れてはなりません。今年わたしたちが行っているように,モルモン書を学ぶことは,常にわたしたちを救い主に近づけ,主の近くに留まる助けになります。

それは「聖文研究」と呼ばれ,成長に必要な努力が自然と必要になるので良いことです。しかし,いつも新しい事実を学ぶ必要はありません。今日神とつながっていることを感じるために,モルモン書を読む場合もあります。つまり,霊を養うため,世の中に出て行く前に霊的に強められるため,あるいは世の中でつらい日を過ごした後に癒しを得るためです。

聖文を研究する目的は,大いなる教師である聖霊によって,天の御父とイエス・キリストに対して「さらに深く改心し,さらに〔御二方〕のようになることです。」9

これらのことを念頭に置いて,次のように自問できるでしょう。「今週のモルモン書の学習から,聖霊は何を教えてくださっただろうか」,また,「それは,わたしたちを救い主にどれくらい近づけるだろうか。」

これらは,家庭での聖文研究に適した質問です。また,教会で日曜日のクラスを始めるときに最適の質問でもあります。わたしたちは,平日の家庭学習を改善することにより,日曜日の教会での教えを改善します。こうして,日曜日のクラスで,「説く者と受ける者が互いに理解し合い,両者ともに教化されて,ともに喜ぶので〔す〕。」10

今週のモルモン書の研究から,御霊によってわたしの心に残った聖句を幾つか紹介しましょう。

  • ニーファイはヤコブにこう告げました。「この……版は……保存して,代々……伝えなければならない。また,神聖な説教や重要な啓示,あるいは預言があれば,この版に刻み,わたしたちの民のために書き記」11さなければならない。

  • ヤコブは後にこう証しています。「わたしたちは〔聖文〕を調べて……このように証するものが数々あるので,わたしたちは希望を抱いており,わたしたちの信仰は揺るぎないものになっている。」12

これらの聖句を読んで,ニーファイが以前,真鍮の版ついて述べたことを思い出しました。

「わたしたちは……記録を手に入れ,また,それを調べて,それが望ましいものであることを知った。まことに,それは,子孫に主の戒めを残すことができるもので……ある。

それゆえ,わたしたちが約束の地を目指して荒れ野を旅するときに,この版を携えて行くのは,主の知恵であった。」13

聖文を持つことが,リーハイと家族にとっての「知恵」であったとすれば,今日のわたしたちにとっても同じく「知恵」です。聖文の偉大な価値と霊的な力は,今もわたしたちの生活の中に,色あせることなく続いています。

歴史上,今日のわたしたちほどモルモン書や他の聖文にアクセスできた民は存在しませんでした。14確かに,リーハイの家族は,真鍮の版を持ち運ぶ祝福を受けましたが,すべての天幕に聖文があったわけではありません。最も重要なモルモン書は,わたしたち個人の一冊であり,わたしたちが実際に読む一冊です。

リーハイは命の木の示現の中で,各自が神の愛を味わうことの大切さを教えています。リーハイはその実を食べた後,少し離れた所に,妻のサライアと息子のニーファイとサムがいるのを見ました。

「彼らは,どちらへ行ったらよいか迷っているかのように立っていた。

そこでわたしは手招きをして,わたしのところに来て,ほかのどんな実よりも好ましいその実を食べるように,大声で言った。

……彼らは,わたしのところにやって来て,その実を食べた。」15

わたしは,リーハイの子育ての模範が大好きです。サライアとニーファイとサムは,義にかなった正しい生活をしていました。しかし,主は彼らにもっとよいもの,もっと喜ばしいものを用意されていました。彼らはそれがどこにあるのか知りませんでしたが,リーハイは知っていました。そこで,リーハイは,命の木のところに来て実を食べるように,「大声で」彼らを呼びました。リーハイの指示は明確で誤解の余地はありませんでした。

わたしの親も,同じような子育てをしてくれました。16わたしは,11歳か12歳の頃,母からこう聞かれました。「マーク,福音が真実であることを,聖霊に教えてもらった?」

わたしはその質問に驚きました。わたしはいつも「良い子」でいるようにしていたので,それで十分だと思っていました。しかし母は,リーハイのように,もっと何かが必要であることを知っていました。自分で行動して知る必要があったのです。

わたしは,まだ経験していないと答えました。母は,わたしの答えにまったく驚いていないようでした。

そしてわたしに,今でも覚えている,忘れられない言葉を言いました。「天のお父様は,あなたが自分で知ることを望んでおられるわ。でも,努力が必要よ。自分でモルモン書を読んで祈り,聖霊に教えていただくの。天のお父様は,あなたの祈りにこたえてくださるわ。」

わたしはそれまで,モルモン書を読んでいませんでした。自分が読める年齢だと思っていなかったのです。しかし母は,よくわかっていました。

母の質問は,自分自身で知りたいという欲求に火を付ました。

そして,二人の兄弟と共用の寝室で,ベッドの上の電気をつけ,モルモン書を毎晩1章ずつ読みました。それから電気を消して,ベッドから抜け出してひざまずき,祈りました。わたしはそれまで以上に真剣に,また大きな願いを込めて祈りました。天の御父に,「モルモン書が真実であることを教えてください」と願ったのです。

モルモン書を読み始めたときから,天の御父がわたしの努力に気づいておられると感じました。さらに,自分が御父に大切にされているとも感じました。読んで祈っていると,安らかで平安な気持ちに包まれました。章を追うごとに,わたしの信仰の光は心の中で輝きを増していきました。やがて,その気持ちが聖霊からの真理の確認であることに気づきました17わたしは,モルモン書が真実であることと,イエス・キリストが世の救い主であられることを自分で知るようになったのです。母の霊感あふれる招きに,心から感謝しています。

少年時代にモルモン書を読んだ経験が,今日までわたしを祝福し続けている聖文研究の始まりでした。わたしは今でも,モルモン書を読み,ひざまずいて祈っています。そして,聖霊はそれが真実であることを繰り返し証してくださいます。

ニーファイの言葉は正しいのです。聖文を生涯持ち続ける必要があるというのは,主の知恵です。モルモン書は,この神権時代をこれまでの神権時代と異なるものにする「かなめ石」です。モルモン書を研究し,生ける預言者に従うとき,個人的な背教は生活の中から姿を消します。18

神の言葉にしっかりとつかまりながら命の木に来るようにという招きは,リーハイから家族への招きや,モルモン書を読んで祈るようにという母からわたしへの招きだけではありません。預言者ラッセル・M・ネルソン大管長からわたしたち一人一人への招きもそうです。

ネルソン大管長は,「毎日祈りの気持ちでモルモン書を研究するならば,皆さんは毎日,さらによい決断を下すようになるでしょう。研究したことについて深く考えるならば,天の窓が開いて,自分自身の疑問の答えを授かり,生活の中で導きを受けるようになります。」19と,約束しています。

今年,モルモン書を読むことで一人一人が喜びと祝福を与えられ,救い主にさらに近づくことができるように祈っています。

天の御父は生きておられます。イエス・キリストは,わたしたちの救い主,贖い主であられます。モルモン書は主の言葉を収め,主の愛を伝えています。ラッセル・M・ネルソン大管長は,今日の地上における主の生ける預言者です。わたしは,聖霊の確認を受けたので,これらのことが真実であると知っています。それは,少年時代にモルモン書を読んだときに初めて受けた証です。 イエス・キリストの御名により,アーメン。

  1. 教義と聖約64:33

  2. 「家庭を中心として教会が支援する新たな統合教科課程には,家族の力を解放する潜在的な力があり,各家族が自分の家庭を信仰の聖所に変えるよう,誠実に,注意深く努力を続けるときにそれが達成されます。わたしは約束します。皆さんが家庭を福音学習の中心の場所に改めるよう熱心に取り組むならば,やがて,皆さんの安息日は真に喜びの日となります。皆さんの子供たちは奮い立って救い主の教えを学び,教えに従って生活するようになります。また,皆さんの生活と〔皆さんの〕家庭におけるサタンの影響力は減少します。皆さんの家族は劇的に変わり,その変化は持続します。」(ラッセル・M・ネルソン「模範的な末日聖徒になる『リアホナ』2018年11月号,113)

  3. 「まことに,まことに,あなたに言う。わたしはあなたにわたしの御霊を授けよう。わたしの御霊はあなたの思いを照らし,あなたの霊に喜びを満たすであろう。」(教義と聖約11:13

  4. 「神権時代とは,権能を与えられた,聖なる神権とその鍵を持つ僕を少なくとも一人,主が地上に置かれる時代を指しています。この僕には,地に住まう人々に福音を宣べ伝えるという神聖な使命があります。」(Topics and Questions, “Dispensations,” Gospel Library)

  5. モーセ5:12-16参照

  6. 預言者ダニエルは,ネブカデネザルの夢を解き明かしたとき,現代の神権時代を見ました。末日聖徒イエス・キリスト教会は,人手によらずに山から切り出されて全地に満ちた石です(ダニエル2:34-3544-45教義と聖約65:2参照)。

  7. 「父なる神とイエス・キリストは,この神権時代の預言者としてジョセフ・スミスを召されました。過去の神権時代に存在した,神から与えられているすべての力がジョセフ・スミスによって回復されました。この時満ちる神権時代は,時期や場所が限定されません。背教で終わることはなく,世界中を真理で満たすのです。」(ラッセル・M・ネルソン「散らされたイスラエルの集合『リアホナ』2006年11月号,79-80)

  8. ラッセル・M・ネルソン,「開会のあいさつ『リアホナ』2018年11月号,8

  9. 改心がわたしたちの目標です『わたしに従ってきなさい—家庭と教会用:モルモン書 2024年』

  10. 教義と聖約50:2217-21節も参照

  11. モルモン書ヤコブ1:3-4

  12. モルモン書ヤコブ4:6

  13. 1ニーファイ5:21ー22

  14. 最近の発表によると,この神権時代に2億部のモルモン書が配付されました。実に驚くべきことです。モルモン書は現在,113の言語に翻訳され,さらに新しい17の言語に翻訳中です。書籍,デジタル,音声,ビデオ,またそのほかの形でモルモン書があることは,何という祝福でしょうか。(See Ryan Jensen, “Church Distributes 200 Millionth Copy of the Book of Mormon,” Church News, Dec. 29, 2023, thechurchnews.com.)

  15. 1ニーファイ8:14-16;強調付加

  16. 「子供の生活にきわめて力強い霊的な影響力を与えるのは,自らの神聖な聖約を忠実に守る,愛ある親や祖父母の義にかなった模範です。意識の高い親は,子供たちに主イエス・キリストを信じる信仰を教えるので,子供たちも,『どこに罪の赦しを求めればよいかを……知〔る〕』〔2ニーファイ25:26〕ようになります。いい加減な,一貫性のない聖約の守り方をしていれば,霊的に悲惨な事態を招くことになります。霊的な悪影響は,たいてい子供や孫たちに最も大きく現れるものです。」(ケビン・W・ピアソン,「進んで従う気持ちが今もありますか『リアホナ』2022年11月号,69)

  17. 教義と聖約6:22-24参照

  18. この記録について,預言者ジョセフ・スミスは次のように言っています。「わたしは兄弟たちに言った。『モルモン書』はこの世で最も正確な書物であり,わたしたちの宗教のかなめ石である。そして,人はその教えを守ることにより,ほかのどの書物にも増して神に近づくことができる。」(「モルモン書の序文」参照)

  19. ラッセル・M・ネルソン「モルモン書—この書物なしの人生とは『リアホナ』2017年11月号,62