「28.死者のための神殿の儀式」『総合手引き—末日聖徒イエス・キリスト教会における奉仕』(2024年)
「28.死者のための神殿の儀式」『総合手引き』
28.
死者のための神殿の儀式
28.0
はじめに
家族を永遠に結ぶことは,神の救いと昇栄の業の一環です(1.2参照)。神殿で行われる儀式により,家族は永遠に一緒にいられるようになり,神のみもとで満ちみちる喜びを味わうことができます。
天の御父の子供たちが御父のみもとに戻るには,一人一人が悔い改め,救いと昇栄の儀式を受けるにふさわしい者となり,それぞれの儀式に伴う聖約を守らなければなりません。救いと昇栄の儀式には,以下のものがあります。
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バプテスマ。
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確認と聖霊の賜物。
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メルキゼデク神権の授与と職への聖任(男性の場合)。
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神殿のエンダウメント(イニシャトリーを含む)。
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神殿の結び固め。
天の御父は,御自分の子供たちの多くが現世ではこれらの儀式を受けられないことを御存じでした。そのため,御父はそのような人々が儀式を受けて主と聖約を交わせるように,別の方法を備えてくださいました。神殿では,代理による儀式を行うことができます。これは,生きている人が死者の代理として儀式を受けることを意味します。霊界において,死者は自分のために行われた儀式を受け入れるか拒むかを選ぶことができます(教義と聖約138:19,32-34,58-59参照)。
この世で責任能力のなかった人には,救いと昇栄の儀式は必要ありませんし,執行もされません(18.1,28.3.2,28.3.3参照)。
教会員は,救いと昇栄の儀式を受けずに死亡した親族を探し出すように勧められています。そして,会員がその親族の代理として儀式を行います(マラキ4:5-6;1コリント15:29;教義と聖約2:1-3;128:15-18参照。本手引きの25.1も参照)。
会員が神殿の儀式のために家族の名前を用意していない場合(28.1.1参照),神殿で儀式が必要な死者の名前を渡されます。
会員は状況の許すかぎり頻繁に神殿に参入して,亡くなった自分の親族のために,または神殿で名前を渡された死者のために,代理の儀式を行うように勧められています。
教会員は,死者のために神殿の儀式を行うときに祝福を受けます。代理の儀式を行うとき,会員は自分自身の神殿の聖約と,その聖約を守る決意について思い巡らすことができます。
ステーク会長とビショップは,会員がよく準備して,神殿の儀式を行うときに有意義な経験ができるように助けます。そのために,神殿の業の教義的な基盤について教え,会員がこの業に関する指針を確実に理解できるようにします。詳しくは,第25章を参照してください。
28.1
代理の儀式の執行に関する一般的な指針
死亡時に8歳以上であれば,その死者のために代理の儀式を行うことができます。28.3に記載された状況を除き,以下のいずれかに該当する場合,死亡日から30日が経過した時点で,すべての死者のために身代わりの儀式を執行することができます。
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神殿の儀式のために名前を提出した人が,死者の近親者(離婚していない配偶者,成人した子供,親,兄弟姉妹)である。
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死者の近親者(離婚していない配偶者,成人した子供,親,兄弟姉妹)から儀式を行う許可を得ている。
上記のいずれの条件も満たしていない場合は,死者が生まれてから110年後に,代理の神殿儀式を行うことができます。
詳しくは,FamilySearch.orgにある以下の記事を参照してください(記事にアクセスするにはFamilySearch.orgにログインする必要があります)。
28.1.1
神殿の儀式のために死者の名前を準備する
代理の儀式が必要な死亡した親族を見つけるうえで,会員の助けになるリソースが数多く存在します(25.4および28.3参照)。以下の指導者は,会員が神殿儀式のために死亡した親族の名前を用意する方法を学べるように支援します。
可能であれば,神殿の儀式を行う前に,死亡した家族を特定する情報をFamilySearch.orgに入力するべきです(25.4.2参照)。
28.1.1.1
親族の名前の提出
代理の神殿儀式のために名前を提出する場合,会員は通常,親族関係にある人の名前のみを提出するべきです。
28.1.1.2
著名人および承認されていないグループの名前の提出
通常,教会員はFamilySearch.orgに,以下のグループからの名前を提出するべきではありません。
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著名人
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認可されていない抄出プロジェクトから集められた名前
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ユダヤ人大量虐殺の犠牲者
詳しくは,ファミリーサーチの次の記事を参照してください。「ユダヤ人ホロコーストの犠牲者のために神殿の儀式を行うことができますか。」
28.1.2
死者のための儀式に参加できる人
有効な神殿推薦状を所持しているすべての会員は,死者のためのバプテスマと確認に参加することができます。有効な神殿推薦状を所持しているエンダウメントを受けた会員は,死者のためのすべての儀式に参加することができます。26.3を参照してください。
28.1.3
身体的障害や知的障害のある会員の参加
障害のある会員は,以下の条件を満たしている場合,死者のための神殿の儀式を行うことができます。
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有効な神殿推薦状を所持している(28.1.2参照)。
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儀式を理解する知的能力がある。
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自分で儀式に対応できる,または,神殿推薦状を所持している同性の親族や友人が付き添い,必要に応じて援助することができる。
28.1.4
儀式の予約
会員は,死者のための儀式を行う前に,予約が必要になる場合があります。各神殿の連絡先と予約する際の要件については,temples.ChurchofJesusChrist.orgを参照してください。
28.1.5
翻訳や通訳の支援
27.1.4を参照してください。
28.1.6
神殿に参入するときの服装
27.1.5を参照してください。
28.1.7
子供の世話
27.1.6を参照してください。
28.2
死者のために行う神殿の儀式
以下のセクションでは,神殿で死者のために行う代理の儀式について説明します。代理の儀式を行う会員は,出生時の性別が自分と同じ死者の代理を務めることができます。
死者のための神殿儀式は,通常以下の順序で執行されます。
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バプテスマ
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確認
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メルキゼデク神権の聖任(男性の場合)
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イニシャトリー
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エンダウメント
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結び固め
死者のための儀式が順序を間違えて執行された場合,執行し直す必要はありません。先に行われるはずの儀式が完了したときに,有効になります。
28.2.1
死者のためのバプテスマと確認
有効な神殿推薦状を所持している会員はだれでも,バプテスマ室での割り当て(一つまたは複数)に就くよう招かれる場合があります。割り当てには,以下のようなものがあります。
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バプテスマの代理を務める。
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代理のバプテスマの証人を務める。
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確認の代理を務める。
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参入者を助ける。
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衣服やタオルを配付する。
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バプテスマと確認の儀式をコンピューターシステムに記録するのを手伝う。
代理を務める会員が希望する場合,バプテスマのみ,あるいは確認のみを行うという選択をすることもできます。
メルキゼデク神権者とアロン神権の祭司は,死者のためのバプテスマを執行するように招かれる場合があります。メルキゼデク神権者は,死者のための確認の儀式を執行するように招かれる場合もあります。
エンダウメントを受けた男性のみ,以下を行うように招かれる場合があります。
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フォント記録者を務める。
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確認の記録者を務める。
バプテスマ室で儀式に参加することを希望している家族,ワード,ステークなどで組織されたグループは,通常,事前に神殿に予約を入れます(28.1.4参照)。このようなグループには,有効な神殿推薦状を所持している成人が一人以上同行するべきです。
28.2.2
エンダウメント(イニシャトリーを含む)
死者のために代理のエンダウメントを行う場合,エンダウメントのイニシャトリーの部分は別に行われ,記録されます(27.2参照)。有効な神殿推薦状を所持しているエンダウメントを受けた会員は,代理を務めてこれらの儀式を受けることができます。
28.2.3
夫婦の結び固めと親子の結び固め
神殿では,死亡した人と,生前結婚していた配偶者との結び固めを行うことができます(配偶者の一方がまだ生存している場合は38.4.1.3,夫婦の両方が死亡している場合は38.4.1.8を参照)。死亡した人と,生存している子供や死亡した子供との結び固めを行うこともできます(38.4.2.2参照)。有効な神殿推薦状を所持しているエンダウメントを受けた会員は,結び固めの儀式で代理を務めることができます。
死者を配偶者や両親に結び固めるには,通常,生前にバプテスマ,確認,イニシャトリー,エンダウメントの儀式を受けているか,これらの代理の儀式が行われていなければなりません(28.2参照)。ただし,8歳未満で死亡した人や生前に責任能力のなかった人は,親子の結び固めを行う前にほかの儀式を受ける必要はありません(18.1,28.3.2,28.3.3参照)。
28.3
特別な状況
本セクションでは,28.1の指針の一部が適用されない状況について説明します。
28.3.1
出生前に死亡した子供(死産・流産児)
出生前に死亡した子供のための神殿儀式は,必要ないか,執行されることはありません。詳しくは,38.7.3を参照してください。
28.3.2
8歳未満で死亡した子供
幼い子供たちは,イエス・キリストの贖罪によって贖われており,「天の日の栄えの王国に救われ」ます(教義と聖約137:10)。このため,8歳未満で死亡した子供のために,バプテスマやエンダウメントを行うことはありません。ただし,聖約の子ではない子供や,生前に親子の結び固めを受けていない子供には,親子の結び固めを行うことができます(18.1参照)。
28.3.3
知的障害のあった死者
神殿の儀式は,責任能力があったことが分かっている死者のために執行できます(教義と聖約20:71参照)。責任能力が不明の死者のためにも,神殿の儀式を執行できます。
死者に知的障害があり,責任能力がないことがはっきりと分かっている場合,執り行う儀式は親子の結び固めだけです(38.2.4参照)。この儀式は,本人が聖約の子ではない場合,あるいは生存中に親子の結び固めを受けなかった場合にのみ行います。本人が8歳を超えるまで生きていたとしても,その他の神殿儀式は必要ないか,執行されることはありません。
28.3.4
死亡が推定される人
神殿の儀式は,死亡が推定される人のために執り行うことができます。ただし,この儀式は,死亡推定時または法的な失踪宣告(法律上死亡したものと見なす制度)から10年が経過するまで執行できません。この方針は,以下のいずれかに該当する場合に適用されます。
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戦争中に行方不明になった,または海上で行方不明になった。
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行方不明になった状況から死亡したことは明らかであるが,遺体が発見されていない。
その他の行方不明者については,本人の出生日から110年後に,神殿の儀式を執行できます。
ステーク会長は,この方針について質問がある場合,神殿部に問い合わせることができます。
28.3.5
教会会員資格を取り消された人や放棄した人
生前に教会会員資格を取り消された人や放棄した人のために神殿の儀式を行うには,大管長会の承認が必要です。この神殿の儀式には,該当する場合は祝福の回復も含まれます。家族は,本人の死後1年が経過したら,大管長会事務局に手紙を出して,この承認を求めることができます。この手紙の中で,状況を説明するべきです。定められた書式はありません。ビショップやステーク会長は,必要に応じてこの申請を助けることができます。
28.3.5.1
エンダウメントを受けていない死者の再加入
エンダウメントを受けていないが,教会の会員資格を取り消されるか,放棄している死者は,バプテスマと確認によって再加入することができます。ただし,28.3.5に記載されているように,大管長会の承認が必要です。このような死者が,聖約の子であるか,生前に親子の結び固めを受けている場合,再び親子の結び固めを行う必要はありません。
28.3.5.2
エンダウメントを受けていた人のための神殿の祝福の回復
エンダウメントを受けているが,教会会員資格を取り消されるか放棄していた死者は,後にバプテスマと確認により再加入した場合,祝福の回復の儀式を通してのみ,神権と神殿の祝福にあずかることができます。神権と神殿の祝福はこの儀式を通して回復されるため,そのような人が再度神権の職への聖任やエンダウメントを受けることはありません。
28.3.5に記載されているように,死者のためにこの儀式を執行するには,大管長会の承認が必要です。生者のためにこの儀式を執行することについて詳しくは,32.17.2を参照してください。