「5.中央と地域におけるリーダーシップ」『総合手引き—末日聖徒イエス・キリスト教会における奉仕』(2024年)
「5.中央と地域におけるリーダーシップ」『総合手引き—末日聖徒イエス・キリスト教会における奉仕』
5.
中央と地域におけるリーダーシップ
5.0
はじめに
イエス・キリストは,御自身の教会の「隅のかしら石」であられます(エペソ2:20)。また,神権のすべての鍵を持っておられます。主は,神の救いと昇栄の業における御自身の助け手として,使徒と預言者を召されます。そして,これらの選ばれた僕たちに,現在の地上における神の王国にかかわるすべての鍵を授けられます(教義と聖約27:12-13参照。本手引き3.4.1も参照)。
主は,預言者と使徒を通して,全世界における御自身の業の助け手として,男性を七十人の職に召されます(教義と聖約107:38参照)。さらに,管理ビショップリック,中央役員,およびその他の男女の指導者にも,この業の助け手となる重要な責任を与えられます。
本章では,教会の中央および地域の指導者の役割について説明します。
5.1
教会中央におけるリーダーシップ
教会中央のリーダーシップには,すべての中央幹部と中央役員が含まれます。「中央」という言葉は,召しに伴う権能と責任が,地理的に区分された境界線によって制限されないことを示しています。これらの召しを受けている人々は,世界中の教会員を導き,教え,ミニスタリングを行います。
本セクションでは,中央幹部と中央役員の役割について,また,これらの指導者が所属する評議会と委員会の役割についてまとめています。
5.1.1
中央幹部
5.1.1.1
大管長会と十二使徒定員会
教会の大管長。主は古代より,預言者を通して御自分の民を導いてこられました(アモス3:7;エペソ4:11-13参照)。教会の大管長は,預言者,聖見者,啓示者です。大管長は,先任使徒でもあります。大管長は,主の指示の下に教会を管理し,神権のすべての鍵を行使する権能を持つ地上で唯一の人です(マタイ16:16-19参照。本手引き3.4.1.1も参照)。大管長はまた,教会全体のために啓示を受け,神の御心を宣言する権能を持っています(教義と聖約43:2-3,107:91-92,128:11参照)。
大管長会。主は,教会の大管長を通して,この業の助け手として顧問たちを召されます。大管長と顧問たちは,「三人の管理大祭司」であり,「教会の大管長会の定員会」を構成します(教義と聖約107:22)。この定員会は,大管長会と呼ばれています。大管長会の各員は,使徒であり,イエス・キリストの名の「特別な証人」です(教義と聖約107:23)。大管長会は,教会におけるすべての諸事を管理し,導きます。
古代の教会においては,ペテロ,ヤコブ,ヨハネがこの役割を果たしました。三人は,幾度となく救い主と神聖な出来事をともにし,王国の鍵を受けました(マタイ16:18-19;17:1-5;マルコ14:32-42;教義と聖約27:12-13;81:1-2参照)。
教会の大管長が亡くなると,大管長会は解散します。顧問たちは,十二使徒定員会における元の先任順位に戻ります。そして,先任使徒の指示の下に,十二使徒定員会が教会を導きます。定員会として,十二使徒はいつ大管長会を再組織すべきか検討します。全会一致による決議の後,先任使徒が教会の新しい大管長に聖任され,顧問たちを召します。
十二使徒定員会。古代において,イエス・キリストは御自身の教会を導く助け手として,十二使徒を召されました(ルカ6:12-13;エペソ4:11-13;1ニーファイ13:40参照)。現代では,主は教会の大管長を通して使徒を聖任し,十二使徒定員会で奉仕するように召されます(教義と聖約18:26-28参照)。この定員会は,大管長会の指示の下に,すべての国々において教会を築き上げ,整えるために行動します(教義と聖約107:33参照)。十二使徒会の会員は,全世界に福音を宣べ伝えます(マタイ28:19-20;教義と聖約107:35参照)。
使徒はそれぞれ,王国のすべての鍵を持っており,教会の大管長の指示の下でその鍵を行使します(教義と聖約112:30-32参照)。十二使徒は,イエス・キリストの名の「特別な証人」です(教義と聖約107:23。教義と聖約27:12も参照)。十二使徒は,イエスが神の御子であられ,主の復活が現実のものであることを全世界に証します(使徒1:8,22;4:33;教義と聖約76:22-24参照)。
使徒は,生涯の最後まで,教会においてフルタイムで奉仕します(マタイ4:18-22参照)。
大管長会・十二使徒定員会評議会。大管長会と十二使徒定員会のすべての会員は,預言者,聖見者,啓示者です。この二つの定員会は,大管長会・十二使徒定員会評議会を構成しています。この評議会は,主の指示の下に,全会一致の声によって教義を宣言し,解釈し,教会の方針を定める権能を持っています(教義と聖約1:38;107:27-31参照)。
5.1.1.2
七十人
メルキゼデク神権における七十人の職については,旧約聖書と新約聖書の両方に記載があります(出エジプト24:1,9-10;民数11:16-17,24-25;ルカ10:1,17参照)。今日では,中央幹部七十人と地域七十人が存在します(5.2.2参照)。七十人は,十二使徒定員会の鍵と指示の下で行動します。また,すべての国々において教会を築き上げ,整えるうえで,十二使徒を補佐します(教義と聖約107:34-35,38参照)。
七十人会長会。七十人の会員の中から7人が会長として召され,七十人の全会員を管理します。この7人の会長の中の1人が,ほかの6人を管理するために選ばれます。この7人が,七十人会長会を構成します(使徒6:2-6;教義と聖約107:93-94;124:138参照)。
中央幹部七十人。中央幹部七十人は大管長会により召されて,全世界でイエス・キリストの名を証し,福音を教える特別な証人となります(教義と聖約107:25;124:139参照)。
中央幹部七十人は,教会においてフルタイムで奉仕します。通常は,70歳になる年に解任され,名誉幹部になります。名誉幹部は七十人の職は保持しますが,もはや集会を管理することはありません。
七十人定員会。地域七十人を含む七十人の会員は,複数の定員会を組織します。七十人会長会が,これらの定員会を管理します。七十人の会員数と七十人定員会の数は,教会の発展に伴って増える場合があります(教義と聖約107:95-96;124:138-139参照)。
5.1.1.3
管理ビショップリック
管理ビショップリックは,管理ビショップと二人の顧問で構成されています。管理ビショップリックの各員は,中央幹部であり,ビショップの職を保持しています。管理ビショップリックは大管長会によって召され,大管長会の指示の下で働きます。
管理ビショップリックは,教会全体のために,福祉,財政,施設,人道支援などの実務的な事柄を管理します(教義と聖約107:68参照)。また,全世界で福音を教え,神の王国を築き上げます。
5.1.2
中央役員
大管長会は,教会の以下の各組織の中央会長会を組織するために,女性と男性を召します。
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扶助協会
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若い男性
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若い女性
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初等協会
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日曜学校
これらの中央役員は,大管長会,十二使徒定員会,割り当てを受けた中央幹部七十人の指示の下で奉仕します。通常,5年間奉仕します。
中央役員には,以下の責任があります。
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イエス・キリストと主の福音について教え,証する。
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割り当てを受けた場合,教会の中央評議会と委員会の一員として奉仕する。
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会員にミニスタリングを行うという割り当てを世界中で果たす。
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自分の所属する組織の教科課程,プログラム,リソースについて指導する。
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自分の所属する中央組織の評議会を指導する(次の段落を参照)。
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地域会長会の指示の下で奉仕する地域組織アドバイザーに指示と支援を与える(5.2.5.1参照)。
教会の中央組織はそれぞれ,大管長会を補佐するための評議会を持つことができます。
5.2
地域におけるリーダーシップ
教会は,世界全域に及ぶ地理的に区分された地域に分けて組織されています。本セクションでは,これらの地域における教会のリーダーシップについて要約します。
5.2.1
地域会長会
各地域において,一人の中央幹部七十人が,大管長会と十二使徒定員会から割り当てを受けて,地域会長として奉仕します。二人の中央幹部七十人または地域七十人が,顧問として地域会長を補佐する割り当てを受けます。
地域会長会は,その地域のステーク会長や伝道部会長を管理し,助言を与えます。地域会長会は,神殿会長とメイトロンも支援します。地域会長会は,自分を管理する十二使徒定員会の会員および七十人会長会の会員と評議して,地域における必要を満たすために,教会の全般的な方針と指示をどのように適用するか決定します。
地域会長会の各員は,割り当てられた地域内を巡回して,地元の指導者や宣教師,教会員にミニスタリングを行い,教えと励ましを与えます。また,十二使徒定員会から,ステーク大会やその他の集会を管理する割り当てを受けます。
5.2.2
地域七十人
地域七十人は,割り当てられた地域においてイエス・キリストの名を証し,福音を教える特別な証人となるために,大管長会から召されます(教義と聖約107:25;124:139参照)。また,地域会長会の指示の下で働き,自分の地域において教会を築き上げ,整えるうえで,十二使徒を補佐します。
地域七十人は,フルタイムの奉仕には召されません。通常,5年間奉仕します。通常,自分が住んでいる地域で奉仕するように割り当てられます(教義と聖約107:38,98参照)。地域七十人は,総大会で支持を受けます。
地域七十人はそれぞれ,七十人定員会に属しています。これらの定員会は,地理別に組織されています。地域七十人は,これらの定員会の会員として,七十人会長会によって管理されます。
地域七十人は,地元の教会指導者と協力し,ともに評議し,指導者が各自の責任を果たすことができるように支援します。地域七十人には,以下の割り当てを与えることができます。
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地域評議会の一員として働く(5.2.3参照)。
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調整評議会集会を管理する(5.2.4参照)。
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ステーク大会を管理し,ステークの指導者を指導する。
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ステークを創設または再組織し,新しいステーク会長会を任命し,ステーク会長に鍵を授ける。
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活動(20.3.3参照)やJustServe.org(利用可能な地域の場合),災害復旧,その他の割り当てを含め,地域全体に及ぶ責任について調整を行う。
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伝道部を視察し,伝道部の指導者や宣教師を指導する。
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地域会長会の顧問を務める。
地域七十人は,中央幹部が出席する場合を除き,自分の地域内で出席するすべての教会の集会を管理します。ただし,地域七十人は,神殿会長,伝道部会長,ステーク会長の日常的な業務を管理しません。これらの会長は,地域会長会の指示の下で働きます。
5.2.3
地域評議会
各地域において,地域評議会は必要に応じて(通常は四半期ごとに)集会を持ち,その地域における神の救いと昇栄の業について調整を行います。地域評議会は,地域会長会が管理します。この評議会は,地域会長会とその地域で働く地域七十人で構成されています。必要に応じて,あるいは地域会長会から招かれた場合,ほかの人々も評議会の集会の一部または全部に出席することができます。
5.2.4
調整評議会
地域会長会が調整評議会を設けます。各評議会には,地域内の特定のステークと伝道部が含まれます。地域会長会は,各評議会を導く割り当てを地域七十人に与えます。
調整評議会集会には,ステーク会長と伝道部会長が出席します。調整評議会の管轄区域内にある神殿地区の神殿会長は,実務上必要なときに出席するように招かれます。
また,必要に応じて,あるいは地域七十人から招かれた場合,ほかの人々も集会の一部または全部に出席することができます。そのように人々を招くとき,地域七十人は,距離や家族の状況,移動手段について考慮します。
調整評議会集会の目的は,ステーク会長,伝道部会長,神殿会長が,一致して神権の鍵を行使できるように助けることです。彼らは協力して,会員が神の救いと昇栄の業に携わる責任を果たせるように助けるために話し合い,そのための取り組みを調整します。
地域七十人は,四半期ごとに行われる地域評議会集会のすぐ後に,調整評議会集会を開きます(29.4参照)。必要に応じて,追加の集会を開くことができます。
5.2.5
地域の召し
地域会長会は,地域会長会の責任を補佐するために,地域の召しにおいて奉仕する会員を召すことができます。地域会長会の一員または割り当てを受けた地域七十人が,これらの役職で奉仕する人の召しと任命を行います。これらの人々の支持は取りません。
地域の召しの例としては,地域幹部書記,地域監査員,地域コミュニケーションディレクター,地域神殿・家族歴史アドバイザー,地域組織アドバイザーなどがあります。
5.2.5.1
地域組織アドバイザー
アメリカとカナダ以外では,地域会長会が女性たちを,地域組織アドバイザーとして召すことができます。これらのアドバイザーは,新しいステークの扶助協会会長会,若い女性会長会,初等協会会長会のオリエンテーションや指導を,これらの指導者のステーク会長会の指示の下に手伝うことができます(6.2.1.6参照)。このオリエンテーションには,ステーク会長会の一員または割り当てを受けた高等評議員が参加します。
地域アドバイザーは,地域会長会の指示の下で奉仕します。また,中央の組織の会長会から定期的に指導を受けます。通常,3年間奉仕します。