ミニスタリングの原則
神殿奉仕を通して行うミニスタリング
神殿の祝福を味わえるよう人を助けるとき,わたしたちはミニスタリングをしています。
リアホナ 2020年03月号
神殿には,努力して参入するだけの価値があります。ラッセル・M・ネルソン大管長はこう教えています。「神殿……〔は〕,わたしたちと家族の救いと昇栄にとってきわめて重要で……す。……
……わたしたちはそれぞれ,霊的に強化され,教えを受け続ける必要があります。それは,主の宮でのみ得られるものです。」1
神殿に参入するためには,霊的に備えるだけでなく,時間と責任とお金をやりくりしなければなりません。神殿参入を妨げている障害を見つけ,解決できるように兄弟姉妹を助けるとき,わたしたちはミニスタリングをしているのです。
神殿はだれもが味わえる祝福
伝道から最近帰還したメグは,ハワイ州コナ神殿の玄関に向かって歩いているとき,若い女性が外のベンチに独りで座っているのに気がつきました。話しかけるべきだと感じましたが,何を言えばよいのか分かりません。そこで,彼女の足首にあるタトゥーの意味を聞いてみました。それがきっかけで会話が始まり,その若い女性ラニは自分のことを話し始めたのです。
教会に完全に戻るのに苦労していること,親切な会員が助けてくれていること,いつの日か幼い娘と結び固められたいと思っていることを,メグに話してくれました。
メグは神殿の待合室に行って一緒に腰かけてみないかとラニを誘いました。それより先にはまだ一緒に行くことはできませんでしたが,神殿の敷居をまたぐことはできます。ラニがうなずいたので,二人は一緒に正面玄関をくぐりました。神殿ワーカーが,救い主の絵の下にあるソファーに案内してくれました。
一緒に腰かけると,ラニが小声で言いました。「今日はほんとうに神殿に入りたかったの。でも,緊張しちゃって。」メグは御霊に従ったおかげで,ラニの心の祈りにこたえる助けができたのでした。
推薦状のない人を助けるためのアイデア
まだ推薦状を受けるための条件を満たしていない人でも神殿の祝福にあずかることができます。
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主が神殿活動を通して与えてくださった祝福について,感じていることを話す。
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神殿のオープンハウスまたは訪問者センターに誘う。近日中に開かれるオープンハウスについては,temples.ChurchofJesusChrist.orgを御覧ください。
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デビッド・A・べドナー長老とロナルド・A・ラズバンド長老による,イタリアのローマ神殿バーチャルツアーを視聴する。ChurchofJesusChrist.orgで“TwoApostles Lead a Virtual Tour of the Rome Italy Temple”と検索してください。(英語のみ)
神殿に参入しやすくしてあげる
神殿推薦状を持っていてもなかなか神殿に参入できない会員もいます。移動距離が長い場合や,小さい子供や高齢者が家族にいて手がかかる場合です。協力して,すべての人が神殿で奉仕できるようにしてあげましょう。
レオラ・チャンドラーは,夫の看病と4人の子供の世話で参っていました。そこで,毎週火曜日に時間を割いて近くの神殿に参入することにしたのです。それは彼女の生活の中で平安と力の源となりました。
ある日彼女は,神殿に行きたくてたまらないのに移動手段がないという高齢の姉妹たちがワードに何人かいることを知り,車で一緒に行かないかと誘いました。それ以来40年近く,彼女は神殿に一人で行ったことがほとんどありません。2
レオラは祝福を受けました。そして,一緒に車で神殿に行かないかと誘ったことによってほかの人にも祝福を与えたのです。
神殿に行かれるよう助けるためのアイデア
ほかの人がもっと頻繁に神殿に行けるようにするために,どんな助けができるでしょうか。同じアイデアが自分の神殿参入の助けにもなることに気づくこともあるでしょう。
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一緒に行く。移動手段を提供または手配することを申し出る。こうすると,神殿参入したいと言う人がほかにも出てくるかもしれません。
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自分の先祖の儀式を家族やワードの会員に頼む。特に,儀式のできる家族ネームをたくさん持っている人にはお勧めです。
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ベビーシッターを申し出て,親が神殿に参入できるようにする。または,スケジュールを調整してお互いに子供を預け合う。(そのほかのアイデアは,「シンプルな神殿ナイト:神殿参入を簡単にする6つのヒント」〔デジタル版のみの記事〕『リアホナ』2018年1月号を御覧ください。)
神殿が遠い場合
スリランカのコロモに住むチャンドラス・ローシャンとシェロン・アントニーは,神殿で結婚することに決めました。友人であるアン・クマラサミーとアントン・クマラサミー夫妻は,とても喜んでくれました。彼らはフィリピン・マニラ神殿に行くのは簡単でも安価でもなく,多くの会員が苦労して参入していることを知っていました。
ローシャンとシェロンはお金をため,安い便で行くために数か月前に飛行機を予約しました。そして,ついにその日が来たのです。ところが,マレーシアで乗り継ぐときに,そこから先フィリピンに行くにはビザが必要だということが分かりました。ビザがない場合は別の便で行かなければなりません。ビザを取るのは不可能でしたし,別の便の搭乗券を買うお金もありません。しかし,結び固めを受けずに帰国することなど考えられませんでした。
なすすべもなく,ローシャンはアントンに電話しました。アントンとアンは何とかして助けたいと思いました。二人はスリランカで数少ない結び固めを受けた夫婦でしたから,その祝福のすばらしさを知っていたのです。しかし,貧しい会員のために貯金を使ってしまったばかりだったため,ローシャンとシェロンの新しい搭乗券の代金を援助するだけの金銭的な余裕がありませんでした。
スリランカには,夫が亡くなった場合にある程度の資産が手元に残るようにするために,花婿が花嫁に金のネックレスを買ってあげる習慣があります。アンはそのネックレスを売って,搭乗券を買う費用の足しにしてもらうことにしました。この惜しみないプレゼントのおかげで,ローシャンとシェロンは予約した時間にマニラ神殿に着くことができたのです。
「わたしは神殿の結び固めの大切さを知っています」とアンは言います。「シェロンとローシャンが支部にとって大きな力になることは分かっていました。二人にこの機会を逃してほしくはありませんでした。」3
神殿に行けない人を助けるためのアイデア
距離や費用の問題で神殿に頻繁に行けない人や,まったく行けない人にミニスタリングする召しを受けることがあるかもしれません。しかし,それでも彼らが神殿の祝福にあずかれるよう助ける方法を,見つけることができます。
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神殿準備クラスや家族歴史クラスで教師を務めるか,またはそのようなクラスに一緒に出席する。
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家に飾る神殿の写真を贈る。
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神殿に行ったことのある人は,神殿での経験について感じていることや,神殿の儀式に関する証を伝える。
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交わした聖約とそれを守る方法についてさらによく理解できるよう助ける。『リアホナ』2012年7月号の「神と交わす聖約を理解する—わたしたちが交わす最も重要な約束の概要」を活用してもよいでしょう。