1 ところで,ここであなたがたに知らせたいと思うことがある。それは,父リーハイが自分の子孫について預言をした後,そこで主が再び父に,家族だけを連れて荒れ野へ行くのは父リーハイにとってよくない,約束の地へ行って主のために子供をもうけられるよう,息子たちがよその娘たちを妻に迎えるように,と言われたことである。
2 そこで主は父に,わたしニーファイと兄たちを再びエルサレムの地へ帰して,イシマエルとその家族を荒れ野に連れて来させるように命じられた。
3 そこでわたしニーファイは,再び兄たちとともにエルサレムへ上って行くために,荒れ野へ出て行った。
4 さて,わたしたちはイシマエルの家に行った。そして,イシマエルの好意を得たので,主の言葉を彼に話した。
5 そこで主は,まことにイシマエルの心を和らげ,また彼の家族の心も和らげられたので,彼らはわたしたちとともに,父の天幕に向かって荒れ野へ旅をした。
6 さて,荒れ野を旅する途中で,見よ,レーマンとレムエル,イシマエルの二人の娘,イシマエルの二人の息子とその家族がわたしたちに背いた。まことに,わたしニーファイとサム,また彼らの父イシマエルとその妻,それにイシマエルのほかの三人の娘たちに背いたのである。
7 そして彼らは,そのように背いて,エルサレムの地へ帰りたがった。
8 それでわたしニーファイは,彼らの心がかたくななのを悲しく思い,彼らに,すなわちレーマンとレムエルに言った。「まことに,あなたがたはわたしの兄さんではありませんか。それなのに,弟のわたしがあなたがたに話をし,模範を示さなければならないほど,心がかたくなで思いがくらんでいるのはどういうわけですか。
9 主の御言葉に聞き従わないのは,どういうわけですか。
10 主の天使に会ったことを忘れたのは,どういうわけですか。
11 また,わたしたちをラバンの手から救い出すに当たって,主がなされた偉大な事柄と,また,主があの記録を手に入れさせてくださったことを忘れたのは,どういうわけですか。
12 まことに,人の子らが主を信じる信仰を働かせれば,主は彼らのために,御心のままに何でもおできになります。そのことを忘れたのは,どういうわけですか。主に忠誠を尽くそうではありませんか。
13 主に忠実であれば,わたしたちは約束の地を手に入れるでしょう。またあなたがたは,エルサレムの滅亡についての主の御言葉が成就するのを,将来いつか知ることでしょう。主がエルサレムの滅亡について語られたすべてのことは,必ず成就するに違いないからです。
14 まことに主の御霊は,彼らを励ますことをもうすぐやめるでしょう。まことに,彼らは預言者たちを決して受け入れず,エレミヤを牢に入れたからです。また,わたしの父の命を奪おうとして,父をその地から追い出しました。
15 さてまことに,あなたがたに言っておきます。もしあなたがたがエルサレムへ戻るなら,あなたがたもエルサレムの民とともに滅びてしまうでしょう。もしそうしたいのであれば,エルサレムへ行けばよい。しかし,行けばあなたがたも滅びるという,わたしの語った言葉を覚えておいてください。主の御霊がこう言うように,わたしを強く促すからです。」
16 さて,わたしニーファイが兄たちにこう言うと,兄たちはわたしに腹を立てた。そして見よ,彼らは非常に憤り,わたしを捕まえて,縄で縛った。わたしを荒れ野に捨てて猛獣に食わせ,命を奪おうとしたのであった。
17 そこでわたしは主に祈って言った。「おお,主よ,あなたを信じるわたしの信仰により,兄たちの手から救い出してください。まことに,わたしを縛っているこの縄を断ち切る力をお与えください。」
18 そして,わたしがこのように言うと,見よ,縄がわたしの手足から解けたので,わたしは兄たちの前に立って,また話をした。
19 そこで兄たちはまた腹を立て,わたしに手をかけようとした。しかし見よ,イシマエルの娘の一人とその母,それにイシマエルの息子の一人が兄たちに執り成してくれたので,兄たちは心を和らげて,わたしの命を奪おうとするのをやめた。
20 そして兄たちは自分たちの悪事を悲しみ,わたしの前にひざまずいて,わたしに対してしたことを赦してくれるように頼み込んだ。
21 そこでわたしは,兄たちのしたことをすべて心から赦し,主なる彼らの神に赦しを求めて祈るように勧めた。それで彼らは,そのとおりにして祈った。彼らが主に祈り終えると,わたしたちはまた,父の天幕を目指して旅を続けた。
22 そして,ついにわたしたちは,父の天幕に着いた。わたしと兄たちとイシマエルの家に属するすべての者が父の天幕に着くと,彼らは主なる彼らの神に感謝をした。そして犠牲と燔祭をささげた。