1 「書かき記しるされていることは，そのときに起おこる。『「おお，子こを生うまなかった不ふ妊にんの女おんなよ，歌うたいなさい。産うみの苦くるしみを味あじわわなかった者ものよ，声こえを放はなって歌うたい，声こえ高たからかに叫さけびなさい。見み捨すてられた者ものの子こ供どもは，夫おっとのある者ものの子こ供どもよりも多おおいからである」と，主しゅは言いわれる。

2 「あなたの天てん幕まくの場ば所しょを広ひろくし，あなたの住すまいの幕まくを張はって広ひろげなさい。惜おしむことなく，あなたの綱つなを長ながくし，あなたの杭くいを強きょう固こにしなさい。

3 あなたは右みぎにも左ひだりにも広ひろがり，あなたの子し孫そんは異い邦ほう人じんから受うけ継ついで，荒あれ果はてたもろもろの町まちを人ひとの住すむ所ところとするからである。

4 あなたは恥はじることはないので，恐おそれてはならない。あなたは辱はずかしめられることはないので，うろたえてはならない。あなたは若わかいときの恥はじを忘わすれ，若わかいときの恥ち辱じょくを思おもい出ださず，寡か婦ふであったときの恥ち辱じょくを決けっして思おもい出だすことはない。

5 あなたを造つくった者ものがあなたの夫おっとであり，その名なは万ばん軍ぐんの主しゅである。あなたの贖あがない主ぬしはイスラエルの聖せい者じゃであり，全ぜん地ちの神かみととなえられる。

6 主しゅはあなたを，見み捨すてられて心こころに痛いた手でを負おっている女おんなのように，また若わかいときに拒こばまれた妻つまのように招まねかれたからである」と，あなたの神かみは言いわれる。

7 「わたしは少すこしの間あいだあなたを捨すてたが，深ふかい憐あわれみをもってあなたを集あつめよう。

8 わたしはいささか怒いかって，少すこしの間あいだあなたから顔かおを隠かくしたが，永えい遠えんの慈いつくしみをもってあなたを憐あわれもう」と，あなたの贖あがない主ぬしである主しゅは言いわれる。

9 「このことは，わたしにはノアの洪こう水ずいのようである。わたしはかつてノアの洪こう水ずいが二に度どと地ちを覆おおうことはないと誓ちかったが，そのように，わたしはあなたを怒いからないと誓ちかった。

10 山やま々やまが去さり，丘おかが動うごいても，わたしの慈いつくしみはあなたから去さることなく，わたしの平へい和わの聖せい約やくは動うごくことがない」と，あなたを憐あわれむ主しゅは言いわれる。

11 「おお，苦くるしめられ，嵐あらしにもてあそばれ，慰なぐさめを得えない者ものよ。見みよ，わたしは麗うるわしい色いろであなたの石いしを敷しき，サファイヤであなたの基もといを据すえよう。

12 また，めのうであなたの窓まどを造つくり，紅こう玉ぎょくであなたの門もんを造つくり，あなたの境さかいをすべて宝ほう石せきで造つくろう。

13 あなたの子し孫そんは皆みな，主しゅによって教おしえを受うけ，あなたの子し孫そんの平へい安あんは深ふかい。

14 あなたは義ぎをもって堅かたく立たてられる。あなたは恐おそれないので，虐しいたげられることはない。また，恐きょう怖ふから遠とおざかる。それはあなたに近ちかづくことがないからである。

15 見みよ，彼かれらは必かならずあなたに敵てき対たいして集あつまるが，それはわたしによるのではない。あなたに敵てき対たいして集あつまる者ものはだれであろうと，あなたのゆえに倒たおれる。

16 見みよ，わたしは炭すみ火びを吹ふきおこして，自じ分ぶんの仕し事ごとのために道どう具ぐを造つくる鍛か冶じを造つくった。また，わたしは荒あらし滅ほろぼす者ものも造つくった。

17 あなたを攻せめるために造つくられる武ぶ器きは，まったく役やくに立たたない。また，裁さばきの時ときにあなたに向むかってののしる舌したはことごとく，あなたがそれを罪つみに定さだめる。これが主しゅの僕しもべたちの受うけ継つぐものであって，彼かれらの義ぎはわたしから出でる」と，主しゅは言いわれる。』」