「これがわたしの業であり,わたしの栄光である」
神は神の神権を受け入れ尊ぶ人々に,惜しみなく神の力をお与えになっています。神権は不死不滅と永遠の命という約束された祝福に導くものです。
パッカー会長,わたしたちは皆,そのすばらしい詩の98歳版を心待ちにしています。会長は,何とすばらしい教えを授けてくれたことでしょうか。
数週間前の暗く寒い冬の夜のことでした。妻のバーバラとわたしは畏敬の念をもって空を見上げました。無数の星が格別に美しく輝いていました。そこでわたしは高価な真珠を開き,主なる神がモーセに語られたことを,驚嘆の念を抱きつつ読み返しました。「無数の世界を,わたしは創造した。また,わたし自身に目的があってこれらを創造した。子によって,わたしはこれらを創造した。子とは,わたしの独り子のことである。」(モーセ1:33)
今日,ハッブル宇宙望遠鏡によりモーセが見たものの重要性が確認されました。ハッブルの科学者たちによると,地球と太陽はこの銀河系のごく一部であり,この銀河系ですらそれと似たような2,000億を超える銀河の一つにすぎないとのことです。神の被造物はあまりにも広大なので,わたしには理解し難く,考えの及ばないものです。
兄弟姉妹の皆さん,天地はこれまでも今も,神権の力によって創造されています。この神権の力の源は全能の神と御子イエス・キリストであられることをわたしたち教会員は知っています。神権は天地を創造した力であるばかりでなく,救い主が地上で教え導く中でお使いになった力でもあります。奇跡を行い,病人を祝福し,癒し,死者をよみがらせ,またわたしたちの御父の独り子として,ゲツセマネとカルバリの堪え難い苦痛に堪えるためにお使いになった力です。こうして救い主は憐れみをもって正義の律法を成就し,無限の贖罪を成し遂げ,復活を通して肉体の死を克服されたのです。
救い主がペテロ,ヤコブ,ヨハネをはじめほかの使徒たちにお与えになったのは,この神権の権能とその権能による力の鍵です。人々を祝福し,地上でつなぐことは何でも天でつながれるためです。
神権の力は神聖で欠くことのできない神の賜物です。神権の力は神権の権能とは異なります。神権の権能とは神の御名により行動することを承認するものです。そのような承認または聖任は按手により与えられます。神権の力は,それを行使する人がふさわしく,神の御心に従って行動するときにのみ与えられます。スペンサー・W・キンボール大管長はこう宣言しています。「主は神権者であるわたしたちすべてに,その権能の幾分かを与えてくださいました。しかし,わたしたちが天の力を呼び求めることができるのは,わたしたち一人一人が義にかなった生活をしているときだけです。」(「少年たちは身近に英雄を必要としている」『聖徒の道』1976年8月号,358)
現代の世に福音が回復され,イエス・キリストの教会が再建されましたが,そのようなすばらしい時期にバプテスマのヨハネをはじめ,ペテロ,ヤコブ,ヨハネ,そしてモーセとエライアス,エリヤが地上を訪れ,この末日における神の業のために,預言者ジョセフ・スミスを通して神権のすべての鍵と権能を回復しました。
まさしくこれらの鍵,この権能,この力によって,今日イエス・キリストの教会が組織されています。この教会は,キリストが頭となって生ける預言者トーマス・S・モンソンを導いておられ,正しく召され聖任された使徒たちによって支えられています。
人に神権の力を与える天の御父の偉大な計画の中では,男性は神権をつかさどるたぐいない責任を負いますが,男性だけが神権の業に携わるわけではありません。男女には異なる役割がありますが,両方とも等しく貴重な役割です。女性は男性なくして,子供をもうけることができないように,男性は女性なくして,永遠の家族を築くために神権の力を十分に行使することはできません。つまり,永遠の観点から見ると,子供をもうける力も神権の力も夫婦が分かち合うものです。夫婦として男女は天の御父に従う努力をするべきです。夫婦が生活の中で,また家族のために神権の祝福を求めるときには,愛,謙遜,忍耐というキリスト教徒にふわさしい特質に焦点を当てるべきです。
御父のすべての息子,娘たちが神権の力の祝福にあずかり,その力によって強められる方法を天の御父は備えてくださっていることを理解するのはきわめて重要です。神の霊の子供たちのために作られた神の計画の中心は,神御自身が宣言された次の言葉にあります。「人の不死不滅と永遠の命をもたらすこと,これがわたしの業であり,わたしの栄光である。」(モーセ1:39)
教義と聖約第81章に記されている預言者ジョセフ・スミスに与えられた啓示の中で,主は神権の力を使うべき目的について,こう説明しておられます。「弱い者を助け,垂れている手を上げ,弱くなったひざを強めなさい。」(教義と聖約81:5)
「これらのことを行うことによって,あなたは同胞に最も大いなる善を行い,またあなたの主である者の栄光を増すであろう。」(教義と聖約81:4)
弱い者を助け,垂れている手を上げ,弱くなったひざを強めるという比喩的表現について考えると,あるかわいい7歳になる女の子が2年生の学習課題の一部として種まきをして育て始めた小さなトマトの苗を祖父に見せた話を思い出します。
その子は,一粒の小さな種がトマトの苗に生長し,そして,もし世話をすれば,たくさんのトマトがなり,それぞれの実からたくさんの種ができると説明しました。
彼女はこう言ったのです。「この種をみんな育てると,もっとたくさんトマトができるわ。そうやってまた種を育てると,時期が来れば,すごくたくさんトマトができるのよ。」
女の子は驚きをもって言いました。「みんな,一つの小さな種からできるのよ。」
ところが,それからこう言ったのです。「もうちょっとで枯らしてしまうところだったの。暗い部屋に置いたままで,水を上げるのを忘れちゃったから。トマトのことを思い出したときには,しおれちゃって,枯れたみたいだった。すごくたくさんトマトができるはずだったのに,もう無理かと思って,泣いちゃった。」
それから起きた「奇跡」について,女の子は胸を弾ませながら祖父に話しました。
こう説明したのです。「ママがこう言ったの。もしかしたら,トマトはまだ枯れていないかもしれない。水を上げて日に当てれば,また元気になるかもしれないって。」
「そのとおりだったの。トマトに水を上げて,日に当たるように窓辺に置いたの。どうなったと思う?」と彼女は尋ねました。「生き返ったのよ。これからすごくたくさんトマトができるわ。」
彼女の小さなトマトの苗には,実をつける力が十分にありましたが,うっかり世話を怠ったために,元気がなくなってしおれてしまいました。しかし,思いやりのある優しい女の子の手によって,ただ水と光を与えられただけで,強められ生き返ったのです。
兄弟姉妹の皆さん,愛に満ちた天の御父の文字どおり霊の子供であるわたしたちは,神の子として無限の可能性を秘めています。しかし,うっかりしていると,しおれたトマトのようになることがあります。神の光,救い主の永遠の愛にあふれた生ける水,そして神権の力から遠のくと,真の教義とイエス・キリストの福音から離れ,霊的な栄養不足になって,しおれてしまうことがあります。
神権を持っていても,家族やほかの人々に奉仕することにより絶えず神権を尊んでいない人は,神権の力に固有の祝福を受けることのない人のようになり,必ず霊的にしおれてしまいます。生活の中でなくてはならない霊的な栄養や光,神の力を受けることがないからです。それはちょうど,生長する可能性を十分に持ちながらも,世話されずにしおれてしまったトマトのようなものです。
世界や銀河,宇宙を創造したのと同じ神権の力が,わたしたちの生活の一部となる可能性がありますし,またそうなるはずです。それは家族や友人,隣人を助け,強め,祝福するためです。つまり,救い主が今日地上でわたしたちを教え導いておられるとしたら,なさるであろうことをするためなのです。
また,この神権の力のおもな目的は,わたしたちを祝福し,聖別し,清めることです。それにより永遠の御父である神のみもとで,神権の結び固めを受けた家族とともに生活し,永遠に広がる御二方の光と栄光の中で,神とイエス・キリストのすばらしい業に携わることができるようになるためです。
この目的を達成するために,数か月前に世界指導者訓練プレゼンテーションビデオの制作に加わる機会がありました。「神権を通して家族と教会を強める」というタイトルのDVDです。
新しい技術を活用したこの教育用DVDは66か国語に翻訳されており,神権の力がいかにわたしたちの生活やわたしたちの家族生活,そしてすべての教会員の生活に祝福と活力を与え,再活性化させられるのかを教えています。
また,男性も女性も子供も,既婚者も独身者も夫に先立たれた人も,また置かれた状況がどうであれ,わたしたちすべてがどのように神権の祝福にあずかれるかを示しています。8分から12分にわたる幾つかのビデオセグメントから成り,神権の鍵と権能と力について,また神権が個人や家族,教会をいかに強めるかを説明しています。
母方の曾祖母メアリー・フィールディング・スミスの開拓者時代に過ごした非常に小さな家で,特別な一場面が撮影されました。彼女の亡き夫ハイラムは預言者ジョセフの兄です。彼女はひとり親の役割を果たすために,神権に対する強い信仰により,神権の力を求め,その力に頼り,愛と福音の光の中で子供たちを育て,祝福しました。今日,彼女の子孫である何千人もの忠実な指導者や教会員が彼女の信仰と勇気,模範に感謝しています。
この新しい指導者訓練は現在,インターネットのLDS.org上でだれでも見て,活用することができます(wwlt.lds.org)。LDS.orgでそのまま視聴することもできますし,自分のコンピューターやスマートフォン,タブレットにダウンロードすることもできます。
大管長会は「ステーク会長会とビショップリックに,ステークまたはワード評議会の集会でこのDVDを〔すべて〕見る機会を複数回持つように,また提示された教えを実行する方法についてステークやワードの評議会で話し合うべきである」と求めています(大管長会の手紙,2013年2月1日付参照)。
このDVDの内容は,神権定員会,扶助協会,日曜学校,若い男性,若い女性,特に伝道の準備をしている人々,初等協会や第5週の合同集会の出席者に霊感を与え,鼓舞することでしょう。そして評議会を構成する会員はこのDVDを家族で使うように個人や両親に勧めることができるでしょう。兄弟姉妹の皆さん,この指導者訓練は教会員一人一人のためのものです。両親の皆さん,自分が学び感じたことを子供たちと一緒に考え,伝え,話し合ってください。また神権を通して家族が強められるように,子供たちがこのDVDを見て,皆さんと同じことをするようにしてください。
イエスはこう言われました。
「だれでもかわく者は,わたしのところにきて飲むがよい。」(ヨハネ7:37 )
「わたしが与える水を飲む者は,いつまでも,かわくことがないばかりか,わたしが与える水は,その人のうちで泉となり,永遠の命に至る水が,わきあがるであろう。」(ヨハネ4:14)
「わたしは世の光である。わたしに従って来る者は……命の光をもつであろう。」(ヨハネ8:12)
皆さんの中に,天の御父の計画についての自分の信仰や証が,そうあるべきだと思うよりも少ないと感じている人がいるなら,救い主にもっと心を向けてください。少しの水と光によってしおれかけたトマトが生き返ったように,主の光と主の生ける水によって自分や家族が生き返るようにしてください。
さて,冒頭で,神権の力によって神が創造された被造物に驚異と畏敬の念を抱いたと述べました。わたしも,そしてほとんどの皆さんもそうだと思いますが,わたしたちを教え祝福する神の力は,とうてい十分に理解されていないのではないでしょうか。それはあまりにも偉大で,雄大で,力強いものです。
ジョセフ・スミスはこう述べています。「神権は永遠の原則であり,日の初めもなく年の終わりもなく,これまでもこれからも神とともに永遠から永遠にわたって存在するものです。」(『歴代大管長の教え―ジョセフ・スミス』104)
神は神の神権を受け入れ尊ぶ人々に,惜しみなく神の力をお与えになっています。神権は不死不滅と永遠の命という約束された祝福に導くものです。
イエス・キリストの業は神権を通して成し遂げられることを証します。神権の力によって,天の御父と神の愛する御子はこの地球を創造し,わたしたちの利益のために偉大な幸福の計画を始められました。わたしたちが賢明であって,自分自身の生活,わたしたちの家族の生活,そして末日聖徒イエス・キリスト教会が神の神権の力によって強められるよう絶えず求めることができますように,イエス・キリストの御名により,へりくだりお祈りします,アーメン。