2010–2019
これは奇跡です
2013年4月


2:3

これは奇跡です

上着に宣教師の名札を付ける専任宣教師でない場合,パウロが「墨によらず生ける神の霊によって書かれ」と述べたように, 今こそ皆さんの心にそれを描く時です。

イエス・キリストの現世の生涯は,奇跡に満ちていました。おとめだった母親,新しい星,羊飼いたちへの御使いの訪れ,目の不自由な人や足の不自由な人への癒し,ゲツセマネと墓への天使たちの訪れ,そして最も大いなる奇跡となった,栄光ある復活です。

皆さんは,11人の使徒がガリラヤに近い山にいる情景を想像できるでしょうか。よみがえられた主が彼らに近づいて言われました。「それゆえに,あなたがたは行って,すべての国民を弟子として,父と子と聖霊との名によって,彼らにバプテスマを施し〔なさい。〕」1 「全世界に出て行って,すべての造られたものに福音を宣べ伝えよ。」2

「すべての国民」,「全世界」,「すべての造られたもの」。それは可能だったのでしょうか。イエスは弟子たちを励まされましたが,福音を伝えるときにほんとうに奇跡が起こるのだろうか,と彼らは思ったに違いありません。3

信仰が疑いに打ち勝ち,ペテロは声を上げて言いました。

「エルサレムに住むすべてのかたがた,……わたしの言うことに耳を傾けていただきたい。……

ナザレ人イエス〔を〕……あなたがたは……不法の人々の手で十字架につけて殺した。……

このイエスを,神はよみがえらせた。そして,わたしたちは皆その証人なのである。」4

その日,まさに御霊が豊かに注がれ,3,000人がバプテスマを受けました。イエスが約束されたように,信じる人々の信仰に応じて,しるしと奇跡が示されました。

イエス・キリストの教会が183年前に地上に回復されたとき,少数の弟子たちに与えられた主の指示は,何世紀も前に告げられた主の御言葉の繰り返しでした。「警告の声は……すべての民に及ぶ。」5 「まことに,この知らせは……全世界に,また地の最も遠い所まで出て行くであろう。」6

「すべての民」,「全世界」,「地の最も遠い所」。それは可能だったのでしょうか。

救い主は末日聖徒に明言されましたが,7 末日聖徒はこの驚くべき業の広がりと行く末を予見できたでしょうか。福音を伝えるときにほんとうに奇跡が起こるのだろうかと思ったに違いありません。

再び,信仰が疑いに打ち勝ち,数千人がバプテスマを受けました。ウィルフォード・ウッドラフ長老は,イギリスで彼の到着を待っていた一つの教団を見つけました。主の御霊が彼らに降り,長老はベンボー氏の農場で最初の月に45人の説教者と数百人の会員にバプテスマを施しました。8

現代も同じです。デビッド・A・ベドナー長老とわたしはおよそ40年前に宣教師でした(しかし,赤いいすに座っている帰還宣教師の最年長者でないことは確かです)。当時,1万6,000人の宣教師がいました。昨日トーマス・S・モンソン大管長がお伝えしたように,現在は6万5,000人で,かつてない人数です。当時は562のステークがありました。現在は3,000を超えています。その当時,ワードと支部が59か国にありました。現在は,世界の224の国と属領のうちの189か所で集会が行われています。ニーファイが預言したように,この教会の会員数はわずかです。9 しかしそれでも,皆さんとわたしは「石が人手によらずに切り出されて……全地に満ち〔る〕」というダニエルの預言の成就の目撃者なのです。10

わたしたちの時代は,驚くべき奇跡の時代です。6か月前にモンソン大管長から,伝道の奉仕を望む若い男性と若い女性に関する年齢変更についての発表があったとき,教会の若い会員たちに,まさに御霊が豊かに注がれました。信仰が疑いに打ち勝ち,若い男性と女性は行動を起こしました。大会の次の木曜日に,わたしは宣教師の召しを大管長会に推薦する割り当てを受けました。18歳の男性と19歳の女性が,すでに計画を調整し,医者に会い,ビショップとステーク会長による面接を受けて,宣教師推薦書を提出したのを目にし、驚きました。すべてたった5日間でのことです。今はさらに数千人が,同じ手続きを進めています。これは奇跡です。

わたしたちを元気づける姉妹宣教師たちの信仰に,また世界の国々からの宣教師の数と奉仕の準備をしている夫婦の数が増していることに,わたしたちは感謝しています。58の新しい伝道部が発表されました。また,プロボの宣教師訓練センターがいっぱいになり,メキシコ・シティーに新しい訓練センターが設けられることになりました。

トーマス・S・モンソン大管長はこう述べました。「『それゆえに,あなたがたは行って,すべての国民を弟子として,父と子と聖霊との名によって,彼らにバプテスマを施し,……教えよ』という救い主の命令を,教会は非常に真剣にとらえています。」11 「この……大義は進み行き,人々の生活を変え,祝福をもたらし続けることでしょう。世界中のいかなる……力も神の業を止めることはできません。」12

主の福音が全世界に広まるとともに,わたしたちは主の奇跡を目にしています。

兄弟姉妹,主はさらに多くの宣教師が奉仕するように霊感を下されました。同様に主は確かに,主の宣教師を受け入れるように,さらに多くの善良で正直な人々の意識を目覚めさせ,心を開かせておられます。皆さんはそのような人をすでに知っているか,または知ることでしょう。その人は皆さんの家族の中におり,また近隣に住んでいます。通りで皆さんのそばを通り過ぎ,学校で近くに座っており,インターネットで皆さんと接しています。皆さんもこの奇跡が行われるときの重要な当事者なのです。

上着に宣教師の名札を付ける専任宣教師でない場合,パウロが「墨によらず生ける神の霊によって書かれ」13と述べたように, 今こそ皆さんの心にそれを描く時です。また帰還宣教師は,自分が宣教師だったときの名札を探してください。それを付けるのではなく,見える所に置いてください。主は皆さんが主の御手に使われる者になることを,これまで以上に今,必要としておられます。だれにも、この奇跡に貢献できるものがあります。

義に従っている教会員は皆,福音を分かち合う方法について考えてきました。自然体で福音を分かち合う人がいます。わたしたちは彼らから多くを学ぶことができます。14 時々感じる罪悪感がなくなることを願い,努力してもっと上手に行う方法を考えている人もいます。

福音を分かち合いたいという望みがあれば,わたしたちは皆,必ずひざまずきます。そうするべきです。主の助けが必要だからです。

モンソン大管長は,「教会が限られた範囲でしか影響力を及ぼすことのできない地域,現在のところ福音を自由に伝える許可が下りていない地域」のために祈るようにと求めています。15 わたしたちが熱心に,心を合わせて天の御父に願うとき,主はわたしたちのために大切な扉を開き続けてくださることでしょう。

わたしたちはまた,自分たちにも福音を分かち合う機会があるように祈ります。使徒ペテロは述べています。「あなたがたのうちにある望みについて説明を求める人には,いつでも弁明のできる用意をしていなさい。」16

現代の世界の困惑17 と混乱18 を見ると,礼拝の場所に集っている人が少なくなっているのも驚くに当たりません。多くの人がもっと神に近づき,もっとよく人生の目的を理解したいと思っていますが,疑問に対する答えを得られないでいるのです。真理に心を開いている人は大勢います。しかし,預言者アモスはこう述べています。「彼らは……主の言葉を求めて,こなたかなたへはせまわる,しかしこれを得ないであろう。」19 皆さんは彼らの疑問に答えることができます。日常の会話で,キリストを信じる彼らの信仰を増すことができるのです。20

救い主は言われました。「あなたがたの光を掲げて,世の人々に輝き渡るようにしなさい。見よ,あなたがたの掲げる光とは,わたしである。」21

わたしは皆さんに約束します。皆さんがだれと話せばよいかを知りたいと祈るとき,名前と顔が皆さんの心に浮かんでくるでしょう。必要なその瞬間に語る言葉が授けられます。22 皆さんに機会が与えられます。信仰が疑いに打ち勝ち,主は皆さんが奇跡を経験できるように祝福してくださいます。

救い主は福音を分かち合う方法を教えてくださいました。わたしはアンデレの話が好きです。彼はこう尋ねました。「先生……どこにおとまりなのですか。」23 イエスは住んでいる場所を告げずに,アンデレに言われました。「きてごらんなさい。そうしたらわかるだろう。」24 救い主はこう言おうとされたのだと思います。「来て,わたしが住んでいる場所だけでなく,わたしの生き方も見なさい。来て,わたしがどのような者かを見なさい。来て,御霊を感じなさい」と。その日のことのすべては分かりませんが,アンデレが兄弟のシモンを見つけたときにこう述べたことは分かっています。「わたしたちは〔に〕出会った。」25

わたしたちの会話に関心を示す人々を,わたしたちは救い主の模範に従って,「来て,見てください」と招くことができます。招きを受け入れる人もいれば,受け入れない人もいます。わたしたちは皆,「来て,見てください」と何度か招かれた結果,それを受け入れたという人を知っています。かつてわたしたちと一緒にいた人で,今はまれにしか会わない人についても考え,戻って来てもう一度会うように誘いましょう。

わたしたちは各人の選びと時機を尊重します。主は,「各人に自ら選ばせなさい」26と言われました。関心を示さないからといって,友情や愛のきずなを弱くする必要はありません。「来て,見てください」と招くときにその招きが受け入れられても受け入れられなくても,皆さんは,主の承認を感じ,またその承認を得て何度も信条を分かち合うためのさらなる信仰を感じることでしょう。

インターネットや携帯電話を使用している人々のためには,「来て,見てください」とほかの人を誘う新しい方法があります。オンラインで信仰を分かち合うことをもっと日常生活の一部としましょう。LDS.org,Mormon.org,フェイスブック,ツイッターで,その機会があります。

福音を分かち合うために,ボストンの若い会員たちが幾つかのブログを始めました。27 教会に加入した人々が宣教師からレッスンを受けた後,オンラインで学び始めました。この経験も,青少年が福音について直接話すことで,信仰を増すのに役立ちました。青少年の一人はこう言っています。「これは伝道という『仕事』ではなく,伝道という『楽しみ』です。」28

わたしたちは皆,一緒にこれを行っています。同じワードの会員や宣教師とともに,計画し,祈り,互いに助け合います。どうぞ専任宣教師のことを考え,祈り続けてください。家族や友人を宣教師に託してください。主は宣教師を信頼して,主を求める人々を教え,祝福するために宣教師を召されたのです。

モザンビーク・マプト伝道部のパウロ・クレトリー会長が,次のような経験を分かち合ってくれました。「モザンビークでは〔結婚しないで〕男女が一緒に暮らすことは普通です。アフリカの慣習で,結婚するためには多額の持参金が必要で,ほとんどのカップルにはその余裕がありません。」29

会員と宣教師は助ける方法について考え,祈りました。

彼らの祈りに対する答えは,純潔の律法と,結婚して永遠の家族を築くことの重要性を強調し,また悔い改めて,法律上の結婚ができるように二人を助けながら,イエス・キリストに従うことによってのみ得られる幸福について教える,ということでした。

これはモザンビークの二つの異なる町にいる夫婦の写真です。金曜日に結婚して,土曜日に年長の子供たちと一緒にバプテスマを受けました。30 友人と家族が「来て,見てください」と招かれ,数百人が「来て,見ました」。

バプテスマの後,一人の姉妹がこう言いました。「先祖の伝統に従うか,イエス・キリストに従うか,選ぶ必要がありました。わたしたちはキリストに従うことを選びました。」31

皆さんはモザンビークに住んでいないかもしれませんが,自分の方法で,自分の文化の中で,イエス・キリストの回復された福音を分かち合うことができます。

天の御父に祈ってください。これは御父の神聖な業です。御父は皆さんのなすべきことについて導きを与えてくださるでしょう。御父は扉を開け,妨げとなるものを取り除いてくださり,皆さんが妨害に打ち勝てるように助けてくださいます。主はこう宣言されました。「警告の声は,……弟子たちの口を通して,すべての民に及ぶ。……彼らをとどめる者はいない。」32

わたしは「主の声は,聞こうとするすべての人が聞けるように地の果てにまで及ぶ」と証します。33 これは奇跡です。ほんとうに奇跡です。イエス・キリストの御名により,アーメン。

  1. マタイ28:19

  2. マルコ16:15

  3. マタイ28:20 ;マルコ16:17-18 参照

  4. 使徒2:14,22-23,32

  5. 教義と聖約1:4

  6. 教義と聖約58:64

  7. 教義と聖約1:5参照

  8. 『歴代大管長の教え―ウィルフォード・ウッドラフ』(2004年),89-92参照

  9. 1ニーファイ14:12参照

  10. ダニエル2:34-35

  11. トーマス・S・モンソン「大会へようこそ」『リアホナ』2009年5月号,5

  12. トーマス・S・モンソン「再び集うとき」『リアホナ』2012年5月号,4

  13. 2コリント3:3

  14. クレイトン・M・クリステンセン,#The Power of Everyday Missionaries: The What and How of Sharing the Gospel#(2013年)

  15. トーマス・S・モンソン「大会へようこそ」『リアホナ』2009年11月号,5-6

  16. 1ペテロ3:15

  17. 長年真理とされてきたものが見直されたり取り下げられたりしているのを人々はよく見ています。教義と聖約1:16参照。教義と聖約132:8も参照

  18. 教義と聖約45:2688:91参照

  19. アモス8:12

  20. 預言者ジョセフ・スミスはこう述べています。「長老派教会に何か真理があるでしょうか。あります。バプテスト教会,メソジスト教会などに何か真理があるでしょうか。あります。……わたしたちは世にある正しい真実の原則をすべて集めて,それを大切にしなければなりません。」(History of the Church, 第5巻,517)「わたしたちはだれにも,すでに得ている善いものを捨てるように求めているわけではありません。ここへ来て,さらに多くを得るように願っているだけです。もし全世界の人々がこの福音を受け入れたらどうなるでしょう。人々は気持ちが通い合うようになるでしょう。そして神の祝福が人々のうえに注がれるでしょう。これこそ,わたしが心の底から願っていることです。」(『歴代大管長の教え―ジョセフ・スミス』〔2007年〕,155)ゴードン・B・ヒンクレー大管長はこう述べています。「すべての教会には真理があり,善いことが行われています。わたしたちはそれを認めます。その善をすべて携えて来てください。そして,わたしたちの方でそれに付け加えることができるかどうか見てみましょう。これがこの御業の精神です。これがわたしたちの伝道活動の基本です。」(「生ける預言者の言葉―ゴードン・B・ヒンクレー大管長の教えと勧告」『リアホナ』1999年4月号,19)「わたしたちは友好的な人でなければなりません。すべての人の中にある善を認めなければなりません。わたしたちはほかの教会を批判しません。わたしたちは建設的また肯定的な方法で宣べ伝え,教えます。ほかの宗教の人々にはこう言います。『あなたが持っている善いものをすべて携えて来てください。そうすれば,わたしたちはそれに付け加えることができるかどうか見てみましょう』と。それが本来わたしたちのすばらしい伝道プログラムの基本であり,それが結果をもたらすのです。」(“Messages of Inspiration from President Hinckley,” #Church News,# 1998年11月7日付で引用,ldschurchnews.com参照)

  21. 3ニーファイ18:24

  22. 教義と聖約84:85100:6参照

  23. ヨハネ1:38

  24. ヨハネ1:39

  25. ヨハネ1:41

  26. 教義と聖約37:4

  27. 例として,www.youngandmormon.comを参照

  28. 2013年3月22日のジャクソン・ハイトとの電話での会話

  29. 2013年3月6日のパウロ・V・クレトリー会長からの個人的な電子メール

  30. パウロ・V・クレトリー会長から提供された写真。最初のグループはマプトから来て2012年11月30日に結婚し,2012年12月1日にバプテスマを受けました。第2のグループはベイラから来て2013年3月1日に結婚し,2013年3月2日にバプテスマを受けました。

  31. 2013年3月6日のパウロ・V・クレトリー会長からの個人的な電子メール

  32. 教義と聖約1:4-5

  33. 教義と聖約1:11