年次放送
成長のための努力


39:40

成長のための努力

&2020年宗教教育セミナリー・インスティテュート年次訓練放送

2020年6月9日,火曜日

ウリセス・ソアレス長老兄弟姉妹の皆さん,皆さんがどこにいようと,妻とわたしは今日皆さんとご一緒できることを光栄に思います。大管長会と十二使徒定員会の愛を皆さんにお伝えします。ネルソン大管長は,皆さんにどうか幸いがあるようにと個人的に申しております。会う人たちに大管長の感謝と愛を伝えるようにと,いつもわたしたちに言っています。神の子供たちのために行う皆さんの奉仕に,大管長は心から感謝しています。

わたしとともに働く皆さん,先に進む前に,セミナリーとインスティテュートでのすばらしい奉仕に対するわたし個人の深い感謝の気持ちを伝えさせてください。皆さんは若い世代が永遠に向かって救い主の道を歩めるよう教え,助ける特権にあずかっています。皆さんは,神の最も高貴な霊たちを教えています。彼らは歴史のこの時に地上に来るために取っておかれました。愛する預言者,ネルソン大管長は,この高貴な霊たちを神の最もすぐれたチーム,最もすぐれた選手たち, この最後の大いなるイスラエルの集合に喜び勇んで携わる人たちと呼んでいます。1この偉大なチームは,不可能なことを成し遂げ,すべての人類家族の運命を形造る助けをすることができます。2

愛する妻,ホザナが本日,この特別な集会にわたしと一緒に参加しています。妻は,39年間の結婚生活で,わたしの人生の光です。妻の善良さはすばらしい模範です。家族が皆キリストのような者になる努力をしているのは,妻のおかげです。妻ホザナもわたしも若いころ,熱心なセミナリー教師とインスティテュート教師から受けた教えを実行して祝福を受けました。この教師たちの献身的な奉仕は,イエス・キリストの福音の最初の一歩を踏み出した妻やわたしに多大な影響を与えました。イエス・キリストの福音の真理に従って自分の人生を形造れるように助け,わたしたちが天の御父のもとに帰る道を歩もうとする際に導いてくれました。セミナリーとインスティテュートが,改宗したばかりだった妻をいかに祝福し,キリストのような特質を育む努力をするうえでどれほど助けになったか,妻に話してもらいます。ホザナ,いいですか。

ありがとうございます。証を分かち合う機会をいただき,うれしく思います。

わたしが初めて教会について聞いたのは,9歳くらいのころでした。それから8年間,父親にバプテスマを受ける許しを願いましたが,答えはいつもノーでした。そのような重大な決心をするには,わたしは若すぎると父親は言いました。ですから,わたしはそれがほんとうに望んでいることであることを,父親に証明する必要がありました。

わたしは教会の会員ではありませんでしたが,4年間のデイリーセミナリーを修了しました。セミナリーのクラスは,毎日,朝6時から礼拝堂で教えられていました。父は,あくまでも教師が迎えに来ることを条件に,通うことを許してくれました。幸いにも,わたしは,毎朝5時半に迎えに来てくれるすばらしい教師に恵まれていました。父はわたしを,毎朝5時に起こしてくれました。わたしは着替えを終えて教師を待ちした。わたしはいつもとても眠くて,心の中でこう言ったものです。「どうぞ,来ないで。どうか,来ないで。」しかし,必ず,この教師はやって来ました。幸いなことに,必ず来たのです。

わたしはとても祝福されていると感じ,熱心なセミナリー教師に感謝しています。わたしのことを簡単に諦めることもできたはずです。そうはしませんでしたが。」

30年後,しばらくの間,わたしが家庭で娘にセミナリーを教える機会がありました。その年,娘は学校のスケジュールのために,礼拝堂で行われていたセミナリーには,出席できませんでした。元気いっぱいの娘で45分間ずっと座っていた意図は思っていませんでした。特にわたしが教師だったので。そこでわたしは,こう決めました。準備をして,ほかには見られないようなクラスを開き,生徒が彼女だけでも,あたかも最高のセミナリー生徒であるかのように娘に対応することにしたのです。年度末になるころには,喜びに満ちた彼女は自分に対する天父の愛を感じ,わたしも同じように,愛を感じていました。

兄弟姉妹の皆さん,わたしの娘と同じように,神の言葉は,人の心と態度を大きく変え,自分とほかの人々に対する見方を変えることを,わたしは知っています。

最後に,ヘンリー・B・アイリング管長の美しい言葉を引用しましょう。

「すばらしい教師である皆さんは,すでに多大な努力と犠牲を払って,神の言葉を教える準備をし,レッスンを行い,生徒の面倒をよく見ています。より多くのわたしたちの生徒が真の改心に至る選択をするように,皆さんの信仰を加えることができます。」3

イエス・キリストの御名により証します,アーメン。

Elder Soares:霊的な話をありがとう。すばらしい女性でしょ?。

自分の影響力を過小評価しないでください。皆さんには,教会の青少年たちが人生で義を追い求めるよう説き勧めることができます。愛するパッカー会長が言ったように,彼らは敵陣の中で成長しています。教えるという皆さんの献身的な奉仕を通して,彼らは信仰と従順さにおいて成長し,霊的に打たれ強くなります。彼らは誘惑に対処し,誘惑を克服する方法を学びます。

兄弟姉妹の皆さん,セミナリーとインスティテュートは,教会の安定と強化に最も大きく貢献しているプログラムです。はっきりと言えるのは,神とその子供たちに対する皆さんの貴重な奉仕を通して,主が人​の​不死​不滅​と​永遠​の​命​を​もたらす主の業と栄光を成し遂げておられるということです。4ですから,皆さんとわたしの主たる目的は常に,天の御父の子供たちの救いと昇栄でなければなりません。

セミナリー・インスティテュートの教師と指導者用の手引き『福音を教え学ぶ』の中に感動的な言葉があります。「わたしたちの目的は,以下のことができるよう,青少年とヤングアダルトを助けることです。イエス・キリストの教えと贖罪について理解してそれに頼るように助ける。神殿の祝福を受ける資格を得る。天の御父とともに永遠の命にあずかるため,自分自身と家族と周りの人々を備える。」5

この責任は,『総合手引き—末日聖徒イエス・キリスト教会における奉仕』にある次の言葉と呼応しています。「宗教教育セミナリー・インスティテュート(S&I)は,青少年やヤングアダルトが,イエス・キリストと回復された福音に対する信仰を増し加えられるように助けるうえで,親や教会指導者を支援します。」6

人を救うというこのすばらしい業に携わるわたしたちにとって最大の課題は「変わる」努力,つまり,成長して主が望んでおられるような弟子になることです。それをするときに,永遠の命への道を歩む生徒たちの人生に影響を与えられるよう,主はわたしたちを助けてくださいます。この「変わる」という概念は,手引き『福音を教え学ぶ』に書かれている主の目的を達成するための3つの要素の一つ,以下と密切な関係があります。「わたしたちはイエス・キリストの福音に従って生活し,御霊を伴侶とするため懸命に努力します。わたしたちは,家庭,教室,地域社会にあって,行動においても人との交わりにおいても模範となります。わたしたちは,絶えず自分の働き,知識,態度,人格を向上するよう努めます」7

使徒パウロは,キリストの高さにまで達することの大切さについてアドバイスし,エペソ人への手紙でこう言っています。

「そして彼は,ある人を使徒とし,ある人を預言者とし,ある人を伝道者とし,ある人を牧師,教師として,お立てになった。

それは,聖徒たちをととのえて奉仕のわざをさせ,キリストのからだを建てさせ,

わたしたちすべての者が,神の子を信じる信仰の一致と彼を知る知識の一致とに到達し,全き人となり,ついに,キリストの満ちみちた徳の高さにまで至るためである。」8

重大な問題は,そうできるように人々を助けるという奉仕をする中で,どうしたらキリストの満ちみちた徳の高さにまで至れるのかということかもしれません。イエス・キリストの福音は,この問題に助けを与えています。この問題を考えるうえで幾つかの原則を一緒に考えてみましょう。

最初の基本的な原則は常に,主であられるイエス・キリストに従うことです。イエス・キリストの特質を自分の態度や言葉,行いで示そうと熱心に努力すると,わたしたちの影響力は強くなり,天の御父とともに永遠の命を得る資格を得る準備をするよう人に説き勧める力も強くなります。そうすることで,青少年がイエスを愛するようになる助けとなることができます。なぜなら,人は好きなことに努力を傾け,努力を傾ける事柄が人の考え方や行動を決め,考え方や行動が人格を決定するからです。

皆さんとわたしは,末日聖徒イエス・キリスト教会を世界に代表しています。わたしたちの行動と言葉はすべて,教会のイメージや教会の持つ真理を代表し,究極的には救い主を代表しているのです。福音をよく理解して福音と調和した生き方をしようとすると,イエス・キリストのようになる努力にさらに身が入るようになるはずです。ダリン・H・オークス管長は次のように教えています。

イエス・キリストの福音は,神の子供としてなるべき者に,わたしたちがなるために備えられた計画です。……この染みのない完全な状態は,絶えず聖約と儀式を更新し,それに基づいて行動すること,正しい選択を積み重ねていくこと,常に悔い改めることの結果としてもたらされるものです。」9

最近わたしは,自分の育ったブラジルでセミナリーとインスティテュートで一緒に学んだクラスメートと話しました。人生を左右する決断を下す時期に教師がキリストのような影響を与えてくれたと言う彼らの言葉に,わたしは感動しました。その何人かの言葉を聞きましょう。

バヘート姉妹:青少年のころのことです。福音を学んでいたので,自分が決めることや望むこと,夢見ることすべてに,確固とした土台があったと思うんです。いえ,確かにありました。特に,セミナリーのことはとてもとてもよく覚えています。ここブラジルでセミナリーを始めたころわたしはとても若くて,今でも覚えていますが,教師がとても良くて,熱心で,だからわたしは救い主が大好きになりました。それに,セミナリーのときにわたしが得た証は成長してすごく強くなりました。今の自分があるのはその時期のおかげです。セミナリーの教えと教師と,自分で下した決断のおかげなのです。

シルバ姉妹:当時改宗者だったわたしにとっては,教師の存在がとても大切だったと思います。彼女はわたしが原則を理解し生活に応用しイエス・キリストの特質を求めることができるように助けてくれました。忍耐,知識を増し加えること,生ける預言者に従順になることなどです。これらすべてにより,聖霊を聞くこと,御霊のささやきに耳を傾ける能力を強めることができました。新しい改宗者であったので,これは自分にとって鍵となる重要な者でした。教師のおかげです。彼女は知識に溢れていて,多くの聖徒が知識を増し加えることができるよう助けました。よくわたしたちの質問にも答えてくれました。証を得,教会に強く活発でい続ける助けとなりました。

ゴンサルベス長老:そうですね。わたしはバプテスマを受けたばかりのころ,礼拝堂に入るとすぐに,青少年とセミナリーの教師に囲まれました。クラスに来てみないかと,その教師に誘われたのです。コースはすでに始まっていたので,その年の証書をもらうためには急いで課題を終わらせなければなりませんでしたが,課題を急いでやって何も学びませんでしたが,福音の中に身を置くことが大切であることを学びました。福音の中に身を置くことは大切でした。それにより,もっと聖文について学びたいという望みを持つようになりました。以前には考えたこともなかったことですし,その重要性も理解していませんでした。その最初の感激を味わって以来,参加する喜びはわたしの人生から切り離せないものになりました。それがごく自然なことになってきて,聖文についてもっと知りたくなりましたし,真理だと思えることを実践したくなりました。その真理が青少年たちを祝福していることは,彼らの行動を見れは分かります。あの青少年たちの行いがわたしの目を真理に向けさせてくれたということは,忘れることができません。

ソアレス長老使徒パウロがテモテにあてて書いた手紙を読むと,真に良い影響を人に与えるために心に留めるべき大切な勧告を思い出します。「言葉にも,行状にも,愛にも,信仰にも,純潔にも,信者の模範になりなさい。」10

お伝えしたい2番目の原則は,雄々しく分かりやすく真理を教えることです。皆さんもわたしも,イエス・キリストの福音を教える責任に召されています。自分の考えや哲学を,ましてや聖文に混ぜて教えるわけにはいきません。福音は「救を得させる神の力」11であり,わたしたちはイエス・キリストとその福音を通してのみ救われるのです。わたしたちは聖霊の導きと助けを受けながら,教会の標準聖典や現代の使徒と預言者の言葉に見いだされる福音の原則を教えなければなりません。わたしたちは御手に使われて真理を伝え,生徒たちがこの世の哲学と混同しないように分かりやすく教えなければなりません。神の言葉が人の心に力を及ぼし,当然のことながら人の信仰を強くすることを,アルマは見事に説明しています。アルマ32:42を読みましょう。

あなたがたは、御言葉が自分の中に根付くように、熱意と信仰と忍耐をもってそれを養うので、見よ、やがてその実を得るであろう。その実は最も価値があり、どんな甘いものよりも甘く、どんな白いものよりも白く、どんな清いものよりも清い。また、あなたがたは満ち足りるまでその実を食べて、もう飢えることも、渇くこともないであろう。

兄弟姉妹の皆さん,この偉大な聖句が説明している真理の力を教会の青少年たちが心に受け入れると,彼らは生活の中で良いことをするようになります。効果的に教えることは,教会における指導の真髄です。これを忘れないでください。永遠の命は, 男女がそのような効果的な教えを受けることで自らの生活を変え, 訓練することによって,初めて得られます。強制的に義しいことを行わせたり,天国に行かせたりすることはできません。導かれる,つまり,効果的な教えを受ける必要があるということです。12

去る4月の総大会で,ラッセル・M・ネルソン大管長は「イエス・キリストの完全な福音の回復:200周年の世界への宣言」について教えました。そのメッセージの最後に大管長は,この宣言を研究し,この真理について思い巡らし,これらの真理が自分の人生に及ぼす影響について考えるようにという課題を,全教会員に与えました。わたしたちにはその課題を越えた任務があると,わたしは考えています。皆さんとわたしは,この宣言に含まれる霊感された真理を教会の青少年とヤングアダルトの心に届けるという割り当てを受けています。ある意味で,セミナリーとインスティテュートの教師は,15人の預言者,聖見者,啓示者の手足となって働く者であり,これらの真理を青少年に宣べ伝えてこの非常に混乱した世の中へと旅立つ準備をさせます。皆さんとわたしには,この宣言の祝福を青少年の生活において実現させるという重大な責任があります。わたしたちが困難な時代に生きていることは,皆知っています。世の人々は,自分の人生で天の御父とイエス・キリストが果たす役割とその大切さを忘れ,御二方を神として見なくなっています。世の中の哲学が,人々の心の中にある,イエス・キリストの福音の神聖な絶対的真理の領域を徐々に犯しつつあります。皆さんとわたしには,主の御手に使われる道具となって,青少年を祝福し,この宣言の中で明快に力強く宣言されている真理を彼らの心に届けるという,すばらしい機会があります。

わたしの良き友の言葉をまた幾つか紹介します。分かりやすく雄々しく教えられた真理が彼らの信仰をいかにイエス・キリストの福音に根差したものにしたか,お聞きください。

シルバ長老:心にまず浮かぶのは,教師の模範です。まずそれを見て,あんな風になりたいと思うようになりました。わたしはいつもこう思っていました。「あんな風に自分もいつか家族を持つようになれるのだろうか。いつか自分もあんなことをできるようになるのだろうか。」ですから,教義の影響として,模範によって教えられたときには特に実践しやすいですね。状況や環境に応じて適用の仕方が違いますから。自分の能力に応じて最善を尽くし行おうとしました。毎日より良くなっていき,よりよい選択ができるようになるためです。おかげで最高の選択ができました。妻を選んだことです。わたしの人生の糧となっています。

バヘート姉妹:わたしはいつも,教師を模範として尊敬していました。特に今でもひとつ覚えています。とても若く,未婚でした。帰還宣教師でした。姉妹宣教師だったのです。彼女が教えるのを見て,わたしは思いました。「あんな人になりたいな。もっと彼女みたいになりたい。」なぜなら,彼女はまるで救い主のようだったからです。彼女は生徒をすごく愛していて,教えてもらう度に,わたしたちへの愛と教えることに対する愛を感じました。わたしが自分の人生で大切だったと思うことは,改宗です。わたしは改宗者ではないのですが,改心の時がありました。教会員の家庭に生まれたのですが,わたしの場合の話は少し違うと言われることがあります。わたしは教会や福音について疑ったことや信じなかったことがまったくないのです。すべてが,わたしにとってはごく自然でした。でも,考えたんです。自分で知らなければならない時が来るに違いないって。それが,ちょうどセミナリーとインスティテュートの時期でした。特にセミナリーですね。振り返って考えると,それは,自分がなぜ教会にいるのかを決めなければならない大切な時でした。自分にとってほんとうに教会が真実なのか,福音の証とイエス・キリストに対する証が自分にあるのかということです。その日々のおかげで,今のわたしがあります。

ゴンサルベス長老:第一に,教師と指導者がいても,彼らが完全だというわけではありません。でも,わたしたちは彼らのようになる夢を思い描きます。彼らのように家族を持ち,彼らの模範に従い,同じような理解力や知識を得ることです。影響を受けた指導者が何人かいて,彼らの模範を見ていたので,「大きくなったらあんな風になりたい」とわたしは言っていました。そうなるためには人生で常に賢明な選択をしなければなりませんでした。そのようにわたしは,少しずつ成長していきました。改心については,ベドナー長老が言っていたように,すぐに起こるのではなく,少しずつ起こります。心が変わり,思いが変わり,行動が変わりますが,常に主の御心に心を向けている必要があります。神の御心が第一です。それに,この教師たちが聖文を理解できるよう,聖文が好きになるよう助けてくれました。そのおかげで,聖文がわたしの生活の一部になったのです。わたしは神の御心に従って賢明な選択をするように努力してきました。

ソアレス長老:本日取り上げるもう一つの原則は,御霊によって生徒を教えるという責務です。皆さんとわたしは,主の用向きを受けています。わたしたちは主の代理人であり,権能を与えられ,主の代わりに行動する責任を授かっています。主の代理人として,わたしたちには主の助けを受ける権利があります。確かに,わたしたちは各レッスンの準備を熱心にしなければなりませんし,いろいろな教授法をマスターしたり,生徒が選択の自由を使って正しいことを選べるよう助ける方法を学なければなりません。しかしながら,レッスンで聖霊を通して主の助けを受けるためには,それに見合ったふさわしい生活をする必要があることは明らかです。

教会の教師に対し,大管長会は次のように述べています。 「皆さんの奉仕で最も大切な部分は,祈り,聖文研究,戒めへの従順を含む皆さん自身の霊的な備えです。皆さんが以前よりもいっそう大きな目的意識をもって献身的に福音を実践するようお勧めします。」13この備えをして主の助けを求めるならば,主は御霊を通してなすべきことが分かるように祝福してくださいます。いつも忘れないでほしいのですが,御霊によって教えると,生徒たちが福音の原則をよく理解してそれを生活に生かしたいと思うようになります。そんな教え方ができるようになるのです。「それゆえ,説く​者​と​受ける​者​が​互いに​理解​し​合い,両者​ともに​教化​されて,ともに​喜ぶ​の​で​ある。」14言うまでもないかもしれませんが,御霊を通して教えられて初めて,生徒たちは御霊を通して永遠の真理を受け入れられるようになります。

このすばらしい概念をニーファイはこう説明しています。「さて,わたしニーファイは,民の中で教えられたことをすべて書き記すことはできない。また書くときには話すときほどの力もない。人が聖霊の力によって語るときには,聖霊の力がそれを人の子らの心に伝えるからである。」15わたしたちが教えるときに,御霊は真理を人の子の心に伝えるためにとても重要な役割を果たしているのです。

兄弟姉妹の皆さん,わたしたちは非常に雄弁に人前で話すことができるかもしれません。しかし,御霊がなければ,弁が立ってもあまり影響力はないのです。ラッセル・M・ネルソン大管長は最近こう教えています。「今は,かつてなく,御霊がどのように語りかけるかを知る必要のある時です。聖霊は神会における使者です。聖霊は,御父と御子が[わたしたち]に伝えたいと思っておられる考えを[わたしたち]の思いに伝えてくださいます。聖霊は慰め主です。[わたしたち]の心に安らかな気持ちを与えてくださいます。[わたしたち]が主の言葉を聞き,読むとき,聖霊は真理について証し,真実である事柄を確認してくださいます。」16

わたしが伝えたい第4の原則は,心を込めて教えることです。優雅で洗練された文章を駆使することのできる教師は印象的であり,聞いていて楽しいものです。しかし,人を引き付けるアイデアを持ち,心と心で語る教師は,学んでいることを実行するようわたしたちを駆り立てます。このような教師は人前での話し方が洗練されていないかもしれませんが,生徒がその話に耳を傾けると彼らの眼が開かれて,よく理解できるようになります。このような教師は,ある望みを生徒たちの心と思いに植えつけることができるのです。その望みには影響力があって,生徒たちは善を求め,昇栄への道を歩むようになります。わたしたの人生に最も影響を与えた教師たちは,心から教えてくれた人たちでした。教え方が格段に優れていたわけではありませんが,心から心に語ることができたのです。その影響力は,所定のレッスンプランに従って機械的に教えたり教育理論を振りかざしたりすることから生まれるのではなく,純粋な愛と誠意,情熱,信念から生まれていました。アメリカの作家であり,教育者でもあるパーカー・パーマーは,こう言っています。「優れた教師は,人とつながる能力を持っている。……優れた教師が作るこのつながりは,技術ではなく心の中にある。古い時代,という言葉には,人の内面にある知性と感情と霊と意思が重なり合う場所という意味があった。」17

主イエス・キリストは,この原則の完全な模範でした。砂浜に足跡を残しただけでなく,教えられたすべての人の心と人生に,主の教えの霊的な印を残されたのです。主は,当時の弟子たちに教えたと同じ言葉を,わたしたちにも言っておられます。「あなたは,わたしに従ってきなさい。」18

では,わたしのクラスメートの言葉を聞きましょう。これが最後です。まだ紹介していませんでしたね。この3組の夫婦は,バヘート夫妻でグラウシアとヘイナウド,ゴンサルベス夫妻でルセリアとマウロ,それに,シルバ夫妻でセリア・マリアとハミルフォです。ほとんどが,わたしが子供時代から知っているすばらしい人たちです。彼らの義にかなった生き方から,わたしは学んできました。彼らは忠実で忍耐強く,献身的な末日聖徒イエス・キリスト教会の会員です。子供たちを福音の中で育て,主から召された責任を心を込めて果たしてきました。

バヘート長老:わたしの人生には,セミナリーとインスティテュートの教師やコーディネーター,ディレクターの非常に良い模範がありました。彼らとは,そのころからずっと非常に親しくしています。彼らとその模範には,どんなに感謝しても,し尽くせません。彼らは,非常に良い友達でもありました。いつでも,どんなことについても,安心して話せました。導きを与えたり福音を教えたりしてくれましたが,模範がすばらしいものでした。彼らから非常に大きな影響を受けました。

ゴンサルベス姉妹:福音があって,福音の中で子供たちを育てられたことに,とても感謝しています。若いころからの努力が実を結ぶのを,今見ています。あるとき,奉献された神殿の前でキンボール大管長とともに歌う機会がありました。覚えていますが,指揮者は,ロボ姉妹でした。日の栄の部屋の中に入れた人は少ししかいなかったのですが,神殿内で学んだことすべてと,青少年のころに学んだことすべてに価値があったことを,そこで感じたのです。永遠に向かって進み続けたいと,心から思わせてくれました。人生で経験するすべてに目的があります。わたしの目的は,家族や友達とともに天の御父のもとに帰ることです。

シルバ姉妹:まず最初に感じることは,勇気ある教師の方々への感謝です。ボランティアとして,教えるために献身的に時間を捧げて準備をしてくださっています。教師が生徒たちに与えることのできる良い 影響力は計り知れないものです。ずっと後になって,それに気づくこともあります。でも彼らは,正しいことを行うと心から決めて,その道を歩み続けます。このことにわたしは,ほんとうに感謝しています。そしてわたしには,ジョセフ・スミスが神の預言者であったという証があります。ジョセフ・スミスが神の預言者だということを否定しようのない経験を,わたしは幾つかしてきました。モルモン書は神の言葉です。今日,わたしたちを導き,啓示を受けている預言者がいます。そして,イエス・キリストが教会を実際に導いておられることを,わたしは知っています。以上をイエス・キリストの御名によって述べます,アーメン。

ソアレス長老:ありがとうございました。若い時に学んだことに対して良い模範でい続け,ほかの人の心にイエス・キリストの福音を明らかにするときに,主からの祝福がありますように。

最後にお伝えしたい非常に大切な原則は,真実だと知っていることについて証をすることです。福音の友である皆さん,皆さんの強い証の力は,生徒たちの人生を永遠に変えます。それはまさに,宣教師の証を聞いたときにわたしたちや先祖たちに起こったことでした。聖霊の力を通して与えられる強い証は,人生の成功を支える力であり,平安と慰め,確信を与えてくれます。救い主の教えに絶えず従うならば人生がすばらしいものとなり,未来が約束され,人生で直面する試練を乗り越える力が与えられるという確信が生まれます。皆さんの強い証は生徒たちの信仰を支え,福音の証を彼らが自分で育てていくうえで助けになります。彼らのその証は,自分の人生においてキリストの聖なる贖いの犠牲の力を知るうえで助けとなる柱の一つになります。彼らがその証に基づいて義にかなった行いをするならば,その証は生涯にわたって盾となります。信仰をくじき,心に不信仰な考えを吹き込もうとする敵の策略から守る盾となるのです。この土台は,この福音が真実であることを雄々しく世界に宣言する勇気を,彼らに与えることでしょう。

プライマリーの曲でこのような歌詞があります。「お父様は生きています。御霊がわたしにささやいてる。本当のことと。19

そこで,わたしの証を皆さんに伝えて,本日の話を終えたいと思います。教えに教えを加えて築き,今でも育み続けている証です。神の言葉をもっとよく理解しようと誠心誠意努力し続けてきました。その証の種をわたしの心に最初にまいたのは,子供時代に家族を教えてくれたすばらしい宣教師たちでした。その後,模範と主への献身を通して教えてくれた忠実な両親によって,養いが与えられました。その証の種はやがて,若いころにすばらしいセミナリー教師の教えを聞き,それに従った生活をしたいと思うようになったことで,花開いたのです。

イエスはキリストであられます。主が生きておられることを知っています。主はわたしの罪のために亡くなり,復活して,わたしの行動を変えるチャンスを与えてくださいました。主はわたしのために御自分のことを忘れ,自分の望みに背を向け,御父から託されたことだけを行われました。大いなる苦しみのさなかにあっても御自分を顧みずに御父が望まれることをなさいました。

天の御父が生きておられてわたしたちの祈りを聞いてくださっていることを,わたしは知っています。御父が痛みを理解しておられることを証します。この教会が,地上にあるイエス・キリストのまことの教会であることを,わたしは知っています。主はほんとうに,ジョセフ・スミスを通して主の福音と神権の回復を始められました。わたしは救い主と天の御父を愛しており,喜んで御二方に仕えています。これまでの人生を通して,わたしは神の子供たちに奉仕することによって,主への愛を示そうと努めてきました。兄弟姉妹の皆さん,献身的で愛溢れる主への奉仕によって,疲れることなくわたしに影響を与えてくれたセミナリーとインスティテュートの教師に,わたしは心から感謝しています。すべてのことはあのときから始まりました。

皆さんを愛しています。今日皆さんとご一緒できたことに感謝しています。皆さんが主のため,地上にいる主の子供たちのためにしていることに,重ねて感謝いたします。これらのことをイエス・キリストの御名によって申し上げます,アーメン。

  1. ラッセル・M・ネルソン,ウェンディ・W・ネルソン「シオンのつわもの」(青少年対象ワールドワイド・ディボーショナル,2018年6月3日)『リアホナ』2018年9月号付録参照

  2. See Russell M. Nelson, “The Lord Uses the Unlikely to Accomplish the Impossible” (Brigham Young University–Idaho devotional, Jan. 27, 2015), byui.edu.

  3. Henry B. Eyring, “We Must Raise Our Sights,” in Scott C. Esplin and Richard Neitzel Holzapfel, eds., The Voice of My Servants: Apostolic Messages on Teaching, Learning, and Scripture, (2010), 17.

  4. モーセ1:39

  5. 『福音を教え学ぶ—宗教教育セミナリー・インスティテュートの教師ならびに指導者用手引き』x)。

  6. 「総合手引き—末日聖徒イエス・キリスト教会における奉仕」15.015.0.

  7. 福音の教授と学習手引きx.

  8. エペソ4:11-13

  9. ダリン・H・オークス「主の望まれる者となるというチャレンジ」『リアホナ』2000年1月号,33参照

  10. 1テモテ4:12

  11. ローマ1:16

  12. ゴードン・B・ヒンクレー,, “How to Be a Teacher When Your Role as a Leader Requires You to Teach,” 中央幹部神権管理会,1969年2月5日

  13. 「救い主の方法で福音を教える」(青少年のための学習リソース『わたしに従ってきなさい』のためのガイド,』2)

  14. 教義と聖約50:22

  15. 2ニーファイ33:1

  16. ラッセル・M・ネルソン「はじめに『リアホナ』2020年5月号,90

  17. Parker J. Palmer, The Courage To Teach: Exploring the Inner Landscape of a Teacher’s Life (1998), 11.

  18. ヨハネ21:22

  19. お父様は生きています」(『子供の歌集』8)