2010–2019
聖約
2011年10月


14:19

聖約

自分が聖約の子孫であることを悟るとき,自分が何者であり,神から何を期待されているかを知ります。

最近,ロシアで最初のステークをモスクワ1に組織する責任を終えた1週間後,サンクトペテルブルクで地方部大会に出席しました。ロシアの教会に力を注いでくれた初期の宣教師や地元の指導者たちへの感謝を述べる中で,ビアチェスラフ・エフィモフ兄弟について触れました。彼はロシア人の改宗者として最初に伝道部会長に召されました。彼と奥さんはその責任を立派に果たしました。非常に悲しいことに,エフィモフ会長は伝道を終えて間もなく,突然亡くなりました。2まだ52歳の若さでした。

ロシアの地における開拓者とも言える夫婦について話していたとき,会衆の中にエフィモフ姉妹がいるかどうか尋ねるよう,御み霊たまに促されました。部屋のずっと後ろの方で,一人の女性が立ち上がりました。マイクの所に来てくれるようにお願いしました。確かにガリーナ・エフィモフ姉妹です。彼女は確信をもって語り,主と,主の福音と,回復された主の教会について力強い証を述べました。夫と聖なる神殿で結び固められており,自分たちは永遠に結ばれていると言いました。今でも宣教師として同僚であり,彼女は幕のこちら側で,そして彼は向こう側で働いているのです。3彼女は喜びの涙を流しながら,神聖な神殿の聖約について神に感謝しました。わたしも涙を流しました。この忠実な夫婦の永遠にわたる一致は,神聖な聖約を交わし,守り,尊ぶことによって得た義にかなった結果であることがよく分かったからです。

啓示された宗教の重要な概念の一つは,神聖な聖約に関するものです。法的に言えば,契約とは二人あるいはそれ以上の人々の間で交わされる合意を意味していますが,宗教的な契約,つまり聖約はそれよりもはるかに深い意味を持っています。それは,神との神聖な約束です。条件は神がお決めになり,各人はそれらの条件を受け入れるかどうかを選びます。もし人が聖約の条件を受け入れて神の律法に従うなら,その律法に伴う祝福を受けます。わたしたちは「神から祝福を受けるときは,それが基づく律法に従うことによる」と知っています。4

人類の歴史を通して,神はその子供たちと聖約を交わしてこられました。5主の聖約は救いの計画全体にわたっていて,主の完全な福音の一部となっています。6例えば,神はその子供たちのために救い主を遣わすと約束され,7その代わりに主の律法に従順であるようにと命じられました。8

聖書を読むと,旧世界の男女は聖約の子孫であると書かれています。どのような聖約でしょうか。それは「神が〔彼らの〕先祖たちと結ばれた契約〔であり,〕神はアブラハムに対して,『地上の諸民族は,あなたの子孫によって祝福を受けるであろう』と仰せられた」とあります。9

モルモン書には,新世界の人々についてもその中に聖約の子孫がいると記されています。10復活した主はこのようにお告げになりました。「見よ,あなたがたは預言者たちの子孫であり,イスラエルの家に属する者であり,父があなたがたの先祖と交わされた聖約を受けている者である。父はアブラハムに,『あなたの子孫により,地のすべての部族は祝福を受けるであろう』と言われた。」11

救い主は,聖約の子孫であることがいかに大切かを説明して,次のように語られました。「父はわたしをよみがえらせ,まずあなたがたに遣わされた。あなたがた一人一人を罪悪から遠ざけて祝福にあずからせるためである。これは,あなたがたが聖約の子孫だからである。」12

神がアブラハム13と交わし,後にイサク14,ヤコブ15と再び新たにされた聖約には,きわめて重要な意味があります。その中には次のような約束が含まれていました。

  • イエス・キリストがアブラハムの系統を通してお生まれになる。

  • アブラハムの子孫が数多くなり,永遠に増え続け,神権を持つ者となる。

  • アブラハムが多くの国民の父となる。

  • 幾つかの土地が彼の子孫によって受け継がれる。

  • 地上のすべての国家が,彼の子孫によって祝福を受ける。16

  • その聖約は永遠のものとなり,「千せん代だい」にもわたって続く。17

この約束の幾つかはすでに成就し,そのほかはこれから成就するのを待っています。モルモン書の最初の方に書かれている預言から引用します。「それで父〔リーハイ〕は,末日に成就する聖約について触れながら,わたしたちの子孫のことだけでなく,イスラエルの家に属するすべての者についても語ったのです。その聖約とは,主がわたしたちの先祖アブラハムに立てられたもの〔です。〕」18すばらしいではありませんか。イエスがベツレヘムにお生まれになる実に600年も前に,預言者たちはアブラハムの聖約が末日についに成就することを知っていたのです。

その約束を果たし,そのアブラハムの聖約を新たにするために,主はこの末日にも御み姿すがたを現されました。主は,預言者ジョセフ・スミスにこのように宣言されました。

「アブラハムは,その子孫とその腰から出た者について約束を受けた。-あなた,すなわちわたしの僕べジョセフは,その腰から出た者である……。

この約束はあなたがたに与えられたものでもある。あなたがたはアブラハムから出〔ている〕からである。」19

こうして約束が新たにされたことにより,わたしたちはいにしえの時代と同じように,聖なる神権と永遠の福音を受けました。わたしたちは完全な福音を受け,神権の祝福を享受し,神の最も偉大な祝福である永遠の命にふさわしくなる特権を頂いています。20

わたしたちの中には,アブラハムの文字どおりの子孫もいますし,また,養子縁組によってその氏族に集められる人もいます。神は偏り見ることはなさいません。21わたしたちが主を求め,主の戒めに従うならば,ともにこの約束された祝福を受けます。22しかし,もしそうしないなら,聖約の祝福を失います。23主の教会には,わたしたちを助けるために祝福師の祝福があり,その祝福を通して個人の行く末や過去とのつながりに関する理解を与えます。またアブラハム,イサク,ヤコブにまでさかのぼって,その人の血統を宣言します。24

聖約を交わした兄弟たちは,神権の誓詞と聖約を受ける権利を得ます。25「「忠実であって,……これら二つの神権を得て,自分の召しを尊んで大いなるものとする者は,御霊により聖きよめられてその体が更新される。」26また,それだけではありません。ふさわしい状態で神権を受ける男性は主イエス・キリストを受け入れ,主を受け入れる者は父なる神も受け入れるのです。27そして御父を受け入れる者は御父が持っておられるすべてを受けます。28この誓詞と聖約によって,世界中のふさわしい男性,女性,そして子供たちにすばらしい祝福が注がれます。

わたしたちには,アブラハムの聖約が成就するのを助ける責任があります。わたしたちの子孫は,世界中のすべての人を祝福するように予任され,備えられています。29神権の義務に伝道が含まれているのはそのためです。4,000年にわたる期待と備えの時を経て,福音が地上の国民に届けられるように定められた日が来たのです。今は約束されたイスラエルの集合の時です。そしてわたしたちはそれに参加できるのです。胸が高鳴るではありませんか。主はこの偉大なイスラエルの集合の時代に,ふさわしい状態で宣教師として奉仕するわたしたちや息子たちを頼りにしておられ,娘たちに深く感謝しておられます。

モルモン書は,主がイスラエルの聖約の子孫を集め始められたことを示す,目に見える証拠です。30 わたしたちの時代のために書かれたこの本には,その目的の一つについてこのように書かれています。「あなたがたは,御父がイスラエルの子らと交わされた聖約……が,すでに果たされ始めていることを知るであろう。……見よ,主は,イスラエルの家に属する御自分の民に立てられた御自分の聖約を思い起こされるからである。」31

確かに主はお忘れになっていません。主はモルモン書によって,わたしたちや世界中の人を祝福しておられます。モルモン書の目的の一つは「ユダヤ人と異邦人に,イエスがキリストで〔あられる〕ことを確信させる」ことです。32モルモン書は神と聖約を交わす助けを与えてくれます。また,神を覚え,神の愛する御子を知るよう勧めてくれる,イエス・キリストのもう一つの証です。

聖約の子孫は主の教義を受けて救いの計画を知る権利を有します。神聖な重要性を持つ聖約を交わすことによって,その権利を求めるのです。ブリガム・ヤングは次のように語りました。「末日聖徒は皆,この教会に加わるときに新しくかつ永遠の聖約に入ります。……彼らは神の王国を支持〔する〕という新しくかつ永遠の聖約を交わします。」33彼らは主の戒めに従順であることによって,聖約を守ります

バプテスマのとき,わたしたちは主に仕え,主の戒めを守ると聖約します。34聖せい餐さんを受けるとき,バプテスマの聖約を新たにし,イエス・キリストの御み名なを喜んで受けることを表明します。このようにしてわたしたちはキリストの息子娘として養子縁組されており,兄弟姉妹であることを知っています。主はわたしたちの新しい命の父であられます。35究極的に,神殿において,かつてアブラハム,イサク,ヤコブに約束されたように,永遠の家族という祝福を受ける共同の相続人となります。36このように,日の栄えの結婚は昇栄の聖約です。

自分が聖約の子孫であることを悟るとき,自分が何者であり,神から何を期待されているかを知ります。37神の律法が心に刻まれます。38主は神であられ,わたしたちは主の民なのです。39献身的な聖約の子孫は,試練の最中にあっても忠実であり続けます。その教義がわたしたちの心深くに植え付けられるとき,死のとげさえも耐えやすくなり,霊的な体力が増強されます。

この世の人生で勝ち得る最も大いなる賛辞は,聖約を守る者として知られることです。聖約を守る者は,この世でも後の世でもその報いを受けます。聖文はこのように宣言しています。「神の戒めを守る者の祝福された幸福な状態についても考えてほしい。見よ,これらの者は……,すべてのことについて祝福を受ける。もし最後まで忠実であり続けるならば,彼らは天に迎えられ,決して終わりのない幸福な状態で神とともに住めるのである。」40

神は生きておられます。イエスはキリストであられます。主の教会はすべての人を祝福するために回復されました。トーマス・S・モンソン大管長は現代の神の預言者です。そしてわたしたちは,忠実な聖約の子孫として,今もとこしえにも祝福されるでしょう。イエス・キリストの御名によって証します,アーメン。