2010–2019
最後まで耐え忍ぶ者は救われる
2018年4月


10:35

最後まで堪え忍ぶ者は救われる

自分が信じてきたことや知っていることに忠実になりましょう。

愛する兄弟姉妹の皆さん,この機会にわたしの思いを伝えられることにとても感謝しています。

何年か前,妻とわたしはソルトレーク・シティーの教会歴史博物館で行われた子供向けの体験型展示会の開催式に出席しました。式の最後に,トーマス・S・モンソン大管長がわたしたちに歩み寄って握手をし,「堪え忍ぶならば勝利を得ることができます」と言いました。それは深遠な教えであり,それが真実だということは,もちろん,わたしたち皆が認めることでしょう。

イエス・キリストは「最後まで耐え忍ぶ者は救われる」と約束されました。

堪え忍ぶとは「誘惑や反対や逆境に負けることなく,神の戒めに忠実であろうという決意を固く守り続ける」という意味です。

力強い霊的な経験をし,忠実に奉仕をしていた人でさえ,最後まで堪え忍ばなければ道を外れ,活発でなくなってしまいます。「自分はそうならない」という言葉を,わたしたちが常に自分の思いと心に強く刻んでおけるよう願っています。

イエス・キリストがカペナウムで教えておられたとき,「多くの弟子たちは去っていって,もはやイエスと行動を共に」しませんでした。

「そこでイエスは十二弟子に言われ〔ました。〕『あなたがたも去ろうとするのか。』」

イエス・キリストは今日,御自分と神聖な聖約を交わしたわたしたち全員に「あなたがたも去ろうとするのか」と問いかけておられると,わたしは思います。

永遠がもたらすものについて思いを深く巡らせながら,わたしたちが皆シモン・ペテロのように答えられることを願います。「主よ,わたしたちは,だれのところに行きましょう。永遠の命の言をもっているのはあなたです。」

自分が信じてきたことや知っていることに忠実になりましょう。正しいと分かっていることに従って生きてこなかったとしたら,変わりましょう。罪に固執し,悔い改めない罪人は,汚れの中へ深く沈み込んでいき,その結果,サタンが彼らを自分のものと主張するようになり,悔い改め,赦され,あらゆる永遠の祝福を受ける機会を大きな危険にさらすことになります。

わたしはこれまで,教会に活発に集わなくなり,この地上での旅の目的に対する正しいビジョンを失った人の言い訳をたくさん聞きました。彼らに,よく考え,戻って来るよう勧めます。主イエス・キリストの御前ではだれも言い訳ができないからです。

わたしたちはバプテスマを受けるときに聖約を交わしました。人とではなく救い主とです。わたしたちは「最後までイエス・キリストに仕える決心をして……イエス・キリストの名を受けること」に同意したのです。

聖餐会への出席は,わたしたちの主に仕える決意や霊的な屈強さ,イエス・キリストを信じる信仰の成長の度合いを計る重要な方法の一つです。

聖餐を取ることは,安息日に行う最も大切なことです。主は御自分の死の直前に,使徒たちにこの儀式について説明されました。そしてアメリカ大陸でもそうされました。わたしたちがこの儀式に参加するならば,それはわたしたちがいつも主を覚えていることを御父に証するものとなり,それに応じて,主は御自分の御霊がわたしたちとともにあることを約束してくださいます。

息子アルマの,自分の息子シブロンへの教えの中には,わたしたちが聖約に忠実であり続ける助けとなる賢明な勧告と警告が含まれています。

「高慢にならないようにしなさい。自分の知恵や優れた力を誇らないようにしなさい。

大胆でありなさい。しかし,尊大であってはならない。また,激情をすべて制し,愛で満たされるようにしなさい。怠惰にならないようにしなさい。」

何年か前に旅行に出かけていたとき,カヤックに初挑戦してみたいと思いました。カヤックを借り,大いに意気込んで海に向け出発しました。

数分後,カヤックが波でひっくり返りました。必死に片手でパドルを,そしてもう片方の手でカヤックをつかみ,元の状態に戻ることができました。

再びカヤックを漕ごうとしましたが,たった数分後に,またカヤックがひっくり返りました。わたしは意地になって何度も立ち直ろうとしましたが無駄でした。すると,カヤックの経験者が,外板にひびが入ってカヤックの中が水でいっぱいになっているはずだと教えてくれました。そのせいで不安定になってコントロールできなくなっていたのです。わたしはカヤックを引きずって岸にあげ,栓を抜くと,案の定,水が大量に出てきました。

時々わたしたちは,カヤックの水漏れのように,霊的な進歩を妨げる罪を抱えながら人生を歩むときがあるのではないかと思います。

罪が人生にもたらす不均衡のせいでひっくり返り,そこから立ち直り続けたとしても,罪に固執するならば,わたしたちは主と交わした聖約を忘れてしまいます。

カヤックのひびのように,人生におけるひびにも対処が必要です。ある罪はほかの罪より悔い改めに多くの努力を必要とします。

そこでわたしたちはこう自問すべきです。「主と主の御業に対するわたしたちの態度はどうであろうか。わたしたちはイエス・キリストを否定したペテロと同じ状態にいるだろうか。あるいは,救い主から『大宣教命令』を与えられたときのペテロの態度と決意の域にまで達しているだろうか。」

わたしたちはすべての戒めに従うよう努力し,守るのが最も難しい戒めに細心の注意を払うべきです。主はわたしたちのそばにいて,必要なときや弱っているときに助けてくださり,わたしちたちが心からの望みを示して,それに応じて行動するとき,主は「弱さを強さに変えて」くださいます。

従順さは罪に打ち勝つ強さを与えてくれます。また,信仰の試しを受けるときには,往々にして結果が分からない状態で従うことが求められることを理解しなければなりません。

最後まで堪え忍ぶための秘訣を提案したいと思います。

  1. 毎日,祈り,聖文を読む。

  2. 毎週,打ち砕かれた心と悔いる霊をもって聖餐を取る。

  3. 什分の一と毎月の断食献金を納める。

  4. 2年ごとに,青少年の場合は毎年,神殿推薦状を更新する。

  5. 生涯を通じて,主の業において奉仕する。

福音の偉大な真理がわたしたちの思いに安定をもたらし,人生という海を安全に旅する妨げとなるようなひびがない状態をわたしたちが保てるよう願っています。

主の方法で成功するには代価が必要であり,それを得る唯一の方法はその代価を払うことです。

救い主が最後まで堪え忍び,偉大な贖いの犠牲を全うしてくださったことに心から感謝しています。

主はわたしたちの罪や苦痛,落胆,苦悩,病気,恐怖のために苦しまれました。だからこそ,わたしたちを助ける方法や鼓舞する方法,慰める方法,強める方法を御存じです。それは,わたしたちが堪え忍び,打ち負かされなかった者のために取っておかれている冠を得られるようにするためです。

人にはそれぞれ違った人生があります。だれにでも試練の時や幸せな時,決断の時,障害を乗り越える時,チャンスを生かす時があります。

どのような状況にいたとしても,天の御父がいつもこのように言っておられることを証します。「わたしはあなたを愛し,支持し,あなたとともにいます。諦めないでください。悔い改め,わたしが示した道を堪え忍んで歩んでください。そうするならば,天の家でまた会うことができると約束します。」イエス・キリストの御名により,アーメン。