2010–2019
大切な第二の戒め
2019年10月総大会


18:27

大切な第二の戒め

わたしたちの最大の喜びは,わたしたちの兄弟姉妹を助けるときにもたらされます。

愛する兄弟姉妹,幕の両側でイスラエルの集合を助け,家族を強め,助けが必要な人々の生活を祝福するために働いてくださる皆さんに感謝します。イエス・キリストに真に従う者として生活してくださることに感謝します。皆さんは,神を愛し,隣り人を愛するという主の大切な二つの戒めを知り,喜んで守っています。

この半年間に,ネルソン姉妹とわたしは,中米,南米,太平洋諸島,アメリカ合衆国の様々な都市を訪れて,何千人もの聖徒たちと会いました。各地を訪れるとき,わたしたちの願いは皆さんの信仰を築くことです。ところが,出会った会員や友人により,いつもわたしたちの信仰が強められて帰ってきました。最近の経験から3つの有意義な例を紹介しましょう。

ニュージーランドにおけるネルソン大管長
ニュージーランドにおけるネルソン大管長

5月に,ネルソン姉妹とわたしは,ゲレット・W・ゴング長老とスーザン・ゴング姉妹とともに,南太平洋を訪問しました。ニュージーランドのオークランドで,クライストチャーチ市にある二つのモスクを代表するイスラム教の指導者とお会いでき光栄に思いました。そこではわずか2か月前に恐ろしい襲撃事件が起きて,礼拝に来ていた罪のない人たちが射殺されました。

わたしたちは信仰の異なるこれらの兄弟たちに哀悼の意を伝え,信教の自由に対する互いの決意を再確認しました。

また,モスクを再建するためのボランティアと,ささやかな財政的支援を申し出ました。イスラム教指導者との会合は,兄弟愛の優しい言葉であふれていました。

アルゼンチンでの車椅子の受領者
アルゼンチンでの車椅子の受領者

8月には,ネルソン姉妹とわたしは,クエンティン・L・クック長老とメアリー・クック姉妹とともに,アルゼンチンのブエノスアイレスを訪れ,末日聖徒チャリティーズを通して寄贈された車椅子により生活が変わった人たちとお会いしました。その多くは教会員ではありませんでした。彼らが新たな移動手段に対して喜びにあふれた感謝を表してくださったとき,わたしたちは霊的に鼓舞されました。

3つ目の貴重なひとときは,つい2,3週間前のソルトレーク・シティーでのことです。わたしは誕生日に14歳の若い女性からユニークな手紙を受け取りました。ここではメアリーと呼びます。

メアリーは,わたしと彼女に共通する事柄について書いてくれました。「ネルソン大管長には子供が10人。わたしの家にも子供が10人。大管長は中国語を話し,わたしの家では,わたしを含め7人の子供が中国からの養子で,第一言語は中国語です。大管長は心臓外科医で,わたしの姉妹は,2度心臓〔手術〕を受けました。大管長は2時間の教会が好きで,わたしたちも2時間の教会が好きです。大管長には絶対音感があり,わたしの兄弟にも絶対音感があります。彼は目が見えません。わたしと同じです。」

わたしはメアリーの言葉に心を打たれました。そこには,彼女の霊の偉大さだけでなく,両親の献身が表れていました。

末日聖徒は,イエス・キリストに従うほかの人々と協力して,人を助け,高め,愛する方法をいつも探し求めています。主の民と呼ばれたいと心から願っており「互いに重荷を負い合うことを望み……悲しむ者とともに悲しみ,慰めの要る者を慰めることを……望んでいる」のです。

いちばん大切な第1と第2の戒めに従って生活することを心から求めています。わたしたちが心を尽くしてを愛すると,神はわたしたちの心をほかの人の幸せに向けてくださいます。それは美しく高潔なサイクルの中で起こります。

末日聖徒が全世界で毎日欠かさずに行う奉仕が合わせてどれほどになるか量ることは不可能でしょうが,教会が組織として,支援を必要とする男女や少年少女を祝福するために行った善行を量ることは可能です

教会の人道支援活動は,1984年に始まりました。その後,アフリカ東部の壊滅的な干ばつに苦しむ人々を助けるために,教会全体で断食して基金を集めました。教会員の献金額は,その1日の断食で640万ドルになりました。

当時の写真:エチオピアでのバラード長老

それから,M・ラッセル・バラード長老とグレン・L・ペース兄弟がエチオピアに派遣され,この神聖な基金を最も有効に使う方法について調査しました。この働きが,後に末日聖徒チャリティーズとして知られる組織の始まりとなりました。

それ以来,末日聖徒チャリティーズは,世界中の困っている人々を助けるために,20億ドル以上の支援を行ってきました。この援助は,所属している宗教や国籍,人種,性的指向,性別,政治的理念にかかわらず,受益者に提供されます。

それだけではありません。苦しんでいる主の教会の会員を援助するために,わたしたちは古代の断食の律法を大切にし,守っています。飢えた人を助けるために,自ら飢えるのです。1か月のうち1日食事を抜いて,困っている人を助けるために,その食事にかかる費用(またはそれ以上)を献金します。

わたしは1986年に初めてアフリカ西部を訪れたときのことを決して忘れません。集会には大勢の聖徒が集まりました。形ある財産は多くはないにもかかわらず,ほとんどの聖徒は染みのない白い服を着て来たのです。

わたしはステーク会長に,それほどわずかなもので暮らす会員たちをどのように世話するのか尋ねました。彼は,「ビショップが自分の民をよく知っていますから」と答えました。もし会員が1日2回食事をする余裕があれば,助けは必要ありません。しかし,家族の助けがあっても,1日に1食以下しか賄えなければ,ビショップは断食献金から食糧や財政援助を提供します。それから,会長はこの驚くべき事実を付け加えました。彼らの断食献金の額はたいてい食費を超えていたのです。余剰の断食献金は,その後,自分たちより困っているほかのどこかの人々に送られました。これら忠誠心の篤いアフリカの聖徒たちは,断食の律法精神のもたらす力について,偉大な教訓を教えてくれました。

わたしたちは教会員として,形はどうあれ苦しんでいる人々のことを他人事とは思えません。神の息子娘であるわたしたちは皆,兄弟姉妹です。わたしたちは,旧約聖書の次の訓戒に従います。「あなたは必ず……あなたの兄弟の乏しい者と,貧しい者とに,手を開かなければならない。」

また,マタイ25章に記録された主イエス・キリストの教えに従って生活するように努めています。

「あなたがたは,わたしが空腹のときに食べさせ,かわいていたときに飲ませ,旅人であったときに宿を貸し,

裸であったときに着せ,病気のときに見舞い,獄にいたときに尋ねてくれたからである。……

……わたしの兄弟であるこれらの最も小さい者のひとりにしたのは,すなわち,わたしにしたのである。」

教会が救い主のこれらの教えに従う方法の例を少し紹介しましょう。

ビショップの倉

人々を飢えから救うために,教会は世界中で124のビショップの倉を運営しています。それを通して,毎年約40万件の食糧支援が困っている人に届いています。倉のない場所では,ビショップと支部会長が,教会の断食基金を引き出して,困っている会員に食糧や必需品を供給します。

しかし,飢えの問題は,教会の境をはるかに越え,世界中で増加しています。国連の最近の報告によれば,栄養不良の人の数は世界で今や8億2千万を越え,世界人口のほぼ9人に1人に当たります。

何と深刻な統計結果でしょう!皆さんの貢献に,わたしたちはどれほど感謝していることでしょうか。皆さんの心のこもった寛大な行為のおかげで,世界中で何百万もの人々が,切望していた食料や衣服,仮設住宅,車椅子,医薬品,きれいな水など,様々なものを受け取っています。

世界中で多くの病気が,不衛生な水によって発生しています。これまでに,教会の人道支援の取り組みにより,76か国の数百の地域にきれいな水が提供されました。

コンゴ民主共和国のリュピュタでのプロジェクトは,すばらしい例です。人口10万人を超えるその町には,水道がありませんでした。住民は,安全な水源まで長い距離を歩かなければなりませんでした。18マイル(29キロ)離れた山で湧き水が見つかりましたが,町の住民は定期的に行くことはできませんでした。

水道のために溝を掘る

教会の人道支援宣教師はこの問題について知ったとき,リュピュタの指導者と協力して,資材を提供し,町に水道管を引けるよう人々を養成しました。リュピュタの住民は3年かけて,岩山とジャングルに1メートルの深さの溝を掘りました。力を合わせて働いた末に喜びの日を迎え,村民全員が清潔な水を利用できるようになりました。

水の運搬

教会はまた,内乱や自然災害,あるいは宗教的な迫害による難民を助けています。現在,7,000万人以上の人が家を追われています。

難民へのミニスタリング

2018年だけでも,教会は56か国で難民に緊急物資を提供しました。さらに,多くの教会員がボランティアとして時間を割き,難民が新しいコミュニティに溶け込めるように助けています。新しい家庭を築こうとしている人々を助けるために手を差し伸べてくださる皆さんに感謝します。

衣類の配給

合衆国内のデゼレト産業への惜しみない寄付により,毎年数百キロの衣類が集められ分類されています。この膨大な在庫品は,地元のビショップが困っている会員を助けるために使う一方で,大部分は他の慈善団体に寄付して世界中に配られます。

そして昨年だけで,教会は35か国で30万人以上に眼科医療を提供し,39か国で数千組の母子に新生児ケアを施し,数十か国の5万人以上に車椅子を贈りました。

悲劇が起きたとき,教会は緊急対応する組織としてよく知られています。ハリケーンが襲来するでさえ,影響を受ける地域の教会指導者とスタッフは,救援物資の配給方法や,被災する人々を助けるボランティア活動を綿密に計画しています。

「ヘルピング・ハンズ」による奉仕

昨年だけでも,教会は世界中で100以上の災害救助プロジェクトを実施し,ハリケーンや火災,洪水,地震,そのほかの災害の被災者を支援しました。可能なときはいつでも,黄色の「ヘルピング・ハンズ」のベストを着用した教会員が,被災者を助けるために大勢集まっています。多くの皆さんによって行われるこのような奉仕は,ミニスタリングの真髄です。

愛する兄弟姉妹の皆さん,わたしが紹介した活動は,末日聖徒イエス・キリスト教会の増大する福祉活動と人道支援活動のほんの一部にすぎません。そして,皆さんがすべてを可能にしているのです。皆さんの模範的な生活や寛大な心,支援のゆえに,多くの地域社会や政府の指導者が皆さんを称賛していても,何の不思議もありません。

わたしは教会の大管長になって以来,多くの大統領や首相,大使から,彼らの国民に対する教会の人道支援について心からの感謝を度々述べられることに驚いてきました。そして彼らは,わたしたちの信仰深い会員が誠実で献身的な市民として国に力をもたらしたことに感謝を表しました。

さらに驚いたことに,世界各地の指導者が大管長会を訪れて,自国に教会を設立してほしいという彼らの望みを表明したのです。なぜでしょうか。末日聖徒が強固な家族と地域社会を築くのを助け,どこに住んでいようと,ほかの人々の生活を改善することを,彼らは知っているからです。

住まいと呼ぶ場所がどこであろうと,教会の会員は,神が御父であられ,人類が兄弟姉妹であると心に銘記しています。ですから,わたしたちの最大の喜びは,このすばらしい世界のどこに住んでいようと,わたしたちの兄弟姉妹を助けるときにもたらされます。

ほかの人に手を差し伸べ,自分のことを気にかける以上に人の世話をするためにひたむきに努力することが,わたしたちの喜びです。そして,付け加えるなら,特にそれは自分にとって都合の悪いときや,居心地の良い状態から出る必要があるときなのです。大切な第2の戒めに従うことは,イエス・キリストのまことの弟子になるためのです。

愛する兄弟姉妹の皆さん,皆さんはイエス・キリストの教えに従うときに実る果実の,生きた模範です。ありがとうございます!皆さんを愛しています!

わたしは神が生きておられることを知っています。イエスはキリストであられます。主の教会が,その神聖な目的を成就するために,この末日に回復されました。イエス・キリストの御名により証します,アーメン。