総大会
教会の必要性
2021年10月総大会


15:54

教会の必要性

主イエス・キリストによって導かれ,主の権能を有する教会の起源と必要性について,聖典は明確に教えています。

何年も前に,十二使徒定員会会員のマーク・E・ピーターセン長老は,次のような例を挙げて話を始めました。

「ケネスと妻のルシールは,ともに善良で正直で徳高い人である。二人は教会に行かず,教会なしでも十分立派な人間になれると考えている。彼らは子供たちに正直と徳とを教え,教会が自分たちに教えてくれるのはせいぜいそれぐらいだと考えている。

ともかく,彼らは家族で楽しく過ごすために週末の時間が必要だ〔し〕……教会に出かけることはまったく彼らの生活に水を差すことになる〔と主張する〕のである。」1

今日のわたしのメッセージは,この事例のように,教会への出席や参加をやめてしまった,善良で,宗教心を持つ人々に関するものです。2わたしが言う「教会」には,シナゴーグやモスク,あるいはそのほかの宗教団体が含まれます。わたしたちは,これらすべての宗教団体の出席数が,全国的に大きく減少していることを憂慮しています。3理由はどうあれ,教会を尊重しなくなると,個人の霊的生活が脅かされて,自分自身を神から遠ざけた多くの人々が,国々への神の祝福を減少させることになります。

教会への出席と活動は,わたしたちがより良い人となり,人々の生活により良い影響をもたらす助けになります。わたしたちは教会で,宗教的な原則を応用する方法を教わります。また,互いに学び合います。説得力のある模範は,説教よりも力があります。考えや信条を同じくする人々と交わることによって,わたしたちは強められます。教会への出席や参加によって,聖書にあるように,わたしたちの心は「愛によって結び合わされ」4るのです。

I.

聖書と現代の啓示の中で,神がキリスト教徒に与えられた言葉は,教会の必要性を明確に教えています。どちらも,イエス・キリストが教会を組織し,主御自身が去った後,教会が主の業を継続して行うことを期待しておられたことを示しています。主は十二使徒を召して,主の業を指揮する権能と鍵を与えられました。聖書が教えているように,キリストは「教会のかしら」5であられ,「聖徒たちをととのえて奉仕のわざをさせ,キリストのからだを建てさせ」6るために様々な役職が教会に与えられました。聖書は確かに,教会の起こりと教会が今必要であることを明確にしています。

中には,教会の集会に出席しても助けにならないと言う人がいます。また,「今日は何も学ぶことがなかった」,「だれも親しくしてくれなかった」,あるいは「嫌な思いをした」と言う人もいます。個人的な落胆により,キリストの教義から決して離れてはなりません。主は,仕えられるより,仕える者となるように教えられました。7このことを心に留め,教会に出席するときにどこに目を向けるのかについて,ある会員が話したことを聞いてください。

「何年も前に,わたしは教会へ行くときの態度を改めました。自分のために行くのでなく,人のことを考えるようにしたのです。独りで座っている人にあいさつし,訪問者を歓迎し,……割り当てを進んで行うように努めました。……

つまり,毎週受け身ではなく,積極的に人々の生活に良い影響を与えることを目的に,教会へ出席するようになったのです。」8

教会で歓迎する

スペンサー・W・キンボール大管長はこう教えています。「わたしたちが安息日の集会に行くのは楽しむためではなく,単に教えを受けるためだけでもありません。主を礼拝しに行くのです。それは個人的な責任であり,……もし礼拝行事が皆さんにとって満足のいかないものであるならば,ほかならぬ皆さんに,欠けているところがあるのです。だれも皆さんに代わって礼拝することはできません。自分自身で主を待ち望まなければならないのです。」9

教会に出席することによって,わたしたちの心が開かれ,魂が聖められます。

ワード評議会集会

教会でわたしたちは,ただ独りで,あるいは自分の好みや都合で,奉仕するのではありません。通常はチームで奉仕します。奉仕をするときに,わたしたちは天から与えられた機会を見いだし,現代の個人主義を乗り越えるのです。教会が指導する奉仕は,霊的な成長を遅らせる利己心を克服する助けになります。

そのほかの大切な利点について,手短に述べましょう。教会では,神に仕えるために努力しているすばらしい人々と交わります。これは,宗教活動において自分が独りではないことに気づかせてくれます。わたしたちは皆,人との交流が必要であり,教会での交流は,自分や伴侶や子供たちが経験できる最もすばらしいものに数えられます。このような交流がないと,特に忠実な親と子供の関係において,自分たちの信仰の中で子供を育てることが難しいことが,調査から明らかになっています。10

Ⅱ.

ここまで,教会全般について話してきました。ここからは,救い主の回復された末日聖徒イエス・キリスト教会の会員資格や出席,参加について,特別な理由を述べたいと思います。

ソルトレーク神殿

わたしたちはもちろん,主イエス・キリストによって導かれ,主の権能を有する教会の起源と必要性について,古代と現代の聖典が明確に教えていることを支持しています。さらに,回復されたイエス・キリストの教会が設立されて,主の完全な教義を教え,主の神権の権能に伴う職務を果たすことにより,神の王国に入るために必要な儀式が行われていることを証します。11教会への出席を諦め,個人の霊性だけに頼る会員は,福音の基本から自分自身を引き離しています。その基本とは,神権の力と祝福,回復された完全な教義,そして教義を実践する意欲と機会です。彼らは,自分の家族を永遠に存続させる資格を得るための機会を失うのです。

回復された教会のもう一つの大きな利点は,わたしたちの霊的な成長を助けるということです。成長には変化が伴います。霊的な意味では,悔い改めることと,主にさらに近づこうと努力することです。回復された教会には,悔い改めを助ける教義と手続きがあり,霊感された助け手がいます。その目的は,教会会員資格評議会においてもそうですが,刑事裁判所の判決のように罰することではありません。会員資格評議会は,イエス・キリストの贖罪を通じて可能となる赦しという憐れみにあずかれるように,愛をもってわたしたちを助けます。

神殿に向かって
歩いていく夫婦宣教師

個人の霊性だけでは,回復された教会が提供する無私の奉仕に必要な動機や仕組みは,ほとんどもたらされることはありません。 この奉仕のすばらしい実例は,学業や退職後の活動を脇に置いて宣教師の召しを受け入れた若い男女やシニアの皆さんです。彼らは,自分が選んだのではない不慣れな土地で,見知らぬ人に伝道します。「神殿活動」と呼ばれる無私の奉仕に参加する忠実な会員たちにも,同じことが言えます。そのような奉仕はどれも,教会が支援し,組織し,指導しなければ,実現できないことでしょう。

会員の信仰と教会の奉仕は,より大きな地域社会に役立つように協力し合う方法を教えています。このような経験や進展は,現代社会の行いに広く行き渡っている個人主義の中では起こらないことです。地元ワードの地域内の団体で,わたしたちはほかの方法ではかかわることがないような人や,わたしたちを教え試そうとする人と交わり,ともに働きます。

これは愛や思いやり,赦し,忍耐のような霊的な特質について学ぶ助けになるだけでなく,背景や好みがとても異なる人々と働く方法を学ぶ機会を与えてくれます。この活動の利点は,教会の多くの会員と組織が彼らの参加により祝福されることです。末日聖徒は,協力して行う取り組みを指導し,まとめる能力に優れていると評価されています。その伝統は勇敢な開拓者たちに始まり,彼らは西部の山間地帯に入植し,全体の利益のために無私の取り組みをするという貴重な習慣を築きました。

ヘルピングハンズ・プロジェクト

ほとんどの人道支援と慈善的な取り組みを達成するには,個人のリソースを大きな規模で集約して管理する必要があります。回復された教会はこの方法で,膨大な人道支援を世界中で行っています。これには,学用品や医療用品の供給,飢えている人への食糧援助,難民の世話,依存症克服の支援,そのほか多くの活動が含まれます。教会の会員は,自然災害における「ヘルピングハンズ」プロジェクトでよく知られています。教会の会員であることによって,そのような大規模な取り組みに参加することができます。さらに会員は断食献金を納めて,自分たちの中の貧しい人々を助けています。

聖餐にあずかる

教会に出席する会員は,御霊がともにいてくださることを通して平安と喜びを感じるだけでなく,知恵の言葉の祝福や,什分の一の律法に従う人に約束されている物質的かつ霊的な祝福を受けるなど,福音生活の実を享受しています。さらに,霊感された指導者から勧告を受けるという祝福もあります。

このすべての祝福の最後を飾るのは,永遠のために必要な権限のある神権の儀式です。それには毎週安息日に受ける聖餐が含まれます。回復された教会における究極の儀式は,結婚の永遠の聖約です。これにより,栄光ある家族関係が永遠に続くことが可能になります。ラッセル・M・ネルソン大管長はこの原則を記憶に残る方法で教えました。こう述べています。「望むだけでは,神のみもとに戻れません。その祝福が基づく律法に従う必要があります。」12

それらの律法の一つは,毎週安息日に教会で礼拝することです。13礼拝と永遠の原則を実践することにより,わたしたちは神に近づき,愛する能力を大いなるものとするのです。この神権時代の最初の使徒の一人であるパーリー・P・プラットは,預言者ジョセフ・スミスがこれらの原則について説明したときに感じたことをこう述べています。「神が確かにわたしの御父であられ,イエスがわたしの兄であられると感じています。また,愛する妻が永遠に変わらぬ伴侶であり,わたしを慰めてくれる思いやり深い天の使いであり,永遠の栄えある冠であると感じるようになりました。要するに,わたしは今,御霊と理解をもって愛せるようになったのです。」14

最後に申し上げますが,わたしたちは,教会だけが善を達成できるとは信じていません。わたしたちは,教会とは関係のない何百万もの人々が数え切れないほどの慈善事業を支援し遂行するのを見ています。末日聖徒は個人的に,それらの多くにかかわっています。これらの行為は,「御霊は世に来るすべての人に光を与え〔る〕」15という永遠の真理の現れであることが分かります。

善い行いは教会がなくても達成できますが,完全な教義とその救いと昇栄の儀式は,回復された教会の中でしか得ることができません。さらに,教会に出席してほかの信者と交わり,聖約の道にとどまろうと努力している人々と一緒に礼拝することによって,信仰が強化されるのです。神のあらゆる賜物の中で最も大いなる永遠の命を求めるすべての人が,これらの教会の経験に固く結びつくことができますように,イエス・キリストの御名により祈ります,アーメン。

  1. マーク・E・ピーターセン「永遠の絆『聖徒の道』1975年6月号参照

  2. D・トッド・クリストファーソン「なぜ教会が『リアホナ』2015年11月号,108-111参照

  3. See Jeffrey M. Jones, “U.S. Church Membership Falls below Majority for First Time,” Gallup, Mar. 29, 2021, news.gallup.com/poll/341963/church-membership-falls-below-majority-first-time.aspx.

  4. コロサイ2:2

  5. エペソ5:23-24参照

  6. エペソ4:12

  7. ヤコブの手紙1:27参照

  8. マーク・スコーセンからダリン・H・オークスへの手紙,2009年2月15日付

  9. 歴代大管長の教え―スペンサー・W・キンボール』173-174

  10. See Elizabeth Weiss Ozotak, “Social and Cognitive Influences on the Development of Religious Beliefs and Commitment in Adolescence,” Journal for the Scientific Study of Religion, vol. 28, no. 4 (Dec. 1989), 448–63.

  11. ヨハネ3:5参照

  12. ラッセル・M・ネルソン「今こそ用意をする時期である『リアホナ』2005年5月号,17

  13. 教義と聖約59:9参照

  14. Autobiography of Parley P. Pratt, ed. Parley P. Pratt Jr. (1938), 298.

  15. 教義と聖約84:46;強調追加。 教義と聖約 58:27-28も参照