2021
あるセミナリー校長への賛辞
2021年3月号


末日聖徒の声

あるセミナリー校長への賛辞

わたしたちはしばしば気づかないうちにほかの人の人生を祝福しているものです。

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young woman shaking a man’s hand

写真/Getty Images,被写体はモデル

夫のジェリーは,数年間体調不良が続いていたときに,同じ集会所を使っていた複数のワードを代表するセミナリー校長になりました。毎朝早起きをして集会所に行くことが夫にとってどれほどつらいことだったか,だれも知る人はいなかったでしょう。特に暗くて寒い冬の間は大変でした。それからしばらくして,夫は他界しました。

ジェリーが亡くなった数年後,驚いたことに,何年も前に引っ越していった,ある若い女性から胸を打つ手紙が届きました。その手紙は,彼女の結婚を知らせるカードの中に挟まれていました。手紙にはこうありました。

「わたしはバージェビン兄弟のことをとても尊敬していましたので,亡くなったとお聞きして大変悲しんでおります。バージェビン兄弟ほどすばらしいセミナリー校長はいませんでした。毎朝,ドアの前で待っていて,皆におはようと声をかけながらドアを開けてくれました。クラスが終わると,またドアを開けて,『学校で楽しく過ごすんだよ!』と言ってくれるのです。

わたしは毎回欠かさず御礼を言い,折に触れて,わたしたちの校長でいてくださることにどれほど感謝しているかを伝えていました。バージェビン兄弟がそこにいてくださると,安心できたのです。

バージェビン兄弟はいつもとても謙遜で,その優しさはだれもが認めていました。わたしは以前よりも熱心に出席するようになったと思います。なぜなら,寒い中でバージェビン兄弟を待たせたまま,あの子は今向かっているところだろうか,それとも遅れて来るのだろうかなどと,気をもませたくなかったからです。バージェビン兄弟はほんとうにすばらしい方でしたし,いつまでも人々の記憶に残ることでしょう。」

これほどの年月がたった後で,自分のことを思い出してくれる人がいるなどと,ジェリーは思ってもみなかったに違いありません。それでも,この思いやりのある若い女性は今も主人のことを思い起こし,親切にもこのすてきな手紙を送ってくれたのです。わたしはこの手紙を受け取って,感謝で胸がいっぱいになりました。

賛美歌「わたしたちの人生に触れて益をもたらす一人一人の生涯には」(“Each Life That Touches Ours for Good”),(〔英文〕293番)は,こんな言葉から始まります。

わたしたちの人生に触れて益をもたらす一人一人の生涯には

主よ,あなたの大いなる憐れみが映し出されています

あなたは上から祝福を送ってくださいます

愛する人たちの言葉と行いを通して

わたしがジェリーの葬儀にこの賛美歌を選んだのは,わたしたちはしばしば気づかないうちにほかの人の人生を祝福しているものだと信じているからです。ジェリーはその寛大さと奉仕と愛によって多くの人の人生に祝福をもたらしていたと,わたしは思っています。

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