「主の導きとともに」『リアホナ』2022年7月号
末日聖徒の声
主の導きとともに
逆境のただ中で,わたしは自分が困難な事柄を行えることを知りました。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックの間,わたしはアメリカ合衆国海軍予備役の麻酔専門看護師として動員されました。そしてニューヨーク市のジェイコブ・K・ジャビッツ・コンベンションセンターの救急野戦病院に配属され,同市で新型コロナウイルス感染症の流行がピークを迎えている間,最前線で治療に携わりました。
任務が始まったとき,わたしの頭は多くの不安でいっぱいでした。特に心配だったのは,患者の世話や,人を衰弱させるこのウイルスとの戦いについてでした。
わたしはニーファイのような気持ちで,「前もって自分のなすべきことを知らないまま,御霊に導かれて行〔き〕」(1ニーファイ4:6)ました。そう思ったおかげで,わたしは天の御父を信頼することができました。そして,主の声を聞き,主の指示に従い,患者にできるかぎりのケアを提供できるよう,度々祈ることができました。
ケアに努めた最初の夜,一人の重篤な患者が収容されてきました。同僚とわたしは,その患者の状態を評価し始めました。するとすぐに,その男性がスペイン語しか話せないことが分かりました。その場にいた人の中で,スペイン語を話せるのはわたしだけでした。わたしはベネズエラでの伝道でスペイン語を学んでいたのです。
その患者に話しかけると,彼はすべてうまくいくだろうかと聞いてきました。あなたはできるかぎりのケアを受けられていると伝えて,わたしは彼を安心させました。彼の目に,幾分の信頼と安心が感じられました。その夜,わたしは何度も彼の病床を訪れ,状態を評価し,最新の情報を伝えました。病状は数日のうちに著しく改善し,彼は退院しました。
任務の間,わたしはおもにスペイン語でコミュニケーションを取る多くの患者に出会いました。会話ができるおかげで,わたしは彼らが回復する間,安らぎと安心を与えることができました。
患者に最善のケアを提供するために天の導きを求めたこの経験について振り返るとき,わたしは七十人のブルック・P・ヘイルズ長老の助言を思い出します。天の御父は「生活のささいなことにもかかわっておられ」,わたしたちは「聖霊の影響と霊感を通して,変わることなく流れ込む神の導きを受ける権利があります」1と,ヘイルズ長老は述べています。
わたしのスペイン語を話す能力は医療の知識と同じくらい価値があるのだと,わたしは強く感じるようになりました。また,人々の看護をする中で,逆境のただ中にあっても主の導きがあれば困難な事柄を行えるということが,はっきりと分かるようになりました。