インスティテュート
第9課:キリストのような特質を養う


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キリストのような特質を養う

はじめに

宣教師は他の人々を主のもとに来るよう招くときに,より救い主のようになるよう努力しなければなりません。救い主はわたしたちの完璧な模範であり,わたしたちに主のようにならなければならないと教えられました(3ニーファイ27:27参照)。主の贖罪は,わたしたちが主および天父のようになる助けとなります。イエス・キリストのようになるために重要なことは,イエスがどのように生活し,行動し,教えられたかを学ぶことです。わたしたち個人がキリストのような特質をより豊かに養うときに,伝道中だけでなく,わたしたちの人生全てにわたって神と人々に仕える備えがさらにできるようになります。

事前準備

教えるための提案

キリストのような特性の重要性

生徒たちに『わたしの福音を宣べ伝えなさい』123ページの宣教師の名札の写真を見てもらいます。次の質問をします。

  • 宣教師の名札で最も目を引く二つのものは何でしょうか。(宣教師の名前と救い主の名前。)

  • あなたの名前と救い主の名前を結びつけることは,あなたとその他の人にとってなぜ大切なのでしょうか。

数人の生徒に『わたしの福音を宣べ伝えなさい』115-116ページの5つの段落を声に出して読んでもらい,他の生徒たちには,イエス・キリストに従いなさいという招きをどう受け入れることができるかを見つけてもらいます。生徒たちが読み終えたら,次の質問をします。

  • わたしたちは,主に従いなさいという招きをどう受け入れることができるでしょうか。(生徒たちが次の原則を認識できるとよいでしょう。わたしたちはキリストのようになり,その特質を養うことで,イエス・キリストに従いなさいという招きを受け入れることができる。

  • キリストのような特質を養うことは,あなたがより強力で優れたイエス・キリストの福音の教導者になるために,どのような助けとなりますか。

『わたしの福音を宣べ伝えなさい』116ページの「聖文研究」の欄から各生徒に一つ聖句を選んでもらいます。生徒たちに選んだ聖句を読んでもらい,その聖句がイエス・キリストの模範に従うことについて何を教えているか見つけてもらいます。数人の生徒に学んだことを発表してもらいます。何人かの生徒に発表してもらってから,次の質問をします。

  • イエス・キリストを連想させる特質にはどのようなものがありますか。

救い主の特質の一部を表しているビデオ「キリストのような特質」(2分53秒)を見せます。救い主の神のような特質がどのようにその行動(特に人々との交流)に表れているかを見てもらいます。

ビデオを見せた後に次のような質問をします。答えを熟考する時間を十分に与えるようにします。

  • 救い主の神のような特質がどのようにその行動,特に人々との交流に表れているでしょうか。

  • イエスの行いは,人々にどのような影響を与えたでしょうか。

生徒が他の人のキリストのような行動によって影響を受けた経験について,隣に座っている生徒と分かち合ってもらいます。その後,次の質問について深く考えるよう時間を与えます。

  • ビデオの中で見たキリストの特質のうち,どれをさらに豊かに養いたいと思いますか。

キリストのような特質を養う

数人の生徒に,交代で教義と聖約4:1-7を声に出して読んでもらいます。

  • 教義と聖約4:5-6によると,キリストのような特質と,御業に召される資格にはどのような関係がありますか。(生徒はさまざまな答えを挙げると思われますが,答えには次の原則が含まれるとよいでしょう。キリストのような特質を持つ者には,主の業に携わる資格がある。

生徒たちに『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の126ページ,「特質を伸ばすための活動」を開いてもらいます。ページ上部にある指示を読んでから,答えを記入してもらいます。この活動はどのくらいの時間で終わらせるかを生徒に伝えるとよいでしょう。生徒たちにこのページのコピーを与えるとよいでしょう。生徒に自分の『わたしの福音を宣べ伝えなさい』のページに答えを書き込む場合は,鉛筆で答えを書くように勧めるとよいでしょう。この活動を生徒全員が終わらせることができるよう十分な時間を与えます。その後,生徒たちにこの自己評価をやってみて学んだこと,感じたことを分かち合ってもらいます。必要に応じて,次のような質問をするとよいでしょう。

  • この表のどの特性が印象に残りましたか。それはなぜですか。

  • この活動から何を学びましたか。

生徒たちの生活において,さらによく学び,さらに伸ばしたい特質を一つ選んでもらい,生徒がキリストのような特質の理解をさらに深めることができるよう助けます。生徒たちが選んだ特質を表している項を『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の116-122ページで見つけてもらいます。そしてその項を関連する聖句も含めて研究する時間を与えます。この活動ではどのくらいの時間を費やすかを生徒に伝えるとよいでしょう。生徒が読むときに考慮すべき次の質問をホワイトボードに書きます。

  • その特質について新たにどのような洞察を得ましたか。

  • その特質を伸ばすには,あなたの心,思い,行動にどのような変化が必要ですか。

  • この特質を伸ばすことは,あなたが優れた宣教師になるためにどう貢献するでしょうか。

生徒たちの間を回ってようすをうかがい,生徒から質問があれば答えます。十分に時間を与えてから,ホワイトボードに書いた質問の答えを発表してもらいます。

ディーター・F・ウークトドルフ管長の次の言葉を見せて,わたしたちがキリストのような特質を養うために何をしなければならないとウークトドルフ管長は教えているかを見つけてもらいます。

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〔ディーター・F・ウークトドルフ管長の画像〕

「聖文の中には,この世の生涯を通じて育んでいかなければならないキリストのような属性について数多く書かれています。……キリストのような属性は神から賜るものです。主の助けなしに伸ばしていくことはできません。わたしたち皆が必要とする助けの一つは,イエス・キリストの贖いを通じて,誰にでも自由に無料で与えられています。イエス・キリストとその贖いを信じる信仰を持つということは,完全に主に頼るということを意味しています。つまり,主の無限の力や英知,愛に全幅の信頼を置くということです。キリストのような属性は,選択の自由を義にかなって働かせるときに,わたしたちの生活に形となって現れます。……さらに救い主のような者になろうと努めるとき,自分の生活を定期的に評価し直し,まことの悔い改めの道に従って,イエス・キリストの功徳と贖いの祝福に頼る必要があるのです。」「キリストのような属性—翼の揚力となる風」『リアホナ』2005年11月号,102-103)

  • 「キリストのような属性は神から賜るもの」とは,あなたにとってどんな意味がありますか。(神の助けなしには,完全に養うことはできない賜物である。)

  • ウークトドルフ管長によると,これらの特質を伸ばすときに神の助けを受けるためには,わたしたちは何ができますか。(次の文章をホワイトボードに書いて,生徒たちの答えをまとめるとよいでしょう。わたしたちが悔い改め,イエス・キリストを信じる信仰を持ち,贖罪に頼るときに,キリストのような特性を伸ばすことができる。

  • なぜ悔い改めて,贖罪に信仰を持つことは,わたしたちがキリストのような特質を伸ばす助けとなるのでしょうか。(信仰と悔い改めを通じて,キリストのような特質を与えてくださるよう,わたしたちは主を招く。悔い改めるときには,さらにキリストのようになりたいという願望を示し,より多くの聖霊の力をわたしたちの生活に招く。)

十二使徒定員会のダリン・H・オークス長老の次の言葉を見せて,一人の生徒に声に出して読んでもらいます。

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〔ダリン・H・オークス長老の画像〕

「ニーファイ人を教えておられたときに,救い主は彼らがどのような者とならなければならないかについて述べておられます。主は,悔い改めて,バプテスマを受け,『終わりの日にわたしの前に染みのない状態で立てる』ために,聖霊を受けて聖められるよう彼らにチャレンジされました(3ニーファイ27:20)。そして主はこのような言葉で締めくくっておられます。『したがって,あなたがたはどのような人物であるべきか。まことに,あなたがたに言う。わたしのようでなければならない』(3ニーファイ27:27)。

イエス・キリストの福音は,神の子供としてなるべき者に,わたしたちがなるために備えられた計画です。この染みのない完全な状態は,絶えず聖約と儀式を更新し,それに基づいて行動すること,正しい選択を積み重ねていくこと,常に悔い改めることの結果としてもたらされるものです。『現世は人が神にお会いする用意をする時期である』(アルマ34:32)。」(「主の望まれる者となるというチャレンジ」『リアホナ』2001年1月号,41)

次の質問をします。

  • オークス長老によると,わたしたちがさらにイエス・キリストのようになるには何をしなければなりませんか。(わたしたちは神聖な聖約を交わし,それを守り,ふさわしい状態で儀式を受け,正しい選択をして,悔い改める必要がある。)

生徒にモロナイ7:47-48を開くように言います。これらの節は特に慈愛についての聖句ですが,キリストのような特質を得るための一般的な原則を教えていることを説明します。一人の生徒に聖句を読んでもらい,他の生徒たちには,神の御子のようになるために天父の助けを招くには何ができるかを見つけてもらいます(わたしたちを助けてくださるよう天父に助けを求めることと,キリストに「真に従う者」になることの大切さに集中した答えを考えてもらうようにします)。キリストのような特性は神から賜るものであるため,それを伸ばすには天父の助けを求めるべきであることを指摘します。

学んだことを応用する方法を生徒が考える助けとするために,宣教師候補者が学んだ特質を伸ばす努力をする際に取るべき行動にはどんなことが考えられるか生徒に尋ねてもよいでしょう。生徒たちに少し時間を与えて,ある事柄について正しい選びを続けるなど,その特質をさらに伸ばすのに助けとなる計画を書き出してもらいます。生徒たちにその計画を両親や信頼する友人などに見せるよう勧めます。またその計画に今すぐ従うように励まします。今行う努力は,後の伝道の経験に大きな影響をもたらします。

贖罪への信仰を働かせて,主のようになるために努力するならば,生徒たちを主が祝福してくださるという確信を彼らに与えて,この部分のレッスンを終わります。

伝道活動におけるキリストのような特質

アッシジの聖フランシスコが言ったとされる言葉を述べたディーター・F・ウークトドルフ管長の次の言葉をホワイトボードに書きます。一人の生徒に声明を声に出して読んでもらいます。

「全ての行いを通して福音を宣べ伝えなさい。必要であれば言葉を使いなさい。」(「ダマスコに行く途中でとどまる」『リアホナ』2011年5月号,77)

その後,次のような質問をします。

  • どのように言葉を使わずに福音を教えることができますか。

  • キリストのような特質を得ることは,言葉を使うとき,そうでないときの両方において,どのようにより効果的に福音を教えることの助けとなるのでしょうか。

  • 人々がキリストのような接し方で扱いを受けるとき,彼らの心はどうなりますか。(彼らの心は和らぎ,福音のメッセージを聞くことをさらに受け入れやすくなる。)

  • 宣教師が持つキリストのような特質は伝道で成功を収めるのに,なぜそれほど大切なのですか。(生徒の答えに次の真理が含まれているとよいでしょう。キリストのような特質は人々を救い主のもとに導くのに強力な影響をもたらすことができる。

ビデオ“Impressions of Missionaries”〔英語〕(4分32秒)を見せます。求道者が気づいた宣教師の特質と,その特質が求道者に与えた影響について生徒にメモを取ってもらいます。

ビデオの後,次の質問をします。

  • 求道者が気づいた宣教師の良い特質にはどんなものがありましたか。

  • これらの特質はなぜ求道者にそれほど良い印象を与えたのでしょうか。

  • 一部の求道者はあまり好ましくない特質を挙げています。このような特質は求道者にどのような影響を与えましたか。

  • 宣教師はどのようにこのような好ましくない印象を与えないようにすることができますか。

キリストのような特質と振る舞いが,いかに宣教師が教える人々が福音を受け入れる備えをする助けになるかをさらに説明するために,レーマン人の間で福音を宣べ伝えたアンモンの努力についての話を一人の生徒にまとめてもらいます。生徒を4つのグループに分け,グループごとに次の聖句を一つずつ割り当てます。割り当てられた聖句を黙読してもらい,アンモンが見せたキリストのような特質を見つけてもらいます。

アルマ17:22-25

アルマ17:28-31

アルマ17:33-37

アルマ18:1-3,8-10

生徒たちに聖句を読む時間を与えてから,次の事柄を話し合います。

  • あなたが読んだ聖句では,どのようなキリストの特質をアンモンに見ることができましたか。

  • アンモンが有する特質は彼が教えていた人々にどのような影響を与えたでしょうか。

  • 現代の宣教師がアンモンの模範に従うにはどのような方法がありますか。

キリストのような特質を体現しているような人を見たことがあるか考えてもらいます。次の質問をします。

  • その人のキリストのような特質はあなたにどのような影響を与えましたか。

同僚と一緒に働く

宣教師は常に同僚と一緒に働くということをもう一度生徒たちに思い出してもらいます。同僚と一緒に働くということで起こり得る問題を生徒たちに挙げてもらいます。生徒に次の質問をします。

  • なぜ宣教師は同僚と一組になって働くのだと思いますか。

教義と聖約42:62コリント13:1を読み上げて,宣教師が同僚と一組で働くのは,それが主が与えられた方法であるからだということを生徒たちに理解してもらいます。その後,次の質問をします。

  • 宣教師がその同僚に対して,キリストのような特質と行動を示すのはなぜ大切ですか。(教義と聖約38:24-25,27参照)

大管長会のジェームズ・E・ファウスト管長(1920-2007年)の次の言葉を見せて,一人の生徒に声に出して読んでもらいます。

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〔ジェームズ・E・ファウスト管長の画像〕

「同僚との間で争ってはなりません。皆さんの同僚宣教師の中には生涯最良の友となる人もいます。一緒にいたいと思うような同僚に皆さん自身がなってください。同僚に対しては利己心を捨ててください。それが誰の落ち度であろうと,主の御霊は争いのある所から退きます。人によって能力も才能も異なり,全く同じ人などどこを探してもいません。またそれぞれが弱点を持ち合わせています。同僚として一致すれば互いの弱さを相手の強さで補い合うチームワークができます。」(「伝道に出る前に息子に知ってほしいこと」『聖徒の道』1996年7月号,48)

  • 宣教師は同僚との間に争いがあると,何が起こるとファウスト管長は言いましたか。(3ニーファイ11:29も参照)

  • 今まで学んできた特質は,同僚との争いを避け,互いを補い合う一致した関係を築くのにどのように役立つでしょうか。(同僚の宣教師たちがキリストのような態度と行動を互いに示すときに,彼らは御霊の祝福を受けるという原則を生徒が理解できるように助けます。)

  • 福音を宣べ伝えることにおいて,同僚と一致した関係を築くことで,より優れた宣教師になることができるのはなぜでしょうか。

『宣教師の手引き』の(「ほかの人々との関係」の項にある)「同僚」という表題の部分(29-30ページ)の最初の5つの段落を読み上げてもよいでしょう。その後,次の質問をします。

  • これらの段落にある原則を家族や友人との関係を強めるのにどのように使ったことがありますか。

キリストについて,またキリストのようになることの大切さについて証を述べるよう生徒に勧めて授業を終わります。

行動するように勧める

キリストのような特質を伸ばすには,主の助けと多くの個人の努力が必要であることを生徒が理解できるよう助けます。救い主のようになるための努力の一環として,次に提案する活動から一つまたは複数を実行するよう生徒たちに勧めます。

  • 『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の6章から,キリストのような特質を一つ選び,『聖句ガイド』などを含む聖典を使ってその特質をさらに研究します。その特質を生活でより豊かに養うための計画を作成します。その計画を両親や信頼する友人に見せます。

  • 家族や友人(教会員,そうでない人の両方),教会指導者に対して,さらにキリストのような者となるために何ができるかを考えます。今考えている具体的なアイデアを書き出して,今週はそれを実践します。

  • 将来伝道の同僚となる人との争いを避けるために準備できることについて目標を立てます。

  • 家族や友人へ愛を示し,忍耐と慈愛を持って彼らに奉仕する方法を見つけます。

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