1 さて,アンモンと彼の同僚たちがレーマン人の国の境でそれぞれ別れたとき,見よ,アロンは,レーマン人がエルサレムと名付けた地を指して旅をした。そこは彼らの先祖の生まれた地にちなんで名付けられた所で,はるか遠くモルモンの地と境を接していた。
2 レーマン人とアマレカイ人とアミュロンの民は,そこに大きな町を築き,エルサレムと名付けた。
3 ところで,レーマン人はもともと相当にかたくなであったが,アマレカイ人とアミュロン人はことのほかかたくなであったので,彼らはレーマン人の心をさらにかたくなにさせ,悪事と忌まわしい行いにふけるようにさせた。
4 さて,アロンはエルサレムの町に着くと,最初にアマレカイ人に教えを説き始めた。アロンは彼らの会堂で教えを説き始めたが,それは彼らがニーホルの教団の会堂を幾つも建てていたからである。アマレカイ人とアミュロン人の多くがニーホルの教団に属していたのであった。
5 そこでアロンが,人々に教えを説くために,彼らの会堂の一つに入って彼らに語っていたときに,見よ,一人のアマレカイ人が立ち上がり,アロンと論じ始めた。「おまえが証したのは何のことだ。おまえは天使に会ったのか。なぜ天使は我々にも現れないのか。見よ,この民はおまえの民よりも善くないと言うのか。
6 おまえはまた,我々が悔い改めないかぎり滅びると言ったが,どうしておまえに我々の心の思いと志が分かるのか。我々に悔い改めなければならない理由があることがどうしておまえに分かるのか。我々が義にかなった民でないことがどうしておまえに分かるのか。見よ,我々は聖堂を建てたし,神を礼拝するために集まっている。我々は,神がすべての人を救われることを信じている。」
7 そこでアロンは彼に,「あなたは,神の御子が人類を罪から贖うために来られるということを信じていますか」と尋ねた。
8 するとその人はアロンに言った。「我々は,おまえにそのようなことが分かるとは信じない。我々はそのような愚かな言い伝えは信じない。また,おまえに将来のことが分かるとも信じないし,おまえの先祖と我々の先祖が,自分たちが語った将来のことについて分かっていたとは信じない。」
9 そこでアロンは,キリストの来臨と死者の復活についての聖文を彼らに説明し,キリストの死と苦しみと,キリストの血による贖罪によるほかに,人類のための贖いはあり得ないことを話し始めた。
10 そして,アロンがこれらのことを彼らに説き明かしたところ,彼らはアロンに怒りを示し,また彼をあざけり始めた。そして,彼らは彼の語る言葉を聞こうとしなかった。
11 そこでアロンは,彼らが自分の言葉を聞こうとしないのを見て,会堂を去り,アナイ・アンタイと呼ばれている村を訪れた。そこで彼は,人々に御言葉を宣べ伝えていたミュロカイに出会い,またアンマと彼の同僚たちに会った。それから彼らは,御言葉について多くの人と論じ合った。
12 そして彼らは,人々が心をかたくなにするのを見て,そこを去り,ミドーナイの地を訪れた。そして彼らは,多くの人に御言葉を宣べ伝え,わずかな人が彼らの教えた御言葉を信じた。
13 にもかかわらず,アロンと彼の同僚たちの中の数人は,捕らえられて牢に入れられた。また,残りの同僚たちは,ミドーナイの地から周辺の地へ逃れて行った。
14 そして,牢に入れられた人々は多くの苦しみを受けたが,後にラモーナイとアンモンの手によって救い出された。そして,食べる物と着る物を与えられたのである。
15 それから,彼らは御言葉を告げ知らせるために再び出て行った。彼らが初めて牢から救い出された次第は以上のとおりであり,彼らが苦しんだ次第も以上のとおりである。
16 そして彼らは,主の御霊に導かれる所へならばどこへでも行き,彼らが入ることのできたアマレカイ人のすべての会堂で,またレーマン人のすべての集会で,神の言葉を宣べ伝えた。
17 そこで,主が彼らに祝福を授けてくださるようになり,彼らは多くの人に真理を知らせることができた。すなわち,彼らは多くの人に,各自に罪のあることと,彼らの先祖の言い伝えが正しくないことを納得させた。
18 そして,アンモンとラモーナイは,ミドーナイの地からラモーナイと彼の民の受け継ぎの地であるイシマエルの地へ帰った。
19 ラモーナイ王は,アンモンを自分に仕えさせようとせず,自分の僕でいることを許そうとしなかった。
20 また王は,イシマエルの地に幾つもの会堂を建てさせた。また彼は自分の民,すなわち自分の統治下にある人々をともに集めさせた。
21 そこで彼は,集まった人々を見て喜び,彼らに多くのことを教えた。また,彼らが自分の下にある民であることと,自分の父である王の圧制を受けない自由の民であることを彼らに告げ知らせた。ラモーナイ王の父が彼に,イシマエルの地とその周辺の全地にいる人々を治めることを認めたからである。
22 ラモーナイ王はまた,自分の統治下にある地であればどこででも,自分たちの望むままに,主なる自分たちの神を礼拝する自由が彼らにあることを告げ知らせた。
23 そしてアンモンは,ラモーナイ王の民に教えを説いた。彼は,義にかかわることについてあらゆる事柄を民に教えた。アンモンは日々力の限り彼らに説き勧め,また彼らは彼の言葉を心に留めて,熱心に神の戒めを守った。