1 「さて，わが子こよ，あなたに言いっておきたいことがもう少すこしある。死し者しゃの復ふっ活かつについて，あなたが心こころを悩なやましていることが分わかるからである。

2 見みよ，わたしはあなたに言いっておく。キリストの来らい臨りん後ごまでは復ふっ活かつはない。言いい換かえれば，そのときまで，この死しすべき体からだが不ふ死しのものを着きることはなく，この朽くちるものが朽くちないものを着きることはないということである。

3 見みよ，キリストは，死し者しゃの復ふっ活かつを実じつ現げんされる。しかし見みよ，わが子こよ，その復ふっ活かつの時ときはまだ来きていない。あなたに一つの奥おく義ぎを明あきらかにしよう。神かみ御ご自じ身しんのほかだれも知しらない隠かくされている奥おく義ぎがたくさんある。しかし，わたしが知しりたいと思おもって神かみに熱ねっ心しんに尋たずねた一つのことについて，あなたに告つげよう。それは復ふっ活かつに関かんすることである。

4 見みよ，すべての人ひとが将しょう来らい，死し者しゃの中なかから出でて来くる定さだめられた時ときがある。さて，その時ときがいつやって来くるかはだれも知しらない。しかし，神かみは定さだめられているその時ときを御ご存ぞんじである。

5 さて，人ひとが死し者しゃの中なかから出でて来くるのは一度どだけか，それとも二度どか，三度どか，それは重じゅう要ようではない。神かみはこれらのことをすべて御ご存ぞんじだからである。これが事じ実じつであるということ，すなわち，すべての人ひとが死し者しゃの中なかからよみがえる時ときが定さだめられているということが分わかれば，わたしにはそれで十じゅう分ぶんである。

6 さて，死しぬ時ときと復ふっ活かつの時ときの間あいだには，時ときの隔へだたりが必かならずあるに違ちがいない。

7 そこでわたしは尋たずねたい。人ひとが死しんだ時ときから復ふっ活かつの定さだめられた時ときに至いたるまで，どのようなことが人ひとに起おこるのだろうか。

8 人ひとがよみがえるように定さだめられている時ときが二度ど以い上じょうあるのかどうか，それは重じゅう要ようではない。すべての人ひとは同どう時じには死しなないからである。また，このことも重じゅう要ようではない。すなわち，神かみにあってはすべてが一日にちのようであり，時ときが計はかられるのは人ひとに対たいしてだけである。

9 したがって，人ひとに対たいして，死し者しゃの中なかからよみがえるように定さだめられた時ときがある。そして，死しぬ時ときと復ふっ活かつの時ときの間あいだには，時ときの隔へだたりがある。この時ときの隔へだたりに関かんしてどのようなことが人ひとの霊れいに起おこるのか，それが知しりたくて，わたしは主しゅに熱ねっ心しんに尋たずねた。そして，このことをわたしは今いま知しっている。

10 すべての人ひとがよみがえる時ときが来くると，神かみは人ひとに定さだめられている時ときをすべて御ご存ぞんじであるということが分わかるであろう。

11 さて，死しと復ふっ活かつの間あいだの人ひとの状じょう態たいについてであるが，見みよ，天てん使しがわたしに知しらせてくれたところによれば，すべての人ひとの霊れいは，この死しすべき体からだを離はなれるやいなや，まことに，善よい霊れいであろうと悪わるい霊れいであろうと，彼かれらに命いのちを与あたえられた神かみのみもとへ連つれ戻もどされる。

12 そして，義ぎ人じんの霊れいはパラダイスと呼よばれる幸こう福ふくな状じょう態たい，すなわち安あん息そくの状じょう態たい，平安へいあんな状じょう態たいに迎むかえ入いれられ，彼かれらはそこであらゆる災さい難なんと，あらゆる不ふ安あんと憂うれいを離はなれて休やすむ。

13 さて，そのときの悪あく人にんの霊れいの状じょう態たいはといえば，見みよ，彼かれらは少すこしも主しゅの御み霊たまを受うけずに，見みよ，善よい行おこないよりも悪わるい行おこないを好このんだので，悪あく魔まの霊れいが彼かれらの内うちに入はいり込こんで，彼かれらの体からだを支し配はいしていた。それで，これらの霊れいは外そとの暗くら闇やみに追おい出だされ，そこで涙なみだを流ながし，泣なきわめき，歯はぎしりをする。これは，彼かれら自じ身しんの罪ざい悪あくのために，悪あく魔まの意いのままに捕とらえられて連つれ去さられた結けっ果かである。

14 さて，これが悪あく人にんの霊れいの状じょう態たいである。まことに，暗くら闇やみの中なかで，自じ分ぶんたちに下くだる火ひの憤いきどおりのような神かみの激はげしい怒いかりを，ひどく恐おそれながら待まっている状じょう態たいである。義ぎ人じんがパラダイスにとどまるように，彼かれらはこのように，自じ分ぶんたちの復ふっ活かつの時ときまでこの状じょう態たいにとどまるのである。

15 さて，ある人ひと々びとは，復ふっ活かつ前まえの霊れいのこの幸こう福ふくな状じょう態たいとこの不ふ幸こうな状じょう態たいを，第だい一の復ふっ活かつと解かい釈しゃくしてきた。まことに，わたしに告つげられた御み言こと葉ばからすれば，霊れいすなわち魂たましいが引ひき上あげられて幸こう福ふくか不ふ幸こうかの状じょう態たいに置おかれることを復ふっ活かつと呼よんでもよいとわたしは認みとめる。

16 また見みよ，別べつに第だい一の復ふっ活かつがあると述のべられているが，それは過か去こにいたすべての人ひと，現げん在ざいいるすべての人ひと，死し者しゃの中なかからキリストが復ふっ活かつされるまでの将しょう来らいのすべての人ひとの復ふっ活かつである。

17 さて，このように述のべられているこの第だい一の復ふっ活かつとは，霊れいの復ふっ活かつがあって幸こう福ふくか不ふ幸こうかの状じょう態たいに置おかれることではないと，わたしは考かんがえている。これがそういう意い味みであると考かんがえてはならない。

18 見みよ，わたしはあなたに言いうが，そうではなく，それはアダムの時じ代だいからキリストの復ふっ活かつに至いたるまでの人ひと々びとの，霊れいと体からだとの再さい結けつ合ごうを意い味みする。

19 さて，これらの人ひと々びとが，悪あく人にんであっても義ぎ人じんであっても，同時どうじに皆みなその霊れいと体からだが再さい結けつ合ごうされるかどうか，わたしは言いわない。ただ，彼かれらは皆みな出でて来くる，すなわちキリストの復ふっ活かつ後ごに死しぬ人ひと々びとの復ふっ活かつに先さき立だって彼かれらの復ふっ活かつが起おこると言いえば十じゅう分ぶんである。

20 さて，わが子こよ，わたしは彼かれらの復ふっ活かつがキリストの復ふっ活かつの時ときに起おこるとは言いわない。しかし見みよ，わたしの考かんがえとして述のべるならば，義ぎ人じんの霊れいと体からだはキリストの復ふっ活かつの時とき，またキリストの昇しょう天てんの時ときに再さい結けつ合ごうされる。

21 しかし，それがキリストの復ふっ活かつの時ときかその後のちか，わたしは言いわない。しかし，肉にく体たいの死しと復ふっ活かつの間あいだには時ときの隔へだたりがあるとだけ言いっておこう。また，霊れいは幸こう福ふくか不ふ幸こうかいずれかの状じょう態たいに置おかれ，この状じょう態たいは神かみが定さだめられた時ときまで続つづく。その時ときが来くると，死し者しゃは出でて来きてその霊れいと体からだとが再さい結けつ合ごうされ，神かみの御み前まえに連つれ出だされて立たち，自じ分ぶんの行おこないに応おうじて裁さばかれるのである。

22 まことに，これがそれらのものの回かい復ふくをもたらし，その回かい復ふくについては，預よ言げん者しゃたちの口くちを通とおして語かたられてきたとおりである。

23 霊れいは体からだに回かい復ふくされ，体からだは霊れいに回かい復ふくされる。そして，手て足あしと関かん節せつはことごとくその体からだに回かい復ふくされる。まことに，髪かみの毛け一ひと筋すじさえも失うしなわれることなく，すべてのものが本ほん来らいの完かん全ぜんな造つくりに回かい復ふくされる。

24 わが子こよ，これこそが預よ言げん者しゃたちの口くちを通とおして語かたられてきた回かい復ふくなのである。

25 そのとき，義ぎ人じんは神かみの王おう国こくで輝かがやきを放はなつ。

26 しかし見みよ，悪あく人にんには恐おそろしい死しが及およぶ。彼かれらは清きよくないので，義ぎにかかわることに関かんして死しんだ状じょう態たいになるからである。清きよくない者ものは決けっして神かみの王おう国こくを受うけ継つぐことができず，彼かれらは追おい出だされて，自じ分ぶんの働はたらきの成せい果か，すなわち自じ分ぶんの悪わるい行おこないの結けっ果かを受うけるように定さだめられる。そして，苦にがい杯さかずきのかすを飲のむのである。」