聖文の物語をきっかけに疑問を抱いたあなたへ

聖文の奇跡的な物語を読んで，「すごいな。自分もその場にいられたらよかったのに」と思ったことはないでしょうか。特に新約聖書にある救い主に癒された人々の話を読むと，「どうして自分にはこういうことが起きないのだろう」と思いたくなることもあるかもしれません。

あなたには，イエス・キリストがすぐにでも癒してくださったらいいのにと願っていることはあるでしょうか。本記事では，覚えておくと助けになると思われる見解を幾つか紹介しましょう。

• 救い主は，薬やテクノロジー，専門家による助けなど，様々な方法で癒しを与えてくださいます。主の光は，研究を行う人々の知性の扉を開き，新たな理解を得て，新しい発明を生み出すよう導いてくれるのです。¹今日の世界において，わたしたちの多くはこのような形で主の癒しの恩恵を受けています。
• ただ，ある特定の癒しにより，人生における問題がなくなるのだと思い違いをしてしまうべきではありません。聖文に登場する人々は，奇跡が起こってからも，別の問題を抱えていたのです。例えば，ヤイロの娘が死からよみがえったからといって，もう何も心配する必要がなくなったわけではありません。彼女が成長する中で，どのような試練に遭っていたかはだれにも分からないのです。学び，成長できるように，あなたがある形で苦しむのを救い主が許されたとしても，あなたは人生の別の分野において受けた祝福を思い浮かべることができるのではないでしょうか。²
• 救い主の衣に触れた，病を患っていたあの女性のように，癒しを受けるまで長い間待つように求められることもあるでしょう。³それまでの間，どうか，ほかの人からの助けを受け入れ，救い主に従おうと努めることで，続けて生活に祝福を招き入れてください。あなたが良い決断をするたびに，時が来れば主が与えてくださる祝福に対してさらに十分にふさわしくなれるのです。
• 主に癒されるときは必ず来ます。そう約束されているからです！わたしたち一人一人は，いつの日か痛みや病気から解放された完全な体を受けることができます。そして，救い主は，御自身に従った者に，わたしたちの想像をはるかに超えた埋め合わせと，報いを与えてくださるのです。⁴
• 最後に，もし何の困難も選択も伴わない楽な人生に憧れているのなら，それはサタンの計画であるため，あなたの命運は尽きていると言えるでしょう。神は，あなたが無知なまま惰性で生きていくのを望んではおられません。神は，あなたが学び，成長することを望んでおられ，それには不快なことも必要なのです。神会の御三方は，どんなときにも側にいて助けてくださいます。

どうか，希望を捨てないでください！確かに，奇跡は今日も起きているのです。ラッセル・M・ネルソン大管長は少し前に次のように述べています。「霊的な業を行って奇跡を求めてください。よく祈って，そのような信仰を働かせる助けを神に求めてください。」⁵あなたは強い人間であり，あなたは愛されているのです！

注
1．この着想について詳しくは，1972年10月総大会のジョセフ・アンダーソン長老の“Light and Knowledge to the World”（「世界への光と知識」）という説教を参照してください。古い説教ですが，良い説教です！
2．例えば，使徒パウロは多くの奇跡を経験しましたが，生涯にわたり，自身が「肉体のとげ」と言い表したある試練（恐らく何らかの病状）にも悩まされていました。（2コリント12：7－9参照）
3．ルカ8：43－48参照
4．1999年10月の総大会より，ジェフリー・R・ホランド長老の「すでに現れた祝福の大祭司」という説教を参照
5．2022年4月の総大会の「霊的推進力」より