福音に根ざし高く飛ぶ

デビッド・ディクソン

教会機関誌

人生のレースを駆け抜けながら，ソフィアはいちばん大切なものをいつも忘れません。

写真／Mad Moose Media @MadMooseMedia

ゴールに向けて物体を空中に飛ばすスポーツはたくさんあります。ゴルフ，アメリカンフットボール，サッカー，野球，バドミントン，クリケットなどは，そのほんの一部です。

そして，それとは少し違った種類の，自分自身が空中を飛ぶ物体になるスポーツもあります。気の弱い人には向かないでしょう。しかし，アメリカ合衆国ユタ州のソフィア・P（18歳）のことを気弱だと言う人はまずいません。

ソフィアは，時に高く飛び，時に証を分かち合う若い女性で，車輪が二つついているものに乗っているときがいちばん落ち着くと言います。そして，高校のマウンテンバイクチームでの活動をとても楽しんでいる一方で，二輪車に対する彼女の真の情熱は，それだけにはとどまらないようです。

写真／エリン・マルコム，Elevated MX @ErinMalcom

「モトクロスとは，すべてが土でできた障害物のあるコースを使って，オフロードバイクで競走するスポーツです」とソフィアは説明します。「様々な種類のジャンプや斜面などを走り抜けるんです。コースのあちこちに深い溝を掘って，さらに選手が走りにくいようにしてあることもあります。」

オフロードバイク（未舗装の地面を走るためのバイク）は相当にタフな乗り物です。急斜面を上ることができ，かなりの距離を飛ぶこともできます。そしてモトクロスには，そうしたものがすべて含まれているのです。

写真／Mad Moose Media @MadMooseMedia

モトクロスというスポーツを極める一方で，ソフィアは福音との関係をしっかりとつながってきました。特に大切なことの一つが，啓示の重要性です。「もし聖霊が，わたしが時速50マイルでコースの障害物を乗り越えている最中に話しかけてくださるなら，わたしが学校の廊下を歩いているときにも，絶対に話しかけてくださるはずです」とソフィアは言います。

もっと啓示を

ソフィアは，聖霊のささやきに耳を傾けることの重要性について独特の見解を持っています。ソフィアにとって，啓示に注意深く耳を傾けていることは，自身の霊的および身体的な安全を守ることなのです。「わたしは祈りの力を100パーセント信じています。練習のときには毎回祈るようにしています」とソフィアは言います。「コースに出ていると，いつも聖霊からの小さな促しを感じます。」

その一例としてソフィアがよく覚えているのは，高速でジャンプに近づいて行ったときのことです。ソフィアは，自分の体をもっとよい位置に持っていく必要があるという明確な印象を感じました。「モトクロスでは，バイクを両膝でギュッと締め付けておかなければなりません。親指の付け根の膨らんだ部分をフットペグに乗せて，頭はハンドルのすぐ上にくるように身をかがめるのです。」

一方，直立した姿勢で走るのは失敗の元です。

促しを受けた後，ソフィアはためらいませんでした。ソフィアは体の位置を調整しました。その直後，ジャンプの着地で，非常に難しい対処を迫られました。普通なら確実に転倒していたはずです。しかし，霊感に耳を傾けて姿勢を改善したおかげで，衝撃を吸収することができました。「わたしは転倒せずに，バイクと一緒に跳ねたのです。」

写真／Mad Moose Media @MadMooseMedia

ソフィアは促しを決して無視しないことを学びました。ソフィアが特に多くの促しを受けるのは，伝道活動においてです。

モトクロス伝道

「わたしにどれくらい人と話をする機会があるかと言えば，宣教師と同じくらいだと思います」とソフィアは言います。

たくさんのモトクロス大会に参加する中で，ソフィアは様々な背景を持つ青少年と出会います。そして福音に従った生活をすることによって，ソフィアは集団の中でも際立った存在となっています。ほかのライダーたちの目を引くのです。

写真／マレア・エレット@MaleaEllett

「人から聞かれるんです。『どうして乱暴な言葉を使わないの？』とか，『どうして日曜日のレースに出ないの？』って。」ソフィアは言います。「時々，そうした質問から福音についての話になることがあります。わたしには強い証があり，ほかの人たちにもわたしが得ている喜びを経験してほしいのです。」

そうした会話の最中，ソフィアは何を言うべきかが分かるよう助けてくださる聖霊の導きを感じています。ソフィアはまた，啓示をはっきりと受けるためにふさわしい生活をすることがいかに大切かを知っています。

「戒めを守ることによって，聖霊を招くことができます」とソフィアは言います。「そして，そうした促しに従うことが大切なのです！促しに従うほど，聖霊はさらに多くの促しを与えてくださいます。」

ソフィアはほかのライダーたちと，教会に出席することや，純潔の律法，神殿，そのほかの様々な福音のテーマについて話をします。ソフィアがそれほど多く福音について話す機会を得ている理由の一つは，彼女がたくさんの人と話をするからです。特にレースのときにはよく人と話します。「イエスはすべての人を愛するように言われました。ですから，わたしはすべての人と話をするのです。」

レースと義

もちろん，コースの外で親切だからといって，レースが始まったら手加減はしません！ソフィアは自分が相当な負けず嫌いであることを認めています。例えば，父親（同じく大のオフロードバイク好き）と競走するとき，ソフィアは心の中にある特別な望みを抱いています。「わたしの目標は父をラップすること〔訳注：ほかの選手を1周分リードすること〕，そして父の目標はわたしに自分をラップさせないことです！」

写真／エリン・マルコム，Elevated MX @ErinMalcom

しかし，たとえ勝ち負けにかかわることでも，ソフィアは優先順位を明確にしています。「福音はわたしに多くの導きを与えてくれます」とソフィアは説明します。「たとえモトクロスのレースで負けたとしても，わたしは人生のレースでは勝つことができます。人生は，ほかのだれでもなく自分自身とのレースです。」