復活の証人たち

エリック・B・マードック

教会機関誌

復活された救い主についての新約聖書の証人たちは，あなたも自分自身の証を見いだせるように助けてくれます。

イエス・キリストが十字架上で亡くなられた後の日曜日の朝，マグダラのマリヤはイエスの遺体が納められていた墓にやって来ました。すると大きな重い石は脇に転がされていて，墓は空になっていました。

救い主の遺体は持って行かれてしまったのだと思い，マリヤは涙を流しました。だれかが近づいて来て，「女よ，なぜ泣いているのか」と尋ねました。

マリヤは自分に語りかける声がだれのものか気づきませんでした。園の番人だと思って言いました。「あのかたを……どこへ置いたのか，どうぞ，おっしゃって下さい。わたしがそのかたを引き取ります。」

「マリヤよ」と，その声がこたえました。

その瞬間，マリヤはだれが自分の名前を呼んだのかを悟りました。今や栄光を受けた，復活された救い主だったのです（ヨハネ20：15－16参照）。

マリヤはイエス・キリストが生きておられることを目にした最初の人物となりました。聖文には，ほかにもイエスが死に打ち勝たれたことの証人となった人たちがいたことが記されています。彼らの経験は，あなたの信仰をどのように強めてくれるでしょうか。肉眼で主を見なくても，救い主が生きておられることをどのように証できるでしょうか。

エマオに向かっていた二人の弟子

キリストが十字架上で亡くなられた直後のある日，二人の弟子がエマオに向かって旅をしていると，見知らぬ人が加わりました。ともに，3人は復活に関する預言について語り合いました。その会話により，悲しみに暮れていた弟子たちは喜びで満たされました。

エマオに着くと，弟子たちはその見知らぬ人に，一緒に泊まってほしいと頼みました。夕食のとき，見知らぬ人は食物を祝福し，給仕をしました。すると突然，弟子たちは見知らぬ人がだれであるかに気づきましたが，何も言えないうちに，見知らぬ人は姿が見えなくなってしまいました。弟子たちは，救い主がずっと自分たちとともにおられたことに気づいたのです！

「お互の心が内に燃えたではないか」と二人は言いました。ともにおられたのがほんとうにイエスであるという，御霊の確認を受けたのでした（ルカ24：13－34参照）。

10人の使徒たち

主の復活に関して聞いた証について10人の使徒たちが話していたとき，イエス・キリストが御姿を現されました。

主は「やすかれ」と言われました。「わたしの手や足を見なさい。まさしくわたしなのだ。さわって見なさい。霊には肉や骨はないが，あなたがたが見るとおり，わたしにはあるのだ。」（ルカ24：36，39）使徒たちは一人一人，釘による傷跡がある救い主の手と足を見て，触れました。

使徒トマス

救い主がほかの使徒たちに御姿を現されたとき，トマスはその場にいませんでした。トマスはイエスがほんとうによみがえられたと信じることができませんでした。トマスは言いました。「わたしは，その手に釘あとを見……なければ，決して信じない。」（ヨハネ20：25）

8日後，イエスが再び使徒たちに御姿を現されました。今度はトマスもその場にいて，信じました。イエスはトマスに言われました，「あなたはわたしを見たので信じたのか。見ないで信ずる者は，さいわいである。」（ヨハネ20：26－29参照）

自分自身の証を見いだす

復活後，イエス・キリストはほかの人たちにも御姿を現されました（マタイ28：9－10；使徒9：4－8；1コリント15：6参照）。あなたは彼らのように主を見ることはないかもしれませんが，それでも証人になることができます。

救い主は弟子たちに，「人々は人の子をだれと言っているか」と尋ねられました。弟子たちは答えました。「ある人々はバプテスマのヨハネだと言っています。……あるいは預言者のひとりだ，と言っている者もあります。」

そこでイエスは，こう尋ねられました。「それでは，あなたがたはわたしをだれと言うか。」

ペテロが答えました。「あなたこそ，生ける神の子キリストです。」

「あなたはさいわいである」と，イエスはペテロに言われました。「あなたにこの事をあらわしたのは，血肉ではなく，天にいますわたしの父である。」（マタイ16：13－17）

イエスはペテロの前に立っておられました。ペテロは主とともに歩き，語り，主が行われた多くの奇跡を目にしていましたが，そのことがペテロに証をもたらしたのではありませんでした。イエスは，ペテロの証は天の御父によってあらわされたのだと指摘されました。主はまた，その証は目で見るよりも確かなものであると教えられました。

イエス・キリストを肉眼で見なくても，あなたは個人的に主を求め，主についてさらに学ぶことができます。主の戒めを守ることにより，主を信じる信仰を働かせることができます。御霊があなたの心に触れて，証を授けてくれます。復活された救い主を実際に見た人々のように，あなたも立ち上がって，主が生きておられ，わたしたちを愛しておられ，今日わたしたちのためにそばにいてくださることを証することができるのです。