もう一人
さらに多くの天の御父の子供たちに手を差し伸べるために,熱心に働く,強いを持った宣教師がよりいっそう必要です。
兄弟姉妹,数週間前,バラード姉妹とわたしはプロボ宣教師訓練センターで話をする機会がありました。宣教師たちの意欲に満ちた,輝く笑顔を見て,わたしたちは主の御霊を感じ,感動しました。このすばらしい宣教師たちは,回復されたイエス・キリストの福音のメッセージを世界に届ける準備をよくしていました。主に仕えるために,霊的備えをさらに徹底しなさいという預言者の勧めにこたえてくれた両親,監督,ステーク会長,そして特に,若い人たちに感謝しています。
宣教師資格の「基準を上げ」たとき,ゴードン・B・ヒンクレー大管長はこう述べました。「伝道は過酷です。体力と活力が必要です。鋭敏な心と理解力が求められます。信仰,望み,一身をささげて働く姿勢が必要です。清い手と純粋な心が求められます。」
続けてこう言いました。「主イエス・キリストの大使として……召される人々について,その標準を高めなければならない時が来ました。……ふさわしさを備えていない人には,胸躍る福音のおとずれを伝えるために世界に出て行くのを,とても許すことはできないのです。」(「伝道活動」『第1回世界指導者訓練集会』2003年1月11日,17)
今日,より高い資格を備えた宣教師が求められています。「自制心を養い,世の中の低い標準よりもはるかに高い標準に従って生活し,罪を避け,あらゆる活動において高い標準を保つ」という預言者の勧告を受け入れ,伝道に備えてきた若い男性が必要なのです(「伝道活動」17)。339の伝道部において,主の業は拡大しています。ですから,すべての若い男性が12歳で執事に,14歳で教師に,16歳で祭司に,それぞれふさわしく聖任され,18歳から19歳でメルキゼデク神権をふさわしく授かるように,わたしたちはさらに努力していく必要があります。そのためには,若い男性の心を主への愛で満たし,また主の贖いへの理解と感謝,驚くべき回復についての明察で満たしていかなくてはなりません。
青少年が福音の回復の意義を理解し,また神が天の御父であり,御自分の子供たちをすべて愛しておられることを確信し,イエスが救い主であり,御父と御子がこの最後の神権時代を始めるためにジョセフ・スミスを訪れられたことを確信すると,このメッセージを世界に知らせるために貢献したいと願うようになります。回復のメッセージの真実性を証する具体的な証拠としてモルモン書を理解している青少年は,この真理を天の御父の子供たちに教えるために役割を果たしたいという望みで満たされるようになります。
宣教師訓練センターの宣教師たちと話したときに,伝道への備えとして何をしておけばよかったと思うか聞いてみました。とりわけ,以下の事柄が挙がりました。
● 聖文の勉強に集中して,もっと教義を学んでおく。
● 勉強の仕方と心から祈る方法を学んでおく。
● 自制心と勤勉さを身に付けておく。
● 宣教師の義務をよく理解しておく。
● 教える経験をより多くしておく。
● 監督や両親から綿密な面接を受けておく。
兄弟姉妹の皆さん,力を合わせて,イエス・キリストの福音をはっきりと力強く,教会のすべての青少年に教えてください。両親と協力し,すべての青少年を伝道と生涯にわたる奉仕に備えてください。教会に積極的であるかどうかにかかわらず,教会の貴い青少年一人一人を捜し求め,内に秘められているキリストの光を輝かせてください。ボイド・K・パッカー長老はこう述べています。「キリストの光は太陽の光と同じように普遍的なものです。人がいる所ならどこでも,キリストの御霊があります。あらゆる人が持っています。……人類を祝福し恩恵をもたらすすべてのものに霊感を与えています。善そのものをはぐくんでいます。」(「キリストの光」『リアホナ』2005年4月号,13)
つまり,すべての人にキリストの光が宿っているのです。両親,教師,指導者の責任は,青少年の心の中心に証の炎が燃え上がるまで,彼らの光を輝かせ続けること,さらには,一人一人の青少年にその炎を携えて行かせ,人々の内にあるキリストの光が明るく輝くように助けさせることです。
もちろんサタンはそのことを知っていて,青少年を支配して,教会の教えを無視させようと躍起になっています。ですから,両親,指導者,教師はともに相談し,若い男性と若い女性のことを一人残らず知らなくてはなりません。教会員として熱心であるかどうかを問わず,知る必要があります。
宣教師に求められる基準が厳しくなったのは事実です。これは両親や指導者に求められる基準も厳しくなったということです。すべての若い男性が伝道に出られるように,わたしたちも信仰を増し,さらに努めていく必要があります。
ヒンクレー大管長はまた次のような懸念について述べました。「わたしたちはもっと多くの宣教師を必要としています。宣教師の資格に関する基準を高めるというメッセージは,送る宣教師の数を少なくするようにという合図ではなく,若い男性が宣教師の務めにさらによく備え,また彼らをそのような務めにふさわしい状態に保てるよう,早くから若い男性に働きかけるようにという両親と指導者への呼びかけなのです。ふさわしく,肉体的および情緒的に能力のあるすべての若い男性は,この最も大切な業のために奉仕する備えをするべきです。」(「教会の監督たちへ」『世界指導者訓練集会』2004年6月19日,27)
同様に若い女性について大管長はこう述べています。「宣教師として働く独身の姉妹に関する以前の勧告について,多少の誤解が生じています。わたしたちは幾らかの若い女性を必要としています。彼女たちは目覚ましい働きをします。長老たちには入って行けない家庭に入って行くことができます。しかし若い姉妹たちには伝道に出る義務はないことを心に留めておかなければなりません。彼女たちは自分たちには若い男性と同等の義務があると感じるべきではありませんが,行きたいと願う人もいるでしょう。」(「教会の監督たちへ」27)
兄弟姉妹の皆さん,なすべき仕事が山のようにあります。主の御霊が世界の多くの国々を覆っています。かつて閉ざされていた扉が開かれつつあります。今やわたしたちの手の届く所にいる,さらに多くの天の御父の子供たちに手を差し伸べるために,熱心に働く,強い証を持った宣教師がよりいっそう必要です。すべての人はわたしたちの兄弟姉妹であり,わたしたちには彼らに回復のメッセージを教える責任があります。
忠実に専任宣教師として奉仕する人の生活には,すばらしいことが起こります。伝道活動は簡単ではありませんが,無限の価値があります。伝道を終えて立派に帰還した人は,伝道中に身に付けた生き方と奉仕の精神によって,自分自身と子孫の人生を祝福することでしょう。宣教師は,教会の各組織の力強い指導者や教師となるための備えをして帰還します。子供に福音を教えることのできる,義にかなった父母になる備えをして帰還します。専任宣教師の活動は,宣教師自身にとっても,また宣教師に出会い,教えを受ける人々にとっても同様に祝福となります。
さて,監督や支部長の皆さんに特別なお願いがあります。皆さんは,基準に達していて,今年伝道の召しを受ける準備をしている人たちをすでに知っていることでしょう。すべてのユニットの指導者にお願いします。両親と相談し,すでに決意を固めている人以外に,伝道に出られる若い男性を少なくとももう一人見いだすために祈ってください。教会の2 万6,000以上のワードや支部から,すでに伝道に送り出そうとしている人たち全員と,それに加えてあともう一人を伝道地に送り出すなら,専任宣教師の数は増大し,福音をあらゆる国民,部族,国語の民,民族に告げ知らせるという神の命令に,その分だけ近づくことでしょう。もちろんこの宣教師たちは,ふさわしく,忠実で,健康で,献身的でなくてはなりません。恐らくもう一人の人は,まだ準備ができていないかもしれません。ですから両親とステークとワードの評議会の皆さんに,今年召しへの備えができる人が分かるように,聖なる御霊の識別の力に頼ってほしいのです。
彼らに手を差し伸べるに当たり,わたしの友人の経験を覚えておいてください。この友人は,馬が大好きなすばらしい女性と結婚するまで,馬を所有したことがありませんでした。新婚の妻をあっと言わせようと思った友人は,ある晩,これから子馬の調教をしに牧場に行くと宣言しました。友人は子馬より体重があり,子馬より分別もありました。友人は,手綱を引きさえすれば,子馬は言うことを聞くようになるだろうと思っていました。あっと言う間の,簡単な仕事だろうと思っていました。
友人は手綱を取り付け,子馬の前に立って,手綱を引きました。子馬は抵抗しました。彼はさらに強く引き,子馬はさらに強く足を踏ん張りました。とうとう力任せに引いて,子馬を倒してしまいました。何度やっても同じことの繰り返しです。友人はこの訓練をこう評価しました。たったの4,5分で,見事に,子馬に転ぶことを教えたと。馬の前に立ち,綱を持つだけで,子馬は転ぶようになったのです。
その様子を見ていた妻は,見るに見かねてこう提案しました。「子馬の前に立って引くのではなく,綱を子馬に巻きつけて,並んで歩いてはどうかしら。」友人にとっては残念なことでしたが,妻の提案が功を奏しました。
だれでも命令されたり,無理強いされたりすると抵抗したくなるようです。しかし,もし若い男性の肩に腕を回し,並んで歩くなら,若い男性は奉仕したいという望みを持つようになるでしょう。伝道に出られるもう一人の人の証を強めるときに,そのことを思い出してください。
家族,ステーク,ワード,あるいは支部で,豊かな伝道の伝統を築くために,よく考慮すべき事柄を3つ提案します。
第1に,すべての青少年に自分が何者かを理解させてください。初等協会に入るとすぐに,子供たちは「神の子です」を歌います(『賛美歌』189番)。神の子であるということの真の意味を理解させてください。完全な福音を簡単に手にすることのできる今の時代に生きているということは,子供たちが前世で勇敢な決断をしたからであるということを,思い起こさせてください。教会の若人は義と真理に固く立つ必要があります。進んで奉仕することによって天の御父と主イエス・キリストに愛を示すならどのような祝福が得られるかを,若人ははっきり知る必要があります。
第2に,教義を教えてください。青少年のプログラム全体を見ると,活動や社交は適切な位置づけがされていますが,改心や決意を促すのは教義です。青少年は,イエス・キリストの福音が理解できるように,両親や教会の指導者や教師が助けてくれることを期待する権利があります。聖霊が青少年の心に真理を確信させ,その心の中にあるキリストの光に火をつけてくださいます。そうすれば,十分に備えられた宣教師をもう一人送ることができます。昨日リチャード・G・スコット長老は,福音を教えるために宣教師が現在使っている『わたしの福音を宣べ伝えなさい』という新しいガイドは,皆さんにも役立つ資料であると話しました。
最後に,一部の若い男性や若い女性にとっては,過酷でチャレンジに満ちた伝道に出ることは賢明ではないことを付け加えておきます。神権指導者から,専任宣教師として伝道に出なくてもよいと言われた場合には,家族とともにその決定を受け入れて,生活を続けてください。神殿で救いの儀式に参加する備えをしたり,別の方法で奉仕する機会を探したりしてください。そしてすべての会員にお願いします。様々な教会の召しを果たすすべての忠実な青少年を支え,励まし,大きな愛と理解を示してください。
兄弟姉妹の皆さん,イエス・キリストの神聖な使命について証します。より多くの青少年と夫婦が伝道に出るよう霊感を与え,励ますときに,皆が主から祝福を受けるように祈ります。イエス・キリストに御名により,アーメン。