豊かな祝福
わたしたちの証は強められました。イエス・キリストの福音の原則に従って生活することを,だれもがさらに決意できたことでしょう。
長年大会に出席してきましたが,この部会ほど豊かに祝福を受けたと感じた部会はなかったように思います。多くの話者から次々と話を聞きましたが,皆が非常に重要な事柄に触れました。スモーガスボード〔訳注――スウェーデン発祥のいわゆるバイキング料理〕のように信仰,愛,勧告という様々なごちそうを堪能しました。これらを生活の中で実践しましょう。
バラード兄弟,わたしの愛する妻が何年か前に入院したとき,次のようなメモを子供たちに残して行きました。「子供たちへ。お父さんに電子レンジを触らせないこと。」続けてこう書いてありました。「ガスコンロも,食器洗い機も,乾燥機も触らせないこと。」これ以上は恥ずかしくて口にすることはできません。
ウークトドルフ兄弟から,次のように言われました。「今朝,大管長は母方の受け継ぎについて聴衆に話されましたが,父方の受け継ぎについてもお聞かせいただけませんか。」そこでわたしは,父方の受け継ぎについて少し話して,結びの言葉とします。
わたしの父の父はスウェーデン出身で,祖母はイングランド出身です。二人はアメリカへ向かう船上で出会いました。祖父は祖母が結婚できる年齢になるのを待ってからプロポーズし,二人はソルトレーク神殿で結婚しました。祖父は日記にこう書いています。「今日は人生最良の日だ。妻とわたしは聖なる神殿で,この世から永遠にわたって結婚した。」
3日後の1898年4月23日に祖父はこう書いています。「最終目的地のスカンジナビアに向けて,リオグランデ・ウエスタン発着所で汽車に乗った。伝道するよう召された地に向けて。」祖父は,結婚して3日目の花嫁を残してスウェーデンに向かったのです。
鉛筆で書かれた祖父の日記は,おじから引き継いだものです。おじはどういうわけか,自分の父である祖父の日記をわたしに託してくれました。その日記の中で最も頻出するのは次のような言葉です。「足がびしょぬれだ。」しかし,日記の中で最も美しい記述は次のように書いたものです。「今日,わたしたちはヤンソン家を訪れ,ヤンソン姉妹に会った。ヤンソン姉妹はごちそうを用意してくださった。とてもおいしかった。」続けてこうあります。「子供たちが皆で歌い,ハーモニカを吹き,踊りを披露してくれた。それからヤンソン姉妹は什じゅう分ぶんの一を納めた。主に5クローナを納め,同僚のイプソン長老とわたしにも1クローナずつ下さった。」そして子供たちの名前を記していました。
その日記を読んだとき,その家族の中に妻の父の名前を見つけました。恐らく歌を披露したであろう子の一人が成長し,後にもうけた一人娘が,わたしの妻です。
妻のフランシスを初めて見たとき,結婚するならこの人だと思いました。やがて,主がわたしたちを引き合わせてくださり,わたしは彼女をデートに誘いました。フランシスを迎えに自宅に行くと,父親に紹介してくれました。彼女の父親はこう言いました。「『モンソン』,スウェーデン系の名前だね。」
わたしは「はい」と答えました。
すると「やっぱり」という答えが返ってきました。
そしてフランシスの父親は別の部屋から,シルクハットをかぶってモルモン書を持った二人の宣教師の写真を持って来ました。
「このモンソンとは親しん戚せきかね。エライアス・モンソンだ」とフランシスの父親は言いました。
わたしはこう答えました。「はい。大おじです。大おじもスウェーデンで伝道しました。」
フランシスの父親は涙もろい人で,涙を流しながらこう言いました。「彼と同僚が,わたしの母,父,わたしときょうだいたちに福音を伝えてくれた宣教師だ。」フランシスの父親はわたしの頬ほおにキスをしました。すると母親も泣きだし,反対側の頬にキスをしてくれました。わたしが期待を込めてフランシスの方を見ると,彼女は「コートを取って来るわ」と言っていなくなってしまいました。
数年前,愛するフランシスは病に倒れ,入院しました。妻は18日間,昏こん睡すい状態にありました。わたしは妻の傍らで看病しましたが,妻はまったく身動きしませんでした。子供たちは涙を流し,孫たちも涙を流しました。わたしも泣きました。妻はまったく動かなかったのです。
そしてある日,妻は目を覚ましました。わたしはこれまでにないほど急いで病院へ行き,キスをし,抱き締め,「戻って来た ね,愛しているよ」と言いました。すると妻はこう言いました。「わたしも愛しているわ,トム,でも大変なことが一つあるの。」ずっと昏睡状態にあったのに,何を言っているのだろうと思っていると,妻はこう言いました。「第4四半期の所得税を郵送していなかったの。」
わたしは言いました。「フランシス,キスをして『愛しているわ』と最初に言ってくれていなかったら,君を置いて帰っていたかもしれないよ。」
兄弟の皆さん,高潔さと敬意をもって奥さんに接しましょう。彼女たちは永遠の伴はん侶りょだからです。姉妹の皆さん,夫を敬ってください。兄弟たちは皆さんの親切な言葉を必要としています。皆さんの心温まる笑顔や,心からの愛を伝える優しい言葉を必要としています。
わたし自身の家族のことは,これくらいにしておきましょう。兄弟姉妹の皆さん,すばらしい大会でした。わたしたちは賢明な霊感あふれるメッセージを通して鼓舞されました。わたしたちの証は強められました。イエス・キリストの福音の原則に従って生活することを,だれもがさらに決意できたことでしょう。
わたしたちはすばらしい話を通して祝福されただけではなく,美しい音楽によっても高められました。音楽の才能を分かち合ってくれる人々を通して,わたしたちは教会の中で豊かに祝福されています。どの聖歌隊やコーラスも,この2日間を通してすばらしい歌声を聴かせてくれました。
出席してくれた皆さんや,視聴してくれた皆さんすべてに心からの愛を伝えます。愛するヒンクレー大管長が亡くなってから2か月の間,わたしは皆さんの祈りを感じ,皆さんから支持され,祝福されてきました。皆さんの賛意の表明に改めて感謝します。
この末日に福音が回復されたことへ感謝と,福音の回復がわたしの生涯にもたらした事柄への感謝を十分に表すことはできません。わたしたちは皆,救い主に倣ならい,主の福音の原則に聞き従うことによって影響を受け,形作られてきました。
親の皆さん,子供に愛を示してください。皆さんは子供を愛しているでしょうが,子供が親の愛をはっきりと認識できるようにしてください。彼らは貴い存在です。そのことを子供が分かるようにしてください。子供の必要に日々こたえるときや,親として避けられない苦難に遭うときに,天の御父に助けを求めてください。自分自身の知恵だけでは,子供を育てることはできません。
世の罪に対して立ち上がり,能力の限りを尽くして戒めに従っている,すばらしい若い兄弟姉妹を称賛します。
神殿に参入することのできる皆さんには,しばしば神殿に参入するよう勧めます。そうすることは,結婚生活と家族を強めるうえで役立つでしょう。
互いに親切であり,必要によく気づき,助け合うようにしましょう。
愛する兄弟姉妹,皆さんを愛しています。また,皆さんのために祈っています。どうか皆さんもわたしのために祈ってください。そして一緒に,天の御父がわたしたち一人一人に用意しておられる祝福を刈り取りましょう。これはわたしの祈りであり,心からの願いです。この言葉にわたしの証を付け加えます。この業は真実です。イエス・キリストの御み名なにより,アーメン。