2000–2009
光の中を歩む
2008年4月


2:3

光の中を歩む

皆さんは光の中を歩み続けるか,暗闇らやみくへと離れて行くかを,毎日,そして刻々と選んでいるのです。

わたしたち一人一人にとって人生は旅です。わたしたちを愛しておられる天の御父がこの旅を計画してくださいました。経験や特質は人それぞれですが,この旅はこの世に生まれてくる前,同じ場所で始まったのです。

わたしたちは皆,霊の父であるエロヒムから教えを受けました。御父を愛し,御父のようになりたいと望み,永遠に御父とともにいたいと願ったのです。御父はその喜びを得るには何をする必要があるかを分かりやすく教えてくださいました。わたしたちは肉体を得て,そのために起こるあらゆる試練を受けなくてはなりません。肉体を持つわたしたちは病気になり,やがては死を迎えます。また,肉体を満足させたいという強い欲求を持つようになります。

天の御父は,霊界を旅立ったわたしたちが御父とともに永遠に生き,御父と同じ生活ができるようになるために必要なことを説明してくださいました。わたしたちは霊界で御父と暮らした記憶のないまま,人生という旅を進めることになります。御父のみもとに帰るための唯一の方法は,肉体の死と,戒めを破ることで生じる罪の影響に打ち勝つことです。御父は,死の縄目を断ってくださる救い主が来られなければ,自分の力だけで死の影響にも罪の影響にも勝つことはできないと言われました。そして,わたしたちは必ず罪を犯してしまうので,罪から洗い清められる方法を備えてくださいました。

神が預言者を通して明らかにされた聖文には,霊界で旅の計画が示されたときに起きた反逆について書かれています。反逆者たちは救い主を受け入れて頼ることをせず,御父のみもとに再び戻れなくなるかもしれないような危険な旅は望みませんでした。皆さんは反逆者との戦いの中で,勇敢で,忠実で,正しい人々の中にいました。皆さんは救い主を受け入れ,御父のみもとに戻って喜びを得るために計画された旅に出ることにしたのです。

霊界での戦いで正しいことを選んだ人々の中でも,特にすばらしいのが皆さんです。皆さんはイエス・キリストの福音が地上にある時代に生まれ,旅をする資格を得たのです。この地上の何十億という御父の子供たちの中で,イエス・キリストの福音と,主の真実の教会を見いだすという特権を得ました。しかし,それ以上にすばらしいのは,皆さんが光の中で人生の旅を歩もうと決意し,今晩こうして耳を傾けていることです。

御父のすべての子供は,キリストの光という無料の贈り物を受けて生まれてきました。皆さんはその光を感じたことがあります。それは,何が正しくて,何が間違っているのか,何が真理で何が過ちなのかが分かる感覚のことです。この光は人生の旅の最初から備わっています。バプテスマと聖霊を受けたということは,キリストの光の中を歩むと決意したことの証明なのです。

教会の会員に確認されたとき,皆さんには聖霊を伴侶とする権利が与えられました。聖霊は,真理を知り,主イエス・キリストに従い,主を愛し,この世を終えた後で神のもとに戻る道を見つけるための光を力強く与えてくださるのです。

しかし,前世で反逆を指揮した霊は今も計画に反対し,皆さんが惨めになり,天の家に戻る道を決して見つけないようにと望んでいます。魂の敵は皆さんのことを,そして皆さんのすばらしさを知っています。光の中を歩ませないようにすることで皆さんを捕らえ,皆さんがほかの旅人を助けないようにすることができると知っているのです。また,皆さんが優れた存在であり,この世の旅路の途中で何百という御父の子供に教え,影響を与えられること,またその後の何世代にもわたる何千という人々にも影響を及ぼせることを知っています。旅をする皆さんを迷わせ,光から離れさせれば,敵は多くの人を傷つけ,惨めにさせることができるのです。

今皆さんがこの話を聞いているということは,皆さんが重要な存在であり,神からの光の中を歩む選択をしていることを神が御存じであるということの証明です。そのような選択は,常にはっきり見極められるとは限りません。皆さんは光の中を歩み続けるか,暗闇へと離れて行くかを,毎日,そして刻々と選んでいるのです。最も重要な選択は,皆さんの欲求や望みと深い関係があります。

皆さんが欲しいと思うものはいろいろあるでしょう。例えば,人はある程度,周りから認められたいと願います。だれでも友達は必要です。自分に価値があると思わせてくれるものを求めます。このような望みに従ってわたしたちは選びます。選択の中には,導きを与える神の光から皆さんを遠ざけるものも,道を見つけるのに必要な光をさらに強くしてくれるものもあります。

若いころのわたしは,こうした望みと選びがどれほど大切か気づいていませんでした。わたしはスポーツのチームに選ばれたり,学校で優秀な成績を収めたり,尊敬できる親友を見つけたりしたいと願っていました。あまり意識していませんでしたが,こうした願いに従って選ぶことは,光から離れるか,もしくは光に近づくかを選ぶということだったのです。

そうした選びによって成し遂げたことや友人のおかげで,わたしは光を感じました。当時はよく理解していませんでしたが,わたしを光から徐々に引き離す選択もありました。友達が欲しい,認められたいという思いから選んだことは,道を照らす光にわたしを近づけるか,光から遠ざけるかのどちらかでした。選ぶということは大切で,その影響は長く続くのです。

ずっと昔,天の御父は預言者を通して,どの選びが最も重要で,なぜその選びが大切なのか,そしてどのように選べるかを教えてくださいました。

モロナイが引用する父モルモンの言葉が,いちばん分かりやすいと思います。皆さんくらいのときにこの聖句をもっと理解していればよかったです。今晩,主のこの言葉が皆さんの胸に届くよう願います。

「しかし見よ,神から出るものはいつも善を行うように誘い,促す。したがって,善を行い,神を愛し,神に仕えるように誘い,促すものはすべて,神の霊感を受けているのである。

さて,……あなたがたは悪いものを神から出たと思わないように,あるいは善いもので神から出ているものを,悪魔から出たと思わないように気をつけなさい。

見よ,わたしの同胞よ,善悪をわきまえることができるように,物事を判断することはあなたがたに任されている。そして,その判断の方法は明らかであり,善悪の違いは昼が闇夜と違うように,完全に理解してわきまえることができる。」1

聖文はこの光がどこから来るのか,そしてその力について教えています。

「見よ,善悪をわきまえることができるように,すべての人にキリストの御霊が与えられているからである。さて,その判断の方法をあなたがたに教えよう。善を行うように誘い,またキリストを信じるように勧めるものはすべて,キリストの力と賜物によって送り出されているのである。したがってあなたがたは,それが神から出ていることを完全に理解してわきまえることができる。

しかし,悪を行うように,キリストを信じないように,キリストを否定するように,神に仕えないようにと人に説き勧めるものは何であろうと,それは悪魔から出ていることをあなたがたは完全に理解してわきまえることができる。悪魔はこのように働くからである。悪魔はだれにも善を行うように説き勧めない。また悪魔の使いも,悪魔に従う者も,そのように説き勧めない」2

当時よりも今の方が,この助言をどう活用すべきだったかが分かります。わたしには,善を行うように影響を与えてくれた選手やコーチのいるチームがありました。そうでないチームもありました。また,イエス・キリスト教会の会員ではありませんでしたが,模範を通して,善を行い,救い主を思い起こすよう影響を与えてくれた友人もいました。

認めてほしい,親しくなりたいと思った学校の友人や教師のおかげで,わたしは善を行う望みを持ち,救い主への思いを強くすることができました。幸いにも,自分の道を見つけたのです。しかし選ぶことの大切さと,選び方の両方が分かっていたら,もっと上手に道を見つけられたことでしょう。

モルモンはそのことを知っていました。モルモン書にあるモルモンやそのほかの預言者の言葉をより注意深く読んでいたら,わたしはもっと祝福を受け,もっと守られていたことでしょう。モルモンはこう言いました。

「あなたがたは判断する際に用いる光,すなわちキリストの光について知っているので,誤って裁かないように注意しなさい。あなたがたが裁くその裁きで,あなたがたも裁かれるからである。

そこで,……善悪をわきまえることができるように,キリストの光の中で熱心に求め〔なければならない。〕もしあなたがたが善いものをことごとく手にして,それを非難しなければ,あなたがたは必ずキリストの子となる。

さて,……どのようにすればあなたがたは,善いものをことごとく手にできるのであろうか。」3

善いものをことごとく手にするには信仰が必要です。皆さんが愛ある神の娘であるという信仰が増すよう心から祈っています。皆さんは,人生という旅でこの地点まで到達した勇敢な人々であると証します。皆さんは義の敵から標的にされていますが,同時に天の御父と主イエス・キリストに保護され,見守られているのです。御二方は皆さんを御存じです。皆さんがどのような力や人々に取り囲まれているかを皆御存じです。皆さんの将来に何が待ち受けているかを御存じです。だからこそ御二方は,皆さんが何を選び,どの願いを満たそうとし,どの環境に身を置くかを選べば,最も光の中にとどまりやすくなるかを御存じなのです。皆さんがキリストの御霊により,また聖霊によって,どのような困難が来ても自信をもって歩んで行けることを証します。つらい試練にも遭遇するでしょう。それは皆さんがとても価値のある存在だからです。決してがっかりしたり,恐れたりする必要はありません。困難を切り抜ける道は皆さんのために常に備えられています。信仰を働かせることでその道を見いだすことでしょう。

信仰をもって祈らなくてはなりません。信仰をもって神の御言葉について深く考えなければなりません。信仰をもってこれらのことを行い,キリストの御霊と聖霊がとどまるような場所を選ばなくてはなりません。

これからの数日間で,皆さんがキリストの御霊と聖霊の輝きを日常生活で感じることができると約束します。光の中を歩めば,その瞬間に温かさと幸せを感じるでしょう。その気持ちは,皆さんが連れて行くほかの何百,いえ恐らく何千もの人々とともに,再び天の家に迎え入れられるときに完全なものとなります。彼らは,皆さんの模範に従って光の中を歩むのです。

この教会はイエス・キリストの真の教会です。生ける預言者トーマス・S・モンソン大管長がいます。皆さんが光に照らされた道を歩めるよう,真の僕と天使の両方が助けてくれます。このことをイエス・キリストの神聖な御名により証します。アーメン。