2000–2009
人生のかじ取りに役立つ賜物
2009年4月


2:3

人生のかじ取りに役立つ賜たま物もの

人は……この人生の旅路を独りで歩むのではありません。それを助けるために必要な賜物が天の御父から与えられています。

天の御父は,わたしたちに主イエス・キリストとその贖いを土台とする幸福の計画を与えてくださいました。イエス・キリストの教えと模範に従うことによって,この計画における人の役割をより明確に理解することができます。

モーセ書第1章には,神の業は「人の不死不滅と永遠の命をもたらすこと」1であるという簡潔ながらも非常に貴い言葉が書かれています。

人は御父のみもとへ戻り,御父のようになるというこの人生の旅路を独りで歩むのではありません。それを助けるために必要な賜物が天の御父から与えられています。

霊的な賜物とは,神がその子供たちにお与えになる祝福または能力です。2それは永遠の目的地を目指す人生のかじ取りを助けてくれます。

イエス・キリストという救い主を備えた計画があるという知識は,わたしたちに大きな安らぎを与えてくれます。3主の犠牲により,悔い改めることで福音の教えに従うすべての人々の罪が赦されるのです。御父のみもとへ帰ってともに住むために助けが与えられているという知識は,大きな安らぎを与えてくれます。生涯を通して未知の海原を独りで渡るのではないという知識は,大きな安らぎを与えてくれます。

人生のかじ取りを助けてくれる一つの賜物は,すべての人に与えられています。それは選択する力です。

わたしたちがする選択にはまぎれもなく人生を変える力があります。この賜物を持つことはわたしたちへのたぐいまれな信頼のしるしであり,同時に,それを賢明に使うという重大な責任を負うことでもあります。天の御父は人の選択の自由を尊重され,正しい選択を強いたり,愚かな選択を妨げたりはなさいません。4しかし,御父はこの重大かつ不可欠な賜物について,聖文にはっきりと述べておられます。「しかし見よ,神から出るものはいつも善を行うように誘い,促す。したがって,善を行い,神を愛し,神に仕えるように誘い,促すものはすべて,神の霊感を受けているのである。」5

「いつも善を行う」という言葉は,選択の自由を行使するときに用いるべき標準を表しています。

選択には結果が伴います。それは決定をしてからすぐに現れるものもあれば,すぐに現れないものもあります。授けられた霊的な賜物を使うことは,正しい道を歩み続けるために最も大切なことです。

最近わたしは小型のGPS受信器を使いました。この驚くべき機器には,はるか上空の衛星から送られてくる周波数に合わせたアンテナと,地上におけるわたしの現在位置を示す画面が付いています。

この数十年間,このような機器が広く使われるようになりました。科学的な目的や,地図の製作や測量のため,最近では運転中に道に迷わないようにするために使われています。

歴史を通じて,人は道に迷わないように様々な努力を重ねてきました。わたしの母国ポルトガルを例に取ると,15世紀の大陸発見時代に,航海士たちは「リスボンの港から,前人未到の大海原に向けて帆を張った」6のですが,彼らは目的地へ無事到着するために,最高の地図や夜空の星の読み方を利用し,当時の最新式の帆船に乗り込みました。それにもかかわらず,風に逆らって航海するのはたやすいことではありませんでしたし,大海で長い時間さまようこともしばしばあったのです。

一方今こん日にち,このGPS受信器を使えば,次のような質問の答えを即座に得ることができます。

  • 現在位置は?

  • 進行方向は?

  • 目的地へ行く最善の方法は?

  • 到着予定時刻は?

この小さな機器を使うことで安心して運転することができます。そして,行きたい場所に間違いなく到着できる確信があります。

ところがある日,地下駐車場へ入ったとき,この機器の新しい機能を知ることになります。「電波が受信できなくなりました」と突然警告してきたのです。駐車場のコンクリートの厚い壁が,衛星からの信号を遮断して,受信できなくなったのです。

地上に出て来たときに,もう一つ分かったのは,必要な信号を再受信するまでに時間がかかるということでした。

わたしたちの心の中にも「GPS」があって,正しい選択ができるように,また常に善悪を知ることができるように助けてくれます。

「キリストの光がすべての人に与えられているので,人は生まれながらに善悪をわきまえる能力を持っている(教義と聖約84:46)。この能力は良心と呼ばれている。人はこの能力があるために,責任を負う存在となっている。」7

さらに,教会員として,わたしたちには,慰めや,守り,導きを与えてくれる聖霊の賜物が与えられています。8

しかしながら,他の能力と同じように,良心も罪や誤用によって鈍くなることがあります。9神にかかわることに鈍感になると,人を導く信号を受信できなくなってしまいます。戒めを守ることが神からの「強い信号」を受け続けるための最善策です。

わたしたちの愛するトーマス・S・モンソン大管長はこう述べています。「わたしたちの生涯は,わたしたちの下す決定のいかんに懸かっています。言い換えれば,日々の決定が人の行く末を決めるのです。」10

わたしは,善を選べばやがては幸せへと導かれ,誤った選択をすれば惨めな状態に引き落とされることを証します。11善を選ぶようになり,戒めを守るならば,次のような結果に導くパターンが築かれます。

  • 生活に充実感を得る。

  • 天の御父と御子イエス・キリストにさらに似た者になる。

  • 忠実な人に約束されたすべての祝福を受け継ぐにふさわしくなる。

人生のかじ取りを助けるもう一つの賜物は,イエス・キリストについて証する人々の言葉を信じる力です。12

神は,現代を含むすべての時代にわたしたちの預言者を通じて,個人と家族のための幸福の計画を明らかにしてこられました。預言者に従う人々は,神が約束された祝福を受けます。

生ける預言者は常に信頼できます。彼らの教えは主の御み言こと葉ばと御み心こころを反映しています。「まことに主なる神はそのしもべである預言者にその隠れた事を示さないでは,何事をもなされない」13のです。

初等協会の歌はこう勧告しています。

したがおう預言者に 

じゅうじゅんに道それず

したがおう預言者は 主の道を知っている

たしかな道歩むために

耳かたむけしたがおう

主の預言者とく教え14

天の御父は一人一人を心にかけ,祈りを聞き,こたえてくださること,また預言者に御心を伝えてわたしたちを導いてくださることを証します。信仰を強め,預言者の言葉に従って生活することによって,わたしたちは幸福の計画とその中でイエス・キリストが主要な役割を果たされていることへの証を強めることができます。

選択する力とイエス・キリストについて証する人々の言葉を信じるという生来の力によって,人生という大海を渡り,永遠の目的地へ到達できるのです。

この週末わたしたちは預言者,聖見者,啓示者から教えを受けました。わたしは天の御父が与えてくださった導きと,救い主,贖い主である御子イエス・キリストに感謝しています。御二方が生き,わたしたちを愛しておられること,これまでに受けた教えに従うならば,正しい選択をし,道に迷うことなく,永遠の故郷へ到達できることを証します。イエス・キリスの御み名なにより,アーメン。.