総大会
神に勝利を
2020年10月総大会


18:51

神に勝利を

あなたは人生の中で進んで神に勝利を得ていただこうとしていますか。あなたは人生の中で進んで神を最も重要な影響力としていますか。

愛する兄弟姉妹の皆さん,この大会のすばらしいメッセージと,今皆さんにお話しできることに心から感謝します。

36年以上にわたって使徒の務めを果たす間,わたしはイスラエルの集合の教義に常に引き付けられてきました。1イスラエルの集合に関するすべてに興味をそそられます。例えば,アブラハム,イサク,ヤコブの務めと名前2,彼らとその妻たちの人生,神が彼らと,さらには彼らの血統と交わされた聖約,3十二部族の散乱,現代における集合に関する数多くの預言などです。

わたしは集合について研究し,祈り,関連する聖文をよく味わい,理解を増すことができるよう主に願い求めてきました。

ですから,最近新たな洞察に至ったときのわたしの喜びは容易に想像できるでしょう。ヘブライ語の二人の学者の助けを受けて,わたしはイスラエルという言葉のヘブライ語の意味が「神に勝利を得させよ」4であると知りました。したがって,イスラエルという名前はまさしく,人生の中で進んで神に勝利を得ていただこうとする人を指すのです。この概念に魂を揺さぶられました!

「進んで」という言葉は,「イスラエル」という言葉のこの解釈において非常に重要です。5だれもが選択の自由を持っています。イスラエルの者となるかどうかを選べます。人生の中で神に勝利を得ていただくかどうかを選べます。神に,人生の中で最も強い影響力となっていただくかどうかを選べます。

ここで少し,アブラハムの孫,ヤコブの生涯の重要な転機を思い出してみましょう。自ら「ペニエル」(「神の顔」の意)と名付けた場所で,6ヤコブは深刻な問題のために葛藤していました。選択の自由が試されていたのです。この葛藤を通して,ヤコブは自分に最も大切なものを証明しました。人生の中で進んで神に勝利を得ていただくことを身をもって示したのです。これを受けて,神はヤコブの名前を,「神に勝利を得させよ」という意味のイスラエル 7に変えられました。次いで,神はアブラハムの頭に注がれたあらゆる祝福をイスラエルに約束されました。8

残念ながら,イスラエルの子孫は神とのこの聖約を破ってしまいました。彼らは預言者に石を投げ,人生の中で進んで神に勝利を得ていただこうとしませんでした。その結果,神は彼らを地の四方に散らされました。9後に,慈悲深い神は彼らを集めると約束されました。イザヤはこのように記しています。「わたしはしばしばあなた〔イスラエル〕を捨てたけれども,大いなるあわれみをもってあなたを集める。」10

イスラエルという言葉のヘブライ語の定義を念頭に置くと,イスラエルの集合が新たな意味合いを帯びることが分かります。主は,人生の中で進んで神に勝利を得ていただこうとする人々を集めておられるのです。主は,神を人生の中の最も重要な影響力とすることを選ぶ人々を集めておられるのです。

何世紀にもわたり,預言者たちはこの集合について預言し,11今まさにそれが実現しています!主の再臨に欠かせない前触れである集合は,世界で最も重要な業なのです。

福千年に先立つこの集合は,大勢の人々が信仰と霊的な勇気を増していく,一人一人の物語です。そして,末日聖徒イエス・キリスト教会の会員,すなわち「末日の聖約のイスラエル」であるわたしたちは,12この重要な業において主を補佐するよう命じられています。13

幕の両側のイスラエルの集合について語る際,もちろん,それは伝道,神殿,家族歴史の業を指します。そして,ともに生活し,働き,仕える人々の心に宿る信仰と証を育むこともこれに含まれています。だれかが聖約を交わし,それを守れるよう助けるために何かを行うときはいつでも,それが幕のどちら側であろうと,イスラエルの集合を助けているのです。

少し前に,孫息子の妻が霊的な悩みを抱えていました。その女性を仮に「ジル」としましょう。断食と祈り,神権の祝福にもかかわらず,ジルの父親の命が尽きようとしていました。ジルは,父親も証も失ってしまうのではないかという恐れに襲われました。

ある晩遅く,わたしは妻のウェンディーからジルの状況を聞きました。翌朝,ウェンディーは,ジルの霊的な葛藤に対してわたしが言ったある言葉をジルに伝えた方がよいと感じました。それは,「近視眼的」という言葉でした。

ジルは後になってウェンディーに,初めはわたしの反応に打ちのめされたと打ち明けて言いました。「父に奇跡が起こると祖父が約束してくれることを期待していました。なぜ,言わざるを得ないと感じたのが『近視眼的』という言葉だったのか,ずっと考えていました。」

ジルの父親が亡くなった後,「近視眼的」という言葉が繰り返しジルの脳裏によみがえりました。心を開くと,「近視眼的」という言葉は,目先のことしか見えないことだという理解をさらに深めました。すると,考え方が変わり始めました。ジルはこう続けました。「『近視眼的』という言葉のおかげで,立ち止まり,考え,癒されました。この言葉のおかげで,今では平安で満たされます。視野が広がり,永遠を求めることを思い起こします。神の計画が存在し,父はまだ生きていて,わたしを愛し,見守ってくれていることを思い出します。『近視眼的』という言葉のおかげで神へと導かれたのです。」

貴い義理の孫娘を誇りに思います。人生のこの痛ましい時期に,愛するジルは,自分の人生に対する永遠の観点に立ち,父親に関する神の御心を受け入れつつあります。神に勝利を得ていただくことを選択することにより,ジルは平安を見いだしつつあります。

わたしたちが受け入れさえすれば,イスラエルという言葉のこのヘブライ語訳は様々な点で助けとなります。この概念を念頭に置くと,宣教師のための祈り,そしてイスラエルの集合のための自分の取り組みに関する祈りがどのように変わるか想像してください。わたしたちはよく,イエス・キリストの回復された福音の真理を受け入れる備えのできている人のもとに宣教師やわたしたちが導かれるようにと祈ります。人生の中で進んで神に勝利を得ていただきたいと望んでいる人を見いだせるよう求めるときに,わたしたちはどのような人に導かれるでしょうか。

神やイエス・キリストを信じたことがないけれども,御二方とその幸福の計画について学びたいと望んでいる人々のもとに導かれるかもしれません。「聖約の子」として生まれ14ながら,聖約の道からそれてしまった人かもしれません。今や,悔い改め,戻り,神に勝利を得ていただく準備ができているかもしれません。わたしたちは,手を広げて寛大な心で歓迎することにより,彼らを支えることができます。また,人生に何かが欠けていると常に感じてきた人のもとに導かれるかもしれません。彼らも,人生の中で進んで神に勝利を得ていただきたいと望んでいる人にもたらされる完全さと喜びを望んでいるのです。

散らされたイスラエルを集めようとする福音の網は非常に大きなものです。イエス・キリストの福音を完全に受け入れる人たち,一人一人が入る余地があります。生まれながらか養子縁組かにかかわらず,改宗者は神の聖約の子となります。15そして,神が忠実なイスラエルの子供たちに約束されてきたすべてを受け継ぐ者となります。16

わたしたちは神の子なので,神のようになる可能性をもっています。すべての人は神の目に等しい存在です。この真理が意味していることは非常に深遠です。兄弟姉妹の皆さん,これからわたしが話すことに注意深く耳を傾けてください。神は特定の人種を偏り見られません。このことに関する神の教義は明白です。主は,「黒人も白人も,束縛された者も自由な者も,男も女も」17 すべての人 を御自分のもとに来るよう招いておられます。

神のあなたに対する評価は肌の色によって決められていないことを断言します。神に好まれるか好まれないかは,肌の色ではなく,神と神の戒めに対するあなたの献身にかかっています。

世界中の黒人の兄弟姉妹が人種差別と偏見による痛みに耐えていることを悲しく思います。あらゆる所にいる会員の皆さんに,偏見的な態度や行動を率先して捨て去るよう呼びかけます。すべての神の子供たちに対する敬意を広めるよう嘆願します。

人種に関係なく,同じ問いに答える必要があります。あなたは人生の中で進んで神に勝利を得ていただこうとしていますか。あなたは人生の中で進んで神を最も重要な影響力としていますか。神の言葉や戒め,聖約の影響を日々の行いに反映させていますか。神の声を何よりも優先させますか。あらゆる野心よりも,神から行うよう求められることを進んで優先させていますか。進んで自分の意志を神の御心にのみ込まれるがままにしていますか。18

進んで行う精神はどのような祝福をもたらすでしょうか。もし未婚で永遠の伴侶を求めているならば,「イスラエルの者」となる望みは,デートの相手や方法を決定する助けとなるでしょう。

もし既婚で伴侶が聖約を破ったならば,人生の中で進んで神に勝利を得ていただくことにより,神との聖約を完全なままに保つことができるでしょう。救い主が打ち砕かれた心を癒してくださいます。前進する方法を願い求めるときに天が開くでしょう。さまよったり悩んだりする必要はありません。

福音や教会について心からの疑問がある人は,神に勝利を得ていただこうとするときに,生活の指針となり,聖約の道に確固としてとどまる助けとなる,絶対的な永遠の真理を見いだし,理解できるよう導かれるでしょう。

誘惑に直面するとき,あなたが疲れ切っているときや,孤独を感じたり,誤解を受けたと感じているときに誘惑を受けたとしても,人生の中で神に勝利を得ていただく選択をし,自分を強めてほしいと神に懇願するときにどれほど勇気を出すことができるか想像してください。

最大の望みが神に勝利を得ていただくこと,すなわちイスラエルの一員となることであるとき,多くの決断は容易になります。問題が問題でなくなります!どのような身なりがよいか分かるでしょう。観るものや読むもの,時間を過ごす場所,交わるべき人が分かるでしょう。達成したいことが分かるでしょう。ほんとうになりたいのはどのような人であるかが分かるでしょう。

さて,兄弟姉妹の皆さん,神に勝利を得ていただくには信仰と勇気の両方が必要です。悔い改め,イエス・キリストの贖罪を通して生まれながらの人を捨てるには,一貫した,綿密で霊的な取り組みが必要です。19福音を研究する習慣を身につけ,天の御父とイエス・キリストについてさらに学び,個人の啓示を求めてそれにこたえるには,一貫した,日々の努力が必要です。

使徒パウロが預言したこの苦難の時代においては,20サタンはもはや,神の計画への攻撃を隠そうともしていません。意気盛んな悪が蔓延しています。したがって,霊的に生き残る唯一の方法は,人生の中で神に勝利を得ていただき,神の声を聞くことを学び,イスラエルの集合を助けるために精力を使うことです。

さて,神に勝利を得ていただこうとする人々について,主はどのように感じておられるのでしょうか。ニーファイはそれを見事にまとめ上げています。「そして主は,主を神とする人々を愛されます。まことに,主はわたしたちの先祖を愛し,彼ら,すなわちアブラハム,イサク,ヤコブと聖約を交わされました。そして主は,御自分が交わした聖約を覚えておられます。」21

主はイスラエルのために何を しよう と思っておられるのでしょうか。主は,「〔わたしたち〕と,〔わたしたち〕の子供たちと,〔わたしたち〕の子供たちの子孫……三代,四代にわたって……〔わたしたち〕の戦いを戦う」22と誓っておられます。

今後半年間聖典を研究するときに,主が聖約のイスラエルのためにすると約束されたすべてのことのリストを作るようお勧めします。きっと驚くでしょう!その約束について深く考えてください。そのことについて家族や友人と話してください。その約束が自分の人生の中で成就し,目にすることができるよう生活してください。

愛する兄弟姉妹の皆さん,人生の中で神に勝利を得ていただく選択をするとき,神が「奇跡の神」であられることを身を持って経験するでしょう。23わたしたちは神の聖約の子である一つの民として,神の名によって呼ばれるでしょう。このことをイエス・キリストの聖なる御名により証します,アーメン。

  1. 使徒としての36年間の800以上の話の中で,少なくとも378回イスラエルについて話した。

  2. 「アブラム」はヘブライ語で,「昇栄した父」を意味する貴い名前である。しかし,神がその名を,「多くの人々の父」を意味する「アブラハム」に変えられたときに,この名前はさらに大きな重要性を帯びた。確かにアブラハムは「多くの国民の父」となるべき人物だった(創世17:5ネヘミヤ9:7参照)。

  3. 主なる神エホバはアブラハムと次のような聖約を交わされた。すなわち,世の救い主がアブラハムの子孫から生まれること,特定の地を受け継ぐこと,あらゆる国民はアブラハムの血統を通して祝福を受けるという聖約が交わされた(『聖句ガイド』「アブラハムの聖約」の項参照)。

  4. See Bible Dictionary, “Israel.”

  5. イスラエルという言葉は,聖典に1,000回以上出てくる。この言葉は,ヤコブ(イスラエル)の家族(12人の息子と娘)を指すことがある(創世35:23-2646:7参照)。今日,地球上の地理的な場所を指すこともある。しかし,教義として使用されている場合には,人生の中で進んで神に勝利を得ていただこうとする人々を指す。

  6. 創世32:30参照

  7. 創世32:28参照

  8. 創世35:11-12 参照

  9. さらに詳しく研究するには,『聖句ガイド』「イスラエル」の項にある「イスラエルの散乱」を参照。

  10. イザヤ54:7

  11. イザヤ11:11-122ニーファイ21:11-12モーサヤ15:11参照

  12. See Encyclopedia of Mormonism (1992), “Covenant Israel, Latter-Day,” 1:330–31.

  13. 主は,わたしたちがイスラエルの集合に参加するときに集められる人々についてすばらしい表現をされている。主はわたしたちを集団として,「わたしの宝」(出エジプト19:5;;マラキ3:17),「わたしの宝石」(教義と聖約101:3),「聖なる民」(出エジプト19:6申命14:226:18詩篇135:4も参照)と呼んでおられる。

  14. この語句は神がアブラハムと交わされた次の聖約に言及している。「あなたの子孫により,地のすべての部族が祝福を受けるであろう。」(3ニーファイ20:27)「聖約の子」とは,その人が生まれる前にその母と父が神殿で結び固めを受けたことを意味している。

  15. 神はアブラハムにそのような約束を教えられた。「わたしはあなたの名によって彼らを祝福しよう。この福音を受け入れるすべての者はあなたの名によって呼ばれ,あなたの子孫と見なされ,立ち上がってあなたを父としてたたえるであろう。」 (アブラハム2:10ローマ8:14-17ガラテヤ3:26-29も参照)

  16. それぞれの忠実な会員は,祝福師の祝福を求めることができる。聖霊の霊感を通して,祝福師はイスラエルの家におけるその人の血統を宣言する。その血統は,必ずしもその人の人種や国籍,遺伝子構造を宣言するものではない。宣言された血統は,その人がイスラエルのどの部族を通して祝福を受けるかを明確にするものである。

  17. 2ニーファイ26:33

  18. モーサヤ15:7参照。イスラエルの者となることは,勇気に欠ける人には不向きでである。神がアブラハムの子孫に用意しておられるすべての祝福を受けるには,自分独自の「アブラハムの試し」を受けることが予想される。預言者ジョセフ・スミスが教えたように,神はわたしたちの心の奥の深い感情を苦しめ,わたしたちを試されるだろう( 『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』 231のジョン・テーラーの回想を参照)。

  19. モーサヤ3:19参照。

  20. 2テモテ3:1-13参照

  21. 1ニーファイ17:40 強調付加

  22. 教義と聖約98:37詩篇31:23イザヤ49:25教義と聖約105:14も参照

  23. モルモン9:11