総大会
キリストのことを話す
2020年10月総大会


15:1

キリストのことを話す

イエス・キリストについて語られることが少なくなっている世界で,キリストについて大いに語ろうではありませんか。

愛する友人,信仰をともにする皆さん。皆さんを愛しています。わたしはこの数か月,皆さんの信仰と勇気に敬服してきました。この世界的なパンデミックのために,わたしたちは不自由な生活を強いられ,大切な家族や愛する友人を失っています。

この不確かな時期,イエスがキリストであるという確固たる知識があることに,わたしは特別な感謝の気持ちを感じてきました。皆さんもそうでしょうか。不安をかきたてる問題はだれにでもありますが,「わたしは道であり,真理であり,命である」とへりくだって宣言された御方が,いつもわたしたちの前におられます。1物理的にお互いに距離を保たなければならない時期ですが,愛をもって「わたしのもとにきなさい」と招かれる御方と霊的な距離を置く必要はありません。2

晴れた夜空に輝く導きの星のように,イエス・キリストは行く手を照らしてくださいます。キリストは粗末な馬小屋でお生まれになり,非の打ち所のない生涯を送られました。病人を癒し,死人を生き返らせ,忘れられた者の友となられました。善いことを行い,従順になり,互いに愛し合うようにと教えられました。十字架にかけられ,3日後に威厳を持ってよみがえって,わたしたちと大切な人たちが墓を越えて生きられるようにしてくださいました。比類ない憐れみと恵みによってわたしたちの罪と苦しみを御自分の身に受け,わたしたちが悔い改めるならば罪が赦されるようにし,人生の嵐に平安をもたらしてくださったのです。わたしたちは主を愛します。主を礼拝します。主に従います。主は心の錨です。

興味深いことに,この霊的な確信がわたしたちの中で強くなる一方で,イエス・キリストについてほとんど知らない人がたくさんこの地上にいますし,主の名が数世紀にわたって宣べ伝えられているのにイエス・キリストを信じる信仰が衰退している地域が世界にはあります。ヨーロッパの雄々しい聖徒たちは,数十年にわたって自国で信仰が衰えていくのを見てきました。3残念なことに,ここアメリカ合衆国でも信仰が衰退しています。この10年の間に,アメリカ合衆国に住む3,000万人の人がイエス・キリストの神性を信じるのをやめているということが,最近の調査で分かりました。4世界を見ると,数十年後にはキリスト教を辞める人がキリスト教徒になる人の2倍に増えることが,別の調査から分かっています。5

もちろんわたしたちは,各人の選ぶ権利を尊重していますが,天の御父は「これはわたしの愛する子である。彼に聞きなさい」と宣言されたのです。6将来,すべてのひざがかがみ,すべての舌がイエスはキリストであると告白する日が来ることを,わたしは証します7

移り変わるこの世の中に,わたしたちはどう対応して行けばよいのでしょうか。信仰に無頓着な人もいれば,真理を探し求めている人もいます。わたしたちは主の御名を受けてきました。ほかにどんなことができるでしょうか。

ラッセル・M・ネルソン大管長の備え

その答えの一部は,ラッセル・M・ネルソン大管長が教会の大管長の召しを受ける何か月か前に主から受けた教えを思い起こせば分かります。召しを受ける1年前,ネルソン会長はTopical Guide(「トピカルガイド」)にある「イエス・キリスト」の項の2,200の参照聖句をさらに深く研究するようにと勧めました。8

聖典を学習するネルソン大管長

そしてその3か月後の4月の総大会で,数十年間献身的な弟子の働きをしてきた自分でさえ,イエス・キリストに関するこの深い研究からどれほど大きな影響を受けたかを話しました。ネルソン大管長はウェンディー・ネルソン姉妹からその影響について聞かれて,こう答えています。「別人になったよ!」92歳にして別人になったのでしょうか。ネルソン大管長は次のように説明しています。

「時間を割き,救い主とその贖いの犠牲について学んでいると,主……〔のもと〕に導かれます。……

救い主とその福音に焦点を絞る〔ようになり〕ます。」9

救い主は言われました。「あらゆる思いの中でわたしを仰ぎ見なさい。」10

仕事や煩い,価値のある活動に囲まれた世の中で,希望であり,救いである主に心と思い,考えを向け続けるのです。

新しい方法による救い主の研究がネルソン大管長の備えになったのだとしたら,わたしたちの備えにもなるのではないでしょうか。

ラッセル・M・ネルソン会長

教会の名称を強調して,ネルソン大管長はこう教えました。「もし……イエス・キリストの贖いの力,つまり清め,癒し,強め,大いなる者とし,最終的に昇栄させる力を受けるのであれば,わたしたちは主をその力の源としてはっきりと認めなければなりません。」11教会の正しい名称を常に使うことは小さなことに見えるかもしれないが,実は小さなことなどではなく世界の未来を形造ることなのだと,ネルソン大管長は教えています。

備えに対する約束

ネルソン大管長がしたように自分を備えるならばわたしたちも別人になれることを,皆さんに約束します。救い主のことをさらによく考えるようになり,救い主についてさらに頻繁に,以前ほどためらうことなく話すようになるでしょう。救い主に対する知識と愛が深くなるにつれて,子供の一人について話すときや仲の良い友達について話すときと同じように,言葉が口をついて出てくるようになります。聞く人たちは議論したり話を切り上げたりする気持ちが薄れ,あなたに耳を傾けて学ぼうという気持ちが増すでしょう。

皆さんもわたしも,イエス・キリストについて語っていますが,もう少しその先を行けるかもしれません。世の人たちがイエスについて語ることが少なくなるとしたら,だれがよりイエスについて語るのでしょうか。わたしたちです!ほかの献身的なキリスト教徒とともに語るのです!

家庭でキリストについて話す

家に救い主の肖像画はありますか。自分の子供にイエスのたとえ話をよく話して聞かせていますか。「イエスの話は,子供たちの心にある信仰の残り火を燃え立たせる風のよう〔です〕。」12自分の子供から質問を受けたら,意識して救い主が教えられたことを教えることを考えてください。例えば,「パパ,どうしてお祈りするの」と子供に聞かれたら,こう答えるのです。「いい質問だね。イエス様が祈られたときのことを覚えているかな。イエス様がなぜ祈られたのか,どんな風に祈られたのかについて話そう。」

「どこ​に​​罪​の​赦し​を​求めれば​よい​か​を,わたしたち​の​​子孫​に​知らせる​ため​に,」​「​わたしたち​は​キリスト​の​こと​を​​話し,キリスト​の​こと​を​喜〔ぶ〕……の​で​ある。」13

教会でキリストについて話す

この同じ聖句は,「キリスト​の​こと​を​説教」するとも言っています。14礼拝行事では,救い主イエス・キリストとその贖罪の犠牲の賜物について話しましょう。これは,自分の経験を話したりほかの人の考えを伝えたりしてはいけないという意味ではありません。話のテーマが家族や奉仕,神殿,帰還したばかりの伝道についてだったとしても,礼拝では,すべてが主イエス・キリストを指し示すべきです。

30年前,ダリン・H・オークス管長は,「〔聖餐〕会に出席して17人の証を聞いたが救い主の話は一つもなかったと言う男性から」届いた手紙について話しました。15そして,「恐らくこれは少し誇張した表現でしょう〔が〕,この手紙を引用したのは,わたしたちすべての注意を喚起してくれると思ったからです」16と付け加えて,お話やレッスンにおけるディスカッションの中でよりイエス・キリストについて話すようわたしたちを招きました。わたしが見てきたところでは,教会員は教会の集会でキリストについてよく話すようになってきています。このすばらしい努力を意識して続けていきましょう。

ほかの人とキリストについて話す

周りの人たちと,もっとオープンに,もっと積極的にキリストのことを話しましょう。ラッセル・M・ネルソン大管長は,こう言っています。「イエス・キリストのまことの弟子は,自分の立場を明確にし,率直に語り,世の人々と一線を画すことにためらいを感じません。」17

わたしたちは時々,だれかと話したらその人が教会に来たり宣教師に会ったりするようにならないといけないと考えることがあります。本人の意志に応じてその人を導くのは主にお任せして,わたしたちは主の言葉を伝える責任についてもっと考え,自分の信仰についてよく考えて,オープンに話してください。週末について聞かれたら初等協会の子供たちが「イエス様のように」を歌うのを聞けてよかったと,ためらうことなく喜んで言うようにと,ディーター・F・ウークトドルフ長老は教えています。18キリストを信じていることを,思いやりを込めて証してください。個人的な悩みを持ちかけてくる人がいたら,こう言いましょう。「わたしがイエス・キリストを信じていることは知っていますよね。キリストの言葉の中であなたの助けになるものはないかと,ずっと考えていました。」

キリストを信じていることを,ソーシャルメディアでもっとオープンに伝えてください。たいていはあなたの信仰を尊重してくれますが,救い主について話したときに軽蔑的な態度を取る人がいたら,主の次の約束から勇気を得てください。「わたしのために人々があなたがたをののし〔る〕……時には,あなたがたは,さいわいである。……天においてあなたがたの受ける報いは大きい。」19自分に従う人たちから「好かれる」よりも,主に従う者になることの方が大切です。ペテロはこう勧告しています。「あなたがたのうちにある望みについて……,いつでも弁明のできる用意をしていなさい。」20キリストのことを話しましょう。

モルモン書は,イエス・キリストについて力強く証しています。事実,どのページでも救い主とその神聖な使命について証しているのです。21救い主の贖罪と恵みに関する知識が満載です。新約聖書と対を成す書物として,モルモン書は救い主がわたしたちを救うために来られた理由と,わたしたちがもっと深い意味で主に近づくことのできる方法をよく理解するのに役立ちます。

ときに,同じキリスト教徒の中には,この教会の信条や動機に対して不確かな気持ちを抱いている人がいます。同じキリストと,皆の愛読書である新約聖書を信じていることを,彼らとともに純粋に喜びましょう。これからの時代は,イエス・キリストを信じる者たちが友好を深めて支え合っていく必要があります。22

世の光

イエス・キリストについて語られることが少なくなっている世界で,キリストについて大いに語ろうではありませんか。イエスの弟子としてのわたしたちのほんとうの人格が分かってくると,周囲の多くは話を聞きたがるでしょう。キリストから受けている光を分かち合うならば,キリストの光と,すべてを超越した救いの力は,心を開く人の上に輝きわたります。「わたしは光としてこの世にきた」とイエスは言われました。23

キリストについて話す望みを高める

イエスの再臨を思い描くと,わたしはキリストのことをもっと話したくなります。いつ来られるかは分かりませんが,イエスの再臨は息を飲む出来事になるでしょう。天の雲の中を尊厳と輝きを持ってすべての聖なる天使とともに来られるのです。少数ではなく,すべての天使です。バレンタインカードにあるラファエルの描いた紅色の頬のケルビムのことではありません。わたしが言っているのは,何世紀にもわたって働いている天使のことです。遣わされてししの口を閉ざし,24獄の戸を開き,25長い間待ち望まれた救い主の誕生を告げ,26ゲツセマネで主を慰め,27主が天に昇られたことを主の弟子たちに告げた天使,28そして,輝かしい福音の回復の幕を開けた29天使のことなのです。

再臨

幕のどちらの側からにせよ,わたしたちが引き上げられて主にまみえることを想像できますか。30これは義人に対する主の約束です。このすばらしい経験はわたしたちの魂に永遠に刻まれます。

愛する預言者ラッセル・M・ネルソン大管長に深く感謝しています。救い主をさらに愛し,救い主が神であられることを宣べ伝えたいという望みをかきたててくれています。わたしは,主の手が大管長の上にあることと,啓示の賜物が大管長を導いていることの生き証人です。ネルソン大管長,わたしたちは大管長の勧告を心待ちにしています。

世界中にいる友人の皆さん,「人の前でわたしを受けいれる者を,わたし〔は〕……天にいますわたしの父の前で受けいれるであろう」と主が言われた偉大な約束を待ち望んで,キリストについて話しましょう。31イエスは神の御子であられることを証します。イエス・キリストの御名により,アーメン。

  1. ヨハネ14:6

  2. マタイ11:28

  3. See Niztan Peri-Rotem, “Religion and Fertility in Western Europe: Trends across Cohorts in Britain, France and the Netherlands,” European Journal of Population, May 2016, 231–65, ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4875064.

  4. 「自分の宗教について聞かれて,〔65%〕のアメリカ人の成人はキリスト教と答えました。過去10年間と比べて12%下がっています。同時に,自分自身のことを無神論者,不可知論者,特に信仰はないと答えた,宗教に所属していない人の割合は2009年の17%から上がって26%になっています。」(Pew Research Center, “In U.S., Decline of Christianity Continues at Rapid Pace,” Oct. 17, 2019, pewforum.org).

  5. See Pew Research Center, “The Future of World Religions: Population Growth Projections, 2010–2050,” Apr. 2, 2015, pewforum.org.

  6. マルコ9:7ルカ9:35マタイ3:17ジョセフスミス―歴史1:17も参照

  7. ピリピ2:9-11参照

  8. ラッセル・M・ネルソン「預言者,指導力,神の律法」(ヤングアダルトのためのワールドワイド・ディボーショナル,2017年1月8日),broadcasts.ChurchofJesusChrist.org.参照

  9. ラッセル・M・ネルソン「イエス・キリストの力を生活に取り入れる『リアホナ』2017年5月号,40-41

  10. 教義と聖約6:36

  11. ラッセル・M・ネルソン「教会の正しい名称『リアホナ』2018年11月号,88

  12. ニール・L・アンダーセン「イエス様の話聞かせて『リアホナ』2010年5月号,108

  13. 2 ニーファイ25:26

  14. 2 ニーファイ25:26

  15. Dallin H. Oaks, “Another Testament of Jesus Christ” (Brigham Young University fireside, June 6, 1993), 7, speeches.byu.edu.

  16. ダリン・H・オークス「キリストの証人」『聖徒の道』1991年1月号,32

  17. ラッセル・M・ネルソン「イエス・キリストの力を生活に取り入れる」39

  18. ディーター・F・ウークトドルフ「伝道活動 ―心の中にあることを伝える」『リアホナ』2019年5月号,15;「イエス様のように」『子供の歌集』40参照

  19. マタイ5:11-12

  20. 1ペテロ3:15

  21. 「〔モルモン書の筆記者である預言者たち〕が約束されたメシヤについて証を記した際に,平均1.7節に1回,何らかの主の御名に言及しています。101ものイエス・キリストの御名に言及しています。通常一節は一文で構成されていることに気づくとき,平均して,モルモン書を二文読んで何らかのキリストの名前を見ないことはありません。」(Susan Easton Black, Finding Christ through the Book of Mormon [1987], 5, 15).

    「欽定訳の『新約聖書』には,贖いを表す“atone”や“atonement”が1度しか出てきませんが,『モルモン書』には35回出てきます。『モルモン書』は,『イエス・キ リス トについてのもう一つの証』として,主の贖いに特に光を当てているのです。」(ラッセル・M・ネルソン「贖い」『聖徒の道』1996年11月号,40)

  22. キリスト教から離れる人は若い人が多いです。「沈黙の世代(1928年から1945年に生まれた人)の10人に8人,またベビー・ブーマーの4分の3(76%)は自分自身がキリスト教徒であると言いました。対照的に,ミレニアル世代の半分(49%)は自分はキリスト教徒であるといい,10人に4人は宗教を持たず,10人に1人はキリスト教ではない宗教を持っていると言っています。(“In U.S., Decline of Christianity Continues,” pewforum.org).

  23. ヨハネ12:46

  24. ダニエル6:22参照

  25. 使徒行伝5:19参照

  26. ルカ2:2-14参照

  27. ルカ 22:42-43参照

  28. 使徒1:9-11参照

  29. 教義と聖約13章27:12-13110:11-16ジョセフ・スミス-歴史1:27-54参照

  30. 1テサロニケ4:16-17教義と聖約88:96-98参照

  31. マタイ10:32