わたしを救った本
わたしたち家族は,わたしが12歳のときに教会に入りました。その贈り物がどれほど大きな意味を持つのか,当時は知る由もありませんでした。教会が真実かどうかすら分かっていなかったのです。でも,父も母も宣教師が伝えるメッセージに感銘を受けていました。わたしも宣教師が好きでしたが,何を言おうとしているのかはよく理解できませんでした。そのうち彼らからバプテスマを勧められ,家族全員が同意するならばみんなで教会に入ることにしました。わたしは同意し,バプテスマを受けましたが,心は改まっていませんでした。
教会やセミナリーに出席するようになりましたが,わたしの家族はしばらくして教会から離れていきました。わたしは教会に友人がいて,彼らと会うためにセミナリーやミューチャルに行きました。福音や教えに興味はなく,教会は大体つまらないと感じていました。そのうち万引きや破壊行為などに手を出してしまい,人生は乱れていきました。父は暴力を振るうようになり,わたしは自殺を考えたりもしました。
でも,自殺という選択肢はあり得ませんでした。とても愛していた母にそのような仕打ちをすることはできなかったからです。ですから,わたしは自分で答えを見つけなければなりませんでした。周りに目を向けると,教会の友人たちが目に入りました。彼らにあってわたしにないものは証でした。バプテスマから4年たった16歳のときに,わたしは初めて腰を据えてモルモン書を読んだのです。
とても難しく,読み終えるまで2年近くかかってしまいました。救い主が復活後にニーファイ人を訪れて子供たちを祝福され,天使が天から降って彼らを取り囲んだことが書かれている第三ニーファイを読んでいると,まるでわたしもニーファイ人の中にいて,その奇跡的な出来事を自分の目で見ているような気持ちになりました。そのすばらしい瞬間について聖霊が証してくださいました。
涙で目がかすみ,それ以上読むことができませんでした。落ち着きを取り戻してから,続きを読みました。数週間が過ぎて最後まで読み終えると,わたしはひざまずき,真実であるかを知るために祈りました。でも,答えは得られませんでした。
この書物が真実なのか,教会が真実なのかを知ろうと,ひざまずいて祈る日々が続きましたが,それでも答えは得られませんでした。モルモン書を読み終えて何週間もたったある日,絶望しながらもわたしはもう一度ひざまずき,尋ねたのです。「天のお父様,モルモン書は真実なのでしょうか。」受けた答えは思いがけないものでした。「わたしはすでにあなたに告げました。あなたはそれが真実であると知っているはずです。」
キリストが子供たちを祝福された場面を何週間も前に読んだとき,わたしは証を得ていたのです。預言者によって回復され,昔のように今も預言者によって導かれるこの教会,末日聖徒イエス・キリスト教会が地上における神の王国であることを,わたしは知っていました。
モルモン書がわたしの命を救ったと言っても決して大げさではありません。ですが,回復された福音がわたしを救い,毎日わたしを新たな者とし,養い続けてくれていると言った方が正しいかもしれません。それはこの上ないわたしの宝物です。