奉仕宣教師
2.身体的なレジリエンスを育む


「2.身体的なレジリエンスを育む」『奉仕宣教師の生活に適応する—リソースブック』(2020年)

「2.身体的なレジリエンスを育む」『奉仕宣教師の生活に適応する』

パンを焼いている奉仕宣教師

2.身体的なレジリエンスを育む

過度のストレスは,健康や睡眠,誘惑に対抗する能力に影響を及ぼす可能性があります。十分な栄養と運動は,ストレスをうまくコントロールするのに役立ちます。身体的な問題を抱えている場合は,そのことについて祈ってください。それから,以下の提案の中から自分に適していそうなものを一つか二つ選んでください。すべての提案がすべての人に効果があるとはかぎりません。ほとんどのアイデアは,最低でも2,3週間は実践しないと効果は出ません。そのほかの提案については,「1.ストレスの下でレジリエンスを育む」を参照してください。

A.熱心に働くことを学ぶ

  • 大きなタスクや難しいタスクは小分けにする。それでもまだ難しいと感じる場合は,タスクをさらに細かく分け,その後,その中の一つのタスクに着手しましょう。「やる気」が出たら始めようと思っていると,きっとなかなか着手することはできません。始めれば,やる気は後からついてくるものです。

  • 自分でペース配分をする。仕事の内容に変化を持たせ,あまりにも長く一つの活動にだけ取り組むことのないようにします。「今しなければならないのはだけだ」と自分に言い聞かせてください。

  • 十分に睡眠を取り,健康的な食事をし,水分を補給し,運動をして,必要な体力をつける。

  • ほかの人からの支援と提案,励ましを喜んで受け入れる。同様に,ほかの人を支援し,励ましましょう。

  • 感謝の気持ちを表す。祝福だけでなく,困難や逆境にも感謝しましょう。そこから学ぶことができます。感謝の気持ちを表すことで,主から祝福や助けを受けるための扉が開かれます。

ハイキングをする奉仕宣教師

B.健康で活力に満ちた状態を保つ

  • 免疫力を上げる。

    • 8時間から9時間睡眠を取る。

    • 気候に応じて,1日に6杯から12杯の水を飲む。

    • 断食するときを除き,食事(特に朝食)を抜かない。

    • 糖分を控える。

    • 毎日マルチビタミンを摂る。

    • 毎日タンパク質を摂る(ナッツ類,豆類,豆腐,卵,牛乳,ヨーグルト,チーズ,魚類,肉類など)。

    • 手を頻繁に洗うか,手指消毒剤を使用する(周りの人が病気の場合は特に)。

    • 冷蔵保存すべき食品を常温で放置しない。疑わしい場合は廃棄する。

      運動中の女性
  • 定期的に運動する。運動は体調を整えるために不可欠です。筋力トレーニングと持久力トレーニングの両方を,1日平均30分,週5回行いましょう。運動は活力を高め,気分を安定させる効果があります。

  • 天候に合わせた服装をする。炎天下の中,屋外で作業する場合は,日焼け止めを塗り,明るい色の服を着るようにしましょう。暑すぎる場合は,手首に冷たい水をかけてください。寒い日には重ね着をし,手袋や帽子も着用しましょう。

  • 居住空間を清潔でほこりのない状態に保つ。きれいな部屋は,気持ちも高めてくれます。親に協力し,家族にも配慮してください。共有スペースの維持管理に協力しましょう。頻繁に風邪をひいたり,アレルギーのある人は,居住空間を清潔に保つことが特に重要です。アレルゲンを減らすために,定期的にタオルやシーツを洗ってください。

C.頭痛,胃痛,筋肉痛に対処する

  • 身体をリラックスさせる訓練をする。リラックスすることで,頭痛や腹痛,背中の痛みなどの体の症状を軽減させることができます。また,下痢や関節痛,動悸,息切れなどにも効果があると言われています。パニックになるのを抑えることもできます。漸進的弛緩法を行って,体をリラックスさせる訓練をしましょう。または,呼吸法を少なくとも3週間,毎日行ってみてください。身体的な症状が出ているときや,過度にストレスを感じているときには,これらのエクササイズで緊張をほぐしてみましょう。気持ちを落ち着ける助けになるはずです。リラックスするときは,チャレンジに対応できるように主が助けてくださると信頼することに,心を集中させてください。このようにしてリラックスすることは,神の御心に身を委ねる一種の方法でもあります。また,「わたしの思いではなく,みこころが成るようにしてください」(ルカ22:42)と言われた,救い主に従う意思を示すことにもなります。

  • 仕事を小さなタスクに分割する。分割したら,一度に一つのタスクにのみ取り組みましょう。各段階で,「わたしが今しなければならないことはだけだ」と自分に言い聞かせてください。例えば,「わたしが今しなければならないことは,奉仕伝道指導者に電話をかけることだけだ」,「わたしが今しなければならないことは,今日を始めるために服を着ることだけだ」などと言うことができるでしょう。

  • 一週間の記録をつける。記録をつけることで,身体的な症状がいつ出てくるのか確認することができます。パターンを見つけてください。例えば,次のような場合に,症状が出やすくなるのかもしれません。

    • 日曜日など,特定の状況下。指導者と一緒にいるときに気分が悪くなることがあるかもしれません。,数時間食事をとっていないときに気分が悪くなることも多々あります。

    • 特定の考え方をするとき。例えば,「もっとうまくやればよかった」と思うときなどがこれにあたります。

    • 不安や怒りなど,話したくない気持ちを抱えているとき。

  • 状況を変えるための方法を考える。例えば,健康的な軽食を持ち歩いたり,考え方を変えてみるとよいでしょう(「否定的な考え方を変える」参照)。また,気持ちを落ち着かせようと努力することもできます(「ストレスに前向きに対処する」参照)。そのほかの提案は,「3.情緒的なレジリエンスを育む」を参照してください。

  • 医師の診察を受ける。症状が続く場合やけがをした場合は,親に相談して医療機関を受診してください。

  • 自分を忘れる。「何を言えばよいのかを忘れてしまいそうだ」と心配していることに気づくこともあれば,「自分は笑いものになっている」と思うこともあるでしょう。だれもが間違いを犯すことを忘れないでください。主は御業を行うために,弱い者や純朴な者を選ばれることを覚えておきましょう(教義と聖約1:24-28参照)。

時計と本

D.よく眠り,時間通りに就寝する

  • 眠れない原因をリストアップする。書き上げたら,書いたリストは脇に置いておきましょう。こうすることで,重要なことを忘れることはないという安心感が得られます。具体的な計画は,朝になったら立てようと自分に言い聞かせましょう。毎晩の祈りは,感謝していることと,その日に学んだことを報告することに心を注いでください。

  • 毎晩の日課を守る。これによって,眠る時間が来たら眠るように体を訓練することができます。例えば,就寝前に,漸進的弛緩法を行いましょう。ベッドの中での読書や飲食は控えましょう。脳が,「ベッドは寝る場所である」と自覚すれば,もっとよく眠れるようになります。毎晩8-9時間の睡眠を取る計画を立ててください。

  • 一日を終える時間には,緊張をほぐしリラックスする。寝る前に,日記を書くか,牛乳や果物などの軽い食べ物か飲み物をとってください。また,適切な音楽を聴いたり,家族と話したり,リラックスするスキルを磨いたりしましょう。この時間帯にリラックスすることを忘れてしまう場合は,就寝予定の30分前にアラームを鳴らすように設定してください。アラームが鳴ったら,今していることをやめて,リラックスして寝る準備を始めてください。

  • 就寝前の1時間は,糖分や運動を控える。

  • 体を温める,または冷やす。暑すぎても寒すぎても,眠るのが難しくなります。冷たいシャワーを浴びるか,毛布を余分に用意しましょう。

  • 光や雑音をできるかぎり防ぐ。光を遮断し,ファンを静かに回したり,耳栓をしたりして,雑音を遮断してください。少しの光や雑音でも,人によっては安眠の妨げになる場合があります。

E.時間通りに起床する

  • まず,時間どおりに就寝する。十分な睡眠がとれていない場合は,30分早く寝るようにしましょう。

  • 定期的に運動する。1日30分程度の運動を3週間から4週間続けると,必要な睡眠時間が短くなったことに気づくかもしれません。体が丈夫になると,活力が増し,リラックスしやすくなります。

  • 就寝前には糖分を控える。就寝前に糖分を控えると,朝の意識がもうろうとした状態が軽減されるかもしれません。

  • 脳をプログラミングする。前日の夜に,翌朝起きたい時間を自分に言い聞かせてください。

  • 可能であれば,タイマーを用意して照明器具に取り付ける。起床時間の15分から20分前に照明器具が点くように,タイマーをセットしましょう。照明器具の明かりが,脳に目覚めるように合図を送ってくれます。

F.家族と食事をとる

  • 家族と一緒に食事の計画を立てる。食材の買い出し,食事の計画と準備,後片付けを行うために時間を割きましょう。

  • 様々な種類の品目をとる。できれば毎日少なくとも5品目の果物や野菜をとることを目標としましょう。

  • 毎日タンパク質を摂取する。たんぱく質を多く含む食べ物には,ナッツ類,豆類,豆腐,卵,牛乳,ヨーグルト,チーズ,魚類,肉類などがあります。

  • 糖分を減らし,カフェィンを避ける。どちらも長期的には人の気分を不安定にさせ,疲れやすくさせる傾向があります。

  • 水やそのほかの飲料を飲む。気候にもよりますが,1日にコップ6杯から12杯の水やそのほかの飲料で水分補給をしましょう。

  • 必要に応じて徐々に体重を減らす。あなたは減量しようとしていますか。もしそうであれば,週に1キロ以上の減量はしないようにしてください。また,水分を多めに摂りましょう。

G.運動への意欲を高める

  • 運動したい気持ちになるように祈る。祈り終えたら,「5分間だけ運動しよう」と自分に言い聞かせて運動を始めましょう。多くの場合,始めれば,やる気が出てくるものです。

  • 運動の効用を思い起こす。免疫力が高まり,活力が増した姿を想像してみましょう。また,ストレスにうまく対処し,精神的にも楽になり,体重管理もできるようになった姿を想像しましょう。運動が苦手な人でも,そのような効果が期待できます。

  • 運動をゲームにする。運動をしながら,後で行う楽しい活動を計画したり,適切な音楽を聞いたりしましょう。運動したら記録に残し,目標を達成したら自分にご褒美をあげましょう。公園やレストラン,買い物に行くことなどをご褒美にしてもよいでしょう。

  • 自分が楽しめる(または一番嫌いではない)運動を見つける。例えば,陽気な音楽に合わせて早歩きやジョギングをするのもいいでしょう。また,縄跳びやストレッチ,腕立て伏せ,腹筋,ヨガなどをしてもよいでしょう。

    走っている女性