「情緒的な備えのためのヒント」『緊急時の備え』（2023年）
情緒的な備えのためのヒント
はじめに
試練や喪失は，わたしたちに身体的，情緒的，社会的，精神的，霊的な影響を及ぼすことがあります。ラッセル・M・ネルソン大管長はわたしたちの備えについて関心を寄せ，次のように述べています。「段階を踏んで物質的な備えをするようお勧めします。しかし，わたしは皆さんの霊的および情緒的な備えによりいっそう関心があります。」（「信仰をもって将来を待ち望む」『リアホナ』2020年11月号，74）
以下を含め，人生のあらゆる困難に対して情緒的に備えておく必要があります：
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緊急事態（自然災害，パンデミック，政治的混乱，戦争，犯罪など）
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個人的な危機（失業，愛する人の死，健康上の問題など）
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生活の変化（定年退職，子育て，人間関係の変化など）
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日々の状況（不安，仕事のストレス，気分の変化，家庭の問題など）
感情は人間の経験の一部であり，本質的に善くも悪くもありません。困難な感情を乗り越える方法の一つは，逆境やストレスの多い状況が生じる前にそれらに対処する備えをすることです。
以下のヒントは，人生における一般的な試練や困難な状況に対処するための情緒的な備えをするのに役立つでしょう。
難しい感情に対処するためのスキルを学ぶ
危機的な出来事や災害によって，圧倒されるほどの恐れや怒り，悲しみ，心配，不安が湧き起こるかもしれません。困難なときに感情をコントロールする様々な方法を学び，実践してください。検討するとよい方法には次のようなものがあります：
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圧倒されるような感情を覚えているときに使う，心の救急箱を作ります。この救急箱には，写真，気分が安らぐ物，布（毛布，服），音楽，本，日記，やることリスト，目標，そのほか自分の必要に合ったサポートアイテムなど，健全な状態を思い起こさせてくれるものを入れておくとよいでしょう。Feelings First Aid Kit（「気持ちの救急箱」）で勧められているものを検討するのもよいでしょう。
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情緒的な苦痛を和らげるための様々な健全な対処方法を練習します（Facing Challenges: A Self-Help Guide〔「困難に立ち向かう：セルフヘルプのためのガイド」〕参照）。このような感情をコントロールするスキルを今練習することで，備えておくことができます。
対処するために用いる手段の中には，緊急時に入手できない可能性のあるものがあることに留意してください。現在，薬を使用している場合は，緊急時にそれらの薬を入手する方法について医師に相談してください。
そのほかのスキルについては，“Ways to Stay Calm in an Emergency”（「緊急時に落ち着きを得る方法」）(DisasterReady [video, July 5, 2022], 6:26)を参照してください。
人間関係を築く
健全なつながりは情緒の安定につながります。手を伸ばして人とつながりましょう。家族や夫婦の関係を強めることから始めるとよいでしょう（「夫婦と家族を強める」参照）。家族や愛する人とつながるのが難しい場合は，近隣の人，職場の同僚，宗教のグループ，共通点のある仲間，地域社会など，身近な人たちに働きかけましょう。
安全と連絡方法の計画を立てる
緊急時に愛する人のことが心配になるのは普通のことです。愛する人たちとの緊急時の連絡方法について計画を立て，災害時にどのように連絡を取り合うかを決めておきましょう。時々，緊急時や災害時に友人や家族が離れ離れになってしまうことがあります。災害の後，再会できるよう計画を立てておくとよいでしょう。「各地域の備えに関するガイド」にある連絡方法と集合方法に関する計画活動は，計画を立てる際の助けとなるでしょう。これにより，愛する人の安全に関する心配が軽減でき，支援のつながりを築きやすくなります。
信頼できる情報源を特定する
最新のニュースを入手することはしばしば必要なことですが，あまりに多くのニュースメディアに目を向けるとメンタルヘルスに悪影響を及ぼす場合があります。信頼できる情報源を特定し，苦痛をもたらす，あるいは信頼性に欠けるニュースやソーシャルメディアによるやり取りを制限するための計画を立てましょう（『総合手引き—末日聖徒イエス・キリスト教会における奉仕』38.8.41参照）。個人や家族，または地域社会が危機にあるとき，安全で有益で信頼できる情報は欠かせません。
自分の強みと，どのような助けができるかを特定する
スキルと強みを分かち合うことによって緊急時に貢献し，復興を助けるための備えをしてください。物理的な援助によって助ける人もいれば，霊的あるいは情緒的なケアを提供する人もいます。今，そして危機にあってどのような方法でボランティアができるかについては，JustServe.orgで確認してください（モーサヤ18：9およびDiscussion Guide: How Can I Minister to Others During a Crisis?〔「話し合いのガイド：危機の際，どのようなミニスタリングができるでしょうか」〕参照）。たとえ無力感を覚えたり途方に暮れてしまいそうなときでも，自分の才能や強みを生かして人を助けることができます。
専門家から援助を受けることを検討する
自分の力で情緒的なレジリエンスを築き，逆境やストレスから立ち直れる人がいる一方で，さらなる助けが必要な人もいます。トラウマを経験したり，進行中のうつや不安，そのほかの深刻な情緒的問題に苦しんだりしている場合には，専門的な治療を受けることを検討してください。専門家はあなたが経験を消化するのを助けてくれます。また役に立たない考えを振り払うのを助け，対処法についてアドバイスをし，精神的および社会的な幸福のために良い決断ができるようにあなたを備えてくれます。詳細については，“What Is Counseling and How Can It Help Me”（「カウンセリングとは何か，わたしをどのように助けてくれるか」）(DisasterReady [video, July , 2022], 7:03)を参照してください。進行中のメンタルヘルスの問題に関する身体的な症状について，医療の助けを求めるのがよい状況もあるでしょう。
希望を見いだすことを忘れない
現実的な楽観主義と希望を育みましょう。ジェフリー・R・ホランド長老は次のように教えています。「回復により，神がこの世にあって働かれるという根本的な真理が再確認されました。ですから，わたしたちはまったく乗り越えられないように思える状況にあっても希望を抱くことができますし，また抱くべきなのです。」（「完全な希望の輝き」『リアホナ』2020年5月号，83）
激しい逆境に見舞われるとき，自分の世界が崩れていくように感じるのは普通のことです。確固とした希望を抱くことによって，今，備えましょう。「希望」の項（「トピックと質問」）および「ラッセル・M・ネルソン大管長：感謝のもたらす癒しの力」を参照してください。
