第11課
父親と母親の神聖な役割
その2:母親の役割
目 的
母親がその神聖な役割をどのように果たし,母親と父親が対等のパートナーとしてどのように互いに助け合うことができるかを参加者に理解させる。
準 備
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教師としてのあなたの責任」(本書 ix-xi)にある原則を復習する。それらの原則を教える準備に応用する方法を探す。
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本課の教義と原則を示す太字の見出しを読む。準備として1週間を通しそれらの教義と原則について深く考える。参加者の必要に合ったレッスンを行うには何を強調すればよいかを決めるに当たって,
御霊 の導きを求める。 -
参加者に『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』をクラスに持参するように言う。
レッスンの進め方の提案
母親は神の業に参加する
レッスンの導入として,参加者とともに十二使徒定員会会員のジェフリー・R・ホランド長老の説教から以下の抜粋を読む(『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』47)。
「ある若い母親から最近手紙を頂きました。彼女の心配はほぼ三つに集約されると言います。一つ目は末日聖徒の母親の務めについて話を聞く度に,自分がふさわしくないか,期待される働きができるようにはならないという心配に駆られると言います。二つ目は子供が言葉を覚え始める前から彼らに読み書きやインテリアデザイン,ラテン語,計算,それにインターネットについて教えるよう世間から期待されているように感じることです。三つ目は,人々の言動がほとんどの場合そういうつもりはないにしても,時折,恩着せがましい無益なものと彼女には感じられるということです。なぜなら,彼女が受ける助言や称賛の言葉でさえ,その中に神が望まれる母親になるために,あるいはなりたいと思うために時に必要とされる精神的な苦労,霊的・情緒的な努力,終日終夜力のかぎり果たさなければならないものが感じられないからだと言います。
それでも,一つのことが彼女に頑張り続ける力を与えてくれたそうです。『これまでの様々な苦労や悲喜こもごもを通して,心の奥底で自分は神の
結局,すべてが耐え切れないように思えたあの避けられない困難な日々に,わたしが思い起こすように努めたのは,この点でした。自分の力不足や心配のせいで人は主を求めるようになり,主の
母親がどのように神の業に参加するかについて,参加者に自分の気持ちを述べてもらう。
母親のおもな責任は子供を養い育てることである
参加者に『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』のivページを開けさせる。家族に関する宣言の第7段落にある以下の言葉に注目させる。「母親には,子供を養い育てるという主要な責任があります。」
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母親はどのように子供を養い育てるだろうか。(母親が及ぼす善い影響を示している経験を分かち合うよう参加者に勧める。その後,以下の言葉を紹介する。)
十二使徒定員会会員のリチャード・G・スコット長老はこう語っている。「主の導きを受けた母親であるあなたは,配慮の行き届いた指導とふさわしい模範により,真理の糸を用いて,子供たちの人格を織り上げます。正直という特質,神への信仰,義務感,人を尊重する気持ち,親切,自信,貢献し,学び,与える望みを,あなたの信頼を寄せる子供たちの心と思いの中にはぐくむのです。どんな託児所もそれはできません。それは母親の神聖な権利であり,特権です。」(「偉大な幸福の計画を実践する」『聖徒の道』1997年1月号,85)
十二使徒定員会会長代理のボイド・K・パッカー長老はこう述べている。「子供を教える母親の教えに匹敵する教えはなく,それ以上に霊的な報いを与え,あるいは人を高めるものはありません。」(「子どもたちを教えなさい」『リアホナ』2000年5月号,21)
母親はどのように子供を養い育てることができるかについて,さらにアイデアを紹介するために,参加者に『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』の49-50ページを開けさせる。子供と時間を有効に使うために母親ができることに関するエズラ・タフト・ベンソン大管長の10の提案を参加者に探させる。参加者がこれらの提案を見つけたら,下に示されているようにそれらを黒板に書き出す。各提案に従うことによって得られる恩恵について話し合う。
末日の預言者は,母親が職場へ出て行くよりも子供とともに家庭にとどまることの大切さを強調している。そのことを指摘する。第15代大管長ゴードン・B・ヒンクレーの以下の言葉を紹介する。
「……家族の生活のために働かなければならない女性がいることは認めています。実際そのような女性が非常に増えています。そのような人々に申し上げます。どうか,皆さんの最善を尽くしてください。フルタイムで働いている皆さんは,基本的な必要を満たすためにそれをしているのであり,ただ単に,高価な家や自動車,ぜいたくのために働くようなことのないように望んでいます。母親の最も大切な仕事は,義と真理のうちに子供を育て,教え,助け,励まし,養うことです。母親の代わりになり得るものは,何もありません。」(「教会の女性」『聖徒の道』1997年1月号,78)
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この勧告に従うために家族に求められる犠牲にはどのようなものが考えられるだろうか。
レッスンのこの箇所を終えるに当たって,以下の言葉の一つまたは両方を紹介する。
大管長会の第一副管長であった当時,ゴードン・B・ヒンクレー大管長はこう語っている。「すべての母親に申し上げます。皆さんの召しは神聖なものです。皆さんの代わりを務められる人はだれもいません。自分がこの世に生を与えた子供を,愛と安らぎと誠実さをもって育てることほど大きな責任と義務はありません。」(「子をその行くべき道に従って教えよ」『聖徒の道』1994年1月号,67)
母親に向かって,ジェフリー・R・ホランド長老はこう語っている。「皆さんには全人類の母であるエバから受け継いだ立派な伝統があります。エバは,自分とアダムは『人が存在するため……喜びを得るため』2ニーファイ2:25に堕落しなければならないことを理解していました。皆さんは,サラ,リベカ,ラケルの伝統も受け継いでいます。彼女たちがいなければ,わたしたちすべての祝福となる,アブラハム,イサク,ヤコブに与えられた偉大な族長の祝福はなかったでしょう。皆さんにはロイスやユニケ,(2テモテ1:5)2,000人の若い兵士の母親の伝統もあります。創世の前から選ばれ予任されて,神の御子を身ごもり,育て,生んだマリヤの伝統もあります。わたしたちは自らの母親も含め皆さんに感謝し,こう申し上げます。神の
父親と母親は対等なパートナーとして互いに助け合う
注意:もし本課のみを教えていて第10課を教えていない場合は,レッスンのこの箇所を本書44ページにあるボイド・K・パッカー長老の言葉で始めるとよい。
参加者に家族に関する宣言にある以下の言葉に注目させる。「これらの神聖な責任において,父親と母親は対等のパートナーとして互いに助け合うという義務を負っています。」
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夫婦がその責任において対等のパートナーであるとはどういう意味だろうか。
対等のパートナーとして協力する夫婦は一つとなって努力することを指摘する。彼らは互いに支え合い,互いの長所や才能を引き出す。すべての夫婦は,自分たちの責任において互いにどのように支え合うかを決定するに当たって,主の導きを受けることができる。夫婦は神が明らかにされた原則と,それぞれの長所や能力に基づいて決定をすることができる。
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子供たちを養い育てるという妻の責任に関して,夫はどのように妻を支えることができるだろうか。
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家族を管理し必要なものを提供するという夫の責任に関して,妻はどのように夫を支えることができるだろうか。
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子供を世話し教えることに関して互いに効果的に支え合っている例として,あなたはこれまでどのような夫婦を目にしてきただろうか。
結 び
参加者とともに教義と聖約64:33-34を読む。
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この聖句は父親や母親の責任とどのような関係があるだろうか。
母親と父親は確かに「一つの大いなる業の基を据えつつある」ことを強調する。日々の育児は小さな取るに足りないことのように思えることもあるかもしれないが,「小さなことから大いなることが生じる」のである。夫婦が協力してその神聖な責任を果たすとき,家族は主から大いなる祝福を受けるであろう。
『結婚と家族関係参加者用学習ガイド』の46-50ページを見てもらう。レッスンでの教義や原則を復習するため,参加者に以下を行うよう奨励する。(1)「応用のためのアイデア」にある提案から少なくとも一つを行う。(2)ジェフリー・R・ホランド長老の説教「彼女は母親だからさ」およびエズラ・タフト・ベンソン大管長の説教「シオンの母親の皆さんへ」を読む。学習ガイドに掲載されている説教を夫婦でともに読んで話し合うことは,既婚者にとって大変有益であることを指摘する。