セミナリー
使徒11,15章


使徒11,15章

救い主,啓示を通して御自分の教会を導かれる

Peter and James speak to the apostles, elders and other members at Jerusalem on the matter of circumcision. Outtakes: include some of the people shooting the film, different shots of the group of people listening.

イエスは使徒たちに,福音はすべての国民に宣べ伝えられると言われました。しかし,これを行うにはユダヤ人の長年の伝統を変えなければならず,それは非常に難しいことでした。イエスは天に昇られていたので,この変更を行うには啓示を受けなければなりませんでした。この課の目的は,救い主が預言者と使徒たちへの啓示を通して御自分の教会をどのように導かれるかをよく理解することです

教える事柄を決める。通常,一つの聖句ブロックには,1回のレッスンの時間では十分に扱うことができないほど多くの内容が含まれています。よく祈りながら聖文と教科課程を研究して,自分の教える生徒が見つけ,理解し,応用するべき最も大切な教義上の真理と原則はどれなのかを見極めてださい。

生徒の準備:生徒に,『聖句ガイド』「啓示の項で(scriptures.ChurchofJesusChrist.org)を読んで,主が預言者に御心を明らかにされる方法について理解し,それを分かち合える準備をしてきてもらいます。

友人の質問

あなたと同じ教会の会員ではない友人が,現代の預言者と使徒に対してあなたの信じていることについて耳にしたと仮定します。その友人は聖書の預言者や使徒は信じていますが,神が今日も預言者を通して働かれるという考えは受け入れ難いと感じています。イエスはどのようにして預言者や使徒たちに語られるのかと,その友人があなたに聞いてきました。

  • あなたは,この質問に答える自信がどれくらいありますか。

  • あなたはこの友人にこう聞かれたら,何と答えますか。

答え方は幾つかありますが, 使徒11 章と 15 章には,イエス・キリストが啓示を通して御自分の教会を導かれる二つの方法が記録されています。

預言者への啓示

ペテロは示現を受けてコルネリオと会った後( 使徒10章 参照),エルサレムに行って,新たに明らかにされたこれらの真理をほかの教会指導者たちに教えました。

ペテロの示現とコルネリオとのとの出会いを 使徒 10章 で簡単に復習してください。二人一組で行ってもらうといいかもしれません。または,一人の生徒にこの話をかいつまんでクラスで話してもらってもよいでしょう。

エルサレムに到着すると,ペテロは自分の受けた示現とコルネリオとの出会いについて詳しく話しました( 使徒11:1-18 参照)。

使徒11:4-18 を読み,神が教会をどのようにして導いておられることが分かるか,考えてください。

  • 主が教会を導かれる方法について,この話からどのようなことが分かりますか。

「生徒の準備」で資料を読んで分かったことを,生徒に挙げてもらうとよいでしょう。啓示は示現を通して,預言者である先任使徒に直接与えられたことを,生徒に理解してもらいます。

以下に挙げる真理を見せてください。ホワイトボードに書いてもよいでしょう:

ペテロの経験から,イエス・キリストは預言者,つまり先任使徒に啓示を与えることによって御自身の教会を導いておられることが分かります。

  • この真理が分かると,イエス・キリストとその預言者に対する証を強くするのにどう役立つでしょうか。

  • 今日の教会が主の預言者に与えられる啓示によって導かれているのは,なぜだと思いますか。

評議会を通して与えられる啓示

救い主が預言者と使徒たちに啓示をお与えになるもう一つの例は, 使徒15章 に記録されています。

宣教師のパウロとバルナバは,多くの異邦人を教え,彼らにバプテスマを施しました。一部のユダヤ人キリスト教徒たちがアンテオケに来て,異邦人の男性改宗者はイエス・キリストとその使徒たちによって教えられた福音に従うことに加えて,割礼を受けることによってモーセの律法を守る必要があると教えていました( 使徒15:1,5 参照。『聖句ガイド』「 割礼 」の項,scriptures.ChurchofJesusChrist.orgも参照)。

使徒15:2 を読み,パウロとバルナバがこの問題をどのようにして解決しようとしたかを見てください。

  • パウロとバルナバがエルサレムの教会指導者たちに指示を求めたのはなぜだと思いますか。

使徒15章 に記録されている一つの真理は,話し合い,神からの啓示を求めることによって,教会指導者は難しい問題について霊感を受けるということです。ペテロをはじめとする教会指導者たちは一緒に話し合って,神から導きを受けました。彼らは,異邦人の改宗者には割礼を求めないという霊感に満ちた決定を手紙で教会員に知らせ,ほかの戒めに従うようにという勧告も付け加えました。

評議会とは,重要な問題と,その問題に対処する方法について話し合うために集まる人々の集まりです。教会における評議会の働きについてさらに理解するには,「総合手引き」の以下の箇所を読んでください:

「〔評議会の〕指導者は,率直に正直に話すよう会員を励まします。評議会の会員の多様な背景,年齢,経験,視点が,評議会を豊かにします。会員は提案を分かち合い,互いに敬意をもって耳を傾けます。主の御心を知ろうと努めるとき,霊感と一致の精神が広がるでしょう。」

General Handbook: Serving in The Church of Jesus Christ of Latter-day Saints4.4.3より和訳, ChurchofJesusChrist.org

  • 教会の評議会とは何かと聞かれたら,端的にどう説明しますか。

Color Handouts Icon

次の表を配付資料として生徒に配るか,ホワイトボードに書き写します:

エルサレムの評議会

使徒15:6-15,22-28 を読み,評議会の様々な働きを示している箇所を見つけてください。次の表を学習帳に書き写しましょう:右の欄には,左の欄にある言葉に対応する言葉を聖句の中から探して書き込みます。

神権の鍵の下で働く

個人と家族のためになることに焦点を当てる

評議会の会員からの意見の表明を許可する

一致へと導く

現代の指導者も,評議会を通して教会の諸事に関する主の導きを受けます。ラッセル・M・ネルソン大管長は次のように話しています:

20:27
Official portrait of President Russell M. Nelson taken January 2018

「大管長会と十二使徒定員会から成る評議会として話し合うとき,その部屋は啓示の部屋となります。明らかに御霊がそこにあります。複雑な問題に取り組みながら,一人一人の使徒が自分の考えと見解を自由に述べる中で,心躍るプロセスが繰り広げられます。最初の見解は異なったとしても,互いに対する愛は一貫しています。一致することで,教会に対する主の御心を識別することができます。

わたしたちの集会では,採決は決して多数決では行われません。よく祈りながら互いの言葉に耳を傾け,一つになるまで話し合います。そして完全な調和に達するとき,背筋がぞくぞくするような,わたしたちを一つにする聖霊の影響力を感じます。預言者ジョセフ・スミスが『気持ちを一つにすることによって神の力を得るのです』 と教えたとおりのことを経験します〔『歴代大管長の教え–ジョセフ・スミス』394〕。大管長会と十二使徒定員会の会員で,主の教会に関する決断を自分の最善の判断だけで下す者は一人もいません。」

(ラッセル・M・ネルソン「教会のための啓示,わたしたちの人生のための啓示『リアホナ』2018年5月号,95)

これは,主が御自分の教会を導かれる方法について,生徒が疑問に思っていることを何でも質問してもらう良い時間になるでしょう。役に立つ教えについては,『聖句ガイド』の「 啓示 」の項(scriptures.ChurchofJesusChrist.org),およびこの課の「注釈と背景情報」の項にある資料を参照してください。

  • レッスンの初めに,イエス・キリストはどのようにして預言者や使徒に語られるのかと友人が聞いてきたという状況を話しました。友人からこう聞かれたら,あなたはどう答えますか。

  • 今日学んだ聖句で見つけた真理が分かると,預言者やほかの教会指導者に対するあなたの気持ちはどう変わってくるでしょうか。

  • イエス・キリストがこのような方法で御自分の教会を導いておられることを知ると,今日の預言者と使徒たちが下した決断に対するあなたの見方は,どう変わってきますか。

  • あなたは生涯を通して,どのような評議会に参加することになるでしょうか。

  • 評議会が啓示を受けられるようにするために,あなたには何ができますか。

この課で教えた真理について,御霊に促されるままに証します。

注釈と背景情報

教会指導者への啓示

説教「キリストの教義」の中で,十二使徒定員会のD トッド・クリストファーソン長老は, 使徒 11章15章 に記録されている話を用いて,教会指導者に与えられる啓示について教えています。この説教全体をよく読むか,または,このビデオのタイムコード6:10-11:34を見るとよいでしょう。

2:3

絶えざる啓示の例にはどのようなものがあるか

十二使徒定員会のクエンティン・L・クック長老は,教会のために受ける啓示について教えています。「人生を導く,預言者への絶え間ない啓示と個人の啓示の祝福」のタイムコード4:55-6:42を見てください。このビデオはChurchofJesusChrist.orgにあります。

2:3

クック長老はまた,預言者と使徒たちは御霊から霊感を受け,救い主から直接啓示を受けるとも教えています。ビデオ「神にお会いする用意」のタイムコード13:37-14:15を見てください。

15:5

評議会は家族の中でどのように機能するか

十二使徒定員会のM ラッセル・バラード会長は,「家族評議会」という話の中で(『リアホナ』2016年5月号,63-65),家族評議会について教えています。

補足学習活動

青少年は評議会に参加する

多くの青少年はこれまで,クラス会長会や定員会会長会の召しの大切な部分として評議会に参加してきました。そうでない青少年は,今後その機会にあずかります。評議会に参加した経験と,この課で学んだことは,自分の召しを果たすうえでほかの人たちと評議する際にどう役立つか,生徒に話し合ってもらいます。

個人の啓示は評議を通してどのようにして受けられるのか

現在および将来に決定を下さなければならない重要な事項を,生徒にホワイトボードに書き出してもらいます。次のような質問を生徒にします:ほかの人と話し合うと,このような決定を下す際に御霊の導きを受けるのにどのような助けになるでしょうか。このような決断を下すときに,あなたはだれと話し合いますか。話す相手になるのは,両親や家族(M ラッセル・バラード「家族評議会『リアホナ』2016年5月号,63-65参照),教会の指導者であり,主と相談する必要もあります( アルマ37:37 参照)。

十二使徒定員会のクエンティン L・クック長老の,次の言葉を伝えるといいかもしれません:「貴い若人の皆さんの多くは,自分が何者でありどのような人物になれるかについて,明確なビジョンを持っていないかもしれません。しかし,皆さんは人生における最も重要な決断をする出発点にいます。これから行う重要な選択について,両親とビショップとよく相談してください。ビショップを友人,相談相手としてください。」(「ビショップ—主の群れの羊飼い『リアホナ』2021年5月号 ,59)自分の人生をイエス・キリストに導いていただくために話し合いの原則をどのように活用することができるかを,生徒に書いてもらいます。

教会を導く評議会において,聖文はどのようにして啓示を招くか

啓示を受けるそのほかの方法について生徒に尋ねます。生徒に 使徒15:13-18 を読んでもらいます。ヤコブはどのような権能を持つ人のことを指摘しましたか。

十二使徒定員会のD トッド・クリストファーソン長老は,次のように教えています:「評議の場では,標準聖典や教会指導者の教え,過去の慣例がしばしば検討されます。しかし最終的な目的は,新約聖書の時代の教会と同様,単に評議会の会員の意見が一致することではなく,神から啓示を受けることです。評議は,主の思いと望みを知るために理性と信仰の両方を働かせて行う過程なのです。」(「キリストの教義『リアホナ』2012年5月号, 88)生徒に 使徒15:28 を読んでもらい,人々の社会的通念と神から与えられる啓示の両方についてどのようなことが述べられているか,考えてもらいます。