セミナリー
ルカ23:33-46;ヨハネ19:26-30


ルカ23:33-46;ヨハネ19:26-30

十字架上での救い主の思いやり

Women at the foot of the cross, Bible Video stills, From “Jesus is Scourged and Crucified”

十字架上でイエスが言われた事柄には,イエスの特質と神聖な属性が表れています。これを学習して,十字架上のイエス・キリストの模範から学び,イエス・キリストのようになりたいという望みが強くなるよう努力しましょう。

目的意識を持つ。教師と生徒の両方に共通のはっきりとした目的があると,信仰が増し,教室での経験の方向性が定まり,ためになる経験ができるようになります。

生徒の準備:つらい試練に遭っているときでも思いやりや哀れみを示していた知り合いについて話せるよう,生徒に準備してきてもらいます。

学習活動案

ほかの人たちを気遣う

次の質問について深く考えてください:あなたは,ほかの人たちに思いやりを示すことがよくありますか。それはなぜですか。

ほかの人たちの心配事や幸せのために心を砕くのが自分にとって難しくなる状況を,学習帳に書いてください。そういう状況にあるときにほかの人のために心を砕くのが難しくなるのはなぜか,説明してください。

そのような状況を学習帳に書いてもらう代わりに,生徒にホワイトボードに書いてもらってもかまいません。あるいは,クラスの生徒に2分間でそのような状況をできるだけたくさん挙げてもらい,一人の生徒に書記としてホワイトボードの前でそれを書いてもらってもよいでしょう。書記が書いた状況については,それを言った生徒に後で説明してもらいます。

次の質問の答えを学習帳に書きましょう:

  • 自分がつらい状況にあってもほかの人たちに思いやりを示したら,あなたの生活にはどのような良い変化があるでしょうか。

この課では,十字架上で激しい苦痛に耐えているときですらほかの人たちに手を差し伸べられた,救い主の模範について研究します。主のようになりたいという望みが強くなるよう聖霊の導きを求めながら,この救い主の模範を研究してください。

十字架につけられる前とつけられている間に起こったこと

救い主が十字架につけられる前とつけられている間に起こったことを思い出してみましょう:

以下の事柄を,語るのではなく,生徒に思い出してもらうとよいでしょう。以下の出来事の一部または全部について,それを描いている絵を見せるといいかもしれません:

  • 主はゲツセマネで世の罪のために苦しまれた( ルカ22:39-44 参照)。

  • 主はユダに裏切られ,使徒たちに見捨てられた( マルコ14:43-50 参照)。

  • 主はユダヤ人の指導者たちによって裁かれ,打たれ,つばきを吐きかけられた( マタイ26:57-68 参照)。

  • 主はピラトとヘロデの両方から尋問され,ヘロデとその兵士たちからあざけられた( ルカ23:1-24 )。

  • 主はローマの兵士たちに容赦なくたたかれ,鞭打たれた( マタイ27:26-31 参照)。

  • 少なくともゴルゴタに行く道のりの一部で,主は御自分の十字架を運ばれた( ヨハネ19:16-17 参照)。

  • 主は手と足に釘を打ち込まれ,二人の盗人の間で十字架につけられた( ルカ23:33 参照。 ヨハネ20:25 も参照)。

  • 主は十字架につけられた( マタイ27:45-50マルコ15:25 参照)。

これらの出来事が,あなたの救い主に対する気持ちや,救い主があなたのために堪え忍んでくださったことに対する気持ちにどのような影響を与えるか,考えてください。以下の聖句を読みましょう。救い主が十字架上で語られた言葉が記されています。主の言葉からイエス・キリストについての真理を見つけて,学習帳に箇条書きにしてください。

以下の説明と聖句を見せます:

ルカ23:33-34 救い主は御自分を十字架につけた兵士たちについてこの言葉を言われました(ジョセフ・スミス訳 ルカ23:35 参照)。

ルカ23:39-43 。この節には,救い主とともに十字架につけられた盗人たちが言ったことと,それに対して救い主が言われたことが記録されています。(預言者ジョセフ・スミスの教えによると,救い主はこの盗人について御自分とともにパラダイスにいるであろうと言ったときに,「わたしは霊界であなたとともにいて,あなたを教え,あなたの問いに答えるであろう」と教えておられました〔“Discourse, 11 June 1843–A, as Reported by Wilford Woodruff,” 44, josephsmithpapers.org〕。)

ヨハネ19:26-27 この節には,救い主が御自分の母親であるマリヤに言われたことと,使徒ヨハネに言われたことが記録されています。

生徒に,書いたことを発表してもらいます。次のような質問を補足するとよいでしょう:

  • イエス・キリストについて学んだことの中で,あなたにとっていちばんためになったのはどんなことですか。それはなぜですか。

生徒が発表したら,それをホワイトボードに書くとよいでしょう。生徒は次のような原則を挙げるのではないでしょうか:

自分を不当に扱う人たちを赦すことによって,わたしたちはイエス・キリストの模範に従うことができる。 自分が困っているときでさえも人を助けることによって,わたしたちはイエス・キリストの模範に従うことができる。

  • あなたはどのような点で救い主のようになりたいと思いますか。それはなぜですか。

救い主が十字架上で考えておられたのは,ローマの兵士や盗人,御自分の母親のことだけではありませんでした。ラッセル M・ネルソン大管長は,救い主は苦しみもだえながらも,さらに別の形でほかの人たちに目を向けておられたと教えています:

Official portrait of President Russell M. Nelson taken January 2018

「すべてにおいて,イエス・キリストは最大の模範であり,『自分の前におかれている喜びのゆえに,……十字架を忍』ばれました〔 ヘブル12:2 〕。そのことを考えてみてください。この地上で最も耐え難い苦しみに耐えるために,救い主は喜びに目を向けられたのです。

では,主の前に置かれた喜びとは何だったのでしょう。わたしたちを清め,癒し,強める喜び,悔い改めようとするすべての人の罪の代価を払う喜び,わたしや皆さんが清くふさわしくされ,天の家に帰り,天の両親や家族とともに住むことを可能にする喜びが含まれていたはずです。」

(ラッセル・M・ネルソン「喜び—霊的に生き抜く道『リアホナ』2016年11月号,82)

  • わたしたちのために苦しみに耐えていたときに,救い主は何に目を向けておられましたか。

  • 救い主のあなたに対する望みについて,ネルソン大管長はどのようなことを教えていますか。

十字架上で救い主は,あなたのことや,あなたが天の御父のみもとに戻れるよう助ける喜びに目を向けておられました。この真理について,少しの間深く考えてください。

  • この真理を理解すると,あなたの生活はどう変わってくるでしょうか。この知識がそのように人生を変えるのはなぜですか。

この課の「生徒の準備」の活動をしたときに思ったことや感じたことを,生徒に思い出してもらいます。

  • 自分が試練に遭っているときにだれかを助けたことや,だれかがあなたのためにそうしてくれたことはありますか。それはどのようなときでしたか。

例を見る方が良いと思われる場合は,ChurchofJesusChrist.orgにあるビデオ「主がわたしたちを愛されたように互に愛し合いなさい」(タイムコード3:22-7:54)を見てください。主がわたしたちを愛されたように互に愛し合いなさい

9:42

救い主の模範と自分が今日感じたことについて深く考え,聖霊の導きを求めてください。自分自身が試練に遭っているときでもほかの人たちに愛と思いやりを示し,イエス・キリストのような者になれる方法を挙げてください。次に,その方法を学習帳に書きましょう。書き出した方法を見直して,イエス・キリストのようになれる方法を一つ,よく祈って選んでください。学習帳に書き出した方法の中から選びます。祈って,その方法を実践する機会を探しましょう。

救い主の模範に従うために行おうと考えていることを,手を挙げてくれた生徒に発表してもらいます。関連のある個人的な話や証を分かち合って,レッスンを終えるとよいでしょう。

「すべてが終った」

十字架上で数時間苦しまれた後,救い主は最後の言葉を口にされました。

ヨハネ19:28-30ルカ23:46 を読みましょう。この救い主の現世での最後の言葉に,印をつけてください。

  • この言葉からわたしたちは,救い主とその使命についてどのようなことを理解することができるでしょうか。

救い主のように,わたしたちは人生で御父が自分に望んでおられることを達成することができます。今日実践しようと決めたことをやり通そうとするときに,そのことを忘れないでください。

注釈と背景情報

ヨハネ19:27 。救い主の「ごらんなさい。これはあなたの母です」という言葉から,どのようなことが学べるか

わたしたちは自分の母親を尊重し,愛し,大切にしようと努めることで,イエス・キリストの模範に従うことができます。十二使徒定員会のジェフリー R・ホランド長老は,義にかなった母親たちに敬意を表し,その愛を救い主の愛にたとえています。

ChurchofJesusChrist.orgにあるビデオ「ごらんなさい。これはあなたの母です」(タイムコード0:20-2:53)を見てください。

16:43

苦しいときにほかの人を助けることで,人格はどう磨かれるか

十二使徒定員会のデビッド A・ベドナー長老は,次のように教えています:

Elder David A. Bednar, Quorum of the Twelve Apostles official portrait. 2020.

「人格は,自分が苦しんでいるときにほかの人の苦しみを見極める力,自分が飢えているときにほかの人の餓えに気づく能力,自分が霊的な苦悩のさなかにいるときにほかの人の霊的な苦しみに対して手を差し伸べ,思いやりを示す力において明らかになります。このように人格とは,本来ならば本能的に自分のことで頭がいっぱいになり,自分のことばかり考えたくなるときに,外に目を向けて手を差し伸べることによって示されるのです。そのような能力が実際に道徳的特質を測る究極の尺度であるとすれば,世の救い主は変わることがなく慈愛にあふれた特質の完全な模範であられます。」

David A. Bednar, “The Character of Christ” [Brigham Young University–Idaho devotional, Jan. 25, 2003], byui.edu)

自分がつらい状況にあるときにほかの人たちに奉仕することで,どのような祝福がもたらされるか

大管長会のヘンリー B・アイリング管長は,次のように教えています:

Official Portrait of President Henry B. Eyring taken March 2018.

「人の艱難に気づき,助けようとしなければなりません。自分自身も厳しい試しのさなかにあるときには,特に難しいことです。しかし,たとえ少しでもだれかの重荷を軽くするときに,わたしたちの背は強められ,暗闇の中に光を感じ取れるようになるのです。」

(ヘンリー・B・アイリング「試され,証明し,磨かれる『リアホナ』2020年11月号,98)

補足学習活動

ヨハネ19:30 「すべてが終った」

救い主が自分たちのためにゲツセマネと十字架上で行ってくださったことについて学んだ生徒が,そのことについて深く考えられるよう,救い主の「すべてが終った」( ヨハネ19:30 )という言葉をもう一度読んでもらいます。この言葉をホワイトボードに書き,生徒に学習帳に書き写してもらうとよいでしょう。その後,この言葉の周りに,救い主が自分たちのために「終〔えられた〕」ことをすべて書いてもらいます。さらに,主が自分たちのためにしてくださったことを受けて,自分が何をするかを考えてもらうとよいでしょう。