「学習者が聖霊から教えを受けられるような環境と機会を作る」『教師養成スキル:御霊によって教える』(2023年)
「学習者が聖霊から教えを受けられるような環境と機会を作る」『教師養成スキル:御霊によって教える』
キリストのような教え方の原則:御霊によって教える
学習者が聖霊から教えを受けられるような環境と機会を作る。
スキル
教義,真理,原則について,生徒が自己評価をする。
定義する
御霊により教えることには,生徒が自分自身の観点や思い,特定の真理に関連する経験について考えるのを助けることが含まれます。この自分を見つめなおすことと自己評価により聖霊が招かれ,それぞれの生徒は生活の中で,「現在のことをありのままに……,未来のこともまた,ありのままに」(モルモン書ヤコブ4:13)見ることができるようになります。効果的な自己評価により,生徒は,(1) 特定の真理についての自身の理解度, (2) それらの真理がなぜ自分自身の生活と状況に関連があるか, (3) それらの真理にさらに従って生活する方法,を考えることができます。この自己評価は,クラスのどのタイミングでも,様々な方法を通して行うよう招くことができます。例えば,文章を書く活動や,質問についての話し合い,教義と原則を応用するよう招くことなどの形で行えます。
以下のモデルと練習は一般的な例です。モデルや練習の機会を,次に扱う教科課程のレッスンと結びつけると,訓練の効果が高まります。
モデル
以下は,生徒の自己評価を作る例です。
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クラスの冒頭で,什分の一の律法について現在理解している事柄を簡潔に学習帳に書き留めるよう招くとよいでしょう。
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クラスの最後に,次のことについて考えるよう生徒に言うことができます。「クラスが始まった時と比べて,什分の一の律法への理解は,どのように変わってきましたか。」
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聖句ブロックから様々な原則を一緒に探した後で,生徒にこう尋ねることができます。「これらの原則を重要度に応じて並び替えるとしたら,どうなりますか。」
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クラスで話し合う際に,イエス・キリストの贖罪がこれまでどのように自分の人生に影響を与えてきたか考えるよう生徒に言うことができます。
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学んだことをどのように当てはめるか考えるよう生徒を招いてもよいでしょう。「現在,どれぐらいあらゆる思いの中でキリストを仰ぎ見ている(教義と聖約6:36)と思いますか。この件について主との関係を改善するうえで,あなたが次のステップですべきだと感じることを書き留めてください。」
練習する
以下の一つまたはそれ以上の練習を使って,生徒が自己評価できるようになるために自分が改善できる力を高めてください。
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次のレッスン予定を見る。焦点を当てる予定の教義を一つ選ぶ。生徒が現在のこの教義への理解度について,あるいは学んだことからこの教義への理解度がどのように変化したかを考えるために使えそうな,簡潔な自己評価を2,3書く練習をする。
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クラスの話し合いが予定されている次のレッスン中の時間を選ぶ。生徒が自分自身の観点と,見つけた原則に関連する経験を評価する助けとなる質問を2,3書く練習をする。
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次のレッスン計画の中で,生活にどのように原則を応用できるかに焦点を当てる時間を取る。特定の教義や原則を応用するよう単に生徒を招くだけでなく,現在どれぐらい実践できているかや,改善し続ける方法について評価するうえで役立つ招きを2,3書く練習をする。
話し合う,または深く考える
この経験から学んだことについて深く考えてください。思いついたことを,学習帳に書き留めてもよいでしょう。次の質問について考えてください。
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生徒の自己評価を助けるために,これまでにどのようなことを行ってきただろうか。
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生徒の自己評価を助ける能力を改善することができた経験から,自分は何を学んだのだろうか。
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引き続き改善するために,何を行えばよいだろうか。
取り入れる
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今週のそれぞれのレッスン計画で,生徒が聖霊から学ぶのを助けるための他の自己評価を使いましょう。時間を取って,この経験から学んだことを見つけ,準備の際やクラスの中でもう一度練習してみましょう。引き続き練習し,学び,努力に磨きをかけてください。それにより生徒のクラスでの経験がより良いものに,そして生徒が引き続き成長し進歩できるよう励ます力が得られます。
さらに深く知る
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ジェフリー・R・ホランド「天使と驚き」(宗教教育セミナリー・インスティテュート年次訓練放送,2019年6月12日),broadcasts.ChurchofJesusChrist.org
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「熱心に学ぶように招く」『救い主の方法で教える』29-30
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「熱心に学ぶように招く」(3:36)(ビデオ)ChurchofJesusChrist.org
スキル
神聖な音楽を活用する。神聖な音楽の中から,学んでいる真理に関連する言葉や一節を見つけるよう生徒に言います。
定義する
大管長会はこのように述べています。「賛美歌は主の御霊を招き,敬虔な雰囲気を醸し出し,教会員を一つにし,主に賛歌をささげる機会を与えてくれます。」(『賛美歌』ix)神聖な音楽は,クラスを始める際のディボーショナルとして用いることができます。また,クラスで,生徒の特別な発表や,賛美歌を一緒に歌うことや,歌の歌詞を黙読するといったことで利用することができます。音楽を用いるときはいつでも,教師は生徒に福音の真理を見つけてもらい,福音の原則に対する理解を深めてもらうことができます。そのために,歌詞の中から,救い主や,クラスで学んでいる真理についてさらに教えている語句を見つけるよう生徒を招くことができます。
以下のモデルと練習は一般的な例です。モデルや練習の機会を,次に扱う教科課程のレッスンと結びつけると,訓練の効果が高まります。
モデル
以下は,歌を聴いたり歌ったりしながら,生徒に深く考えてもらうことのできる質問の例です。
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この賛美歌の中で,あなたの好きな言葉やフレーズは何ですか。その箇所は,天の御父やイエス・キリストについて何を教えてくれますか。
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先程ヨハネ15章の,戒めを守ることによってイエス・キリストへの愛を示すという原則について話し合いました。賛美歌の中から,この原則についてさらに教えている一節を見つけてください。賛美歌集の主題別索引から「愛」と検索してみてもよいでしょう。
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この歌は,天の御父とイエス・キリストについて何を教えてくれますか。
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この歌は,クラスで話し合ってきた真理をさらに理解し,その真理に対する感謝の念を深めるうえでどのように役立ちますか。
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あなたの知っている人で,今日この歌を聞く必要のある人は誰でしょうか。この歌で教えられているどのような真理を,その人に知ってもらいたいと思いますか。
ここをクリックして,このモデルのビデオを御覧ください。
練習する
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教科課程の次のレッスンを確認し,次回教える原則の一つについて考えてください。上記のモデルの中から一つか二つ選ぶ,もしくは自分で質問を考えて,賛美歌をその原則に結びつけてもらうよう生徒を招きます。
話し合う,または深く考える
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これまでどのようにしてレッスンに神聖な音楽を取り入れてきたか考えてください。クラスでどれくらいの頻度で神聖な音楽を用いていますか。どうすればさらに活用することができるでしょうか。
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教室という場で音楽が用いられ,それが印象的な経験となったのはどのようなときでしたか。
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クラスでより効果的に神聖な音楽を用いる方法を改善し続けることで,生徒にどのような祝福をもたらすか考えてください。どのような考えが思い浮かびますか。
取り入れる
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一人の生徒に,教えたい真理と関連のある賛美歌をディボーショナル用として,祈りの気持ちで選んでもらいます。
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神聖な音楽を使って福音の原則を教える,ほかの方法について考えてみてください。
さらに深く知る
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「チャーチ・ミュージック」アプリを調べて,クラスで使えるリソースを見つけましょう。例えば,ユースアルバム,Face to Faceミュージック,総大会の音楽,『For the Strength of Youth—青少年の強さのために』に掲載されている音楽などがあります。
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ダリン・H・オークス「音楽による礼拝」『聖徒の道』1995年1月号,11-13